2009年11月7日 (土) 掲載

◎乙部でスケトウダラ漁始まる

 【乙部】日本海に冬の訪れを告げるスケトウダラ漁が6日未明、乙部沖で始まった。近年は漁獲量の減少や海洋環境の変動などの逆波にもまれているスケトウ漁だが、大漁の期待を背負った約40隻の漁船は、エンジン全開で暗闇の海へと乗り出した。

 乙部・熊石沖の「爾志(にし)海区」では、しけの影響で5日の出漁を1日延期。波も静まった6日午前4時すぎには、豊浜船団(明石晃司船団長、13隻)が、月明かりに照らされた豊浜漁港を一斉に出港。漁業者の信仰を集める諏訪神社の真下にある入江に集結して、神酒を海に注ぎながら漁の安全を祈った。

 同4時半過ぎには、海区の主力・乙部船団(松崎敏文船団長、17隻)も、乙部漁港に立ち込める水蒸気を払いのけ、白波を立てて沖合の漁場を目指した。

 檜山沖のスケトウ漁は道内では数少なくなったはえ縄漁で行われる。正午過ぎには、この日の漁を終えた船団が続々と帰港。釣り上げたばかりのスケトウを岸壁に荷揚げした。魚体の形はまずまずだが、道立函館水産試験場などの予測通り、漁模様はいまひとつ。ある漁業者は「海水温が下がるこれからが本番だ」と意気込んだ。

 水揚げ間もないスケトウは、生食用や加工原料として国内外に出荷される。近年はチゲ鍋の材料として韓国への輸出量が増加していたが、急激な円高の影響もあり苦戦している。ひやま漁協(乙部町)は、抜群の鮮度を生かして、首都圏など国内販売にも力を入れる方針。今季のスケトウ漁は10日には江差沖でもスタートする。(松浦 純)



◎ノニ果汁入りマコンブしょうゆ発売へ

 東京の酒屋と函館の老舗醸造が協力し、南茅部産のマコンブと南国の果物「ノニ」を調和した特製しょうゆが、11月中旬にも発売される。保存料などの添加物を一切使用しない、昔ながらの味を追求。「おいしい味で、健康にもいい。しょうゆは日本料理に欠かせない調味料。本来の味覚を、ここ函館から全国、世界へと広げていきたい」と関係者は意気込んでいる。

 東京・国立市の酒屋「広島屋」が販売元となり、函館市栄町の「道南食糧工業」(河野光博社長)が製造する。しょうゆの原料は大豆、小麦、塩。これに、日持ちさせるために保存料を加えるものが主流だが、ヨーロッパではこの保存料に規制を設ける国が少なくないという。

 「保存料を使わず、栄養とうまみが凝縮された逸品を」と広島屋が道南食糧に、特製しょうゆづくりを持ちかけた。道南食糧も「健康面に配慮し、道南の魅力発信にも熱心だ」と広島屋の姿勢に心打たれ、全面的に協力。今年7月から試行錯誤を重ね、10月中旬に両者の納得いく味にたどりついた。

 無添加だが「十分、日持ちできる」(広島屋の関係者)。赤道近くの太平洋の島々などで育つ果実「ノニ」(学術名・モリンダシトリフォリア)の果汁が保存料の代わりとなるという。

 ノニ果汁は健康飲料として世界各地で注目を集めている。愛飲者の中には、「常温でも日持ちする」とカレーなどの料理に少量加える人も。この実体験が、今回の特製しょうゆを手掛けるきっかけの一つになった。

 広島屋は「日本のしょうゆ文化と南茅部のコンブの質の良さを国内外にPRできる絶好の機会。おいしい料理で人々の健康を支え、さらに地域経済も潤す。この願いを実現させたい」。道南食糧の河野秀司工場長も「自社製品と同じく、ボトルに短冊のコンブを入れている。品質、味ともに責任、自信をもって製造に取り組んでいる」と話している。

 500ミリリットル入り1本630円など3種類で、市内デパートや函館空港売店などで15日前後に発売される予定。問い合わせはフリーダイヤル0120・460・403。(田中陽介)



◎HAC乗員組合が函館市訪問、JAL資本の下での路線維持訴える

 日本航空(JAL)が子会社の北海道エアシステム(HAC)の経営撤退を検討している問題で、HAC乗員組合(大山政隆委員長)が6日、函館市役所を訪れ、市や市議会にJAL資本の下での道内航空網の維持に向け、地域レベルでの協力を求めた。

 同組合の上原康文副委員長、国内航空会社の乗員組合でつくる日本乗員組合連絡会議の吉村淳議長代行ら6人が来函。市港湾空港部の高橋良弘部長との懇談で、上原副委員長は「生活路線として利用される奥尻や、ビジネスで就航率が高い丘珠とを結ぶ函館は重要な路線」と強調。「JALグループの枠組みの中での運航維持が安全運航につながる。道内路線、不採算路線をHACが運航していけるなら、JAL再建の一役を担える」と訴えた。

 高橋部長は「現状のまま運航してもらいたいという考えは基本的に同じ。道と連携して維持できるよう努力したい」と激励。上原副委員長は「地方の声が大きな波となって中央に届くと思う。地方からも世論を高めて盛り上げてもらい、路線維持を強く訴えていきたい」と話した。

 HACはJALと道が共同出資で設立し、道内6路線26便を運航している。JAL側は9月2日に出資比率を引き下げ、保有する株を道に譲渡する方針を示したが、現在は白紙状態。同組合は今後、就航先の奥尻町、釧路市も訪問する予定で、函館でもビラ配りなど存続運動の実施を検討している。(宮木佳奈美)


◎来月開催「イルミナシオン映画祭」、新旧の邦画23作品上映

 12月4―6日に開催される「第15回函館港イルミナシオン映画祭2009」(実行委主催)の上映作品とスケジュールが決まった。今年は函館で初めてロケされた「若い人」(1937年、豊田四郎監督)や昨年末に函館で撮影された「つむじ風食堂の夜」(09年、篠原哲雄監督)など新旧の邦画23作品を上映するほか、2つのシンポジウムを計画。邦画界で活躍する女優や監督ら24人もゲストに招く予定だ。

 函館山山頂のクレモナホール、金森ホール、市地域交流まちづくりセンターの3会場。初日の「つむじ風―」は八嶋智人さんが主演を務め、篠原監督がオール函館ロケで同名人気小説を映画化したノスタルジックファンタジー。同日の「若い人」は、遺愛高校を舞台に書かれた石坂洋次郎の同名小説が原作だ。

 2日目は「第30回PFFアワード」でグランプリに輝いた「無防備」(08年)など10作品、最終日は吉永小百合さん主演の青春ドラマ「キューポラのある街」(62年)、シナリオ大賞受賞作品の映画化「おと・な・り」(09年)など11作品を上映する。

 5日のシンポジウムは「中央から離れた豊かさ」と題し、函館の「海炭市叙景」映画製作実行委、九州の湯布院映画祭実行委関係者らが地方での映画作りについて語り合う。

 米田哲平実行委員長は「めったに見ることのできない『若い人』などいろいろなプログラムを用意したので多くの市民に来てほしい」とPRする。

 6日にパンフレットが完成し、市内各所に配布する。入場料は全会場共通の3日間通し券が大人5000円、学生3000円(前売りのみ)。1回券、1日券などもある。チケットは松柏堂プレイガイドなどで取り扱っている。

 問い合わせは事務局TEL0138・22・1037。(新目七恵)


◎函館市、新規高卒者の地元就職促進に向け冊子配布へ

 函館市は新規高卒者の地元での就職促進に向けて、来月をめどに市内の高校2年生に対し「地元就職リードブック」を配布することを明らかにした。先に表明している、正規雇用した中小企業に一人あたり15万円を助成するなどの緊急対策と合わせ、高卒者の就業対策を活発化させる考えだ。

 6日に開かれた市労働問題懇談会で、市が報告した。

 就職リードブックは高校生に対し、市内に存在する企業と業務内容を知ってもらうのが狙い。市内の高校2年生約3000人に配布する予定で、25社を掲載する方針。市労働課は「業種に偏りがないよう広く掲載していきたい」と話す。

 これに加え、今月と来月の計2日間、市内中小企業の人事担当者を対象にした「採用力アップ研修」を行うほか、来年3月中旬をめどに「子どもの就職を考える親の就職活動セミナー」を初開催することも併せて示した。

 また、懇談会では市内、近郊の高校の就職担当教員や企業の人事担当者を招いて意見交換。高校教員からは「就職希望の3年生は5年前は全体の25%だったが、今年は40%。進学希望に変更させたいが、経済状況が厳しい中ではままならない」「女子生徒の受け皿が少なく、四苦八苦している」など、切実な声が出た。

 これに対し、企業の担当者は「新規雇用した高校生が1年以内に退職するケースが多く、中国人研修生・実習生に頼らざるを得ない」「転勤があるとなると募集しても応募が来ない」など、定着率の向上を求める意見が寄せられた。(千葉卓陽)