2009年11月22日 (日) 掲載

◎西部地区で「街なカクレンボ」

 NPO法人NATURAS(なちゅらす)(赤石哲明代表)は21日、函館や近郊の小学生を対象に、函館の街の魅力を楽しんでもらおうと「街なカクレンボ」を開いた。児童らは西部地区にある建造物や歴史を学びながら、隠れ遊びを楽しんだ。

 約20人が参加。市地域交流まちづくりセンターに集まり、始めに金森赤レンガ倉庫群と元町公園を訪れた。児童は同法人スタッフと、赤レンガ建物内の壁画など隠れる場所を選び、デジタルカメラで撮影。同センターに戻り写真を印刷し、Tシャツに転写した。

 Tシャツが完成すると再び街へ。赤レンガ倉庫ではレンガの実物とTシャツにプリントされたレンガとを同化させようとしたり、壁画と絵が描かれた背中を合わせたりし、体を隠そうとした。児童たちが楽しむ様子に観光客から「かわいい」と声が上がっていた。参加した函館柏野小学校4年のの黒田創君は「面白かった。見つからないように隠れたつもりだけど無理だった」と笑顔だった。赤石代表は「子どもたちはすべてにおいて自主的、意欲的に取り組んでいた。また企画したい」と話していた。(黒田 寛)



◎障害者就労支援へ「地域サービスセンター」開設

 障害者の就労支援を推進する「地域サービスセンター はこだて」(渡會栄子センター長)が函館市中島町12のNPO法人全国精神障がい者地域生活支援センター(能登正勝理事長)内に開設された。同法人が母体となり、就労機会を求める障害者らに専門家が助言する。パンフレットも完成し、関係者は「障害の有無にかかわらず、誰もが一緒に働き、交流し、各自の夢の実現を目指したい」と利用を呼び掛けている。

 「障害者福祉サービス事業所 就労継続支援B型『地域サービスセンター はこだて』」として10月29日付で認可を受けた。雇用契約を結ばない障害福祉サービスで、就労に必要な知識や能力向上を図る。作業収益を工賃にする。

 職業指導員や生活支援員の指導を受けて仕事をこなす。事業内容は、中島廉売の店舗での荷造りや配達作業。パソコンの部品交換・修理、データ移動作業、アンケート集計や会計などのプログラム作成、名刺・年賀状づくりと範囲は広い。大学や商店街の協力を受けた自主的な研究で新商品・特産の開発も行う。

 勤務は月曜から土曜までの午前10時―午後4時。休みは日曜・祝日、夏・冬期休暇、年末年始。昼食もある(有料)。

 パンフレットには「あなたの希望をもって、一緒に働き、みんなが自分の夢を実現しましょう!」と書かれ、事業体験も行っている。利用は、各自治体の福祉窓口で発行する「障害者福祉サービス受給証」が必要。

 渡會センター長は「就労とともに奉仕活動もあり、参加者、地域住民との親ぼくも深まる。センター利用は気軽に相談してほしい」。パンフレットの図案を担当したセンター事務局の兼平新吾さん(函館聴覚障がい者協会)は「いい出来上がり。多くの人に一度手にとってみてもらいたい」としている。パンフレットは同法人で配布している。

 問い合わせはセンターTEL0138・51・0026、ファクス同51・0044。電子メールはwatarai@mls-j.com(田中陽介)



◎渡島管内頑張る児童生徒表彰式

 2009年度「渡島管内頑張る児童生徒表彰」の表彰式が20日、函館商業高校(滝田進校長)で行われた。全国高校IT・簿記選手権大会北海道地区IT部門で団体優勝と個人優勝を果たした同高パソコン部所属の佐々木啓孝さん(3年)に渡島教育局の吉田一昭局長から賞状が手渡された。

 この表彰は、学校諸活動で特に頑張りを見せた道立学校の児童生徒が対象で、11月1日の「北海道教育の日」の協賛事業として同局が独自に実施している。

 佐々木さんは「このような賞をいただいて本当にうれしい。仲間も喜んでくれている」と話した。吉田局長は「今後もその能力を生かして、頑張ってください」とエールを送った。

 このほか、個人表彰として函館西高から陸上女子走り幅跳びで全国大会に出場した笠原亜梨沙さん(3年)、函館水産高からボートの全国大会に出場及び出場予定の西川紘介さん、福井亮太郎さん、松澤渚さん(以上3年)、牧野沙菜さん(2年)もそれぞれ表彰された。

 また、函館商業高では「北海道学び推進月間」の標語部門で入賞した寺島綾子さん(2年)も表彰を受けた。寺島さんは文芸部に所属。「まだ見えぬ 未来のために 種をまく」の標語で、全道481点の応募作品の中から入選の6人に選ばれた。渡島管内からは松前大島小の石井優大さん(6年)、市立函館高の三嶋渉さん(3年)も入賞を果たした。(小川俊之)


◎森のワールド温泉牧場、今季で営業休止の方針

 【森】森町にある観光牧場「はこだてワールド温泉牧場」が今季(4―11月)で営業を休止する方針を固めた。

 入場者数の減少で売り上げが伸びず、来年度以降の再開にめどが立たないためで、管理人1人を除く従業員20人を年内に解雇する。

 同牧場は1985年にオープン。約33ヘクタールの敷地に40種60匹の犬とふれ合う「わんわん村」や宿泊用コテージ、天然温泉施設、乗馬コースなどを備え、2000年のピーク時には2万5000人が来場した。

 わんわん村の犬の半数は希望者に譲渡し、残る半数と馬は大阪の系列の観光牧場に移した。


◎企画「わたし学びます」~函館遠友塾~/黒田正二さん(88)

 多くの人が家路を急ぐ午後5時20分、函館市若松町にある市総合福祉センターの一室で、「函館遠友塾」の授業が始まる。

 壁際までびっしりと並ぶ長机に50人余りの男女がひしめいて座る中、ひときわ高く手を挙げる、背筋をしゃきっと伸ばした男性がいる。塾生最高齢の黒田正二さん(88)。夜間の“学びの場”の「学級代表」のような存在だ。

 「分からないことが1つでも分かると楽しい」。眼鏡の奥で目じりの下がった優しい目をまたたき、屈託なく笑う。

 1921年、函館生まれ。5人きょうだいの二男。胃腸が弱く、療養のため小学1年で青森の親せきの家に預けられた。小学6年で実家に戻り、当時の函館宝小に転校。旧制中学高等科に進んだが、34年の函館大火で学校も家も焼け、谷地頭に残った小学校に通った。転校、大火の度に教わる内容や教員が代わった。一貫した教育を受けたかった、中途半端になってしまった、との思いが今でも残っている。

 ある日の遠友塾―。国語の時間。「漢字の左側に書くのは『へん』。右側は『つくり』と呼びます」。スタッフの説明に耳を傾けながら、黒田さんは「はい知ってますよ、『へん』だね」「『つくり』も大丈夫」と相づちを打つ。一つ一つ確かめるように。そして丁寧に、几帳面な文字でノートに書き写していく。

 「ちょっと教えてもらえるかい」。分からないことがあればスタッフにすぐ尋ねる。納得がいくまでとことん質問し、スタッフが答えに詰まると「あんたでも分からないことがあるのかい」と愉快そうに鋭く切り返す。

 もちろん予習は欠かさない。総選挙前の社会科では政党一覧が書かれた新聞の切り抜きを持参した。全政党名を問うスタッフの質問にさっと手を挙げ、「カンペ」を見ながら次々と回答し、「ヤマが当たったな」と満足そうにニヤリとした。学びに対する意欲は誰にも負けない。

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 戦争、貧困、いじめ。さまざまな事情から、義務教育を満足に受けられなかった人がいる。そうした人たちのため、4月に民間で運営する自主夜間中学「函館遠友塾」(今西隆人代表)が開校した。そこに集う塾生の多くは60―80代。学ぶって何だろう。目を輝かせ、心から勉強を楽しむ塾生たちを訪ねた。(新目七恵)

 【函館遠友塾】七飯養護学校の今西隆人教諭の呼び掛けで2009年4月に開校した。戦争や病気、家庭の事情などで義務教育を十分受けられなかった人を対象に毎週水曜日函館市総合福祉センターで実施。教科は国語、数学、理科、社会、英語で、1日2教科を学ぶ。3年間でほぼ中1までの内容を修了予定。来年度の入塾生とボランティアスタッフを募集中。見学は随時可。問い合わせは今西教諭TEL080・5598・5608(平日午後4時~同8時)。