2009年11月18日 (水) 掲載

◎ボジョレあす解禁

 フランス・ボジョレ地方の新酒ワイン「ボジョレ・ヌーボー」の解禁を前に17日、函館市内の酒店などでは入荷したばかりのワインを店頭に並べる作業が行われ、19日午前零時の解禁日に合わせた準備を着々と進めた。

 今年のボジョレ・ヌーボーは「50年に一度のおいしさ」と前評判も高い。円高の影響で価格も去年より抑えられているため、予約状況も好調という。

 ボジョレの陳列作業に追われた「地酒・ワイン屋みのや」(藤澤稔代表、同市昭和1)では、1000円台から高いもので5000円台まで19種類を取りそろえている。また今年からはペットボトルのボジョレも店頭にお目見えした。ワインアドバイザーの資格を持つ同店の藤澤節子さんは「フルーティーで口当たりが優しいのが特徴。ワイン初心者でも飲みやすいので、手軽な料理と一緒に冬のイベントにどうぞ」と話す。

 道内で950店舗(関東102店舗)を展開するセイコーマート広報室によると、今年の予約分は前年比2割増と好調で、ボジョレ以外に産地別に500円から販売している低価格ワインも順調に伸びているという。

 19日には、市内のホテルや飲食店でもカウントダウンイベントなども予定され、解禁日を盛り上げる。ボジョレファンでなくても「50年に一度のおいしさ」が気になりそうだ。(小杉貴洋)



◎札幌の作家、川嶋さんが中空土偶題材に児童向け小説を出版

 札幌在住のノンフィクション作家、川嶋康男さん(59)がこのほど、函館市著保内野(ちょぼないの)遺跡(尾札部町)で出土した国宝「中空土偶」をテーマにした児童向け小説「縄文大使カックウとショウタのふしぎな冒険」をくもん出版(東京)から出版した。「カックウ」と呼ばれる土偶に導かれ、少年が縄文文化に興味を抱く物語で、川嶋さんは「子どもたちに縄文文化を身近に感じてほしい」と話している。

 川嶋さんは昨年、日本にソーセージの食文化を伝えたカール・レイモンの生涯を描いた「大きな手 大きな愛」を出版し、産経児童出版文化賞のJR賞を受賞。今回は子どもの目線で中空土偶の持つ意味を紹介しようと、現地取材を重ねながら1年半かけて書き上げた。

 函館に関する本の出版は今回で3冊目で、小説を書き下ろしたのは初めて。作中の挿絵は大阪出身のイラストレーター、磯田和一さんが手がけている。

 小学校4年生のショウタがある日の夜、目の前に現れたカックウに導かれて博物館に行くと、収蔵品に命が宿り、夜会が開かれているのを目の当たりにする。その後、博物館の館長らとともに3500年前の世界にタイムスリップする―という奇想天外なストーリー。史実に基づいて縄文文化を紹介しながら、子どもたちが親しみやすい中身に仕上げた。

 川嶋さんは17日に函館市教委を訪れ、市中央図書館に20冊を寄贈した。「カックウと人間の命を比較させる中で、与えられた命を精いっぱい生きることをポイントにした。子どもたちが人間の命を考えるきっかけになれば」と話している。

 A5判変形、149ページ、1365円。今週中から全国の書店に並ぶ。問い合わせはくもん出版TEL03・3234・4144。(千葉卓陽)



◎市水道局が来年度22人削減案を提示

 函館市水道局(中林重雄局長)は17日、全水道函館水道労働組合(土田敬一執行委員長)に対し、来年度の職員数について22人の削減案を提示した。本年度の職員定数は247人。同労組は提案の妥当性を精査した上で、年内に回答する予定。

 提案によると、市内の水道、下水道管を一元管理するため水道課と下水道課を統合して管路整備室を設け、両課合わせて70人の職員を51人とするとした。このほか、水道、下水道の一部、温泉課の維持管理業務すべての委託化などで、事業部全体では29人減。管理部は新たに経営企画課の設置のため7人増となり、両部合わせて22人の削減を求めた。2008年度は同局の18人削減の申し入れに対し、実績は17人だった。

 職員数の見直しは「行財政改革新5カ年計画」に沿ったもので、市民に対する安定した水の供給と快適な生活環境の確保に向けた、事業経営の健全化が目的。土田執行委員長は「提案に至った水道局財政の厳しい現状を認識した。市民サービスの低下を招かないよう、新たな組織づくりにはよりよい提案を、委託に関しては精査を重ねていく」としている。(山田孝人)


◎北大大学院水産科学研究院とむつ研究所が協定

 北大大学院水産科学研究院(原彰彦院長)と独立行政法人海洋研究開発機構むつ研究所(渡辺修一所長、青森)は17日、研究や人材交流などの分野で連携・協力を行う協定を締結した。同日、函館市港町3の同院で調印式が行われた。

 双方の持つ海洋科学技術や学術研究の発展が目的。特に北大側は、函館市が産学官連携で進める「函館国際水産・海洋都市構想」を意識した海洋・水産研究の拠点づくり推進なども狙いとしている。同院が協定を交わすのは3件目。

 この日、原院長は「個々の共同研究を組織的に取り組むことで互いにメリットが生まれる」と話し、渡辺所長は「津軽海峡の水産資源の状況などを一緒に調査し、一般に伝えたい。東北、北海道地区に多い水産海洋関連機関の連携を視野に入れた核になれば」と展望を語った。同院の斉藤誠一教授は「協定を機にさまざまな研究を発展させたい」と意気込んでいた。

 25日からは同院の練習船うしお丸に両機関の研究員4人が乗船し、津軽海峡の流れや物理環境の観測調査を行う。(新目七恵)


◎事業仕分け「里山エリア再生交付金」廃止、乙部町「見直し求める」

 【乙部】政府の行政刷新会議は、2010年度予算概算要求の精査を進める「事業仕分け」で、農林水産省が所管する「里山エリア再生交付金」(約84億円)の廃止を決めた。乙部町は本年度から5年計画で同基金を活用した森林居住環境整備事業に着手したばかり。交付金廃止に伴い計画は縮小または休止を余儀なくされ可能性もあり、町は「市町村が既に着手している事業を一方的に切り捨てることは問題」として、国に見直しを求める方針だ。

 同交付金は、森林と隣接集落の整備を一体的に進める事業。同町は本年度から2013年までの5年計画で、林業基盤の強化などを目的に、重機や車両などの接近が難しいエリアでの林道2路線の整備、山火事防止水槽の設置、居住地周辺にある森林の間伐や植栽を進めるほか、展望広場や遊歩道などを備えた森林公園の施設整備を進める計画を立てていた。5年間の全体計画事業費は5億2700万円を見込んでいる。

 ところが、同会議の事業仕分けの作業では、初日の11日に同交付金など11事業の廃止を決定。同交付金も新年度予算への計上は難しい情勢となった。

 10月30日に総務省顧問に就任した寺島光一郎町長は「政権交代があったとはいえ、政府が認めて町村が着手した計画をわずか1年で廃止することは大問題。このようなやり方では新政権と地方に大きな摩擦を生じかねない。作業の場に町村代表を加えるなど、地方の声を取り入れるよう政府与党に求めていきたい」と話している。(松浦 純)