2009年11月2日 (月) 掲載

◎木古内にまた新星 12キロの巨大ネコ ピョン吉

 【木古内】木古内町泉沢に巨大なネコがいる。体重12キロ、身長80センチ、胴回りは60センチ、手足を伸ばせば1メートル。2、3歳児並みの体格で「初めて見たときは犬と見間違えて思わず振り返った。あそこまで大きなネコは見たことがない」と近所で話題だ。「ふくよかなその姿を見ているだけで心が和む。『幸せの招き猫』として木古内の人気者に育てよう!」とペットによるまちおこしを期待する動きもある。

 熊谷ミエさん(68)のペットで、名前は「ピョン吉」(雄、6歳)。つぶらな瞳で白と灰色の毛並みが美しく、漫画「ドラえもん」のような風ぼうだ。温厚な性格で、近所の子どもやお年寄りにかわいがられている。

 スコティッシュフォールドという品種だが、極端に大きな成長をする部類ではない。「生まれたときは手に乗る子ネコで鳴いてばかりいたのに、まさかこんなにおがる(成長する)とは」と熊谷さんは目を丸くする。

 動物病院での健康診断では「あまり太らせないで下さい」と獣医から忠告を受けるものの、ピョン吉は“暴飲暴食”ではない。固形のキャットフードをつつましく食べる。巨大化の理由は不明だ。

 階段を軽々と昇り降り、高い所が好きでタンスの上にも飛び上がる。「太っているけれどこれは筋肉。動けるネコだよ」と熊谷さんは笑う。

 愛きょうたっぷりで賢い。「お手」と「お座り」が得意で、3年前にはネコの専門誌の取材も受けた。

 木古内には、もじゃもじゃの毛で“人気全国区”の青森県鰺ヶ沢町観光大使「わさお」(秋田犬)に似た「ペル」がいる。ペルを観光の盛り上げ役にしようと、木古内町観光協会(東出文雄会長)は「本腰を入れて検討している」と準備している。

 ピョン吉の存在を知った東出会長は「今度はネコときたか。『ペル』と共演できれば」と笑い、「大きくて人懐こいのなら、みんなに好かれるのは間違いない。個人的には観光事業の発展に協力していただきたい。『ピョン吉』と飼い主の意向も含めて、協会の役員会議で話題に挙げてみる価値はある」と話している。(田中陽介)



◎函工定時生5人が第二種電気工事士に合格

 函館工業高定時制の4年生5人が、国家資格試験「第二種電気工事士」に見事合格した。合格者の中には同校最高齢となる電気科の伊久留智信さん(65)や建築科として初の阿部雄貴さん(28)もおり、指導に当たった教員や生徒らは喜びに沸いている。

 第二種電気工事士は電線を引いたり、電気器具を取り付けるなどの専門技術が求められ、筆記と実技試験がある。財団法人電気技術者試験センターが実施し、本年度の二次試験合格率は69・6%だった。

 合格したのは伊久留さんらのほか、電気科の石澤翼君(19)、白根涼君(18)、長谷河拓也君(19)。5人は約8カ月間、放課後の講習を受けて試験に臨んだ。

 石澤君は「電気科に入ったからには絶対取りたかった」と語り、白根君も「暗記に苦労したけど勉強するうちに楽しくなった」と振り返る。「高校時代に何か残したい」との思いで受験した長谷河君は大阪の電気工事関連の会社に内定が決まり、「合格したのは先生のおかげ。仕事を頑張りたい」と意気込む。

 伊久留さんは東京で電車や新幹線の運転士として41年間務め、定年退職後に帰郷。再就職には高卒の資格が必要と実感して入学した。今回は「一緒にチャレンジして若い世代を刺激したい」と申し込んだ。

 一方、阿部さんは「役立つ資格」として挑戦し、建築科の勉強との両立に励んだ。「覚えることが多くて大変だったけど受かってうれしい」とし、看護師を目指して来年は市内の看護学校に進学するつもりだ。(新目七恵)



◎若者 未来の「匠」に…函館市事業 職人と仕事の魅力体感

 若年者の就業意欲を高めるきっかけにしてもらおうと、函館市は9月から「匠(たくみ)の弟子体験事業」を開始した。「手に職をつけたい」「自分に何ができるか知りたい」という若者に、実際に市内の事業所で働いてもらい、さまざまな仕事が持つ魅力を体感する内容だ。

 市の新規事業で、ものづくりに励む職人の仕事を広く周知すると同時に、未就労の若年者に対し働くことの必要性、苦労、その苦労を乗り越えることの楽しさを知ってもらい、就業意欲の向上につなげる目的。技能者の社会的地位向上と、技術を守る機運を高める狙いもある。

 これまで2人が体験。10月下旬には、高校を中退後、就職活動を行ったが10件以上に断られ、「就業経験を積みたい」と応募した15歳の男性が塗装業者で作業補助を体験した。南北海道塗装工業協同組合所属の石山塗装工業で働き、足場組み、下準備、塗装など幅広い業務を先輩のサポートを受けながら体験した。

 同社の石山修司社長(59)は「言われたことをきちんとやるし、積極的に仕事に取り組んでいる。楽しいことも、苦しいこともあるが、この経験を今後につなげてほしい」と話す。男性は「こうした職場で働くのは初めて。以前の気持ちなら就職が決まってもすぐに辞めていたかもしれないが、今は実際に経験したことを生かしたい気持ちでいっぱい」と笑顔をみせ、「期間が終わったらまた前向きな気持ちで仕事を探せる」と自信を得た様子だ。

 同事業の体験可能業種は左官、建築板金、板金、造園、塗装、建具など。体験者の経験を考慮しながら、作業補助などを行う。体験期間は最大10日間で、1日8時間以内。対象は原則市内の15―35歳までの未就労者で、本年度の定員は10人。問い合わせ、申し込みは市経済部労働政策室労働課TEL0138・21・3308、ファクス同27・0460。(山田孝人)


◎歌って、踊って、もちついて…棒二森屋創業140周年祝う

 函館市若松町の老舗デパート棒二森屋(井上裕司店長)の創業140周年を祝う記念もちつきが1日、同店正面玄関前で行われた。同店社員や市内の民族歌舞団9人が、歌い踊りながらもちつきを行う江差町の郷土芸能「もちつき囃子(ばやし)」を披露。開店を待つ客約60人に振る舞われた。

 同店の140周年記念全館大創業祭のオープニングイベント。サポートしたのは道内各地で活躍する市内の民族歌舞団「こぶし座」(横井正人代表)。

 この日は約100人分のもち米を用意。社員らは小雨が降る肌寒い天気を吹き飛ばすような、陽気な歌声と笛、太鼓に合わせて、テンポ良くもちをついていた。来場客は手拍子するなどして盛り上げ、振る舞われたもちをおいしそうにほおばっていた。

 同店営業企画部の加登啓敏課長(35)は「140周年の祝いなので盛り上がってくれてよかった」と話していた。創業祭は4日まで開催され、3日は先着300人に紅白大福をプレゼントする。(山田孝人)


◎菅原組に会長賞…リデュース・リユース・リサイクル推進協

 食用廃油を活用した再生燃料を利用する建設業の菅原組(函館市浅野町、菅原徹社長)が、本年度の「リデュース・リユース・リサイクル推進協議会」(東京)の功労者表彰で会長賞を受けた。道南では唯一の受賞で、廃棄物の再利用などによる循環型社会の形成に向けた継続的な取り組みが評価された。

 行政、消費者団体、産業界などでつくる同協議会は、ごみのリデュース(発生抑制)、リユース(再使用)、リサイクル(再生利用)の「3R活動」による循環型社会の実現に貢献する企業を表彰している。

 同社は2006年から、家庭で使用済みの食用油を回収し、松前町に建設した施設でバイオディーゼル燃料(BDF)を精製。このBDFを所有する自動車44台のうち10台と、重機4台のうち3台に使用してきた。

 廃油は、市内のスーパー2カ所、松前、知内町の町内会、関連企業など地域の協力を得て社員が回収。09年5月末までの約3年間で、回収した廃油は約13万1000リットル、BDFの製造量は約8万4000リットル、製造したBDFの使用量は約7万7000リットルに上る。各自治体や他の企業が同様の取り組みを始めるなど、活動が広がっている。

 港湾工事を主体とする同社は「人と環境にやさしい企業」をモットーとし、海洋汚染防止の一環としてこの活動を始めた。菅原社長(58)は「受賞は社員の励みになった。業界全体で取り組まれるように今後も継続して活動を広めていきたい」と話している。(宮木佳奈美)