2009年10月4日 (日) 掲載

◎西洋音楽発祥の地は函館…年内に冊子発行へ

 函館の音楽文化を守る活動に励む「函館メサイア教育コンサート実行委員会」(松原仁委員長)は、西洋音楽が伝わった明治初期の函館の様子を伝える冊子「箱館開港と音楽」(仮称)を、年内にも発刊する。記録絵や楽譜でペリー提督が訪れた箱館の幕末期についても紹介。「近代日本の西洋音楽発祥地は函館」という史実はあまり知られておらず、その風化を食い止めるのが狙いで、関係者は「函館の魅力再発見につながれば」と期待している。

 同実行委音楽監督の徳永ふさ子さんによると、近代日本に西洋音楽が初めて導入された舞台は、函館ハリストス正教会。洋楽史研究家の中村理平氏(故人)が明らかにし、横浜より1年早い1871(明治4)年に、ロシア人読経者が日本人信者に日本語で聖歌を歌わせていたのが始まりという。

 この史実について言及している文献を2年前に読んだ徳永さんは「音楽の観点から函館開港150周年を盛り上げたい」と考えてきたという。今年9月には「黒船が運んだ西洋音楽」をテーマに演奏会を開き、そのユニークな試みが注目を集めたばかりだ。

 今回の冊子編集では、函館市史や中村氏の著「キリスト教と日本の洋楽」、弘前の国学者、平尾魯僊(ろせん)=1808―80年=の「洋夷茗話」などを参考文献とした。73(明治6)年の同教会で、バイオリンを使ったソルフェージュ(旋律や音階を母音や階名で歌う練習法)教育が行われていた記述や、米国の船員がピッコロと太鼓で水兵を弔った葬送曲の楽譜も盛り込む。当時箱館と関係が深かったロシアとの交流の歴史、西洋音楽が箱館から東京へと南下していく経緯についても触れる。

 徳永さんは「中村氏が掘り起こした史実を大勢の市民に共有してほしい。いつまでも語り継がれ、音楽活動の動機になればと願って冊子を作っている」と話している。

 冊子は40ページ程度のA4判。500―800円で、約1000部発刊する。予約の申し込みは同実行委TEL080・5583・6832。



◎地元の味「市場」で楽しむ…マルシェ・ジャポンin函館

 おいしく、楽しく、地域の食を再発見――。生産者と消費者が市場(マルシェ)を通じて交流を深める、新しいスタイルの産直市場「マルシェジャポンin函館元町公園」(実行委員会主催)が3日、函館市の元町公園で始まった。道南各地の新鮮な食材や加工品などが彩り豊かな屋台に並ぶ中、来場者は華やかな雰囲気を味わいながらショッピングを楽しんでいる。4日まで。

 マルシェジャポンとは、フランスの伝統的な市場をモデルに、生産者が直接販売しながら、消費者に食材の説明や料理法を伝えることで、相互の結びつきを高めようとスタートした全国プロジェクト。

 会場には、地元産の有機栽培の野菜や食肉、乳製品、ハーブ、ジャムなど多彩な商品がそろったほか、東京の有名シェフ、豊島重義さんによる特別料理が提供された。特設ステージではFMいるかの公開放送や大道芸などのイベントが繰り広げられた。

 同プロジェクトの総括プロデューサー、後藤健市さんは「作る人、買う人、食べる人それぞれがマルシェを楽むことで地域を元気にしてほしい。函館には魅力的な素材と場所がたくさんあり、今回のプロジェクトを継続していく可能性は十分持ち合わせている」と話していた。

 最終日の4日は午前9時から午後3時まで開催。午前11時から野菜ソムリエの後藤さんによる「料理講座」、正午から料理研究人の澤井潤子さんによる「調理公開講座」、午後1時から長谷川照美さんによる「みそづくり講座」が行われる。入場無料。



◎日仏交流は開港とともに…経営学会全国大会

 日仏経営学会(会長・廣田功帝京大教授)の第54回全国大会(実行委主催)が3日、函館市高丘町の函館大学で開かれた。特別公開講座として「箱館開港150周年―箱館をめぐる日仏交流」と題したパネルディスカッションが行われ、研究者が開港とともに始まった日仏関係の歴史をひもといた。

 同学会の全国大会は年2回開催され、函館では2001年以来8年ぶり。開港150周年を記念した特別講座には市民や学生ら約80人が参加し、廣田会長の進行で、フランス人の日仏交流史研究家、クリスチャン・ポラックさんと、函館出身の東京学芸大名誉教授、大井孝さんが意見を交わした。

 ポラックさんは幕末の貴重な画像データを交えて日仏のかかわりをスライドを使って解説。「日仏修好通商条約が締結された背景にはフランスが生糸の供給源を求めていた経済的要因があった」と指摘した。

 当時は日本の生糸の総生産量の約半数がフランスに輸出されていたことにも触れ、「中国などよりも良質な日本の製糸技術が当時のフランスの絹産業を救った。生糸の貿易によって日仏間に長年にわたる相互依存関係が生まれた」と述べた。


◎大きなカボチャでハロウィーン体験

 【七飯】「ハロウィーン体験in大沼」が3日、大沼国際セミナーハウスで開かれた。家族連れを中心に約150組が参加し、大きなカボチャを使ったランタン(西洋ちょうちん)作りを楽しんだ。

 大沼体験観光づくり実行委員会(渡辺邦浩委員長)の主催。大沼地区でアトランティックジャイアント種を育てる農家で構成する「川尻カボチャ友の会」の協力を得て、2001年から毎年開いている。

 ランタン作りは大きなカボチャに目鼻を描いた後、ノコギリやおたまでくり抜き、30分から1時間ほどで完成。表情は笑った顔や少し怒った顔などバラエティー豊かで、中には裏側にも細工を施した作品もみられた。

 日が暮れ始めた午後5時からはカボチャの中に据えつけたロウソクに明かりをともし、幻想的な雰囲気に。北斗市の後藤佐奈さん(38)は長男の駿介ちゃん(3)と参加し「予想以上にいい出来栄え。明かりもとてもきれい」と笑顔で話していた。作品は4日から大沼国際交流プラザ前に展示し、毎夜点灯される。


◎新函館駅北口整備 見直し要求へ…道新幹線

 【北斗】北斗市議会の新幹線建設促進調査特別委員会(中井光幸委員長)は、市が提示した北海道新幹線新函館駅の北口駐車場を整備する計画について見直しを求める方針を固めた。近く海老沢順三市長に書面で申し入れる。

 市は8月、道が2015年度までに七飯町内の国道5号から新駅北口までのアクセス道2・8キロと駅前広場を整備するのに合わせ、市有地に200台規模の駐車場を市の単費で整備する計画を提示。すでに新駅南側13・5ヘクタールの開発に国の補助を含め61億6500万円を計上しており、これと別に市単独で駐車場整備をする。

 これに対し、同特別委は、駐車場は駅北側の開発にきっかけを与え、南側の発展を阻害する恐れがあるとして慎重な姿勢を見せており、「ばく大な市の投資を伴う駅南側のことを考え、単独での北口整備は見直すべき」との結論に達した。

 広域観光や高速交通のアクセス面から北口整備の必要性を指摘する声もあり、市側も「道南圏で駅利用者の利便性を図るために駐車場が必要」としている。

 中井委員長は「駐車場の整備に異を唱えるのではなく、国の補助など財源確保の努力を求めたい」としている。