2009年11月28日 (土) 掲載

◎磨光小の前田君 作文コンで最高賞

 函館磨光小学校(須藤由司校長)5年生の前田啓輔君(10)が、第18回国際理解・国際協力のための作文コンテスト(日本国際連合協会道本部、道主催)で最高位の同協会道本部長賞に輝いた。作文は「戦争よ、もううばわないで」と題し、大切な家族を失う戦争の悲惨さを訴えた。27日には函館市尾札部町の同小で伝達式が行われ、前田君は「戦争は悲しいことだと伝えたくて書いた」と受賞を喜んでいる。

 このコンテストは小、中学生を対象に、世界的な平和、安全、人権などをテーマに毎年募集している。今回は小学生の部に15点が寄せられた。同小の特賞入賞は3年連続。

 前田君は戦争で大切な人を亡くした人の話が盛り込まれた本を読み、「戦争は、幸せではなく、悲しみや辛さを生む」と痛感。本で戦没者画学生の存在などを知り、生きることの大切さや家族と生活できる幸せを再認識し、「どうか、うばわないで。大切な人を、命を、夢を」とつづった。

 10月30日には札幌で表彰式が行われたが、前田君は新型インフルエンザによる学校閉鎖のため参加できなかったため、学校で伝達式を行うことになった。この日、来校した浅利元宏同協会渡島地方支部副支部長(渡島支庁副支庁長)から賞状を受け取った前田君は、全校児童の前で作文を読み上げた。受賞について「ありえないと思っていたのでびっくりした」と話していた。

 このコンテストでは同小5年生の下池未華さん(10)も佳作に選ばれた。(新目七恵)



◎廃棄物資源化の特徴説明 太平洋セメントでリサイクル見学会

 【北斗】太平洋セメント(東京)上磯工場(北斗市谷好1、北林勇一工場長)は27日、業者向けに施設見学会を開き、渡島管内や札幌などの廃棄物処理業者ら約70人が同工場のリサイクル施設を見学した。

 同社はセメント製造や石灰石採掘のほか、近年、廃棄物をセメントの資源にする廃棄物リサイクルを推進。同工場では、自動車シュレッダーダスト(ASR)や、砂糖を製造する際に排出される石灰系汚泥(ライムケーキ)などの産業廃棄物を受け入れているほか、今年1月には、道から一般廃棄物処理施設の設置許可を受け、今後、札幌圏を中心にごみの焼却灰などの受け入れを計画している。

 見学会で、出席者は工場の従業員の案内に従い、工場内にあるリサイクル用のキルン(窯)や関連の設備を見て回った。その後、工場の体育館で同社北海道支店(札幌)の幹部がセメント工場での廃棄物資源化の特徴について説明し、「全量を資源として有効に再利用でき、灰や残さ類が発生しない。焼成温度約1450度で、24時間連続で行うので安全かつ大量、安価に処理ができる」と述べた。

 同工場の2008年度のセメント生産高は279万トンで、廃棄物・副産物使用量は85・5万トン。セメント1トン当たりの廃棄物使用量は307キロ。同工場は「今後、廃棄物関係設備を整備し、廃棄物のリサイクル化を進めていきたい」としている。(鈴木 潤)



◎企画「新・函館市合併5年」(上)■人口・財政 止まらぬ過疎化と収入減

 「合併しようがしまいがこうなっていったとは思うが、人口の減少が心配。200億円の水揚げがある沿岸漁業を抱えていながら、後継者がいないことやコミュニティー自体をどうしていくか、非常に心配している」。函館市の西尾正範市長は今月5日の定例会見で合併からの5年間を問われ、真っ先に人口減を憂えた。

 函館市の住民基本台帳によると、今年10月末時点の人口は28万4500人。合併した04年12月時と比較すると5%減だが、旧4町村管内は同11・6%減と落ち込みが激しい。とりわけ、65歳以上が占める高齢化率は、今年10月末で4地区すべてで30%を超えており、市全体(26・7%)を大きく上回る。過疎化と高齢化に伴う活力の低下は、今後も避けられそうにない。

 人口の減少は産業経済の低迷や消費活動の落ち込み、税収減などを招き、結果として財政の悪化をもたらす。合併建設計画では「2009年度からは歳入不足が解消され、単年度収支は黒字となる見込み」とうたい、昨年度の普通会計決算は基金の取り崩しをせずに7億7000万円の黒字を確保。徹底した行財政改革の成果が表れた形だが、国が認めた借金である退職手当債の発行などで歳入不足を賄った面もあった。市財政課は「人口減はある程度予想できたが、小泉政権時の三位一体改革による地方交付税の落ち込みが大きく響いた。絵は描いたけど、思うようにはいかない」と話す。

 起債償還額の70%が地方交付税で措置される、合併の“特典”である合併特例債。市が2014年度まで使える上限は308億7000万円。昨年度までの発行額は19億7400万円(決算ベース)で、「借金に変わりはない」(財政課)と慎重な姿勢を貫いてきた。

 ただ、本年度は16億円程度の特例債発行を見込み、旧4町村地区では南茅部地区に設置する縄文文化交流センターには計6億4000万円(08―10年度)、恵山コミュニティセンターに3億1000万円(08、09年度)、東消防署戸井出張所に3億2000万円(同)、椴法華中学校の学校給食共同調理場には3億8000万円(同)と、いわば“集中投下”を図った。

 旧恵山町議の男性(66)は「コミュニティセンターや戸井出張所などは合併がなければ造れなかった」と整備を歓迎しながらも、行革によって各支所に勤務する職員が減り続ける点をデメリットとして挙げる。「役所に“届かない声”は確実に増えており、住民の不満は根強く残っている」。収まる気配のない人口減と財政難の中でハード・ソフト両面をどう充実させるか、市全体でさらなる知恵を絞る必要がある。(千葉卓陽)

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 「平成の大合併」の道内第1号として2004年に函館市と戸井町、恵山町、椴法華村、南茅部町が合併してから、12月1日で丸5年を迎える。この間、住民サービスや市民感情、合併のキーワードに掲げた漁業振興などの面はどう変化したのか。新・函館市の5年間を検証し、活力あるまちづくりに向けた課題を探る。


◎新駅―函館駅 アクセス充実へ要望 検討部会 20分以内に短縮など

 北海道新幹線新函館開業対策推進機構(会長・森川基嗣函館商工会議所副会頭)と沿線自治体の函館、北斗両市、七飯町でつくる第1回「新函館(仮称)駅・現函館駅間の鉄道アクセスの充実」に関する検討部会が27日、北斗市の函館スパビーチホテル海王館で開かれた。JR北海道や鉄道運輸機構などへの提案を目指し、在来線を活用した新駅―現駅間のアクセス充実に向けた要望事項案などが示された。

 道新幹線開業時の経済効果を最大限に発揮するためのアクションプラン(行動計画)の各施策を個別に協議する部会として初めて設置され、関係者13人が出席した。

 部会では現状課題を整理し、①現駅までの各駅停車所要時間を20分以内に短縮するための車両開発・軌道整備②対面乗り換えホーム整備の早期明確化と繁忙時に4両編成にも対応できる函館方面在来線ホームの実現―など6点の要望事項案を確認。来年上期に想定される軌道、駅舎など設備の工事の認可申請時期をめどに、関係機関に対して要望活動するための作業工程の案も示された。

 これらの案を各自治体が内部検討し、結果を来年1月に開催予定の次回会合で報告。要望事項の合意に向けて協議を進め、来年3月以降の要望活動開始を計画している。(宮木佳奈美)


◎食育フォーラム 食品ロスをテーマに講演やパネル討論

 北海道農政事務所主催の「食育フォーラムinはこだて~食品ロスから考える食の未来」が27日、函館市民会館(湯川町1)大会議室で開かれた。参加者は本来食べられるのに廃棄されている「食品ロス」について学び、低迷する食料自給率や無駄の多い食生活を見つめ直した。

 食べ残しや売れ残りで家庭や事業所から年間約1900万トン排出される食品ロスを減らし、現在40%を切る食料自給率を上げようと、道南では初企画。函館短期大学食物栄養科准教授の村田まり子さんが講演し、市民や学生、農業従事者ら約50人が参加した。

 村田さんは食生活の欧米化による栄養バランスの変化や、▽作りすぎない▽買いすぎない▽頼みすぎない―という食品ロス削減の3原則を解説。「飽食で食の大切さの意識が薄れ、食べ残しなどで家庭からも年間200万―400万トンの食品ロスが出ている。五感を活用して免疫力を向上させることが必要」と訴えた。

 続いて生産者や事業者、消費者の各代表らがパネル討論。生ごみを堆肥(たいひ)化して有機野菜を栽培する市内のホテルテトラの岩館竜也主任は「収穫した野菜はホテルで安く提供でき、社員教育やエコにも役立つ」と話し、北斗市の農業生産者団体八百―ねっとの高坂重勝代表は「子どもたちに農業現場を見せる機会を増やし、『いただきます』の精神を知ってもらいたい」と述べた。コープさっぽろ函館地区担当の田中いずみ理事は「食材を上手に使い切るためのレシピの提案を」と語った。(森健太郎)