2009年11月29日 (日) 掲載

◎クリスマスファンタジーが開幕

 函館の冬を代表するイベント「2009はこだてクリスマスファンタジー」(実行委主催)が28日、函館市末広町の赤レンガ倉庫群などを会場に開幕した。点灯式では、大勢の市民や観光客がカウントダウン。約20㍍のメーンツリーに約5万個の電球が一斉にきらめくと同時に海上から花火も打ち上がり、会場は一気に熱気に包まれた。

 午後5時半から行われたオープニングセレモニーでは、JAL(日本航空)の客室乗務員で組織するハンドベル隊「ベルスター」が登場し、クリスマスソングなどを披露。続いておなじみのサンタのキャラクターや、開港150周年の特別ゲストとして「ペリー提督」が紹介された。点灯式では西尾正範函館市長や在日カナダ大使館のクリスティーン・ナカムラ広報担当参事官らが登場しスイッチを押すと、ツリーの電飾が華やかに輝き、観客らかは歓声や拍手が沸き起こった。

 メーン会場では引き続きスペシャルライブが行われ、函館出身の女性2人組「The Letter (ザ・レター)」の熱気あふれるライブが繰り広げられた。

 ツリーのイルミネーションは12月25日までの期間中、毎日午後4時半から同5時45分までと同6時から翌日午前零時まで点灯される(金、土曜日と22―25日は翌日午前2時まで)。(小川俊之)



◎五稜星点灯 きらびやか

 国の特別史跡・五稜郭の堀を電飾し、星形を浮かび上がらせる「五稜星の夢(ほしのゆめ)」(実行委主催)のイルミネーション点灯が28日、始まった。来年2月28日まで3カ月にわたり、冬の函館の夜をきらびやかに彩り、市民や観光客の目を楽しませる。

 同イベントは1989年から市民ボランティアでつくる実行委が毎年実施。堀の周囲約1.8キロに約2千個の電球を張り巡らせた。

 この日は、午後5時に電球がともされると同時に花火も打ち上げられ、幻想的な光の競演に五稜郭タワーの展望台の来場者から歓声が上がった。この後、同展望台では函館観光大使で「五稜の夢」を歌う歌手、平田まりさんのミニライブも行われ、イベントを盛り上げた。

 室蘭市から日帰りツアーで訪れたという鈴木征治さん(65)は「想像以上に素晴らしい光景に感動した。機会があればまた訪れたい」と話していた。3年前からボランティアとして電球の設置作業に携わっている函館市本通の山崎茂さん(76)は「大勢の観光客の皆さんがイルミネーションを楽しんでくれてとてもうれしい。これからも函館を盛り上げるために頑張っていきたい」と意欲を見せていた。

 イルミネーションは来年2月28日まで、毎日午後5時から同10時まで点灯する。 (小川俊之)



◎企画「新・函館市合併5年」(中)■市民サービス 財政状況見極め公平に

 「役場と支所は違う」。旧4町村地域の住民は濃淡の違いこそあるが、この意識は等しく持っている。函館市議会会派の民主・市民ネットが11月、旧4町村地域で実施した住民との意見交換会でのこと。主催者が「支所では融通がきかなくなったという意見がある―」と話したとき、参加者の幾人かが同時にうんうんと首を縦に振った。

 出席した水産加工会社で働く女性(63)もそのひとり。「仕事の関係でイベントにかかわったが、連絡がスムーズでなくなった」と感じた。女性の知人が支所に戸籍関係の書類をもらいに行った時は、「以前は書き方を親切に教えてくれたのに、今は職員の態度が横柄で命令されたよう」という。

 住民のこうした感情に各支所も最大限配慮をしている。椴法華支所の三輪秀悦支所長は「古くから地域にいる顔見知りの職員が異動でいなくなり、旧函館市の職員が転勤してくることに違和感を感じるのではないか」と考えた。職員にはできる限り地域に出かけ、窓口に来た住民には職員から声をかけることを求めるなど、住民の目線に立った対応を指導。しかしこれらを実践してもなお「“知っている人がいない”という精神的な影響が大きい」と実感する毎日だ。

 支所から顔見知りの職員が少なくなる背景には、行財政改革による大胆な職員削減がある。合併直前の旧4地域には304人の町村職員がいたが、直後には282人に。支所の組織機構統合など大規模な改革を経て、ことし5月1日現在で合併前と比較し半分の151人となった。こうしたなかで、水道局の東部営業所のように4地域の業務を1カ所に集約したり、東部保健事務所を拠点に保健師が4地域を巡回するなど業務の効率化を図ることで、職員減に対応している。

 4地域の住民数(10月末現在の住民基本台帳で1万5127人)は、富岡町1―3丁目と田家町を合わせた住民数にほぼ等しいが、地域の広さはその比ではない。市行政改革課は「住民の割合は少ないが地域は広く、支所をなくせば住民サービスに支障を来すだろう」との理由で、「“当面の間”支所の廃止や統合は考えない」との姿勢を保ち続ける。

 高齢化が進むなか、旧市内と4地域との整合性が取れない事業も出てきた。旧市内では高齢者や障害者らの交通料金を半額から全額助成する交通機関等利用証を1973年から発行しているが、4地域ではこれがない。代わりに団体などの利用に限り無料で使える地域福祉バスを運行したり、恵山・南茅部病院への通院バスを運行する。

 市議会などでは、この利用証と福祉バスのサービスの差異や財政負担がたびたび取り上げられ、西尾正範市長は「見直しが必要」との見解を示した。見直した結果は「新年度から適用させる」(福祉部)とするが、これまで実施してきたサービスを縮小することは難しいし、新たに拡充するにも財源が必要だ。どの事業についても市は、財政状況を見極めながら少しでも公平な住民サービスが提供できるよう、懸命に着地点を探っている。(小泉まや)


◎オンパク開幕 「寿司職人」体験プログラムなど

 湯の川温泉街を中心に展開する体験型イベント「第5回はこだて湯の川温泉泊覧会(オンパク)」(実行委主催)が28日に開幕した。初日はベテランすし職人から握り方を教わる「アナタも寿司職人」「湯の川温泉の『朝食』を楽しむ」など6プログラムが行われた。

 今回は湯の川温泉街の魅力を再認識してもらおうと、会場を温泉街に特化した33プログラムを企画。12月6日までの9日間、開催される。

 初日に湯の川プリンスホテル渚亭で開催された第1回からの人気プログラム「アナタも寿司職人」では、知人と3人で参加した市内の公務員、和田紘徳さん(25)がすし職人を体験。同ホテルのベテランすし職人、岩田寿さん(44)と杉田義明さん(57)から握り方やシャリの量などを教わった。

 約30分の“レッスン”でコツをつかみ、イカやエビなど7貫を握り、一緒に参加した知人に振る舞った。和田さんは「親切、丁寧に教えてもらい、それなりに形になったと思う」と笑顔で話し、最後にプロが握ったすしも味わった。同プログラムは12月4日も行われる。空き状況の確認は同ホテルへ。

 ほかにも最終日まで、多彩なプログラムが用意され、定員に満たないプログラムは申し込みを受け付けている。プログラムの詳細、開催日時は、湯の川温泉の各ホテル・旅館、市役所などで配布中のガイドブックに掲載。予約はTEL0138-36-2525またはホームページhttp://hakodate.onpaku.org/(宮木佳奈美)


◎市民オペラ「シンデレラ」熱演

 函館市民オペラの会(高市一男運営委員長)の第4回オペラ研究室公演「シンデレラ」(同会、函館市文化・スポーツ振興財団共催)が28日、同市五稜郭町37の市芸術ホールで行われた。712席の座席はほぼ満席となり、観客は美しい音楽と壮大な舞台に引き込まれた。

 物語は、強欲な継父と義姉たちに苦しめられながらも誠実な思いを貫くシンデレラに王子が心を引かれていくという筋立て。厳しい状況を描きながらも、随所に笑いを誘うコミカルな演技で観客の心をつかんだ。

 伊藤亜希子さんのピアノに合わせて、シンデレラ役の次藤正代さんや王子ドン・ラミーロを演じた前田治さんらが歌うシーンは圧巻。森洋子さんが弾くチェンバロの繊細な音色に出演者が情感を込めて言うせりふも、場面の切り替えに効果的だった。

 王子とシンデレラが結ばれ、フィナーレを迎えると観客の拍手の音で会場はいっぱいに。カーテンコールが終わるまで拍手は続いた。本町の女性(45)は「オペラは初めてだったが、出演者の歌と演技が素晴らしく時間を忘れた」と話していた。(黒田 寛)