2009年11月19日 (木) 掲載

◎北斗の共同作業所はあと 煮干し袋詰めピーク

 【北斗】北斗市飯生1のNPO法人はあと地域共同作業所(松永登志子理事長)は、上磯地区特産の煮干しを袋詰めにして販売している。作業所近くで水揚げされたカタクチイワシで、「最高の味!」とファンが多い。製品づくりは今が最盛期だ。

 作業所(2005年4月開設)は、身体・知的・精神の障害を抱える市内近郊の利用者11人が、水産加工品や手工芸などの製品を作り、販売する。各種イベントで販売会が開かれ、益金で賃金と活動資金を賄う。

 煮干しの仕入れは、地元漁業者が協力。一生懸命働き、特産のPRにも熱を入れる利用者の姿に共感し、「いい仕事ぶりだ。これからも頑張れよ」と励まされるという。

 計量、袋詰め、袋閉じと、各自ができる作業を分担。鹿部町の佐藤翔太さん(19)は「実家が漁業なので、この商品づくりを通して、浜の活気を盛り上げたい」、北斗市の松永健太さん(24)は「煮干しは体にもいい。毎日の仕事が楽しい」と笑顔を見せ、松永理事長は「袋づくりから、一人一人が支えあって商品を仕上げている。この思いやりも一つの調味料ですね」と話す。

 煮干し1袋75グラム250円。北斗産のヒジキや早煮コンブ、イカの珍味、切り干し大根なども取り扱っている。原則、作業所で販売だが、宅配などは相談を。

 問い合わせは作業所TEL0138・73・7675。月―金曜午前9時半―午後4時半。



◎大幅引き上げ必至か 北斗市が国保税議論へ

 【北斗】北斗市は18日、市国民健康保険(国保)運営協議会(佐々木博史会長)を開き、国保税引き上げの議論に入った。市の国保事業特別会計の累積赤字は本年度末で10億円を超える見通しで、市も本年度の市政執行方針で保険税の引き上げ実施を表明している。単年度赤字解消を見込んで税率改正をした場合、大幅な引き上げになるのは必至。低所得者の負担抑制と国保会計の健全化の板ばさみの中で、引き上げ幅や実施時期が今後の議論の焦点となり、難しい判断が迫られている。

 市の国保税算定は合併前の旧上磯町時代の税率を採用。所得や資産に応じて支払う「応能負担分」と、加入者全員一律に負担する「応益負担分」の構成割合が65対35で、低所得者の負担軽減になるよう定められている。所得割(所得に対する負担割合)の税率は8・8%で、算定方式は1992年以来17年にわたり変わっていない。

 2006年2月の市誕生後の国保の赤字額は同年度が約2億5000万円(旧上磯・大野町分)、07年度が1億9000万、08年度が2億4000万となっており、本年度末は3億2000万の赤字になる見込み。累積赤字が国保事業予算の1割を超え、国保会計を圧迫する事態に陥っている。

 市の1人当たりの保険税は平均約8万3000円(年額)で、渡島管内の平均約9万円と比較し安い。税の引き上げを先延ばしすると、累積赤字はさらに膨らむ状況で、引き上げは待ったなしの状況だ。

 だが、引き上げをした場合、軽減措置に該当しない低所得者には急激な負担増にもなり、景気や経済状況の先行きが見えない中での引き上げに慎重な意見もある。

 市がこの日、同協議会に示した税率の試算は応能負担、応益負担の割合を平準化(50対50)した場合や渡島管内の平均税率に合わせた場合など15パターン。試算では、収支均衡を図るには現行よりも2割以上の引き上げが必要で、渡島管内の平均に税率を合わせても単年度赤字分を解消できないことが分かった。

 市は今後、市議会民生常任委員会にも諮り、議論を進めていく方針。市民生部は「できる限り税の上昇率を抑え、低所得者の急激な負担にならないよう探っていく。市の医療を守る観点で市民を巻き込んだ議論をしていきたい」と話している。



◎新型インフル 江差町で要援護者30人に

 【江差】江差町新型インフルエンザ対策本部(本部長・濱谷一治町長)は18日までに、大流行期の安否確認などの必要性が高い、身寄りのない独居高齢者を中心とした要援護者が約30人に上るとの集計結果をまとめた。今後は、安否確認の実施基準など、具体的な対応の検討を進める方針という。

 同本部は、江差保健所が檜山南部にインフルエンザ注意報を発令した10月27日以降、要援護者の事前調査をスタートした。町内の独居高齢者や身体障害者など448人を対象に、町職員による戸別訪問や電話での聞き取り調査を進め、健康状態や町内や近郊に住む親族などの緊急連絡先の有無を確認した。

 その結果、健康状態に大きな問題はないものの、子供や親族が東京や札幌などの遠方に住んでおり、発症時の看護や通院時の支援などが見込めない要援護者が約30人に上ることが分かった。現在、訪問介護サービスなどを利用している高齢者は、発症時にも通院や看護などの支援が受けられるため、調査対象には含めていない。

 町は今後、要援護者を対象にした安否確認などの対策をどの段階で実施するか検討を進める。同本部は「桧山管内でも感染拡大が続いている。これまで感染例が少なかった中高年の発症が相次ぐなど、大流行状態にあると判断した時点で、定期的な安否確認といった対策を講じたい」としている。

 町は今回の調査結果について「新型インフル対策以外にも、災害発生時の安否確認といった活用方法も考えられる」(建設課)としており、定期的な情報更新やデータベース化を検討する方針という。


◎知的クラスター事業存続求める 西尾市長が中央要望

 【東京】函館市の西尾正範市長、吉田崇仁市議会議長らは18日、来年度政府予算にかかわり、市に関係する重点懸案事項の中央要望を行った。地元選出の国会議員と懇談を重ねたほか、本年度採択され、政府の行政刷新会議の事業仕分けで「廃止」とされた知的クラスター創成事業の存続などを要請した。

 西尾市長らは道8区選出の逢坂誠二氏(民主党)をはじめ、鉢呂吉雄氏(同)武部勤氏(自民党)鈴木宗男氏(新党大地)ら地元選出の国会議員と懇談。同事業の存続や北海道新幹線の早期開業、函館新外環状道路、道縦貫自動車道の建設促進などを要望した。

 中央省庁では総務省、国土交通省に訪問したほか、同事業を所管する文部科学省に対しては、国会開会中のため調整がつかず、備前悟経済部長らが訪れた。

 西尾市長は函館新聞の取材に対し、「議員との懇談では事業仕分けの方法が乱暴との意見や、財務省が原稿を書いて仕分け人に示している点を指摘する声が出ていた」と話した。19日には道市長会の中央要請活動として民主党国会議員との政策懇談会に出席することから、同市長は「知的クラスターの存続はいの一番に訴えていく」としている。

 同市長らは20日に帰函する。


◎男子グラチャンバレー 函大有斗高出身の古田が初戦出場

 【大阪】バレーボールのワールドグランドチャンピオンズカップ(グラチャン)男子大会が18日、大阪市中央体育館で開幕。日本代表出場候補14人に函大有斗高バレーボール部出身の古田史郎(21)=法政大4年=が選ばれた。道南出身の選手では初めての快挙。試合でベンチ入りできるのは12人で毎回メンバーが決められる。

 世界ランキング7位の欧州王者・ポーランドが初戦の相手。古田は第1、2、4セットにピンチサーバーとして出場し、計5本を放った。日本はフルセットの末に欧州王者を撃破し、好スタートを切った。

 同高時代に全日本高校選抜に選出され、“超高校級”のジャンプ力を生かしたスパイクを武器に名をはせた。同大1年時には全日本ジュニア代表としてアジア選手権準優勝に貢献。2年前にモロッコで行われた世界ジュニア男子U―21選手権大会、ことし6月には世界各国で行われたFIVBワールドリーグの日本代表メンバー22人にも名を連ねた。身長は188センチで、スパイクの最高到達点350センチの国内屈指のアタッカーだ。第2戦以降も“道南の大砲”が世界の大舞台で羽ばたく。

 同高バレーボール部元監督の山田伸二コーチは目を細めながらテレビで観戦。「サーブを打つときはどきどきしながら見ていた。2本はミスしたが、まだ大会が続くので一つ一つ前進しながら経験を積んでほしい」と喜んでいた。