2009年11月30日 (月) 掲載

◎千代田小・高橋君 4度目全国に…チャレンジキューブパズル

 函館千代田小学校(梶利明校長)6年生の高橋青玄君(12)が、このほど札幌で行われた本年度の道科学技術振興作品展(道発明工夫教育連盟主催)で特別賞の「道小学校長会会長賞」に輝いた。出展したのは、来年度の同小開校60周年を記念した木製の立体パズルとオブジェの「チャレンジキューブパズル」。小2からアイデア作品作りに毎年取り組む高橋君は今回が4度目の全国大会出場となる。小学校生活最後の挑戦に「入賞を狙いたい」と意気込んでいる。

 作品は正方形ブロックを組み合わせたパズル。4面が「60」に形づくられ、それぞれ春夏秋冬をイメージして色付けした。発砲スチロールとフェルトなどで作った大型判とその縮小版となる木製の2種類を用意し、色や形を手掛かりに組み合わせて遊ぶ。

 制作には夏休みの約2週間を掛けた。野球少年団の活動の合間などを縫って考え、「大きいけど軽くて丈夫。誰でも運べるように工夫した」と話す。第55回函館地方児童生徒発明くふう展で函館市教委教育長賞に輝き、全道大会に選出。今回の受賞について「時間がなかったのでだめかと心配だったけど入賞してうれしかった」と笑顔を見せる。

 「アイデアはいきなりぱっと思い付く。作るのは楽しいし、入賞するとうれしい」という高橋君。将来は「発明や研究で名前を残したい」と話している。(新目七恵)



◎ザ・レターが地元ライブ

 函館出身の2人組女性バンド「The Letter(ザ・レター)」が29日、五稜郭タワー(函館市五稜郭町43)アトリウムでアコースティックライブを行った。同バンドの前身である「sisters(シスターズ)」時代以来約5年ぶりの地元でのステージに、観客から温かい拍手が送られた。

 ザ・レターはボーカル&キーボードの伊藤千恵さんとギターの松谷美沙さんらが中心となり1998年にシスターズとして結成し、2001年にはソニーミュージックから「失えないもの」でメジャーデビュー。その後、ザ・レターにバンド名を改め、現在は渋谷や下北沢を中心に精力的なライブ活動を展開している。

 28日にも「はこだてクリスマスファンタジー」のオープニングアクトとして登場。29日のライブでは、ギターとキーボードのシンプルな伴奏をバックに、「さよならを捨てに行く」や「5番目の季節」「朝」などのオリジナル曲を中心に8曲を披露。透明感がありながらパワフルな伊藤さんの歌声がアトリウム内に響き渡った。伊藤さんと松谷さんは「久しぶりに函館で演奏ができてとてもうれしかった。今後も機会があれば地元でライブしたい」と話していた。(小川俊之)



◎企画「新・函館市合併5年」(下)■漁業振興 基盤強化で生産額増加

 漁業を基幹産業とする旧4町村との合併を機に、函館市は道内屈指の水産都市に変ぼうを遂げた。漁業生産額は一気に約4倍に膨らみ、常に全道1位の座を争う。04年度の181億円に対し、08年度は197億円と生産額は増加傾向で、目標とする200億円まであと一歩と迫っている。戸井地区のある漁業者は「合併してから漁業の面で悪くなったことはない。多くの施設も合併したからこそできた」と話す。

 市は漁業振興策として、旧市で実施していた、上限1000万円の無利子貸付金を旧4町村に普及させた。合併前の04年度の予算額は2300万円だったが、利用者の急増で本年度は1億3000万円を計上している。「利用者の多くは旧4町村の漁労者で、好評を得ている。本年度の利用も1億円は超える見込み」(市水産課)という。

 また旧4町村を含めた漁業振興策をまとめた「函館市水産振興計画」を07年度からの10カ年計画として策定。計画は水産資源の維持増大を図り、担い手の育成などを目指した。漁港のハード面の整備をはじめ、ウニ人工種苗の放流やコンブ養殖施設の設置など資源の増大事業、イカやマグロなど水産物のPRやブランド化を推進してきた。

 同課は「回遊する魚類だけに頼るのではなく、コンブなどの沿岸資源を育てることで、漁業者の安定した収入につながる」とする。漁業振興策を決定する本庁と、窓口となる支所との連携に関しても「合併前と比べるとスピードは落ちているが、それでもスムーズな取り次ぎを徹底できた」と南茅部支所の梅田誠治支所長は振り返る。

 一方で、漁業就業者の減少や高齢化、漁価の低迷、燃油、資材の高騰など、合併前から課題となっていた不安材料は解消される気配はない。特に後継者不足は漁獲量、生産額に直結するだけに頭の痛い問題だ。就業者は1995年から05年までの10年間で4926人から3497人と、1429人減少している。

 南茅部地区川汲町内会の酒井鉄雄会長は「漁業に希望が見えないから若者が残らない」と話し、負のスパイラルを嘆く。新規で漁業に携わるとしても初期投資に1500万円以上かかり、その敷居は高い。誰かが漁師を辞めた際、船や施設などを新しい人に引き継ぐシステムがないことが新規就労を阻んでいるとの声も聞かれる。

 市地域振興課は「まずは水産業を安定させ、若者が就労しやすい魅力ある環境整備を進め、水産振興につなげることが必要」と語る。

 漁業振興なくして旧4町村地域の発展はない。それは水産・海洋に関する世界有数の学術研究都市を築く「函館国際水産・海洋都市構想」の実現に向けても不可欠だ。イカやガゴメを活用した新商品の開発、産学連携の研究事業などは着々と成果を上げており、これらの研究成果を集積して新産業を創出し、新・函館市全体が発展していくためにも、漁村地域の活力や浜全体の活気を持続させる取り組みが一層重要となる。(山田孝人)


◎「海」「科学」触れ合う場に…水産・海洋研究拠点 整備基本計画案まとまる

 函館市はこのほど、「函館国際水産・海洋都市構想」の一環として旧函館ドック跡地に整備する水産・海洋研究拠点の整備基本計画案をまとめた。ドック跡地全体を「函館マリンサイエンスパーク(仮称)」と位置づけ、多くの市民が「海」や「科学」と触れ合う場所として整備する考え。庁内や各高等教育機関などからの意見聴取を踏まえ、市は年内の成案化を目指している。

 基本計画案では、ドック跡地(11・3ヘクタール)を研究開発拠点エリア、市民交流エリア、港湾機能エリアとして整備する。

 研究開発拠点エリアには、中核施設となる「国際水産・海洋総合研究センター」を整備。産学官連携機能として各学術研究機関を結びつけるコーディネータセンターも設けるほか、社会教育での活用を視野に、公開講座や子どもの体験学習が可能なスペースなども整備する。

 市民交流エリアでは屋外飼育・展示交流スペースとして「ふれあい人工海浜」などを整備し、市民や観光客が海や海洋科学に親しめる場所とする考え。また、港湾機能エリアは北大水産学部の「おしょろ丸」といった、調査研究船の寄港基地とする。

 事業費は土地整備費などを含め、約40億円と試算しており、財源はすべて合併特例債を充てる考え。特例債の適用期限(2014年度)を踏まえ、来年度から基本設計、実施設計、建設を進め、14年度の供用開始を目指している。(千葉卓陽)


◎7―9月期の道南経済 4年ぶり上方修正

 函館財務事務所は7―9月期の道南経済概況「道南経済レポート」を発表した。個人消費や生産活動の一部に改善の動きがみられることから、総括判断を前回(4―6月期)の「厳しさを増している」から、「一部に持ち直しの動きがみられるものの、厳しい状況が続いている」に上方修正した。上方修正は2005年10―12月期以来、約4年ぶり。

 項目別では個人消費が「一部に持ち直しの動き」に判断が上向いた。主要小売店7社の売上高が、商品の低価格化傾向に加え、天候不順による夏物商品の不振で、前年同月比10・9%減。食料品スーパー(4社)の売上高は、店舗間の値下げによる消耗戦が続き、消費者の節約志向の高まりと相まって同1・7%の減となった。

 ホームセンター(4社)の売上高は競合店などの影響で前年割れとなる店舗がある一方、新設店効果がマイナスをカバーし、同2・1%増となった。家電は、エコポイント制度の効果で薄型テレビが堅調だが、パソコン、デジタルカメラ、携帯電話などは節約傾向から動きが弱まっている。

 自動車販売は、エコカー減税などの政策効果で、小型自動車が同7・3%増、軽自動車は同6・1%減となったが減少幅は縮小し、全体では前年並みまで持ち直している。

 観光、住宅着工、公共事業とも判断は「前年を下回る」となった。観光は主要宿泊施設(18施設)の宿泊数が前年同期比5・9%減、この影響もあって観光施設の利用客も同2・8%減となった。同事務所は「高速フェリーや日航関西便の廃止の影響がある」と指摘する一方、「9月は大型連休(シルバーウイーク)の効果で宿泊者数を押し上げた」と分析する。

 住宅着工(函館、北斗市)は前年同期比34・2%減の456戸。特に賃貸向けが前年に好調だった反動から、同57・1%減と大きく前年を下回った。公共事業は景気対策による前倒し発注があったが同13・8%減で、函館競馬場のスタンド整備工事があった前年を下回った。

 生産活動は、前回の「一部持ち直しの動き」から「一部で高水準」に改善。携帯電話向け電子部品が好調で、在庫調整が進み、「生産を近年のピーク時にまで戻している企業もある」(同事務所)という。(宮木佳奈美)