2009年10月30日 (金) 掲載

◎尾札部道路の建設促進を訴え 地元住民らが今年も盛土遺構を再現

 函館市南茅部地区の国道278号尾札部道路(尾札部―大船間14.75キロ)建設促進をアピールしようと、市と地元住民ら約25人が29日、大船遺跡付近の海岸から石を運び、縄文時代の盛土遺構を再現する取り組みを行った。

 昨年に続いて2回目。同道路は尾札部―川汲間約6キロが開通済みで、現在鹿部方向に延伸工事が進められている。バイパス整備が物流や防災、交通安全のほか、世界遺産登録を目指す同地区の縄文遺跡群へのアクセスに欠かせないことを、強くアピールすることが狙い。地元の8町内会や漁協、商工会、市で構成する尾札部道路建設促進地域協議会(会長・加藤詔三臼尻町内会長)が主催した。

 盛土遺構は縄文人が使用しなくなった土器や石器などを廃棄して重なった地層。始めに市教育委員会の阿部千春参事が同遺跡と国宝土偶について講義をした。続いて参加者は徒歩で海岸まで降りて、海岸清掃を行うと同時に大小約200個の石を収拾。トラックに乗せて同遺跡付近に運んだ。大きなもので重さ20キロほどの石を、2人で担ぐてんびんなどで運び、遺構の上に置いて当時の様子を再現した。

 加藤会長は「小さな試みだが、1日も早く大船まで延伸してほしいという気持ちの表れ。地域も頑張っているということを国土交通大臣にわかってほしい」と早期延伸を訴えた。市土木部新外環状道路整備推進室の米谷富幸室長は「この試みは地域と連携しながら、国道整備という地域に必要なものを訴える新しいやり方。今後も続けていきたい」と話していた。(山田孝人)



◎函館大谷短大と遺愛高校が連携協定。来年度からホームヘルパー2級養成で

 函館大谷短大(福島憲成学長)と遺愛女子高校(福島基輝校長)による教育連携協定調印式が29日、同大で開かれた。福島学長と福島校長が協定書に署名し協定を正式に締結。来年度から同校生徒が同大で行われるホームヘルパー2級養成講座を受講できることになった。

 今回の連携は、同高が学内で行ったアンケートで「福祉に関する資格を取得したい」との要望が高かったことがきっかけ。同高から相談を持ちかけられた同大は、コミュニティ総合学科のホームヘルパー2級養成講座に生徒の受け入れが可能と判断した。高校2年生が対象で、年間130時間の受講で資格が認定されるとともに、高校の授業単位として4単位が取得できる。

 調印式では両校関係者が見守る中、福島学長と福島校長が署名押印。福島学長は「両校とも仏教、キリスト教と宗教が母体の学校であり、福祉やボランティアには力を入れてきた共通点がある。今回の連携をきっかけに相互で協力しながら、今まで以上に地域の福祉に貢献できれば」とあいさつ。

 福島校長は「私たちの希望を快く受け入れてくれて大変感謝している。生徒にとって選択肢が広がることは素晴らしいこと。今度もさまざまな連携の可能性を模索していきたい」と語った。

 同高では12月にも生徒の希望を取って同大への受講者を決定。初年度は15人程度が受講するとみられる。(小川俊之)



◎新型インフルワクチン 函館、北斗、七飯が低所得者世帯に免除券

 函館市と北斗市、七飯町は、新型インフルエンザワクチンの優先接種対象者のうち、低所得者世帯が一時的に料金を自己負担せず無料で接種を受けられるよう「費用負担免除券」を同一様式で発行することを決めた。2市1町の医療圏が同じため「様式が違うことで医療機関が混乱することを避けられ、スムーズな接種につながる」(各自治体)と期待される。11月2日から申請の受け付けを開始する。

 国は、同ワクチン接種の日程を11月中旬以降順次進める計画で、優先接種対象者のうち市民税が非課税の世帯と生活保護受給世帯については、基本的に全額無料にするとの考え方を示している。2市1町もこれに従って進める。接種2回分の費用は、同一医療機関で行った場合6150円。

 函館市をはじめ道内市町村では、妊婦と慢性呼吸器疾患のある人など最優先の基礎疾患がある人は、11月16日から接種開始の予定。これ以降、その他の基礎疾患のある人と就学前までの幼児に対しては12月上旬から、以降小学生や1歳未満児の保護者、中高生、高齢者の順で進める。

 申請書は各自治体の窓口などで11月2日から配布し、同日から受け付ける。函館市では、申請時期にかかわらず接種スケジュールの優先順に免除券を発行する計画。受け取った人はこれを持ち、予約した医療機関で接種を受ける流れだ。

 接種費の財源は、国と道の補助金が4分の3で、各自治体は4分の1を一時的に負担するが将来的には国が交付税措置するとしている。函館市の場合、優先接種対象者13万8032人中、無料対象となる低所得世帯の対象者は4万9152人。事業費は、摂取率を82.6%と見込んだ場合の接種費と事務費合わせて2億5900万円を見込む。

 接種のスケジュールに関する問い合わせは各保健所と役場の保健担当課へ。(小泉まや)


◎市営函館競輪 本年度売り上げ7.5%減161億円 不況と記念レースの不振響く

 函館市は、28日で全日程を終了した本年度の市営函館競輪の売上額(速報値)をまとめた。開催58日間の売上額は161億2648万円で、前年度比13億993万円(7.5%)減、本年度当初予算と比較しても8億7351万円(5.1%)減となった。不況に加え、8月に行われた記念競輪の不振が響いており、2年連続で続けていた単年度黒字の達成は困難な状況となっている。

 売上区分ごとにみると、全体の約6割を占める臨時場外は100億円の大台を割る95億6681万円にとどまり、前年度比で11.5%、当初予算比7.8%、それぞれ減少した。本場とサテライト松風(松風町)も6億8027万円で、前年度比20.4%減、当初予算で24.6%減となった。

 市競輪事業部の酒井哲美部長は「不況下で賃金やボーナスカットに加え、車券の発売方式が複雑化していることが要因」と分析するとともに、「全国で発売される函館記念(G3・8月9―12日)がお盆の帰省時期と重なり、売り上げが伸びなかったことが大きい」と話す。

 一方、昨年度から導入した宝くじ式の重賞式投票は3億3185万円で、前年度比で27.4%増、当初予算比でも17.4%増と大幅な伸びを示したほか、電話投票も55億4753万円で前年度、当初予算をともに上回った。

 普通競輪(F1・F2)の売り上げも91億2836万円で前年度を上回ったが、全体での落ち込みが激しい臨時場外での普通競輪車券販売は前年度比1.7%減となった。

 07年度から5年間の時限付きで行われている日本自転車振興会からの還付金は本年度、1億6686万円が交付される見込みだが、酒井部長は「累積赤字を減らしつつあった中で、本年度の結果は非常に厳しい。他場の場外発売などに力を入れ、赤字幅を抑えたい」と話している。(千葉卓陽)


◎「ロケ地函館」も楽しんで 映画「わたし出すわ」マップ作製

 森田芳光監督の最新作「わたし出すわ」の31日からの劇場公開に合わせ、はこだてフィルムコミッションはこのほど、函館市内の撮影地を紹介するロケ地マップを作製した。市内の市観光案内所などで配布している。

 映画は女優の小雪さん演じる女性が帰郷し、友人の夢や希望のために大金を出していく…というストーリー。ロケは昨年行われ、市民エキストラも多数参加した。マップは映画の鑑賞者にロケ地函館をPRするのが目的。

 B5判の両面カラー。函館西高、市電の谷地頭停留所、函館八幡宮、五稜郭観光駐車場など7カ所にスポットを当て、映画の1場面と一緒に地図で場所を示したほか、周辺の観光名所も紹介している。

 3万枚印刷し、このうち2万5000枚は東京や大阪など大都市圏の上映館に送った。残りは市内のシネマアイリスや市地域交流まちづくりセンター、市青年センター、市役所などで入手できる。

 フィルムコミッションの広部卓也事務局長(57)は「市民にも一度手にしてもらい、撮影が行われたことを知ってもらえれば。映画と一緒に楽しんで」とPRしている。

 アイリスでの上映時間は31日から11月6日まで(1)9時15分(2)13時10分(3)17時30分(4)21時35分。問い合わせはTEL0138-31-6761。(新目七恵)