2009年10月6日 (火) 掲載

◎未来の五稜郭描く…駅舎に港中美術部の絵画設置

 JR五稜郭駅の存在感を高めようと、JR北海道函館支社は5日、函館港中学校美術部が「未来の五稜郭駅」をテーマに制作した絵画を同駅旅客通路面の壁に設置し、除幕式を行った。

 絵画は高さ1メートル86センチ、幅6メートル51センチの大作で、同部員12人が約50日間かけて制作。新幹線と特別史跡五稜郭や五稜郭タワーを組み合わせ、五稜郭の未来像を描いた。背景に銀河系、虹、雪などをあしらった明るい配色の躍動感あふれる作品で、乗降客や通過車両の乗客を出迎える。

 駅舎内の環境整備を進める中で、同社員が「乗客の心に残る駅舎」を模索。函館開港150周年記念と、来年の東北新幹線「新青森駅」開業、迫る北海道新幹線開通、箱館奉行所完成を見据え、未来ある五稜郭の風景を、ホームや車窓から乗客に見てもらおうと企画した。地域を巻き込んだ取り組みにするため、同部に制作を依頼した。

 除幕式では高梨潤駅長が「明るくてお客さまが見て心に残る絵を描いてもらいありがとう」と感謝。部員を代表し、今村奈央さん(2年)が「夢や希望が満ちあふれる駅になるよう描いた。素晴らしい駅になれば」とあいさつし、佐々木梨菜さん(同)らがロープを引いて除幕。背景を担当した安田つぐみさん(同)は「いろんな人に見てもらえるので作ってよかった」と話していた。



◎落部IC0日開業 桧山南部でも期待

 【厚沢部】道縦貫自動車道・落部インターチェンジ(IC)が10日に供用開始する。檜山管内からも高速道路への接続ポイントが増え、道央圏へのアクセスが容易になるため、農水産物の流通や観光客の入り込み増加にも期待が高まっている。(松浦 純)

 桧山管内から縦貫道にアクセスするには、南部は八雲ICへ、北部は国縫ICに乗り入れる2ルートがある。桧山南部や渡島西部では、急カーブが多い国道277号の雲石峠を敬遠し、道道八雲厚沢部線から国道5号を経て、八雲ICに乗り入れる人も多い。だが、落部―八雲間の国道は渋滞が多発してドライバーを悩ませている。

 八雲IC手前の落部ICの供用開始に伴い、桧山南部から縦貫道への接続は大幅に改善される。沿線の渋田正己厚沢部町長は「住民の利便性は大きく向上する。札幌圏への農水産物の直送にも高速道路を活用できるようになる。桧山南部から渡島西部の物流体制は大きく様変わりするだろう」と語る。

 札幌圏から高速道路で道南を目指す観光客を、落部ICから桧山南部や渡島西部に呼び込む役割も重要だ。新千歳空港から渋滞に巻き込まれることなく、4時間弱で桧山南部にアクセスすることも可能になる。春の花見や地場産マグロの人気が高まりをみせる松前町を目指すドライバーは、函館か江差を経由するが「今春以降はETC効果で八雲ICの通行車両が増加した。江差経由で松前に向かうドライバーが目に見えて増えている」(江差署)。江差町は「落部ICを起点に檜山南部から松前町を経て、函館市を目指す周遊ルートが描ける。道央圏から車を利用した観光客をどう取り込んでいくのかが課題」としている。

 八雲厚沢部線では本年度、函館土木現業所が八雲側の2カ所でヘアピンカーブを解消する改良工事を進めており「車の走りやすさは年々向上している」(厚沢部町の住民)。だが、集中豪雨などの災害対策、冬季の除雪体制の強化、交通量増加に伴う交通安全対策の強化も課題になる。民主党が掲げる高速道路無料化が実現した場合の影響も未知数だ。

 渋田町長は「落部ICと八雲厚沢部線は重要な交通インフラになる。北海道新幹線新函館駅へのアクセス道路になる国道227号とは車の両輪の関係。国道の早期改良にも期待している。桧山南部の振興に欠かせない道路整備の必要性は、新政権にも変わらぬ熱意で訴えたい」としている。



◎「新規高卒者採用を」…職安など経済団体に要請

 函館公共職業安定所(林秀喜所長)などは5日、函館市内の主要な経済団体を訪問し、来春の新規高校卒業予定者に対する求人要請を行った。昨秋から続く世界同時不況の影響で雇用情勢が悪化する中、地元経済活性化に向け、地場企業の雇用拡大に理解と協力を求めた。

 同職安がまとめた求職動向調査(8月末時点)によると、道南で来年3月に卒業を予定している高校生の数は前年度比0.7%増の4144人。このうち就職希望者は同1.2%減の1381人だが、求人数は同40.5%減の463人と非常に厳しい状況となっている。

 同職安によると大半が地元での就職を希望しているが、管内企業の求人も同25.5%減の237人と低調。新規高卒者の有効求人倍率も8月末時点で前年同期比0.22ポイント減の0.39倍にとどまっており、次代を担う若い人材の流出が懸念されている。

 今回要請をしたのは同職安のほか渡島支庁、渡島教育局と函館市。この日は函館商工会議所、中小企業家同友会函館支部など5つの経済団体を訪れた。

 このうち中小企業家同友会では共同求人・社員共育委員会の恩田泰久委員長らが応対。寺山朗渡島支庁長は「優秀な人材が道外に流出する実情にあり、各会員企業で一人でも多くの採用をお願いしたい」と述べた。恩田委員長は「新規採用よりも即戦力を求める企業が多いのが現状だが、地元が豊かにならなくては将来はない。参加メンバーに新規採用を広く訴えていく」と返答した。

 今後は渡島・桧山管内の約1300事業所に要請文を送付するほか、11月24日には新規高卒者を対象にした就職説明会をロワジールホテル函館で開く。


◎西尾市長、18日から韓国訪問

 函館市の西尾正範市長は5日の定例会見で、今月18日から21日までの4日間、観光客誘致を目的に韓国を訪問することを明らかにした。同市長の韓国訪問は2007年11月以来、2度目。

 市のほかに市議会、函館商工会議所、函館国際観光コンベンション協会、函館空港ビルデング、函館山ロープウェイが参加して訪問団を結成し、西尾市長が団長、函館商工会議所の高野洋蔵会頭が副団長を務める。現地では函館―ソウル線を運航している大韓航空や旅行代理店、コンテナ定期便を運航する南星海運に加え、ソウルに隣接する高陽(コヤン)市などを訪問する。

 市空港課によると、今年の函館―ソウル線の旅客数は1―8月末までで2万4331人。世界同時不況や新型インフルエンザの影響で全国的に韓国からの観光客が減少する中、前年同期比で2・2%の微減にとどまっている。

 西尾市長は「韓国からの客が函館観光を支える貴重な存在。観光プロモーションの効果が一定程度上がっている。実績を上げるよう頑張りたい」と述べた。


◎中谷さん(函中部高2年)が最高賞…英語スピーチコン 

 函館大学主催の高校生英語スピーチコンテストが3日、函館市高丘町の同大で開かれた。今回は「青函交流の夢」をテーマに函館と青森両市内から生徒8人が出場し、最高賞の函館大学長賞には函館中部高校2年の中谷さりいさんが選ばれた。

 同大が英語国際ビジネス学科の開設を機に英語教育の充実を図ろうと、2006年から毎年開催している。今年は函館中部、函館白百合高、青森南高から男女計6人が出場し、自慢の英語で熱弁を振るった。

 スピーチは1人5分以内で、文章の構成や独自性など「内容」、文法や発音など「英語」、声やジェスチャーなど「話しぶり」の3項目を競う。出場者は緊張した面持ちで身ぶり手ぶりを交えて発表し、大学教授や市内の高校教諭ら5人が審査に当たった。

 中谷さんは津軽海峡に橋を架け、海上テーマパーク「函森島」を建設する構想を披露。「緊張したけれど、発音やイントネーションに気を付けた。将来は英語を使って世界中の人とコミュニケーションが取れるような仕事をしたい」と話していた。2位の函館市教委教育長賞は青森南高1年の落合夏実さんが受賞した。