2009年11月21日 (土) 掲載

◎トウモロコシかつらむき 居酒屋「旬彩 粋匠」が特許

 函館市本町23の居酒屋「旬彩 粋匠(すいしょう)」の信田年広店主(37)が、トウモロコシの粒が連なったまま、かつらむきのようにして芯(しん)から外す独自の製法で特許を取得した。この製法で調理したトウモロコシの天ぷらが一番人気で、信田さんは「せっかく函館にしかないものを生み出したから、全国に広めたい」と話している。

 信田さんは15歳から料理の道に入り、市内の料亭などで修業、2001年に独立開業した。15年前、いろんな野菜でかつらむきに挑戦していたが、トウモロコシだけできず、練習していたところ「ある法則性を発見した」(信田さん)という。その後も試行錯誤を重ね、考案した製法は“企業秘密”だが、下処理の段階でトウモロコシを一次加工することで、かつらむきを可能にした。

 特許取得は、5年前に函館商工会議所の発明相談(現・中小企業産業財産権出願等支援事業)に行ったのがきっかけ。弁理士に「飲食物の特許はほとんどが門前払いだけど、50%ぐらいの確率」と言われて出願し、5年がかりで今年10月24日に取得した。

 同店では天ぷらにした「粋匠とうもろこし天」を、開店当初から看板メニューとして提供している。トウモロコシ本来の味を引き立てるシンプルな塩味。客からは「もぎたてみたい」「トウモロコシの甘みをそのまま感じる」などと大好評だ。道内産トウモロコシ1本分を使用した天ぷら6枚で1皿500円。

 信田さんは、一次加工した状態のトウモロコシを真空パックにした「函館コーン」をインターネットなどで試験的に販売し、「とうもろこし天が全国どこの居酒屋にもあるようなメニューになれば」と期待している。(宮木佳奈美)



◎収支 目標には届かず…函館市病院局・上半期 昨年より改善

 函館市病院局は20日、2009年度上半期(4―9月)病院事業の経営状況について、市立函館と恵山、南茅部の3病院合わせた当年度財源過不足額が782万円の黒字となったことを明らかにした。病院事業会計を立て直す「函館市病院事業改革プラン」を基にした計画の達成は厳しいが、収支は昨年度より改善している。藤森和男管理部長は「計画比では下回っているものの、前年度より改善されている」とした。

 病院事業は同プランに基づいて収支改善を図っており、同日行った市議会民生常任委員会(斉藤佐知子委員長)に報告した。

 病院ごとの上半期の実績は、市立函館が入院(一般)で目標の95・0%、外来(同)で同92・9%の患者を確保。恵山と南茅部は入院がどちらも同100%を超えた一方、外来は恵山が同86・4%、南茅部は同95・9%と、患者確保に課題を残した。市立函館の手術件数は、同94・5%だった。

 収支状況は、市立函館では収益が計画比で約2億9000万円下回る一方、対する費用は同約1億6000万円増加。血液製剤などの材料費がかさんだり、給与費の時間外手当や予定外の退職金などが響いた。結果、単独での財源過不足額は8132万円の赤字で、計画比では4億3744万円下回った。

 ほか2病院の財源過不足額は、恵山が7204万円の黒字で同3960万円上回った。南茅部は1710万円の黒字で同64万円下回ったが、わずかな差にとどまった。

 各委員からは、給与費や材料費の内訳、医師や看護師確保の状況について質問が相次いだ。藤森部長は「このままでいくと大変だという認識はある。引き続き計画を目標に、(市立函館で)1日当たり490人の入院患者確保に努める」などと述べた。(小泉まや)



◎支庁再編 公開協議来月14日に…桧山管内

 【江差】道と桧山管内7町は20日、支庁再編に伴う広域事務の内容などを話し合う公開協議を12月14日午後1時から、江差町のホテルニューえさしで開くことで合意した。道側からは支庁再編を担当する高井修副知事が出席を予定しているという。

 支庁再編条例に基づく公開協議は、10月24日の根室管内を皮切りに、同31日には石狩、11月7日に留萌管内で開催された。いずれも高橋はるみ知事が出席して、道がまとめた9総合振興局と5振興局の組織体制や、振興局地域で廃止される104項目の広域事務の内容をまとめた「基本フレーム修正素案」について説明した。

 これまでの協議で高橋知事は、根室振興局には、北方領土対策を支援する地方本部の設置を表明。留萌振興局には「健康産業支援室(仮称)」の設置をはじめ、特例的に留萌土木現業所を留萌振興局建設部として存続させ、総合振興局に準じた組織と権限を与える方針を示した。

 残る桧山・日高両管内では、第4回定例道議会が、26日から12月10日の日程で開かれるなどの影響で日程の調整が難航していたが、道と桧山7町は年内の協議開催に向けて調整を続けていた。日高管内では同12日の開催に向けた調整が行われているという。

 広域事務の内容をめぐって、桧山支庁管内町村会(会長・寺島光一郎乙部町長)などは「振興局の機能を骨抜きにする方針は容認できない」として反発。公開協議についても「新しい支庁の組織体制や広域事務に関する道の矛盾点について粛々と説明を求めていきたい。桧山7町の主張が地域エゴなのか、道の考え方が間違っているのか公開の場でただしたい」とするなど、徹底抗戦の構えを崩していない。(松浦 純)


◎人勧受け函館市 月給0.2%引き下げ

 函館市は20日、市職員の給料を月額平均0・2%引き下げ、冬の賞与(ボーナス)も0・15カ月分をカットする方針を発表した。すでに市労働組合連合会(市労連)と合意しており、27日に開かれる市議会臨時会に関係条例の改正案を提案し、可決されれば12月から実施する。

 8月の人事院勧告に準じる措置。民間との差に伴い、行政職など市職員約2400人(公営企業を除く)のうち約2200人を対象に月額給与を平均で0・2%減額する。ただし若年層は引き下げない。人勧に基づく給与改定は2005年以来となる。

 また特別職と職員の賞与を年額0・35カ月分削減。夏の賞与はすでに0・2カ月分が凍結されており、12月に支給される冬の賞与で0・15カ月分をカット。今回の改正でボーナスは年間4・15カ月分となり、市人事課によると、職員平均で年間約14万円のボーナスがカットされる。

 臨時会ではこのほか、低所得者に対する新型インフルエンザワクチンの接種費用など1億2857万円を追加し、総額を1286億2932万円とする本年度一般会計補正予算案を提出する。(千葉卓陽)


◎七飯 観光客100万人割れ…本年度上半期

 【七飯】七飯町はこのほど、本年度上半期の観光客数をまとめた。上半期(4―9月)の観光客数は前年度に比べ14%減の91万6000人にとどまり、統計を開始した1969年以降、初めて100万人の大台を割った。

 内訳は道外客が約10万人減の60万人で、道内客も31万8000人と約5万人減った。このうち、日帰り客は約14万人減の87万5000人、宿泊客は8000人減の4万1000人にとどまった。月別ではすべての月で前年割れと苦戦。特に6月は前年比27%減と大幅に落ち込んだ。

 町商工観光課は「景気低迷のあおりに加え、円高や新型インフルエンザの流行が響いたと思われる」と分析。

 最近の町の年間観光客は2007年度まで200万人以上を維持していたが、08年度は183万2000人と200万人割れ。下半期もこのままのペースで推移すると3年連続の前年割れは必至だ。

 同課は「新たな観光メニューの創出や近隣市町との広域観光構築などで現状を打開したい」としている。(鈴木 潤)