2009年11月17日 (火) 掲載

◎海老沢北斗市長引退へ

 【北斗】北斗市の海老沢順三市長(77)は16日、来年3月の任期満了に伴う市長選には立候補せず、勇退する意向を明らかにした。海老沢氏は合併前の旧上磯町長時代を含め9期35年にわたり首長を務め、現職では道内最多。24日開会の市議会臨時会で正式に表明する。

 海老沢市長は旧上磯町出身。1975年、当時の町議会事務局長から町長選に出馬し初当選を果たし、連続8期を務めた。隣接する旧大野町との合併を主導し、2006年2月に北斗市政が誕生。新市誕生に伴う同年3月の市長選挙で、三つどもえの戦いを制して初代市長に就任した。

 旧上磯町時代から子供の医療費無料化など福祉、子育て支援で他の自治体に先駆け独自の政策を展開。新市誕生後は、旧両町の融和を図りながら、北海道新幹線開業に合わせて稲里に建設が計画されている新駅の整備計画、行財政改革などを進め、新市の土台作りに力を注いだ。

 函館新聞社の取材に対し、海老沢市長は「自分自身の高齢というのもあるが、合併後の市政運営にある程度道筋がついたと思い決断した」と引退の理由を述べた。

 海老沢市長の後援会の山崎博康会長は「市長の決断を尊重したい」と述べ、町会連合会の磯部正博会長は「合併後の市政運営を着実に進め、旧町の融和にも取り組んでいた。ご苦労さまといいたい」と話していた。



◎石館、舟田さん「盤景」見事…大沼・駒ケ岳表現

 函館市亀田本町の石館とみさん(93)は、水盤に土や砂を盛り付けて自然の風景を立体的に表現する「盤景」(ばんけい)を楽しんでいる。「この面白さを多くの人と共有したい」と大沼・駒ケ岳を題材にした作品を、亀田本町第5町会(黒澤紀夫会長)文化祭に展示。「これはすごい。大沼の紅葉の美しさを間近で楽しめる」と注目を集めた。

 石館さんの友人で、市内杉並町で盤景教室を開く舟田静川さん(91)の手ほどきで仕上げた。作品は横50センチ、縦30センチ、水が入る深さは10センチほど。絵手紙を見ながら図案を練った。

 湖岸の鮮やかな紅葉、天にそびえる駒ケ岳を幻想的に仕上げた。「ハクチョウの動きも大事」と穏やかな湖面に群れで漂う様子は、「ガー、ガ」と鳴き声が聞こえてきそうだ。

 盤景は、その作品を練り直して再度、新しいものをつくる。土などの材料はそのまま活用される。

 石館さんは「舟田先生に八割方つくっていただきました。文化祭でみなさんに喜んでもらえて幸せです。今度、何を作ろうか楽しみ」と笑顔。舟田さんは「石館さんの温かな思いが詰まったいい作品。盤景の奥深さ、魅力を感じ取ってもらえれば光栄です」と話していた。(田中陽介)



◎妊婦らにワクチン接種開始…新型インフル

 新型インフルエンザの一般市民へのワクチン接種が16日、全道の医療機関で開始された。道南でも、妊婦と最優先の基礎疾患のある人が、かかりつけの医療機関で接種を受けた。優先度別の接種開始日程について市立函館保健所は、「今後は各医療機関でのワクチンの余裕状況によって流動的になるだろう」と前倒し実施もあると見ている。

 接種は国と委託契約を結んだ医療機関が実施し、函館市内では約150カ所で行われる。市による同市内の対象者は、妊婦は1993人、最優先の基礎疾患のある人は2万70人。各医療機関では、かかりつけ患者を優先して事前に予約を受け付けた。

 同市石川町の秋山記念病院(産・婦人科)は、「ワクチンの正確な納入日がわからなかったため、13日に希望患者に連絡して日程調整した」といい、今回の納入分では希望した70人分を確保できた。この日は特に混乱もなく、予約していた妊婦ら8人に接種した。

 同院で接種を受けた同市昭和の鈴木多貴子さん(38)は、「(新型インフルが)妊婦に感染すると重症化すると聞いたので受けることにしました。ただワクチンも完全ではないようなので、人混みではマスクをするなど自衛します」と話していた。

 今後は、12月上旬にその他の基礎疾患のある人と1才から就学前の幼児に対して、同中旬から小学校1―3年生に対しての接種を開始する予定で、詳細な開始日は今後道が示す。ただ複数人分が一本の容器に入ったワクチンは同日中に使い切らなければならず、同保健所は「残ってしまった場合は、医療機関の判断で優先度の遅い希望者に対して接種することもあるだろう」と話している。(小泉まや)


◎30日に供用開始…上ノ国「天の川きららトンネル」

 【上ノ国】桧山南部と木古内町を結ぶ、道道江差木古内線改良工事の一環として、上ノ国町湯ノ岱の山間部で工事が進められてきた「天の川きららトンネル」が、30日午後2時に供用が開始されることが決まった。当日は工事関係者や地元住民による記念式典も開かれ、開通を祝う予定だ。

 同トンネルは全長511メートル。車道幅は片側1車線の6メートル。斜面崩壊が相次いだ危険個所を迂回(うかい)して、道道の安全を確保することを目的に、2007年2月に着工した。松本・山田・森川特定建設工事共同企業体が、宮越側の坑口から1日4メートル前後のペースで順調に掘り進み、昨年11月11日には貫通式を行った。貫通後は坑内のコンクリート打ち込み舗装や防災設備、トンネル入口の道路切り替えといった工事を約1年がかりで進めていた。

 名称は地域住民から公募したもので、トンネル近くを流れる道南有数の清流・天野川と、夜空の“天の川”にちなんだ名称が選ばれた。午前11時から行われる開通式では、命名者への記念品贈呈も予定しているという。

 道道江差木古内線は、北海道新幹線開業時には、桧山南部と木古内駅を結ぶ重要なアクセス道路になる。上ノ国―湯ノ岱間では、トンネル開通に伴い、急カーブ解消を目的とした路線切り替えを伴う道路改良、斜面崩壊や雪崩に備えた防災対策工事がほぼ達成されるという。また、新幹線開業を居据えて、上ノ国、江差、木古内の3町が、国や道に急カーブ解消、橋の改修、トンネル断面が狭く大型車との交差が困難な「吉堀トンネル」の拡幅などを要望している。(松浦 純)


◎温室のガラス飛散し休園…熱帯植物園

 15日午後から続いた荒天の影響で、函館市湯川町2の市営熱帯植物園では、温室東側壁面のガラスの大部分が割れる被害があった。施設を管理する市水道局温泉課では、16日から本格的な復旧作業を始めたが、温室の屋外にも破片が飛び散っているため、安全確保のめどが立たず、16日から同園を臨時休園とした。

 同課によると、温室東側の壁面は幅16メートル、高さ12メートルの三角形状にガラスが張られ、等間隔にアルミ製の支柱があった。15日午後4時20分ごろ、支柱の一部が強風の影響で壊れたとみられ、ガラスがめくれ上がるように壁面にたたきつけられたという。温室内は平時より2度ほど低い18度に保たれているが、一部の植物は外気にさらされている。

 同日夜から、同園を運営するNPO法人函館エコロジークラブなどと、植物を塩害から守るための洗浄作業を行ったほか、16日には、業者により、破片の撤去作業を実施。17日以降、壁面をシートで覆うなど、応急措置を施すという。