2009年11月5日 (木) 掲載

◎感動の卒業式 写真で再び 今春閉校の恵山高

 今春閉校した函館市立恵山高校の卒業生の笑顔を鮮明に伝える写真が5日から、函館市元町18のFMいるかぎゃらりー807に展示される。展示場には最後の卒業式で生徒、保護者、教職員らが歌った校歌の生音源も流れる。卒業生13人の門出を祝う温かな励ましに加え、地域の教育と産業の発展に貢献してきた高校への感謝の念が込められている。10日まで。

 函館市大川町の原惇さん(72)が会長を務める写真愛好家グループ「フォト北風」の作品展の一角に、4枚を展示する。校舎前で腕を組んで記念撮影する場面、思い出話で盛り上がる様子と、いずれも満面の笑みが印象的だ。

 写真は原さんが撮影した。恵山高校と原さんは直接的な関係はないが、20年前、椴法華の漁協に冷蔵業の関係で世話になる機会があった。漁協関係者に卒業生は多い。漁協へ向かう車中、旧校舎があった日ノ浜地区で、当時の生徒が部活や各種行事で奮闘する姿を幾度も見て、恵山高に親しみを感じていたという。

 そうした中で今春、新聞報道で閉校を知った。「写真を残そうとか、記録にとどめようという目的ではなく、何よりもその場に居合わせたくて」。気が付くと、恵山に足を運んでいた。

 最終学年は13人。後輩はいなく、この面々で3年間を過ごした。「子どもたちがどれだけ寂しい思いと複雑な心境で青春を過ごしたかと思うと涙が出てくる。ただ、恵山高の有終の美にふさわしい立派な卒業式だった」と振り返る。

 校歌斉唱が始まる前、教員に録音の許可を求めた。「広い体育館に負けない、大きな声と美しいハーモニーに感激した。『きずな』という歌詞が胸に響いた」という。

 式当日、もう一つ忘れられない感動をした。正面玄関前での記念撮影時、アングルを気にかける原さんに一人の生徒が言葉をかけた。「そっちの雪の中にぼくらが移動すれば大丈夫でしょうか?」。何気ない気遣いが原さんの心にしみた。そして「この輝きある卒業式の雰囲気を、多くの人に知ってもらいたい」と写真展での紹介を持ちかけ、関係者の協力を得た。

 原さんは「あれから半年がたち、新生活で悩みや問題に対面している卒業生がいるかもしれない。だが『恵山高校で学んだことが必ず生きてくる。胸を張って頑張ってもらいたい。価値ある人生を送れよ』と、あらためてエールを届けたい。これが何よりの願い」とやさしい表情を浮かべる。



◎適正分類率が低下 函館市09年「燃やせるごみ」調査

 函館市が行った2009年のごみ組成分析調査で、市内から排出された「燃やせるごみ」の適正分類率(重量比)は前年より2・9ポイント低下し93・7%で、「燃やせないごみ」も同0・1ポイント低下し87・6%と悪化した。燃やせるごみに出された資源の割合が若干増えていることから、市環境部は「正しく分別してごみを減らして」と呼び掛けている。

 2002年から毎年、詳細な調査を実施している。市内の各地域から収集したごみの一部をかくはんし、各200キロを採取。10月上旬に、各種の紙や金属、プラスチック、缶、瓶など33種類に分けて重量や容積を調べた。

 「燃やせるごみ」として適正に分類されたうち、例年最も多い割合を占める生ごみは、前年比16・9ポイント増の64・3%。前年までの5年連続40%台が突然増加した要因として同部は、「外食を控え家庭で食事する機会が増えた」ことなどを挙げ、たい肥化や排出時の水切り徹底を呼び掛け、排出抑制につなげたい考え。次いで多い紙類は10・6%、衣服などの繊維類は7・6%だった。

 不適正に分類された6・3%では、紙の資源回収潜在分が6・2%を占めており、品目別の割合は前年より増加した。一方プラスチック容器包装はゼロで、缶・びん・ペットボトルの混入はわずかだった。

 「燃やせないごみ」に適正分類されたうち最も多かったのは、前年と同じガラス類。同3・3ポイント増の38・2%で、2年連続で増加した。次いで金属類は同微減の22・6%、小型家電は同4・4ポイント減の16・8%だった。

 分類不適正だったものは、50センチ未満と汚れたプラスチック類が合わせて5・4%、繊維類が4・5%。資源回収や資源ごみの潜在分では、ガラスびんのみ0・5%混入していた。

 調査結果について同部は「全体的に分別状況は良い」としながらも、「不適正な分類が増えている品目もあり、今後も改善するよう啓発する」と話す。



◎台湾観光客 呼び込もう

 函館市や経済界の代表者ら9人でつくる「東アジア地域(台湾)観光客誘致訪問団」(団長・森川基嗣函館商工会議所副会頭)が4日、台湾に向けて出発した。函館市の谷沢広副市長、函館国際観光コンベンション協会の木村孝男会長らで組織。一行は現地の航空会社や旅行代理店を訪問し、チャーター便の増便や定期便開設を要請する。

 市によると、函館―台湾間を運航してきたマンダリン航空が今年2月に撤退したことを受け、昨年全社合わせて621便あった台湾からのチャーター便は、今年はこれまで約190便にとどまっている。台湾からの観光客も前年同期比で7割減少しているという。

 函館空港(高松町)で開かれた出発式で森川団長は「台湾観光客は函館にとって重要。円高や金融危機、新型インフルエンザなどの影響で難しい状況だが、函館に多くの観光客を呼べるようにしたい」と決意を述べた。

 一行は現地で2班に分かれ、1班はエバー航空や中華航空を訪問し、航空路線に関する要請を行う。2班は旅行代理店などを訪問し、観光需要動向についての聞き取り調査などをこなし、6日に帰函する予定。


◎9日に弁当300円→55円 たつみ5555日記念

 函館市東川町6の「たつみ食堂 本店」(山田征勝店主)が9日、無休営業連続5555日の達成を記念し、通常300円の弁当を55円で販売する。山田店主(68)は「客とのつながりがやりがい」と話し、節目を喜んでいる。

 同店は1973年7月、山田店主が「商売をやりたい」と転職して開業。93年に腰痛のため半年間休業したが、94年7月下旬に再開してからは1日も休まず営業を続けている。

 開業当初、メニューはラーメンなど5種類程度だったが、「客の喜ぶ顔が見たい」と研究を重ね、現在はどんぶりや定食、ランチなど幅広い種類を用意。中でもサクサクした皮と中身まで味がしみこんだジャンボとり定食は人気の商品の1つだ。

 どれも安価でおいしいのが評判で、テレビなどでも紹介されている。店は開業時から手伝う姉の内田ミネさんや3女の拓美さんらと一緒に切り盛りし、地元のサラリーマンや観光客らが集う大衆食堂として親しまれている。

 「観光客が数年後に再び店に来て、声を掛けてくれるのがうれしい。地元の人ももちろん、客とのつながりが店を続けるやりがい」と山田店主。「1日1日の積み重ねで無休営業6000、7000日になれば。絶対休みません」と笑顔で話している。

 9日の弁当販売は午前11時から。限定100食を用意する。店の営業時間は午前10時半から午後9時半。

 問い合わせはTEL0138・22・1310。


◎函館市初の女性消防士・鈴木さん 奮闘中

 函館市消防本部に初の女性消防士が誕生―。今春、同本部に採用された北斗市出身の鈴木早姫さん(23)がこのほど、半年間の研修を終えて函館東消防署警備係に配属された。鈴木さんは「市民の安全を守るやりがいのある仕事。常に上を目指して頑張りたい」と、昼夜を問わず、万が一の出動に備えている。

 鈴木さんは、道教育大函館校4年時に、消防士を目指した。例年、同本部の消防士採用数は若干名。水泳で鍛えた体力には自信があったが、さらにトレーニングを続けて、見事に1回目の受験で狭き門を突破した。合格後、両親も「人の役に立つ仕事なのだから、しっかり頑張るように」と後押ししてくれたという。

 採用後の4月から約半年間は、江別市の道消防学校で関連法規の勉強や、火災現場を想定した救助訓練などを積み重ね、先月末に同署に着任した。現場で消防士が背負う装備一式の重量は10―15キロほど。鈴木さんは「最初は重くて、身動きが取れない中で人を助けるのは大変だと思ったが、ついて行けるようになった」と話す。

 消防士は24時間交代制で、1日置きの勤務が続く。4日午前の時点で、火災現場への出動経験はないが、慣れない緊張の中でも、非番の日もランニングや筋力トレーニングは欠かさずに行っているという。同署の山田芳弘警備1係長は「現場では、緊張しすぎても落ち着きすぎてもだめ。最初は不安や緊張もあると思うが、乗り越えるためにも訓練を重ねてもらいたい」と語る。

 鈴木さんは「男性に負けないようにとは思うが、女性だからできることを仕事の中で見つけていきたい。わたしの声かけで、救助者が落ち着きを取り戻し、安心させることができれば」と、市民の生命を守る使命に意欲を高めている。