2009年11月15日 (日) 掲載

◎交流さらに 青函で除幕…「赤い糸」モニュメント

 函館市と青森市のツインシティ提携20周年を記念して行われた「赤い糸プロジェクト」のモニュメント除幕式が14日、青函両市で行われた。函館では悪天候のため、モニュメントが設置された緑の島(大町15)の対岸に位置する市青函連絡船記念館摩周丸で行われ、西尾正範市長や、同プロジェクトに携わった市内の高校生、大学生らが両市の末永い交流を願った。

 同プロジェクトは青函圏域の新たな魅力づくりに向け、青森ゆかりの作家、太宰治の作品にヒントを得て実施。今年6月から両市の高校生、大学生21人が小委員会を組織、公立はこだて未来大の鈴木克也教授らをコーディネーターに進めてきた。

 モニュメントは山形在住の彫刻家、峯田義郎さんが制作し、高さ2㍍30センチ、幅90センチの大きさ。太宰の小説「思ひ出」(1933年)の中で、青森港の桟橋で男女を結ぶ赤い糸について弟と話し合うシーンをもとに「ふたり」と名付けられ、2人の人物が両市の絆(きずな)の深さを表現している。函館では緑の島、青森は県観光物産館(アスパム)裏に設置された。

 函館での除幕式では西尾市長が「新幹線が開通すると青函は40分で行き来できる。新しい交通時代を見ながら、さらにつながりを深めたい」とあいさつ。出席者は緑の島でモニュメントの幕が取り払われる様子を摩周丸から眺め、拍手を送った。

 大学生の小委員会メンバーはその後、緑の島に出向いて記念撮影。公立はこだて未来大3年の伝法谷朋弘さん(21)は「青森出身なので、人一倍思いがあった。プロジェクトにかかわれて誇らしく思う」、函館大2年の矢本千晶さん(20)も「少しでも市のために何かできたことがうれしい。青森を身近に感じられるようになった」と話していた。(千葉卓陽)



◎北斗中央―富川IC開通…函館江差道 

 【北斗】函館開発建設部が建設を進める高規格道路「函館・江差自動車道」の北斗中央インターチェンジ(旧上磯IC、北斗市中野通)―北斗富川IC(同市柳沢)間4.6キロが14日午後1時、開通した。供用区間の延長は約6年半ぶり。国道228号とも直結し、道南の高速交通ネットワークがまた一歩広がった。

 供用開始に先立ち、市総合文化センターで開通式が行われ、国会議員や道議、自治体関係者ら約100人が出席。北斗市の海老沢順三市長が「近隣都市間の交流が盛んになり、物流の効率化や生活機能の向上など波及効果を期待している」とあいさつし、江差までの早期開通を訴えた。

 式では逢坂誠二衆院議員、中川義雄参院議員らの祝辞に続き、函館開発建設部の木村邦久部長が工事を報告。この日は荒天のため、開通区間上で予定されていたテープカットが同会場で行われた。正午すぎには関係車両約100台が北斗中央ICから北斗富川ICまで走り初めし、開通を祝った。

 函館・江差自動車道は、函館IC(函館市石川町)から北斗、木古内、上ノ国を経て江差までを結ぶ全長約70キロ。暫定片側1車線で、最高速度は70キロ。当面は通行無料。函館IC―北斗富川IC間の所要時間は現行より約5分短縮する。北斗富川ICから先は茂辺地IC、木古内ICまでの事業化が既に決まっている。(森健太郎)



◎知的クラスター創成事業「廃止」 西尾市長「強い憤り」

 政府の行政刷新会議は13日、来年度予算概算要求のムダを洗い出す事業仕分け作業で、産学官連携による技術や産業開発を支援する知的クラスター創成事業を「廃止」と判定した。今年同事業の採択を受け、函館国際水産・海洋都市構想実現への弾みとしてきた地元関係者は14日、廃止判定に怒りの声を上げた。

 函館市と道は「函館マリンバイオクラスター」として海洋環境の計測、予測技術の確立など4項目を研究テーマに据えた内容を提案し、文部科学省が今年7月に採択。5カ年計画で進め、本年度は3億円の助成を受けていた。

 函館市の西尾正範市長は函館新聞の取材に対し「政府が決めた事業を、地域の実情も知らない人がわずかな時間で廃止を決めたことは許されない。強い憤りを覚える」と批判。「最終的には政府が決めること」と述べ、事業の存続を願った。

 また同事業の中核機関である函館地域産業振興財団は「廃止方針は非常に残念。経過措置を取るのかどうかなど整理の方向が見えておらず、情報収集した上で市や道と話し合いたい」としている。(千葉卓陽)


◎好みの色作ります…石田文具でインク工房

 【北斗】世界でひとつだけの色を楽しんで―。北斗市七重浜2の石田文具で14、15の両日、専門家が依頼者の好みに合わせて万年筆のオリジナルインクを調合する「インク工房」が開催されている。同店ではオリジナルインク「函館トワイライトブルー」も販売しており、「深みのある夕闇のブルーを楽しんでほしい」と話している。

 同店では3年前からペンドクターの川口明弘さんを迎え、万年筆の修理や調整を無料で行う「セーラー万年筆ペンクリニック」を実施。今回は万年筆の魅力をさらに深く知ってもらおうと、道南で初めてインク工房を同時開催することとなった。

 インクを調合するのは、セーラー万年筆に勤務する石丸治さん。2005年に東京で行われた「世界の万年筆祭」で、バーテンダーの衣装に身をまといカクテル用のシェーカーを使ったパフォーマンスが評判となり、以後インクブレンダーとして全国各地を飛び回るようになった。

 この日、函館市内から訪れた小池田富祐さん(52)は、すでに製造中止になった海外メーカーのインクの再現を依頼。石丸さんは元のインクの色に小池田さんの意見も取り入れながら、20分ほどでオリジナルインクを完成させた。小池田さんは「自分好みの色に仕上がったので、大切に使いたい」と笑顔を見せていた。

 石丸さんは「難しい注文の場合は2時間以上かかることもあるが、お客さんの満足した姿が見られるのが最高に楽しい」と語る。

 また同店では、函館の夜景をイメージしたインクの調合を石丸さんに依頼し、「函館トワイライトブルー」として2100円(50グラム)で限定販売している。石田直孝課長は「今後も函館をイメージしたさまざまなインクを開発していきたい」と話している。

 インク工房とペンクリニックは15日も午前10時から午後5時まで実施している。問い合わせは同店TEL0138-49-3171。(小川俊之)

用を回復してほしい」と複雑な気持ちで話していた。(鈴木 潤)


◎函大が東北福祉大に惜敗…明治神宮野球大会

 【東京】第40回記念明治神宮野球大会(明治神宮、日本学生野球協会主催)が14日、明治神宮球場と同第2球場で開幕。初出場の函大は、23度目の出場で準優勝5回を誇る強豪・東北福祉大(仙台6大学野球連盟)に4―5で惜敗した。

 初代表を手にした1988年は昭和天皇のご病気で大会が中止となったため、21年前の思いを背負って最後まであきらめずに戦い抜いた。

 雨の影響で試合時間を5時間遅らせて開始。優勝候補を相手に食らいつき、5回に小林勇希(1年、秋田・大館工)の2点本塁打が飛び出すなど健闘した。敗れはしたが、選手たちは胸を張って同球場を後にした。(小林省悟)