2009年12月10日 (木) 掲載

◎タラコ生産ピーク

 【鹿部】鹿部町内の水産加工場では、噴火湾産のスケトウダラを原料にしたタラコの生産が本格化している。12月から1月にかけて、スケトウダラの産卵期に当たり、漁も最盛期。歳暮などの贈答用で需要も高まり1年で一番忙しい時期だ。

 町内宮浜195の道場水産(道場登社長)では、従業員約40人が連日、自社商品や業務用のタラコ作りに精を出す。前浜で揚がったスケトウダラから取り出した魚卵を洗浄、塩や調味料で1日なじませた後、形を整えたり、サイズごとの仕分け作業などを進めていく。今年は10月の漁解禁以来、豊漁が続くが、魚卵は今のところ小ぶりなものが多いという。

 1971年の創業以来、新鮮な状態のまま加工するため、道産にこだわって製造している。約30種の自社製品があるが、ほとんどがタラコやめんたいこで、10月にははちみつや水あめを混ぜ合わせて唐辛子の辛さを抑えためんたいこの新製品も開発した。

 生産したタラコやめんたいこは東京や札幌方面、函館などへ出荷。個人客への販売にも対応する。

 道場登志男常務(35)は「噴火湾は昔から水産資源に恵まれ、素材も良い。タラコそのもののおいしさを味わえる」と話している。(鈴木 潤)



◎奉仕活動で交流を 地域サービスセンター 15日に中島廉売清掃

 障害者の就労支援をしながら、奉仕活動で利用者と地域住民の親ぼく交流を目指す「地域サービスセンター はこだて」(函館市中島町12、渡會栄子センター長)は、15日に「第1回中島廉売内道路ボランティア清掃」を実施する。時間は午前10時から正午までで、地域とのふれあいを深める第一歩として関係者は張り切り、幅広い市民の参加を呼び掛けている。

 センターは、NPO法人全国精神障がい者地域生活支援センター(能登正勝理事長)内に、10月29日付で新規開設。雇用契約を結ばない障害福祉サービスで、就労に必要な知識や能力向上を図る。

 センター利用者は名刺・年賀状づくり、廉売内の商品荷造り、配達作業、パソコンの部品交換など幅広い仕事をこなし、職業指導員と生活支援員から業務の助言を受けている。

 今回のボランティア清掃は、今後定期的に開催する地域交流事業の足がかりとして期待が大きい。「中島廉売の関係者をはじめ、多くの協力があってセンターの活動がある。この感謝の気持ちを少しでも地域に還元できれば。一緒に体を動かし、心地良い汗で温まりたい」と利用者とともに渡會センター長ら職員も意気込む。

 当日は、午前10時にセンター前集合。ごみ袋などはセンターが用意する。

 生活支援員の沼澤玄太さん(26)は「障害の有無にかかわらず、子どもからお年寄りまで幅広い世代の参加で、温かな絆(きずな)を深められればうれしい」と語り、「センターは家庭的な雰囲気で、楽しさ、優しさがあふれています。随時、見学も行っているので気軽に相談ください」と話している。

 問い合わせはセンターTEL0138-51-0026、ファクス同51-0044。電子メールはnumasawa@mls―j.com

 ボランティア清掃活動の申し込みは14日まで。(田中陽介)



◎函館市議会 福祉用具や住宅改修費 来春から購入時1割負担に

 第4回函館市議会定例会は9日、一般質問を続行し5人が立った。岡田芳樹福祉部長は、介護保険の助成を利用した福祉用具の購入や住宅改修について、購入時の利用者支出が負担額(1割)だけですむ「受領委任払い」制度を、2010年春に導入する方針を明らかにした。現在は一時的に全額支払わなければならず利用者の負担が大きいため、利便性が向上する。実施には福祉用具販売の指定を受けた事業者の協力が必要なため、要項作成後に業者向け説明会を開催する。

 丸尾隆子氏(共産党)の質問に答えた。

 同助成制度では同一年度間に、住宅改修は20万円、福祉用具購入は10万円を上限に、9割の助成が可能。介護保険法では利用者が10割を一時的に負担し、後日(函館市では申請した翌月末)に9割の助成金が利用者に支払われる「償還払い」制度が原則だ。

 受領委任払いでは、助成金を受け取るまでの利用者負担や、申請の手間などがなくなるメリットがあり、近年全国や道内でも導入する自治体が増えている。しかし業者にとっては、助成分を一時的に負ったり、市に申請する業務が新たな負担となる。市は「利便性が高まることから購入しやすくなる」とみており、今後理解を求める。岡田部長は「新年度の早い時期の実施に向け努力する」と述べた。

 一方で国民健康保険を利用した治療用装具(コルセットやギプス、サポーターなど)の購入も償還払い方式となっている。こちらの受領委任払い方式への変更について須田正晴市民部長は、「国に対し制度上可能かを確認し、関係団体の意見も聞き検討したい」と述べるにとどまった。

 丸尾氏のほか工藤恵美氏(新生クラブ)、石井満氏(民主・市民ネット)、小野沢猛史氏(市民クラブ)、瀬尾保雄氏(公明党)が登壇した。(小泉まや)


◎函館市教委、学校に芸術家派遣へ 来年度から文化活動を普及

 函館市教育委員会は来年度、市内の芸術家が学校などの教育機関に出向き文化芸術の普及活動をする事業を始める。音楽や演劇、伝統文化など幅広い分野のメニューを作り、コンサートや公演、出前授業などの形態で、市立に限らず市内の教育施設が利用できるシステム作りを検討中。子どもに広く文化に触れる機会を提供するとともに、芸術家にとっては発表や指導の場となることが期待される。

 9日の市議会定例会で、工藤恵美氏(新生クラブ)の一般質問に多賀谷智教育長が答えた。

 同事業は「アウトリーチ(出張)事業」として、函館市文化芸術の振興に関する基本指針(2007年3月策定)に施策例として盛り込まれたほか、芸術に携わる市民や団体、機関が文化芸術振興を目的に意見交換する「市民アートサロン」(宍戸雄一座長)から8月に実施提案があり、これらを受けた。

 事業の詳細は調整中だが、基本的には1校当たり1回の利用回数とし、学校側の金銭的負担は生じない。各学校では既に独自で芸術鑑賞会などを実施しているが、「同様の事業を自治体単位で実施するのは全国的にも珍しい」(市教委)という。

 多賀谷教育長は「優れた芸術鑑賞機会の提供をはじめ、指導者の養成、市民活動の場の拡充など、地域に根ざした文化芸術活動の一層の振興に努めたい」と期待する。

 また多賀谷教育長は、市立学校長の裁量で特色ある教育を進める「知恵の予算」について、校長会やPTA連合会から継続の要望が出ていることを報告。「現行の手法で内容充実に努める」と述べ、現段階では企画・提案型の事業に変更する考えがないことを示した。(小泉まや)


◎支庁再編 妥協点見えず決裂含みも 公開協議控え緊張感

 【江差】14日に江差町で開かれる支庁再編に関する公開協議に、高橋はるみ知事が出席することが正式決定した。道市長会や道町村会など地方4団体との合意順守を求める桧山支庁管内町村会(会長・寺島光一郎乙部町長)は、桧山など5振興局で予定している広域事務の統廃合を見直すよう求める方針だが、知事サイドは再編案の見直しには応じない構えを崩していない。妥協点を見いだせない両者が“直接対決”する公開協議は、早くも決裂含みの展開が予想される。

 桧山町村会は「支庁再編の白紙化は求めていない。総合振興局と振興局を同等と位置付けた地方4団体との基本合意に従い、現行の14支庁で対応している道民や市町村に密着した事務を振興局でも取り扱うことができるよう再編案を修正すべき」と指摘。公開協議を通じて再編案が抱える矛盾や問題点をただす構えだ。

 しかし、知事サイドは、桧山など5振興局で統廃合の対象とした104項目の広域事務について「基本的にゼロ回答の方針」(関係者)といい、再編案の修正には応じない方針。管内関係者からは「知事が強硬姿勢を改めなければ途中退席も辞さない」との声も上がるなど、公開協議を前に管内の緊張感が高まっている。

 だが、振興局地域での協議が暗礁に乗り上げれば、今後行われる地方4団体との正式協議も混乱が必至だ。支庁再編をめぐって道町村会は昨年、民主・自民両党の国会議員に働き掛けて、再編条例の施行に必要な公職選挙法改正を阻止した。協議が不調に終われば、桧山など関係地域の抵抗を再び呼び起こす可能性もある。

 高橋知事が明言した来年4月1日の支庁再編まで4カ月弱―。桧山など関係地域や地方4団体の合意を得られないまま再編を強行すれば、14支庁存続や地域の合意形成をうたった地方4団体との基本合意を高橋知事が自ら破棄する形となる。政治的にも大きなダメージとなることは避けられない。

 それだけに今回の公開協議は「双方にとって背水の陣」(ある町幹部)。高橋知事への包囲網を狭める民主党など政府与党の関係者も、対立が先鋭化する両者の直接対話を注視。国会議員や道議会議員も協議への出席を予定するなど、厳しい視線の中で行われる公開協議で、知事サイドは難しい対応を迫られそうだ。(松浦 純)