2009年11月16日 (月) 掲載

◎龍馬の遺志 今に…記念館オープン

 函館市と青森市のツインシティ提携20周年を記念して行われた「赤い糸プロジェクト」のモニュメント除幕式が14日、青函両市で行われた。函館では悪天候のため、モニュメントが設置された緑の島(大町15)の対岸に位置する市青函連絡船記念館摩周丸で行われ、西尾正範市長や、同プロジェクトに携わった市内の高校生、大学生らが両市の末永い交流を願った。

 同プロジェクトは青函圏域の新たな魅力づくりに向け、青森ゆかりの作家、太宰治の作品にヒントを得て実施。今年6月から両市の高校生、大学生21人が小委員会を組織、公立はこだて未来大の鈴木克也教授らをコーディネーターに進めてきた。

 モニュメントは山形在住の彫刻家、峯田義郎さんが制作し、高さ2メートル30センチ、幅90センチの大きさ。太宰の小説「思ひ出」(1933年)の中で、青森港の桟橋で男女を結ぶ赤い糸について弟と話し合うシーンをもとに「ふたり」と名付けられ、2人の人物が両市の絆(きずな)の深さを表現している。函館では緑の島、青森は県観光物産館(アスパム)裏に設置された。

 函館での除幕式では西尾市長が「新幹線が開通すると青函は40分で行き来できる。新しい交通時代を見ながら、さらにつながりを深めたい」とあいさつ。出席者は緑の島でモニュメントの幕が取り払われる様子を摩周丸から眺め、拍手を送った。

 大学生の小委員会メンバーはその後、緑の島に出向いて記念撮影。公立はこだて未来大3年の伝法谷朋弘さん(21)は「青森出身なので、人一倍思いがあった。プロジェクトにかかわれて誇らしく思う」、函館大2年の矢本千晶さん(20)も「少しでも市のために何かできたことがうれしい。青森を身近に感じられるようになった」と話していた。(千葉卓陽)



◎眺めもカレーも最高…函館山ロープウェイ「感謝祭」

 函館山ロープウェイ(函館市元町19)の秋恒例の「市民感謝祭」が15日開かれ、無料でロープウエーが運行された。山頂では100円カレーライスの提供や子ども映画会などが繰り広げられ、大勢の市民らでにぎわった。

 ロープウエーのゴンドラは125人乗り。当初は午前10時の運行開始を予定していたが、同9時半ごろには山麓(さんろく)駅付近に約300人が押し寄せ、始発を15分早めた。

 函館山は標高334メートル。山頂駅までは大型ゴンドラで片道3分で、利用客は眼前に広がっていく函館市街地を眺めながら山頂へ向かった。

 時折激しい雨や風に見舞われたが、ガラス張りの展望台からの眺めは絶景。レストラン「ジェノバ」では1000食限定の100円カレーが提供され、こちらも人気で午後1時10分に完売し、子どもお楽しみ抽選会や映画上映も人気だった。

 家族7人で訪れた函館北昭和小2年、赤坂朋哉君(7)は「おいしいカレーに、きれいな景色で最高です。山の上から見る函館のまちは新鮮」と声を弾ませていた。

 強風のためロープウエーは午後4時10分で運行を終了し、この日は延べ5836人の利用があった。函館山ロープウェイは今後も観光振興に尽力するとともに、地域への貢献を続けていく。(田中陽介)



◎利用 伸び悩み続く…お出かけバスの運行実験開始から1カ月

 函館市が西部地区の住環境整備を目的に、同地区を循環する新たなコミュニティバス(通称・おでかけバス)の運行実験を開始して1カ月が経過した。市は本格的な事業化のめどを1日あたり450人と設定したが、10月の平均利用者数は同55・3人、今月も同40・3人(1―8日)と伸び悩んでいる。運行は12月30日までで、市は今後の降雪期の利用増加に期待している。

 おでかけバスは、西部地区に数多く点在する坂道の上り下りの負担軽減と公共交通機関への接続をスムーズにする目的で、10月16日から運行を開始。船見町―十字街間(全長9・2キロ)に停留所を38カ所設け、50分間隔で1日12往復している。運行は函館バスに委託し、料金は大人一律100円で、1日乗車券(同300円)やバス、市電との乗り継ぎ割引も設定している。

 市街づくり推進課によると、1日あたりの利用客数は最多が10月17日の184人で、最低が同31日の25人。最多を記録した日は運行開始に合わせて無料だったが、それでも採算ラインには達していない。

 市は事業化が見込める場合、公共交通事業者に対して本格運行に向けた要望を行う考えだが、思わぬ伸び悩みに「バスの存在を知っていても乗車するタイミングが合っていないか、単純にニーズがないかのどちらか」(同課)と分析する。

 ただ、同バスでは初回利用時にスタンプカードを配布し、10個ためると無料乗車券として使えるほか、同地区の飲食店など19店舗でカードを提示すると商品が割り引かれるなど特典が豊富。中には10月中に無料券をもらった例があるなど、一部の住民は高い頻度で利用している実態もある。

 市は今月に2度、十字街や地区内のスーパーでチラシを配布して周知したほか、今月と来月に計10回、利用客にアンケートをして動向を調べる。同課は「パンフレットはすでに1万枚以上配布しており、認知度は高い。最初に利用するきっかけを掘り起こしていきたい」と話している。(千葉卓陽)


◎アロマで癒やしの空間…函館タクシーが10台に車用芳香器を搭載

 函館タクシー(函館市日乃出町、岩塚晃一社長)は11月から、車内にアロマオイルの香りを漂わせる車用芳香器を搭載した「アロマタクシー」の運行を始めた。乗客に心地よい空間を演出するサービスで、中型車10台に導入した。来春まで運行する予定。

 アロマオイルには心身を癒やす効果があるとされ、種類によって効能が異なる。同社は10種類のオイルを用意し、レモングラスとユーカリ、ベルガモットとラベンダーなどのように、2種類ずつ組み合わせて使用している。車内には、それぞれの持つ効能を掲示している。

 アロマオイルを染み込ませたフィルターを差し込んだ芳香器具「ドライブアロマライト」を、シガーライターソケットに差し、熱を利用して香りを車内に広げている。

 同社は毎年11月に北斗市(旧大野町)産のマルメロをタクシー車内に置き、乗客が香りを楽しんでいる。「マルメロ以外の香りで、車内に癒やしの空間をつくれないか」と模索し、今回試験的にアロマオイルを取り入れた。

 同社は「タクシー利用客の7、8割が女性なので、女性客に喜んでもらえるサービスを考えた。反応がよければ増大し、期間も延長したい」と話している。(宮木佳奈美)


◎ゲームで学ぶ自然…セミナーで参加者交流

 日本ネイチャーゲーム協会が主催する「地域ネイチャーゲームセミナー」が15日、函館市見晴町の見晴公園で行われた。参加者は晩秋の紅葉など楽しみながら、さまざまなゲームを通して交流を深めた。

 ネイチャーゲームとは、米国のナチュラリスト、ジョセフ・コーネル氏が考案した自然体験プログラム。多彩なゲームを通して自然の不思議や仕組みを学ぶことを目的としている。

 今回のセミナーには函館ネイチャーゲームの会(滝本貴会長)のメンバーと一般参加者合わせて18人が参加。最初に行った「わらしべウオーク」では、わらしべ長者の紙芝居を楽しんでから園内を散策。落ちている葉や草などを拾い、それよりも価値があると思った物に交換を繰り返していく内容。最後には2メートル近い枝を抱える人から、真っ赤な紅葉を手の中に収める人までさまざま。インストラクターの長尾洋子さんは「人それぞれの価値観の違いを感じとってほしい」と説明した。

 2回目の参加となる函館少年刑務所に勤務する石山敬太さん(30)は「毎回新鮮なアイデアにあふれたゲームを体験することができて楽しい。職場でレクリエーションを企画する時などの参考にしたい」と話していた。(小川俊之)