2009年11月8日 (日) 掲載

◎ニシンルネサンスin小樽、ニシンで「日本遺産」を

 【小樽】ニシン漁にはぐくまれた多彩な歴史遺産を結び付けることで、日本海沿岸市町村の新たな地域づくりの可能性を探る「にしんルネサンスin小樽」(打越東亜夫実行委員長)が7日、小樽市運河プラザで開かれた。ニシンで栄えた文化を継承し、各地が連携して観光や産業振興に生かす方向性を確認した。

 イベントは江差、上ノ国、松前の3町観光協会でつくる北海道歴史倶楽部(会長・岩田良子上ノ国町観光協会長)の主催。市町村や観光関係者をはじめ、ニシン文化に関心がある住民ら100人を超える参加者でにぎわった。

 第1部では、松前、江差、上ノ国、島牧、神恵内、積丹、小樽、石狩の8市町村長らによる「ニシンサミット」が行われた。濱谷一治江差町長と工藤昇上ノ国町長は「ニシンを通じて日本沿岸の市町村が手をつないでいきたい」とアピール。

 田岡克介石狩市長は「文化遺産とともに水産資源として復活しつつあるニシンを結び付けることで地域再生を図りたい。同じ文化を持つ沿岸地域の連携でニシン情報を世界に発信したい」と呼び掛けた。小樽市の山田厚副市長も「ニシン文化の伝承や観光資源としての活用に向けた市民運動も立ち上がった。ニシン文化の継承が本道経済の活力になる」とした。

 コーディネーターの北大観光学高等研究センターの佐藤誠教授は「近世の日本経済はニシン魚肥が中心にあった。日本海沿岸の8市町村がニシンを中心とする文化や自然を『日本遺産』として打ち出すべき」と提案。出席した8市町村長も賛同した。

 第2部のフォーラムでは、観光、水産、まちづくりなどの幅広い分野の専門家が、ニシンが持つ“資源”としての可能性を議論。国交省の観光カリスマとして、小樽市の観光活性化に取り組む小川原格氏は「観光都市・小樽にも限界がある。市民を中心に取り組んでいる漁場建築ツアーは定員の3倍を超える人気だ。地域住民が主役となって文化を楽しみながら、訪れる観光客にも高品質の観光を提供したい」と力説。日本海のニシン資源に詳しい、道立中央水産試験場の瀧谷明朗研究員は「水産資源としてのニシンは漁獲量がランクアップしている。ニシンを軸にした観光と水産の連携も期待できる」との考えを示した。

 会場では、ニシン漁全盛期の活気を伝える、江差追分をはじめ、積丹鰊場(にしんば)音頭、松前沖揚げ音頭、江差もちつきばやしなどの郷土芸能も披露され、会場に詰め掛けた大勢の観客を魅了した。(松浦 純)



◎八雲遊楽部川、サケ遡上

 【八雲】八雲町を流れる遊楽部(ゆうらっぷ)川では、産卵のため遡上するサケが多く見られるようになってきた。立岩橋など鮭ウオッチンクのポイントでは、見物客らが懸命に上流に向かう姿を見守っている。

 アイヌ語で「温泉が下る川」の意味があると言われる遊楽部川には例年、約10万匹のサケが遡上するとされる。北太平洋で3、4年かけて成長し、生涯の最後にふるさとの川に戻り、河口から約20キロもの長旅をし、伏流水が湧き出る場所で産卵する。同町によると、今年は例年に比べ、遡上は遅いという。

 上流に進むにつれ、川底は浅くなり、岩も多くなるため、サケたちは勢いづけて突き進み、傷だらけで最後の力を振り絞って子孫を残そうとする。メスをめぐるオス同士の激しい戦いも見られ、川は「バシャバシャ」と体がはねる音が絶えない。

 間もなくすれば、卵や命絶えた「ほっちゃれ」を狙う鳥たちが川に集まり、命をめぐる自然のさまが展開される。(山崎純一)



◎大沼味覚市「及第点」

 【七飯、森、鹿部】駒ケ岳を囲む七飯、森、鹿部の3町でつくる「環駒ケ岳広域観光協議会」(会長・堀元大沼観光協会長)が10月16日から大沼公園広場で開催している特産品の即売イベント「秋の味覚市」は、16日の最終日まで残り6日間となった。客足は天候によって左右されているが、同協議会は「地元の人にも来てもらい、一定の成果を挙げた」と受け止め、終盤の売り上げに期待を寄せている。

 味覚市は通過型のツアー客など滞在時間の短い観光客をターゲットにし、限られた時間で、七飯と森、鹿部の3町の特産品の買い物や味覚を楽しんでもらおうと今回初めて企画した。

 大沼観光は近年、通過型観光を脱却し、滞在型に向けた取り組みを進めている。堀会長は「次の目的地に行くまで食や土産品を売り込むことでわが町を知ってもらうきっかけにしたい。長い目で見れば滞在型観光を狙った取り組み」と話す。

 味覚市は10月16日からスタート。金・土・日・月曜と祝日に午前10時から午後2時まで開場し、売り場には七飯産のリンゴや森町のイカ飯、鹿部のタラコなど3町の特産や人気商品を陳列。イカ飯や大沼牛のローストビーフ、鹿部産ボイルホタテなどを1品300円で提供した。

 客足は天候によって変わった。雪が降った11月初頭は、公園への来場者が少なく売り上げも苦戦。好天に恵まれると、特に土曜、日曜は一部の商品が品切れになるほど盛況となった。

 6日に大沼に訪れ、味覚市で買い物した伊達市の結城陽子さん(62)は「森町のイカ飯を買った。なかなか近隣の町へ寄る時間もないので大沼に売り場があって良かった」と話した。

 このほか、期間中の土曜日には、JR大沼公園駅に隣接する大沼国際交流プラザを発着点に3町の観光・産業スポットを巡る「秋の味覚ツアー」も実施し、こちらも毎回、ほぼ定員に達し、好評という。

 堀会長は「企画を立ち上げてから実施するまで期間が短く、十分な宣伝ができなかったのは反省点」と課題を挙げ、「後半は地元の人が来るようになってくれたのは大きい。次回以降に向けていろんな手法やアイデアが生まれた」と成果を語る。 (鈴木 潤)


◎棒二森屋のお歳暮総合ギフトセンターオープン

 お歳暮商戦がいよいよ本格化――。函館市若松町17の棒二森屋(井上裕司店長)のアネックス7階催事場に7日、「2009お歳暮総合ギフトセンター」がオープンした。開店前には従業員約70人が集まり出陣式が行われ、売り上げアップへ気合を高めた。

 同店では今年の新企画として、函館地域で人気のスイーツ17品から好みの5品を組み合わせる「函館スイーツセレクションギフト」(5250円)を用意。函館の逸品を集めた「選べるギフト」やグループ会社6店舗による「産地直送ふるさとギフトセレクション」などの定番商品も人気を集めそうだ。

 出陣式では井上店長が「今年も魅力的なラインアップをそろえることができた。早期割引などの利点を積極的にアピールして、売り上げ目標達成を目指そう」とあいさつ。全員による「ガンバロー」三唱で気持ちを引き締めた。

 市内の各大型店舗では、テーオーデパート(梁川町10)も同日からギフトセンターを設置。イトーヨーカドー函館店(美原1)と丸井今井函館(本町32)は18日にコーナーをオープンさせる。 (小川俊之)


◎日ハム日本一逃し函館のファンため息

 7日に行われたプロ野球日本シリーズ第6戦に敗れ、惜しくも日本一を逃した北海道日本ハムファイターズ。函館市内でもファンが一喜一憂しながら試合の行方を見守っていたが、歓声はため息に変わった。

 函館市五稜郭町にあるスポーツバー「Pump it!」では、約20人が日ハム勝利を信じ大型モニターへ声援を送った。2点を追う9回裏には、2死2、3塁と一発が出ればサヨナラのチャンスを迎えたが、最後のバッター高橋がクルーンの前に三振を喫し、ゲームセット。この瞬間、店内には「あー」という悲鳴にも似た声が広がった。

 勝利の瞬間を祝うはずだったビールによる乾杯は、敗戦を慰さめ合うほろ苦い味となった。森町から駆け付けた岩井英明さん(33)は「最後に一打逆転のチャンスがあったのに残念」と悔しさをにじませた。七飯町の小林真さん(51)は「勝っても負けても今日はダルビッシュに登板してほしかった」と残念そうな表情を見せていた。(小杉貴洋)