2009年11月27日 (金) 掲載

◎函館など12市が予算確保求め緊急共同声明…知的クラスター事業「廃止」

 道と函館市が本年度採択された知的クラスター創成事業を含む「地域科学技術振興・産学官連携事業」を、政府の行政刷新会議が事業仕分けで「廃止」と判定したことに関し、函館市の西尾正範市長は26日に開いた緊急会見で、同事業の予算確保を求める緊急共同声明を発表した。函館市が世話役となり、札幌や帯広、京都など同事業に関係する全国12市長の連名によるもので、同市長は「地域の声を束ね、中央に発信することが必要」と述べた。

 緊急共同声明は今月20日、高橋はるみ知事ら全国7道府県知事が連名で共同声明を出したことに呼応。上田文雄札幌市長、砂川敏文帯広市長と連携する中で市が世話役となり、関係12市に呼びかけて行った。

 声明では科学技術の振興について「我が国の高い技術力を維持し、地域の振興発展を図るために必要不可欠な取り組み」と主張。事業仕分けの廃止判定を「長年にわたる地方の努力を無にする行為で、国と地方の信義・信頼関係をも大きく損ねる」と指摘している。

 同市長は緊急会見で、知的クラスター事業が廃止となった場合の影響として「40人超の研究者を採用し、事業が動いている。大学や研究機関の知的ノウハウを生かしたまちづくりを大きく削ぐことになる」と説明。また中核機関の函館地域産業振興財団が雇用した約20人について、備前悟経済部長は「3月までの雇用は確保できているが、仕分け作業の影響でそれ以降は未定」と話した。

 予算確保に向けた今後の取り組みについて、同市長は「各自治体がそれぞれに議会を控えている。個別や圏域などで、民主党や文部科学省に働きかけたい。年内中に1回は行きたい」と述べ、12市全体での中央要望は困難とする考えを示した。

 函館市と道は「函館マリンバイオクラスター」として海洋環境の計測、予測技術の確立、沿岸の海洋資源などを活用した食品や医薬品の開発など4項目を研究テーマに提案し、文部科学省は今年7月、同事業の「グローバル拠点育成型」に採択。2013年度までの5カ年計画で、本年度は3億円がすでに交付されている。(千葉卓陽)



◎函館理容美容専門学校の対馬さん優勝…第1回全国学生技術大会

 大阪府で11月15日に開かれた第1回全国理容美容学生技術大会(日本理容美容教育センター主催)の本選大会(全国大会)で函館理容美容専門学校(函館市中島町、中島眞之校長)理容科2年の対馬巨樹さん(19)が優勝、同2年、大坂明日菜さん(20)が4位入賞を果たす活躍を見せた。

 同大会は今年度創設された全国規模の学生大会で、全国10地区で予選大会を開催。理容部門上位4人、美容部門上位8人が本選に出場することができる。同校からは北海道代表として2人に加え、理容部門ミディアムカット基本整髪種目に同2年、穂積弘平さん(20)、美容部門アップスタイル種目に美容科2年、汐谷友希さん(20)の計4人が出場した。

 対馬さんは「30分間しか競技時間がなかったので必死だった。他校の人たちの作品もすばらしかったので優勝は信じられなかった」と振り返る。大坂さんも「緊張して思うようにいかなかったので、名前を呼ばれた時はびっくりした」と話す。

 2人は好成績を収めたことについて、仕事の傍ら熱心に指導してくれた理容師の安藤聡さん、横山邦彦さん、浅井司さんや同校の三春和也教諭(44)らの支えに感謝する。三春教諭は「遅くまで残ってずっと練習していた姿を見ていたので努力が報われてうれしい。これからが楽しみ」と期待を寄せている。

 4人は今、目前に迫っている国家試験に向けて本選の余韻に浸る暇もなく、実技の練習などに一生懸命だ。「いつかは自分も店を持つ」。最終的な目標を胸に今日も腕に磨きをかけている。(小杉貴洋)



◎海岸で羽休めコクガン飛来…銭亀沢

 函館市の銭亀沢地区の海岸に、冬鳥のコクガンが飛来している。海岸で羽を休めたり、磯の浅い場所で海草をついばむ姿が見られる。

 コクガンは全長約60㌢。頭から胸までが黒色で、首輪のような白い模様が特徴。1947年に国の天然記念物に指定され、環境省のレッドデータブック絶滅危惧Ⅱ種(絶滅の危険が増大している種)にも指定されている。

 函館市内では同地区、南茅部地区、北斗市の海岸で多く見られる。毎年、飛来のピークは1月下旬から2月上旬で、3月末ごろまで越冬する。(山崎純一)


◎輸出2カ月ぶりプラス…10月の函館港貿易

 函館税関は26日、10月の函館港貿易速報を発表した。輸出は船舶や非金属鉱物製品(セメント)などが増加し、前年同月比20.4倍の31億6900万円と2カ月ぶりにプラスとなった。輸入は石炭、魚介類・同調製品などが減少し、同16.0%減の10億4200万円と3カ月連続で前年実績を下回った。

 輸出の品目別では、船舶やセメントなどが全増。船舶はパナマ向けの新造船1隻と韓国向けの中古1隻で28億3500万円、クウェート、シンガポール向けのセメントは2億3300万円だった。魚介類・同調製品は前年同月比2・1倍の4300万円で、中国向けのサケが全増となった。

 輸入は、ロシアからの石炭が、数量は前年から32%増加しているものの、額では前年同月比29.8%減の3億1000万円となった。ロシアからのサケ・マスなどの魚介類・同調製品が同24.6%減の3億6600万円と前年実績を下回った。

 同税関管内(道内と青森、秋田、岩手の東北3県)は、輸出が前年同月比36.4%減の401億9500万円、輸入は同41.1%減の1108億3600万円で、いずれも12カ月連続のマイナスとなった。

 輸出は、一般機械が前年にクウェート、カナダ向けの加熱用・冷却用機器が計96億円あった反動で大きく減少し、前年同月比68.2%減と2カ月ぶりのマイナス。一方、輸入は非鉄金属鉱(ニッケル、亜鉛)が、価格上昇に伴い同25.7%増と25カ月ぶりに増加に転じた。(宮木佳奈美)


◎「いじめ根絶」訴え…的場中で全校集会

 函館的場中学校(藤井壽夫校長、生徒368人)で26日、初の「いじめ根絶のための全校集会」が行われた。全11クラスがそれぞれ独自に考えたスローガンを発表し合い、いじめ撲滅への意識を高めた。

 同校では3年前から学校全体でいじめをなくす取り組みを続けている。今年も9月に生徒向けアンケートを実施したところ、いじめがゼロではない実態が明らかになったことを受け、生徒会(小辻亮太会長)が全校スローガンを決定。さらに、クラス単位でも考えるよう呼び掛けた。

 全校集会では生徒会メンバーがいじめを発見した時の対応パターンを寸劇で紹介。その後、学級代表の生徒が順番に檀上に立ち、ポスターを見せながらスローガンに込めた思いや今後の活動方針を発表した。

 作品は「いたずらが いじめにつながる 悪の道」「思い出せ 仲間になった あの時を」「思いやり いじめをなくす 第一歩」などさまざま。「考えて あなたの 一言大丈夫?」を発表した2年B組の生徒は「何気ない一言でも相手を傷つけないか考えて仲良く生活したい」と話していた。

 2年生の小辻会長(14)は「いじめをなくすようまずはクラスで取り組んでほしい。自分も気をつけて、いじめを見つけたら止めたい」と意気込んでいた。(新目七恵)