2009年10月3日 (土) 掲載

◎甘~いウサギのまんじゅう並ぶ…きょう十五夜

 甘味をほおばり、満月に負けない輝く笑顔―。3日は旧暦の8月15日、十五夜。こよい、天気が良ければ、まんまるのお月様が姿を見せる。

 十五夜に合わせ、函館市港町1の菓子工房「花園正家(はなぞのしょうけ)」では、月とウサギをかたどった愛らしいまんじゅうを店頭に並べている。緑、白、桃色と鮮やかな照り具合の団子もあり、2日夕には常連客が買い求めていた。

 社長の佐々木征人さん(64)は「十五夜はいろいろな解釈があると思うが、自然の恵みに感謝することが基本だと思う。今年もお月様の美しさに見とれながら、五穀豊穣(ごこくほうじょう)、安全の願いごとをしたい」と話していた。

 気象台によると3日は、渡島・檜山地方ともに晴れになる見込み。道南の広い地域で中秋の名月を楽しむことができそうだ。(田中陽介).



◎市街地2カ所編入承認…都市計画審

 函館市都市計画審議会(会長・韮澤憲吉函館高専教授、委員15人)が2日、市役所で開かれた。都市計画法で開発が抑制される市内の市街化調整区域2カ所(計23.9ヘクタール)について、住宅地の造成が可能な市街化区域に編入する予備審議議案を承認した。懸案となっている石川稜北地区(33ヘクタール)の市街化区域編入は提案されず、市は今月20日前後をめどに、同審議会を開いて編入を諮る方針を示した。

 市街化区域への編入が認められたのは、神山小学校周辺の神山地区(8.3ヘクタール)とJR函館線と江差線に挟まれた昭和南地区(15.6ヘクタール)。ともに民間による住宅地整備が予定されている。

 市は石川稜北地区の編入についても、同日の審議会で予備審議議案として提案する予定だったが、前日までに提案を取り下げた。

 市都市建設部の山本真也部長はその理由として、中心市街地空洞化への懸念から同地区の編入取りやめを求める要望書が市に、請願書が市議会にそれぞれ9月29日に提出されていることから、「要望書に対応する必要があると考え、一定の整理を要する」と説明。20日前後をめどに同審議会を開いて諮る考えを示した。

 同部によると、今月22日に道の都市計画審議会の幹事会、同26日に予備審がそれぞれ予定されており、同地区編入の手続きを進めるには21日までの審議会開催が必要になるという。(千葉卓陽)



◎新型インフルさらに拡大…渡島・桧山管内

 渡島・桧山でも新型インフルエンザが広がりを見せている。2日には江差町で初の感染疑い患者が確認され、函館市内では8歳の男子児童が新型インフルエンザ脳症の発症が分かった。児童は一時意識不明となったが、現在は回復している。新型インフルエンザ脳症患者の発生は同保健所管内では初めてで、道内でも2例目。

 市立函館保健所によると、脳症となった児童は9月30日夜、自宅でけいれんを起こし、意識不明となったため市内の医療機関に入院。10月1日未明に38度台の発熱があった。簡易検査では陰性だったが、医療機関は同保健所に新型インフルエンザ脳症が疑われるとして通報。2日に道立衛生研究所(札幌)で遺伝子検査を実施し、新型インフル陽性と確定した。

 児童は1日朝には意識が回復。現在は熱も37度台に戻り、回復に向かっている。

 また、同保健所などは2日、新型インフルエンザの集団発生が疑われるため函館本通中学校の1年生、同尾札部中学校の2年生、同ラ・サール中学校1年生が学年閉鎖、函館駒場小学校の6年生1クラス、同ラ・サール中学校3年生1クラス、同中部高校全日制の3年生1クラス、同大妻高校の1年生1クラスが学級閉鎖を行うと発表した。それぞれの閉鎖期間は1―7日までの2―5日間。

 江差保健所も同日、檜山支庁の出先機関・檜山農業改良普及センター(江差町柳崎町55、職員13人)の職員2人が、新型インフルエンザに感染した疑いがあると発表した。同保健所管内の檜山南部5町で、新型が疑われる集団感染発生は、厚沢部町、上ノ国町に続き3町目。

 同保健所によると職員2人の容体は安定しており、いずれも自宅療養中という。同センターによると他の職員には、発熱などの症状はみられず、通常業務にも支障はない。週明け以降にも他の職員を含めた健康状態を確認する方針という。

 渡島保健所も同日、新型と疑われる集団感染で、北斗市内の幼稚園の2学級を2日から7日まで学級閉鎖すると発表した。(千葉卓陽、松浦 純)


◎自覚新たに誓う…市函病院看護学院で戴帽式

 市立函館病院高等看護学院(吉川修身学院長、生徒212人)の第59回生戴帽式が2日、函館市港町の同院体育館で開かれた。ことし春に入学し基礎教育を終えた1年生70人が、看護師への新たな一歩を踏み出した。

 約半年の基礎的な授業や実習を終えた学生が、現場での臨地実習に入る前に、看護従事者としての自覚を持ってもらう、恒例の式。

 ことし式に臨んだのは男性7人、女性63人。在校生や関係者約250人に見守られながら、壇上で真新しいナースキャップを受けた。続いて1年生全員でナイチンゲール誓詞を暗唱した。吉川学院長は「きょうのこの気持ちを忘れずに頑張って」と激励。戴帽生代表の平野ちひろさんは「これから理想と現実の違いに戸惑い、涙を流す時もあると思うが、どんなことがあっても仲間と一緒に乗り越えていく」と宣誓した。

 戴帽生は5日から、市立函館病院など市内近郊の病院や施設で実習を行う。(山田孝人)


◎「正式か」「事前か」…支庁再編条例 広域事務めぐる協議 道との認識に食い違い

 【江差】道の支庁制度改革をめぐり高橋はるみ知事が、振興局から総合振興局に集約する広域事務の取り扱いをめぐり、未施行の支庁再編条例に基づく正式協議に入る方針を示したことに、桧山支庁管内町村会などは、協議は条例施行前の事前協議であるべきと主張。双方の認識に食い違いが生じている。

 【道町村会や桧山町村会などは、条例施行をめぐり、広域事務や新たな組織体制をめぐる議論が尽くされておらず、道との認識は依然として隔たりが大きいとして、桧山など5振興局地域での協議開催を求めている。協議の位置付けは、条例施行前の事前協議であり、一定の合意が得られなければ条例施行は時期尚早との見方だ。

 【9月30日の道議会本会議で、民主党・道民連合の高橋亨氏(函館市)は「知事公約を実現するため担当部局が猪突猛進した結果、振興局となる5支庁は地域の信頼を失った」として慎重な対応を求めた。しかし、高橋知事は「条例に基づく正式協議に移行したい」とする答弁を繰り返した。

 【今後の協議について高橋知事は、広域事務の内容に限定し、9総合振興局・5振興局の配置など、条例の根幹部分については「協議事項ではない」との認識だ。道はこれまで条例施行前に一定の周知期間を設ける方針だったが、事前協議も周知期間に含めた上で、条例の早期施行に踏み切る構えをみせている。

 【桧山管内では「合意形成より施行を優先するのか」「道は再び強行突破するのか」(管内の町議)と反発も拡大。条例の周知期間についても「住民や企業・団体への周知は何も無い」との批判もある。檜山町村会長の寺島光一郎乙部町長は「広域事務の取り扱いなどの問題点を公開の場で協議することが望ましい。広域事務の問題などを公開協議により、道民の判断を仰ぐことも必要」との認識を示している。(松浦 純)