2009年11月13日 (金) 掲載

◎風車組み立て本格化 江差北風力発電所

【江差】町内北部で建設が進む「江差北風力発電所」では、風車の組み立て作業が本格化に始まった。今週に入り1基目となる風車が初めてお目見えし、巨大な支柱が田園地帯の中でひときわ目を引いている。。

 風車は町内北部の水堀、朝日、小黒部、越前の農村地帯で建設中。高さ約120メートルもある支柱などは、輸送船で江差港北ふ頭に陸揚げ。夜間に大型車両で建設現場に輸送する。分割された支柱は大型クレーンで釣り上げ、現地で組み立てる。近日中には、発電機を納めた本体部分や巨大な羽根の取り付けも行われる予定という。。

 同発電所は、国内風力発電3位の日本風力開発(東京)の子会社・江差風力開発が今年3月に着工。出力2000キロワットの風車10基を建設。来年4月にも商業運転に移行する予定。総出力は1万9500キロワット。7月には風車を基礎部分に固定するための鉄筋6.7トンが倒れて作業員7人が重軽傷を負う事故が発生。一時は工事が中断したが、同社は町に対して「建設計画全体への影響は少ない」と説明している。。

 町内では、町の第3セクター・江差ウインドパワーが、元山地区で出力750キロワットの風車28基を運転している。五厘沢地区でもエコパワー(東京)が設置した400キロワットの風車2基も稼働中だ。電源開発(同)も、上ノ国町の夷王山(159.2メートル)南側にある、町営八幡牧野一帯に出力2000キロワット級の風車14基の建設を予定。桧山南部は、道内有数の風力発電立地エリアになる。(松浦 純)



◎前市長、現職 主張対立 名誉棄損訴訟で本人尋問

 2007年4月の函館市長選に絡んだ言動をめぐり、著しく名誉を傷つけられたとして前市長の井上博司氏(73)が現市長の西尾正範氏(60)個人を相手取り、慰謝料など1100万円と新聞への謝罪広告掲載を求めた損害賠償請求訴訟の口頭弁論が12日、函館地裁(蓮井俊治裁判長)であり、井上氏、西尾氏への本人尋問が行われた。老人福祉施設建設の許認可問題や、市長選告示前の西尾氏による「水戸黄門」発言などの争点をめぐり、双方の認識が対立した。

 施設問題をめぐっては、2006年7月20日に当時の議長同席の市長室で、井上氏が「意見書の差し替え」を福祉部長らに命じたとされる。井上氏は「一切指示などはしていない。具体的にどのように対処すべきかを聞いた。議長の同席は軽率だったと議会でも陳謝している」とした。

 一方、西尾氏は同日夜に福祉部長らから報告を聞き、「再検討の指示と受け止め、大問題だと思った。問題点を整理して、手書きのメモを正確なものにしろと指示した」と述べた。

 また、西尾氏の助役辞任から市長選に立候補するに至る一連の経緯を井上氏は「西尾氏の市長選立候補に向けた戦略、謀略の一つ」とした。また、西尾氏の「水戸黄門発言」は「悪代官と言われるようなことは全くない。名誉を棄損する言動だ」と述べた。

 西尾氏は助役辞任は井上氏への諌言(かんげん)であったとし、4月11日の集会での発言は「わたしの所信表明。井上さんを悪代官にはしたくないとも言っているし、一般論として、市の権力構造の論評にすぎない」などと述べた。

 次回期日は1月22日で、双方の弁護人が弁論を行い、結審する見通し。



◎駒ケ岳雪化粧

 12日の本道付近は高気圧の張り出しに覆われ、久しぶりに姿を見せた駒ケ岳(1131メートル)は、6合目付近から上が雪で覆われていた。自然公園財団大沼支部によると、2日に頂上付近がうっすらと白くなったが、美しい雪化粧が映えたのは今季初めて。

 大沼湖畔や大沼公園内では紅葉がほとんど終わり、散策コースを訪れた観光客らは落ち葉のじゅうたんの上を歩きながら雪をかぶった駒ケ岳に見入っていた。さいたま市から訪れた夫婦は「きれいな駒ケ岳を見ることができ、寒さも厳しくないのでいい時期に来れてよかった」と話していた。(山崎純一)


◎運航再開めど立たず 函館―ユジノ線 成田線など難問山積

 今年4月から運休が続いている函館―ユジノサハリンスクの定期航空路線は、今月に入っても依然、再開のめどが立っていない。サハリンでの石油・天然ガス開発プロジェクト「サハリン2」が一段落したことに加え、ロシア・ウラジオストク航空が運航している成田―ユジノ線のチャーター便の存在など、再開には難問が山積している。同路線を運航するサハリン航空は「ロシアからの客を呼び込む形で運航再開につなげたい」と話している。

 函館―ユジノ線は1994年に函館初の国際定期路線として開設。07年からはプロペラ機からボーイング737型(108人乗り)と使用機も大型化したが、昨年から搭乗率が20%台と低迷し、採算ベースに届かないため今年4月を最後に運休が続いている。

 サハリン航空は提携する日本航空(JAL)の羽田―函館線の乗り継ぎ客を対象に運賃を往復3万円程度に値下げし、7月には1往復が運航したが、29人(搭乗率16・4%)の利用にとどまった。

 市空港課やサハリン航空の日本地区総販売代理店、UTSエアサービス(札幌)によると、サハリン2の一段落とともに、成田―ユジノ線の影響や円高、ロシアの関税引き上げで中古車取引を行うバイヤーの利用が激減した点などが響いている。

 UTS社の郭成浩社長は「ビジネス客は運賃が多少高くても、便のいい成田から乗る傾向がある。函館線は本州からの乗客がほとんどで、成田からの路線に流れた」と話す。その成田―ユジノ線も「搭乗率は3、4割」(郭社長)といい、函館便が再開しても少ないパイを奪い合わなくてはならない現状がある。

 サハリン航空内部では撤退の議論は出ていないといい、郭社長は「さまざまなパターンで運航再開を検討している。ハバロフスクやウラジオストクなど、沿海州地域も含めて北海道の魅力をアピールしていきたい」と話す。また、市空港課は「スキー客などが増える年末年始の再開に期待したい」としている。(千葉卓陽)


◎野田さん(西高)有島武郎公募絵画展で最高賞に

 函館西高1年の野田玲菜さん(16)が、「第21回有島武郎青少年公募絵画展」(後志管内ニセコ町など主催)で最高賞に当たる有島武郎賞に選ばれた。作品は、小、中学生時代に打ち込んだバスケットボールへの思いを込めた油絵「過去の栄光を抱えて」。野田さんは「すごくうれしい。これからもっとうまくなりたい」と笑顔で話している。

 この絵画展は18歳以下の中・高生の油絵か水彩画が対象。今回は道内から282点の応募があった。

 野田さんは幼いころから絵を描くことが好きで、中学3年の時に「絵を描く仕事をしたい」と進路を選んだ。同校美術部に入って油絵の基礎をみっちり学び、9月の高文連道南地区大会に出品した初の大作は最優秀賞に輝いた。

 高文連後にこの絵画展の応募を決め、「人」を描きつつ、小学5年から中学卒業まで取り組んだ大好きな「バスケ」への思いを反映させようと構想を練った。中3の弟をモデルに自分のバスケシューズとボールを使って構図写真を撮影し、何気なく撮れた1枚を参考にした。

 約1カ月間で完成した作品は、少年がボールとシューズを手に立ち上がった瞬間を抑制した色使いでで仕上げた。あえて上半身を描かないことで、かえって想像をかき立てる新鮮な構図になった。

 「靴とボールの使い古した感じを出すのに苦労した。油絵は何度も描き直せるのが楽しい」と野田さん。受賞を「まだ実感が沸かない」と率直に語る。

 顧問の多田茂男教諭(43)は「本人の努力が認められた結果でうれしい」と喜ぶ。作品は当面、ニセコ町の有島記念館に保管される。(新目七恵)