2009年11月11日 (水) 掲載

◎北斗茂辺地小でサケの採卵体験学習

 【北斗】茂辺地小学校(黒田雅世校長、児童27人)の3、4年生7人が10日、渡島さけ・ます増殖事業協会の茂辺地ふ化場で、最盛期を迎えているサケの採卵・人工授精の体験学習を行った。児童たちはオレンジ色の魚卵に触れながらサケの生態やふ化について学んだ。

 同校では、同協会の協力を得ながら地域の基幹産業となっているサケ漁の見学・体験学習を授業に取り入れている。

 児童たちは道立水産ふ化場(恵庭市)の職員からサケの誕生から川へ遡上するまでの成長過程について説明を受けた後、茂辺地ふ化場の職員の手ほどきを受けながら採卵作業に挑戦。

 腹から取り出した魚卵に、雄サケの腹の部分を絞り込んで白い精子を噴出させると、児童たちは「わーすごい」などと歓声を上げていた。このほか、精子の混じった魚卵をかき混ぜる作業も体験。3年生の野呂梨湖さん(9)は「卵がプチプチして気持ち良かった。サケのことが分かった」と話していた。(鈴木 潤)



◎香雪園方面から市街地への「抜け道」、12日から舗装工事を開始

 函館市は、日吉町1と滝沢町を結ぶ市道湯川2―13号線(195メートル)の舗装化工事に着手する。この道路は見晴公園(香雪園)方面と市街地との“抜け道”として交通量が多いが、砂利道のため整備要望が強く、舗装化で榎本、滝沢、高丘、上野、見晴町など周辺住民の利便性と安全性確保を図る。工事に伴い、12日午前9時半から来年3月末まで車両通行止めとなることから、市は理解を呼びかけている。(千葉卓陽)

 湯川2―13号線は函館ラ・サール高校グラウンド裏と市道見晴公園通を結ぶ道路。道道函館上磯線(産業道路)と道道函館南茅部線の間の近道として利用が多く、市が2003年に行った交通量調査では、平日1日あたり8000台が通行している。

 しかし、がけに沿って通じている坂道で、歩行者・自転車用の仮歩道を設けるほど道幅も狭いため、「以前から整備要望は強かった」(市土木部)ことから舗装化に踏み切る。

 総事業費は1億500万円。12日から来年3月31日まで全面車両通行止めとなるが、歩行者と自転車は仮設歩道による通行が可能。市は同道路の周辺地域に規制予告看板などを設置して周知している。

 同道路の周辺では都市計画道路「文教通」(日吉町―戸倉町、延長2・4キロ)のうち、日吉中央通から見晴公園通の約420メートル区間は事業認可が下りており、市は2013年の完成をめどに用地買収を進めている。

 同部は「文教通開通まであと数年を要する中で、現状は湯川2―13号線に負荷がかかり過ぎている。舗装化で人と車の安全を確保したい」と話している。



◎魚長がコープさっぽろと業務提携

 経営再建を進めている食品スーパーの魚長(函館市西桔梗町、柳沢一弥社長)は9日、道内スーパー大手のコープさっぽろ(札幌)と業務提携を締結した。21日付でコープから派遣される役員ら4人に経営指導を受け、来年中の仕入れの共同化を目指す。仕入れの共同化はコスト削減にもつながり、過当競争が激化する業界での生き残りを図る構えだ。

 市内・近郊に22店舗を展開する魚長は、個人消費の低迷や他店との競争激化による業績不振から、10月までに従業員200人を削減するなどの経営改善を推進。再建を図るため、コープに対し、支援を要請していた。

 コープは自社の経営再建も担った財務担当の常務理事、元函館地区本部長、バイヤー2人を派遣して経営ノウハウを提供し、業績回復を支援する。将来的なグループ化も視野に、魚長の経営状況をみながら仕入れの共同化を進める考え。

 魚長は「地場スーパーの文化を維持する方針のコープは最適な提携先。販売ノウハウのアドバイスを受けることはプラスになる」と判断。「物流の札幌一極集中が進み、将来的に安定した商品の仕入れが難しくなる。仕入れの共同化で安定供給を図り、価格で顧客に還元したい」とする。生鮮食品などは従来の仕入れ先と取引を継続する方針。

 魚長は創業以来最高の売上高となった2007年2月期の約210億円をピークに、09年2月期は約190億円に落ち込み、約2億円の赤字となったほか、約80億円の借入金も抱える。このため、不採算店舗の閉鎖や休業、人件費圧縮などを実施し、経営戦略の再構築に乗り出している。(宮木佳奈美)


◎大沼観光協会が来年5月に法人化

 【七飯】大沼観光協会(堀元会長)は来年5月、任意団体から社団法人化する方針を固めた。6日に同協会の役員や町の担当幹部、農業、商工団体の役員11人で設立準備委員会を発足し、堀会長を委員長に選任。法人名を「七飯大沼国際観光コンベンション協会」(仮称)とし、法人化に向けた実務作業を本格化させた。

 同協会の法人化をめぐっては長年にわたり協会内部で検討されていたが、2007年の総会で、10年に迎える創立60周年に合わせ法人化することで意思統一を図っていた。

 同協会は1949年に創立。大沼湖水祭りや大沼函館雪と氷の祭典の開催など、大沼周辺の観光振興を推進してきた。自主財源で組織運営をしているが、会員や協賛金の減少で組織の弱体化が進んでいる。堀会長は「旅行者の多様なニーズや町全体の観光振興を図っていくには任意団体では限界がある。責任ある活動をしていくには社会的な信用を高めた法人化が必要」と狙いを話す。

 町も法人化に向けて支援する意向を示しており「町内には大沼のほかにも観光資源があり、一体的な観光振興ができる」(商工観光課)と期待を寄せる。町も合わせて資金面や人材派遣など支援の検討を進めており、来年3月の町議会定例会までに関連条例案を提案し議決を得たい考え。

 今後は、毎月1回程度、準備委員会を開き、来年2月までに定款や設立趣意書、事業計画をまとめる考え。町内全域で会員も募集する。5月の協会の定期総会では、組織を発展的に解散した後、設立総会を開き、会員の承認を得る。

 堀会長は「全町的に観光資源の発掘、発信をしていく体制を築いていきたい」と話している。(鈴木 潤)


◎海炭市叙景の映画キャスト発表、主演に加瀬亮さん

 函館出身の作家、故佐藤泰志の遺作「海炭市叙景」の映画化を目指す市民有志の製作実行委員会(菅原和博委員長)は10日までに、出演が内定したキャスト4人を発表した。主演となる俳優の加瀬亮さんのほか、小林薫さん、女優の南果歩さん、谷村美月さん。来年2月の正式クランクインに向け、実行委は募金活動に再度力を入れる考えで、「構想実現のためぜひ協力を」と呼び掛けている。

 加瀬さんは2008年の邦画「それでもボクはやってない」で日本アカデミー賞優秀主演男優賞などを獲得。「海炭市叙景」の監督を務める熊切和嘉さんの作品で映画初主演を果たしており、今回、脚本を読んで再出演を希望したという。小林さんや南さんも脚本を読んで出演を要望しており、菅原委員長は「群像劇なので誰もが主演のような形になる」と説明する。

 製作費は当初2000万円と見積もっていたが、脚本の完成度などから予定額は4000万円に。1000万円を目標に進めている市民募金の状況は、10月末現在で約500人から約750万円が寄せられた。このうち、企業協賛として六花亭(帯広)から100万円の大口募金もあったという。

 実行委は製作資金集めの1つとして、個人・法人の投資家から製作資金を集めて運用し、収益を還元する「映画ファンド」を導入。提案した函館出身のファンドプロモーター前田紘孝さん(29)=東京在住=は「不景気な時代に夢のある事業は必要。函館の街が盛り上がるよう出身者として応援したい」と話している。映画ファンドに関する問い合わせは前田さんが代表を務めるスクラムトライ合同会社TEL03・3274・2033。

 菅原委員長は「制作に向けヤマ場に差し掛かり、これから1カ月が大事な時期。活発に活動したい」と話している。(新目七恵)