2009年11月3日 (火) 掲載

◎新型インフル 医療態勢強化 混乱なし 函館市夜間急病センター 10月最多の2910人

 インフルエンザの流行が続く中、函館市医師会が運営する函館市夜間急病センター(五稜郭町23)の10月の診察患者は2910人と、1976年6月の開設以来、最多となったことがわかった。このうち診察患者の49・8%(1449人)を小児科が占めている。同センターでは、患者数急増に対応し日曜・祝日に医師を増やすなど、近隣自治体と連携をしながら医療側の態勢を強化。大きな混乱はないが「利用者の協力によりさらにスムーズな診察態勢が可能になる」と呼び掛けている。

 同センターのこれまでの月間の診察患者の最高は、1996年12月の季節性インフルなどの影響による2748人だった。それを上回る今回は、駐車場が満車になり診察は夜更けまで続くことも。一日で最も多く185人の患者が訪れた10月11日と17日には、待ち時間が3―5時間となるなど患者側に負担が強いられた。

 函館小児科医会は、新型インフルエンザが子どもを中心に多く発症しているのを受け、休日当番医の小児科態勢の充実を図る方針を緊急的に決定。同センターでは10月25日から11月中の日曜・祝日に内科医を1人増員し、対応を図っている。

 態勢強化後は「待ち時間は2時間ほどと短くなった。患者数が減少しているのもあるが、診療態勢の強化がプラスに働いている」(同センター)。その一方で、利用者側に医療現場への理解を求める声も。

 小児科の処方薬は内科に比べ、調合に時間がかかる。子どもの年齢や体格など、薬の微妙な調合に慎重さが求められるためだ。それにもかかわらず、待合室で診察を待つ家族が窓口に「あと何分くらいですか?」と状況を尋ねることが多く見られ、その都度、事務員らが医師に確認することで医療現場の効率が低下しているという。

 医療関係者は「一秒でも早く、診察を受けたい気持ちは十分わかる。しかし、医療従事側も一刻も早く診察を図ろうと努力している」と話し、「一層の医療環境の充実には患者と医療従事側双方の協力が不可欠。多くの人にこの背景を把握してもらいたい」と理解を求めている。(田中陽介)



◎函館で初雪 函館で昨年より2日早く

 函館海洋気象台は2日朝、函館市内で初雪を観測したと発表した。平年と同じで、昨年より2日早い。また七飯町の駒ケ岳(1131メートル)でも初冠雪を記録。こちらは平年より9日、昨年より5日遅かった。

 この日は本道上空に季節外れの強い寒気が流れ込んだ影響で各地で気温が下がり、函館では午後3時51分に氷点下0・1度を記録。今シーズン初の冬日となった。駒ケ岳の頂上付近では一面に雪が降り積もり、鮮やかな銀世界が広がった。函館市内では時々雪がちらつく程度で積雪は記録されなかったが、市民らは突然の冬将軍の到来に、コートに身をすくめるなどして寒さをしのいでいた。

 同気象台によると、3日朝にはさらに強い寒気が入り込み、予想気温は氷点下4度。函館市内では場所によっては3センチほどの積雪が見られるという。寒さのピークは3日で、4日以降は平年並みの気温に戻ると予想している。(小川俊之)



◎ウォレン駐日英国大使が来函

 英国領事館のデビッド・ウォレン大使(57)が2日、函館日英協会(河内孝夫会長)が開いたイギリス領事館開設150周年と函館開港150周年記念祝賀会に合わせ、函館を訪問した。第二次世界大戦中に亡くなったイギリス人の慰霊碑訪問や講演を行い、地元住民との交流を深めた。

 駐日英大使の函館訪問は、2001年9月のスティーブン・ゴマソール大使以来8年ぶりで、今回はパメラ夫人も同行しての来函となった。

 ウォレン大使夫妻は午前10時半ごろ、函館市昭和2の曹洞宗永全寺(齊藤隆明住職)を訪れ、慰霊碑「世界平和祈念塔」に花を捧げた。

 同塔は、第二次大戦中に日本の戦争捕虜となり函館の捕虜収容所で亡くなったイギリス人など外国人を慰霊するために、2000年に建立。過去には生き残った捕虜本人やその家族らが慰霊に訪れているが、英大使が訪問するのは今回が2人目。

 ウォレン大使は「過去の悲しいできごとを振り返るのは辛いが、犠牲者が函館の地で丁重に扱われていることにとても感動した」と話した。

 午後には函館市役所を訪れ、西尾正範市長と懇談。午後6時からは市内のホテルで「今日の英国」と題して講演を行い、約60人を前に「異国からの移住が進み、ロンドンはさまざまな文化が調和するクリエーティブな街に変化している。日英は多くの経験を分かち合える」と述べ、両国の友好関係を強調した。(千葉卓陽、小川俊之)


◎函館市、国保の資格証明書世帯 短期証を交付

 函館市は、国民健康保険の被保険者のうち、医療費を全額支払う「資格証明書」が交付されている全542世帯(739人)に対し、11月から2010年1月まで3カ月間使用できる「短期被保険者証」を発行した。新型インフルエンザの流行を受け、感染した市民が受診控えをしないよう環境を整えることで感染拡大の防止などに努める目的がある。

 資格証や短期証は、保険料を滞納している世帯などに交付される。市によると、国は各自治体に対し、新型インフルに感染した資格証患者が申し出た場合は医療費の自己負担が少ない短期証の発行を求めておりこれに従った。道内の自治体でも小樽や苫小牧などが10―12月の、旭川が11月―10年1月の短期証を発行している。函館も最も流行が懸念される期間に設定した。

 市の国保の被保険者は4万9057世帯(7万9720人=9月末現在)。短期証は10月26日に発行し、各世帯に郵送した。市国保年金課は「感染症の流行を受けてこのような対応をするのは始めて。対象世帯の安心にもつながるのでは」と話す。(小泉まや)


◎高専ロボコン道大会 函館V全国へ 「タコ+イカ」合体 動き工夫

 「アイデア対決・全国高等専門学校ロボットコンテスト(高専ロボコン)2009」の道地区大会(高専連合会など主催)が1日、函館市戸倉町の函館高専で行われた。函館高専Aチームが見事優勝し、地区代表に選ばれた。

 今年で22回目。競技は2台の歩行ロボットがダンスパフォーマンスを繰り広げ、3分間の制限時間内に行った課題数や演技の難易度を競う。道大会には函館、苫小牧、釧路、旭川の高専各2チームの計8チームが出場し、トーナメント方式で対戦した。会場には市民や道内の関係者ら約310人が集まった。

 優勝した函館高専Aチームは、土台のレール上を本体が左右に動き、重心移動で歩行するタコ型の手動ロボットと、イカ型の自動ロボットの組み合わせ。学生らが工夫を凝らしたロボットの個性的な動きに観客の注目が集まり、試合の度に歓声が沸いた。道地区代表推薦枠には旭川高専Bチームが決まった。

 家族で訪れた函館中央小5年の藤井一彌君(11)は「函館チームを応援している。ロボットが移動するのが面白い」と喜んでいた。

 全国大会は22日に東京で開催。放送はNHK総合テレビで15日午後1時35分と12月28日同10時からの予定。(新目七恵)

 優勝、推薦以外の結果は次の通り。

 ▽準優勝=苫小牧A▽アイデア賞=旭川A▽技術賞=同B▽デザイン賞=釧路A▽ベストカップル賞=函館B▽特別賞=旭川B、函館B、釧路A、同B、苫小牧B