2009年12月15日 (火) 掲載

◎町長らと知事側広域事務めぐり紛糾…支庁再編で公開協議

 【江差】支庁再編条例に基づく桧山管内で初めての公開協議が14日、江差町のホテルで開かれた。道が広域事務の名目で、桧山など5振興局では廃止や総合振興局への集約対象となる104事務をめぐり、管内の町長らが市町村対象の事務や土木現業所の事務を除外するよう高橋はるみ知事に迫った。しかし、知事サイドは譲らず議論は紛糾。協議継続の道筋を残したが、道の譲歩が無ければ今後の協議が合意に達することは困難な情勢となった。(松浦 純)

 管内の町長、議長、産業団体の代表者ら18人が出席。管内の町議や住民約100人も傍聴した。民主党の鉢呂吉雄(道4区)と山岡達丸(道比例ブロック)の両衆院議員と管内選出の福原賢孝氏ら道議5人も参加した。

 工藤昇上ノ国町長は「事務集約が進めば町職員はたびたび渡島総合振興局に出張しなければならない。再編で増える行政コストはすべて町民に跳ね返る」と指摘。道が広域事務の要件とした「主として市町村を対象とする事務」を撤回するよう求めた。濱谷一治江差町長も「14支庁体制は名ばかりで桧山は実質的な出張所。地方4団体との基本合意に反する」と反発した。これに対して高井修副知事は「104項目すべてを集約する訳ではない」として、リストの見直しには含みを持たせた。

 道の再編案によると、函館土木現業所は渡島総合振興局の内部部局に吸収される。土現所長は総合振興局長の指揮下に置かれ、事務事業もすべて総合振興局の所管となる。高井副知事は①土現の組織体制は変えない②土現所長の権限は従来通りとする③桧山振興局長の権限も維持する―と説明。寺島光一郎乙部町長は「現状維持なら広域事務ではない。リストから外すべき」と迫ったが道側は譲らず、議論は平行線をたどった。 

 高橋知事は①社会資本整備の権限は渡島・桧山で対等②市町村対象事務は一部のみ移譲③二重三重行政とならないよう配慮する―として、条例に基づく事務集約をめぐる協議を継続する意向を示した。会議後、道町村会長の寺島乙部町長は、地域の合意形成などを前提に支庁再編を容認した、道市長会や道町村会など地方4団体と高橋知事の基本合意をめぐり「町村の立場で譲れない一線がある。協議が決裂する事態もあり得る。事務集約を強行すれば知事自身が合意を破棄する形になる」と指摘。道が広域事務の見直しに応じなければ、基本合意を背景に成立した再編条例による協議の枠組み自体が崩壊する可能性を示唆した。



◎小規模公共工事発注で中小企業支援…函館市緊急経済対策

 函館市の西尾正範市長は14日、緊急地域経済対策として市内の中小企業を対象に、規定予算の中で100万円程度の小規模な公共工事を18日までに発注すると発表した。同日開いた緊急会見で明らかにした。

 函館市議会の経済建設常任委員会(佐々木信夫委員長)が10日に行った申入れを考慮したもの。全国的な景気低迷が長引く中で年末を迎え、資金繰りなど市内の中小企業が置かれている状況が厳しさを増してきていることを受け、緊急的な措置として実施を決めた。

 事業費総額は5000万円で、内訳は一般会計から3000万円、水道事業会計から1000万円、公共下水道事業会計から1000万円。内容は市道の側溝、浄水道の付属設備などの補修や、退去した市営住宅の修繕、函館市民会館のじゅうたんの張り替えなどで計45件。これまで予定していた小規模事業を前倒しして実施する。実施業者は市の指名業者名簿の中から、これまで請負実績が少ない業者を優先して選定し直接発注する。

 西尾市長は「年度内に購入する物品なども年内に発注できるよう各部局で努力していく」と述べ、「これから3月までに6億円程度の公共事業を発注する予定だが、小規模業者にはなかなか当たらないということで5000万円を緊急発注した」と説明した。(山田孝人)



◎小柏氏の副市長起用を正式表明…特別職「理事」は廃止へ

 函館市の西尾正範市長は14日の緊急会見で、工藤寿樹副市長(60)の辞任に伴い、後任に小柏忠久理事(62)を起用する考えを正式表明した。22日の市議会最終日に人事案件を提出し、議会の同意が得られれば来年1月1日付けで就任する。任期は2013年12月末までの4年間。小柏氏が現在就いている特別職「理事」は空席にするとともに廃止の方向で検討し、後任の総務部長を置く方針を示した。

 西尾市長は小柏氏起用の理由について、行財政改革5カ年計画が計画通り進んでいる点やキャリア開発制度の導入など、市役所全体を改革する上で実績を上げたとし「私と一番考えが合っており、補佐役として適任。行革など内部の事務管理を集中的にお願いしたい」と述べた。

 一方、昨年4月に行革担当の特別職として4年間の時限付きで設置した理事の廃止に関しては「任期が残り2年と限られており、まったく新しい人に任せても行革はできない」とし、小柏氏に引き続き行革を担当させる考えを示した。理事は12月31日で辞任し、今月までの任期分として約300万円の退職金が支払われるという。

 同市長は市議会に対して、一般質問終了後の各派代表者会議で説明。理事設置時には反対に回った議員も多く、任期を残しての副市長登用には反発も予想される。

 小柏氏は道教育大函館校出身。1971年市役所入りし、土木部次長、都市建設部長、総務部長などを歴任している。(千葉卓陽)


◎白百合高全国出場へ…全道英語ディベート大会で3位

 函館白百合学園高(吉田めぐみ校長)の国際交流部(佐藤可林部長)に所属する生徒5人が、このほど札幌で行われた第1回全道高等学校英語ディベート大会(道高文連国際交流専門部主催)で3位に輝き、19、20両日に埼玉県川越市で行われる全国大会への初出場を決めた。メンバーは全国の大舞台での上位入場を目指して日夜練習に励んでいる。

 同大会は4人が1チームとなり(登録は5人まで)、与えられたテーマに対し、肯定側と否定側に分かれて質疑を繰り返す。相手の主張に対して1分から2分程度の短い準備時間内に次の質問内容を考えなければいけないため、瞬時の理解力と表現力が必要とされる。全道大会は今回が初開催で「日本政府は派遣労働を禁止すべきである。是か非か」をテーマに10校12チームが、上位3チームに与えられる全国キップを目指して舌戦を繰り広げた。

 同高からは佐藤部長(3年)、吉本早希さん、寺井琴美さん、南部萌見さん、(以上2年)中谷一枝さん(1年)が出場。大会前は「他校の実力がどの程度なのか予想できず不安だった」佐藤部長だが、6チームによる予選リーグを見事に1位突破し準決勝進出を決めると「これで全国大会行きを確信した」と振り返る。惜しくも決勝進出はならなかったが3位決定戦に勝利し目標を達成。さらに佐藤部長は4個人に贈られるベストディベーター賞も手にした。

 全国大会には各地区の予選を勝ち抜いた64チームが出場。優勝チームには来年2月にカタールで行われる世界大会への出場権が与えられる。白百合の5人は外国人教諭らを迎えてシミュレーション練習を繰り返し、大舞台での活躍に備えている。佐藤部長は「ディベートには個々の実力とチームワークの双方が必要とされる。今回のメンバーはそれぞれが個性を発揮しながら団結力もあり頼もしい。全国の強豪と力いっぱい討論を繰り広げていきたい」と意欲を見せている。(小川俊之)


◎景況感3期連続で改善…12月の日銀函館支店の短観

 日本銀行函館支店(市川信幸支店長)は14日、12月の企業短期経済観測調査(短観)を発表した。渡島・桧山管内の企業の景況感を示す業況判断指数(DI、「良い」とする割合から「悪い」とする割合を引いた指数)は、全産業でマイナス17と前回(9月)と比べて5ポイント改善し、リーマンショック前の昨年6月(マイナス14)の水準に近づいた。公共工事の前倒しなどの景気対策やアジア向けの輸出回復を背景に、3期連続での改善となったが、改善幅は前回の10ポイントから縮小した。(宮木佳奈美)

 産業別では、製造業が前回から6ポイント上昇し、マイナス3と2期連続で改善。食料品は8ポイント上昇し、2期ぶりに改善したが、前回ゼロだった機械はマイナス10に悪化した。

 非製造業はマイナス24と前回から3ポイント上昇。中でも建設業は景気対策で前回から11ポイント上昇し、プラス6だった。建設がプラスになるのは、1999年9月の調査以来10年ぶり。一方、小売は店舗間の価格競争の激化を背景に、前回と比べ30ポイント悪化のマイナス60となった。

 3カ月後の景気予測を示す先行きDIは、全産業でマイナス24と今回より7ポイント悪化。製造業はマイナス13、非製造業はマイナス30で、6―10ポイントの悪化を見込んでいる。公共工事の削減を掲げる新政権の政策への懸念などから、先行きの不透明感が表れた。

 雇用の過剰感を示す雇用人員判断DI(「過剰」とする割合から「不足」とする割合を引いた指数)は、全産業で1となり、前回より8ポイント過剰感が薄れた。一方、先行きDIは6で、再び過剰感が強まるとみている。

 調査は11月9日―12月11日に実施。道南の102社(製造業31、非製造業71)が対象で、回答率は100%だった。