2009年12月1日 (火) 掲載

◎上ノ国 天の川きららトンネル」が供用開始

 【上ノ国】道道江差木古内線で2007年に着工した「天の川きららトンネル」の完成式が11月30日に行われた。式典には地域住民や工事関係者ら約80人が出席。テープカットを行い供用開始を祝った。

 式典で工藤昇町長は「トンネル開通を待望していた。道道は北海道新幹線開業時には木古内駅と檜山の日本海ルートを結ぶ重要路線になる。引き続き湯ノ岱―木古内間の整備促進に期待したい」とあいさつ。函館土木現業所の佐藤正道江差出張所長は「開通を契機に地域の発展を未来につなげて欲しい」と述べた。

 トンネル内では、工藤町長、若狭大四郎町議会議長、高橋則克檜山支庁長や町立湯ノ岱小の児童6人が参加してテープカットを行った。トンネルの命名者となった同町北村の会社員・鷲田雅美さん(37)には、工藤町長から賞状と記念品が贈られた。名称は町の選定委員会が公募。鷲田さんは「とても光栄です。トンネルのすぐそばに清流の天の川が流れている。この地域は夜の星空がとてもきれいなことを思い浮かべて考えました」と笑顔で語った。

 式典に続いて、江差署のパトカーや上ノ国消防署の消防車の先導で、関係者や住民が乗った車による“走り初め”が行われた。午後2時からは一般車両への供用も開始した。函館土現は来年度までに旧道の撤去などを進め、一連の建設工事を完了させる方針という。

 同トンネルは全長511メートル。車道幅は片側1車線の6メートル。総事業費は約19億円。旧道部分は、豪雨時の土砂災害や雪崩の危険性が高く、累計降水量が100ミリを超えた場合は通行止めになり、救急車など緊急車両の通行も規制されるなど、道路の安全確保が懸案になっていた。(松浦 純)



◎インサイド 函館土現再編…桧山の建設業界に不安も

 【江差】道の支庁制度改革に伴い来年4月、函館土木現業所は「渡島総合振興局建設部」に再編される。現在は渡島支庁の出先機関だが、再編後は総合振興局の内部部局に吸収され、総合振興局長が一元的に渡島・桧山両管内の土木行政を取り仕切ることになる。これに対して桧山管内の建設業界などからは「予算編成も渡島・桧山で一本化されれば、桧山管内ではさらなる公共工事の削減につながる恐れがある」との懸念の声も上がっている。

 道建設部の出先機関として、渡島・桧山の土木行政を担ってきた函館土現―。2004年度の支庁機構改革で渡島支庁の出先機関になった。この際、管内の社会資本整備に桧山支庁長の権限が及ばなくなることを檜山支庁管内町村会(会長・寺島光一郎乙部町長)が問題視。担当副知事などを交えた協議では、函館土現所長が桧山支庁参与を兼務するほか、桧山支庁地域振興部にも社会資本整備の担当主幹を配置することでようやく決着した。

 ところが、来年4月の支庁制度改革に伴い、道は渡島総合振興局の一部局として函館土現を吸収する方針を打ち出したことで問題が再燃している。全道10カ所の土木現業所が取り扱う事務を「広域事務」に位置付け、総合振興局長に振興局管内の土木行政を一元的に所管させることにした。

 道は支庁再編後、土木行政を担当する渡島総合振興局次長に、桧山振興局参与を兼務させることで、制度上の整合性を取る。現在の函館土現江差出張所も存続させる方針を示しているが、江差町は「桧山振興局長は渡島総合振興局長と同格の本庁部長級のはず。今後は地元の振興局長を飛び越えて総合振興局長に要望を行わなければならなくなる。これでは14支庁を同格に戻した再編条例改正の意味がない。典型的な二重行政ではないのか」と反発を強める。

 また、道の農政部や水産林務部が所管する、農業・水産・林務部門の工事発注などの事務は、桧山振興局にも残すが、土木行政をめぐる予算執行の在り方について道から明確な説明が無いことも桧山側をいら立たせる原因になっている。

 桧山管内の建設業界からは「予算枠も渡島と一本化されるのか」「桧山枠として確保していた予算は担保されるのか」との懸念の声が聞かれる。ある建設業者は「これまでは桧山という枠の中で優先順位を決めて予算付けを進めた。道南全体の中で優先度を決めるようになれば、人口や交通量が少ない桧山管内の道路整備や防災工事などの懸案事項は後回しにされる」として、道の財政難に追い打ちを掛ける形で、支庁再編がさらなる公共工事削減の引き金になる可能性を懸念する。

 一方、これまでは自民党支持を前面に打ち出してきた、桧山管内の建設業界だが「選挙で高橋知事を支援したのに支庁再編ではひどい仕打ちを受けた」「民主党ににらまれたら仕事ができない。次の知事選では対応を考えたい」との恨み節も聞かれる。衆院選大敗北の痛手から立ち直ることができない自民党関係者は「建設業界の自民離れに歯止めを掛けることができない。このままでは管内の自民党が破滅してしまう」と、支庁再編をめぐる混乱長期化に焦燥感を募らせている。(松浦 純).



◎弥生小の保存活用を求め国際団体が市に要望書

 11月26日から解体工事が始まった函館市弥生町4の旧弥生小学校校舎の保存・活用を求めて30日、世界54カ国が加盟し近代建築保存を訴える組織「DOCOMOMO」日本支部(東京)の兼松紘一郎幹事長が来函。函館市役所を訪れ、市教育委員会の多賀谷智教育長らに要望書を提出した。

 同組織は20世紀に建築された建物の価値を認め、保存を訴えることを目的に活動。同組織関係者から旧弥生小学校の現状や歴史的経緯を知り、今回の要望書提出に至った。同校舎は1938年に建築され、市の景観形成指定建築物となっている。

 兼松幹事長との会談で多賀谷教育長は「学校の統合や校舎老朽化の中、議会に保存を求める陳情が出たが委員会で不採択となった」と解体に至った経緯を説明し、「教育に影響があるものは新しくし、木材など再利用できるものは新校舎に取り入れるなどしていく」と理解を求めた。

 その後、兼松幹事長は同校舎を見学し、元町で保存を求める市民団体メンバーらと会談した。兼松幹事長は「かすかに期待を持っている。施工業者も決まり段取りもできている状態だが、もう1度考えてくれれば」とし、「旧弥生小が残れば画期的なこと。市内の建物の保存にも大きな影響を与える」と話していた。(山田孝人)


◎泉沢トンネル工事本格化へ 安全祈願祭

 【木古内】北海道新幹線(新青森―新函館駅間)の泉沢トンネル工事の安全祈願祭が11月30日、木古内町橋呉の工事現場で行われた。道内側では4本目となるトンネル掘削で、2013年の完成を目指して工事が本格化する。

 同トンネルは同町橋呉と同町亀川間の全長約1.7キロで、掘削作業は橋呉側から行う。トンネル以外に橋りょうや盛り土部分も約250㍍ある。道内側で工事計画のある6本のトンネルのうち、渡島当別、新茂辺地に次いで3番目の長さで、総工費は約31億円。

 安全祈願祭には発注元の鉄道・運輸機構北海道新幹線建設局や渡島支庁、木古内町など工事関係者ら約80人が出席。同局の名越次郎局長や寺山朗支庁長、大森伊佐緒町長らがかま入れなどの神事を執り行い、工事の安全を祈った。

 あいさつで名越局長は「新幹線工事の開始から5年目を迎え、工事はトンネルを中心に順調に進んでいる。安全第一で品質を確保し、所定の工期内に確実に完成したい」とし、寺山支庁長は「新函館駅までの早期開業に向けた予算確保に加え、札幌延伸への要望を積極的に進めたい」と話した。(森健太郎)


◎函商高校生36人、国家試験合格

 函館市昭和1の函館商業高校(滝田進校長 生徒711人)の情報処理科の生徒ら36人がこのほど行われた、難関とされる国家試験の基本情報技術者試験、ITパスポート試験に合格した。ソフトウェア開発を目指す一般受験者が大半を占める試験で、高校生が大量に合格する例は極めて珍しく「日ごろの成果が実った」と関係者は喜んでいる。

 基本情報技術者試験に合格したのは5人。情報処理科3年の原田侃奈さんは、所属するパソコン部で毎日約2時間の練習に加え、連日補修を受け試験に臨んだ。道内の高校生受験者25.3%という合格率の試験に「難しい試験だったが、勉強した結果が出たと思う」と喜んだ。卒業後はホテルに就職するという。

 ITパスポート試験に合格した31人の1人で、同科2年の内村俊晴君は授業で2ヵ月間対策をし、本番3週間前には連日午後6時まで勉強に励んだ。「十分対策はしたが、本番では想定外の問題が出て慌てた」と話すが、見事合格を勝ち取った。

 同校の吉本満教頭(53)は「インフルエンザでの休校で十分な補修ができなかったが、生徒の努力がこの結果を生んだと思う」と話した。(黒田 寛)