2009年12月18日 (金) 掲載

◎摩周丸のマスト修復 記念プレートも設置へ

 「函館市青函連絡船記念館摩周丸」(若松町12)の船体マスト(前方部)と一部外壁、甲板照明などの修繕作業が終わり、17日、報道陣に公開された。マストや船体の手すりなどが一新。全国からの募金で賄ったマストには来春、記念プレートが設置される。関係者は「多くの人の協力で船体を美しくすることができた。本当にありがたい。新たな船出の姿になる」と謝意を伝え、来館を呼びかけている。

 同船は、1988年3月13日の青函連絡船廃止に伴い終航。91年から展示船として保存活用され、現在はNPO法人「語りつぐ青函連絡船の会」(木村一郎理事長)が管理している。物資輸送の大動脈として、長年にわたり津軽海峡を行き来してきた勇姿を後世に伝える。

 ただ、老朽化が進み、今年4月の道運輸局の船体検査では「汽笛などの機器が落下する恐れがある」との指摘を受けていた。これを受け、同会は大規模修繕工事を決め、6月から作業に入った。

 マストは高さ11・6㍍で、レーダーや汽笛を備える。摩周丸最後の船長、山内弘さん(75)=同会副理事長=は「マストは船のシンボルで、これが安全な航海を支えてくれた」と語る。6月に、同会による修繕活動が報道されると全国から募金が相次ぎ、10月末までに141個人から156万3000円、23法人から101万円が寄せられた。同会の予算と合わせて、マスト修繕に210万3150円を費やし、残額は今後の修繕費に充てられる。

 同会事務局長の高橋摂さんは「『船の命とも言える存在を守ってほしい』『復元されるのが楽しみ』との多くの励ましをいただいた」と振り返る。

 また、さびと腐食が目立った3階のグリーン船室外壁、窓周り、手すりなどの修繕は市が約2000万円の予算で実施した。

 真新しくなったマスト前で、募金者の名前が刻まれたプレートのお披露目も。山内元船長と摩周丸の設計をした一人、石黒隆さん(84)=同会名誉会長=が手に持ち、正午の汽笛の音色を銀板へ伝えた。

 摩周丸は年内無休。午前9時―午後5時(最終入館同4時)。12月31日―1月3日は午前10時―午後3時。

 問い合わせは摩周丸TEL0138-27-2500。(田中陽介)



◎光成中ミュージカル「キャッツ」20日に

 函館光成中学校(小橋誠太郎校長、生徒108人)は20日午後1時から、全校生徒が参加するミュージカル「キャッツ」の発表会を函館市高盛町の同校で行う。新型インフルエンザの影響で2回延期し、ようやく公演にこぎつけた。本番を前に、生徒らは「ぜひ見に来て」とPRしている。

 同校は3年前から函館市の知恵の予算を活用し、総合文化発表会の一環としてミュージカル公演を行ってきた。今年も10月に予定していたが、生徒の新型インフル感染で2度の延期を余儀なくされた。

 1学期にキャストを決め、2学期から本格的なけいこや準備に取り組んでいたため、生徒は公演延期の度に肩を落としていた。中学校時代最後の3年生のためにも成果披露の機会を作ろうと、冬休み前に発表会をすることにした。

 キャッツは猫の世界を幻想的に描く世界的に人気の高い演目。日本では劇団四季が日本各地で長期公演を続けている。同校では初公演以降、少しずつ舞台装置や衣装に手を加えてきた。今回は男子のソロパートを増やし、約45分間にまとめた。

 ヒロイン猫のグリザベラ役を務める3年生の冨谷由希さん(15)は「選ばれた時は驚いたけど精一杯頑張りたい。感動してもらえる自然な演技をしたい」と話し、長老猫デュトロノミー役の棟方航助君(14)は「とにかく歌って踊ってやる気を出してきて。最後のソロをしっかりやりたい」と意気込んでいた。

 入場無料。問い合わせは同校TEL0138-51-5131。(新目七恵)



◎新型インフルワクチン、小学生の接種開始

 新型インフルエンザワクチンの接種は17日、道内で小学校1―6年生と1歳未満児等の保護者などの接種がスタートした。ところが既に接種を始めている医療機関もあれば、予約の段階にとどまっている機関もあり、実施状況はまちまち。道の決定と現場の実態が異なる状況になっている。

 函館市内で接種する医療機関は約150カ所。今回、効率を重視した10㍉㍑容器に入れられたワクチンが登場したことで、各機関は接種日や曜日をあらかじめ決めておき、ワクチンを使い切らなければならない1日間に接種者を集中させる工夫をしている。

 市立函館病院(函館市港町1)では、毎週火・木曜日に50人ずつ接種し、12月からはこれ以外に月2回、小児科を休診させてワクチン接種専用に充てている。道の日程で17日からの予定だった小学生に対しては、幼児(道日程では4日開始)とともに10日が最初の接種日となり、早まった。1歳未満児の保護者らに対しては7日から受け付けを開始し、22日から順次接種する予定。

 同院は「1ミリリットル容器なら毎日接種できるが、10ミリリットル容器なのでとにかく無駄を出さないように進めている。日程通りにはいかない」と説明。予約者の急なキャンセルにも対応しなければならず、そのような時は待機者に急きょ連絡する作業も増える。

 道が決めた日程と実際の接種状況の差について市立函館保健所は、「ワクチンに無駄が出れば医療機関の負担となる。仕方ない」と話す。しかし、どの程度の医療機関がどこまでの段階の優先接種対象者に接種できているかなど、状況は把握しておらず、接種日程は個々の医療機関の事情にゆだねられている。

 スケジュールを理解しない問い合わせも多い。同院へは特に高齢者からの連絡が多数を占め、「中にはワクチンを打たなければ外出できない」とまで言う人も。このたびに担当者は優先度の高い対象者から接種するスケジュールがあることを説明しなければならない。同院は「接種の日程はあまり理解されていないようだ」と話す。(小泉まや)


◎韓国・高陽市と姉妹提携視野 部長級が23日に来函

 函館市は17日、韓国の首都・ソウルに隣接する高陽(コヤン)市の関係者が、23―25日に函館市を訪問することを発表した。西尾正範市長は同市との姉妹都市提携を視野に入れて交流を進める考えを示しており、今回の訪問で、両市の提携に向けた動きが一気に進む可能性もある。

 高陽市は人口約90万人。ソウルの衛星都市としての性格が強い一方、韓国最大のコンベンションホール「韓国国際展示場」を持つなど、発展が進んでいる。

 今回訪問するのは高陽市国際化戦略プロジェクト本部長のユン・ソンソン氏ら3人。23日に千歳経由で来函し、24日に市内観光名所の視察やクリスマスファンタジーなどを見学。25日は西尾市長を表敬訪問する。

 函館市は今年10月に観光プロモーションの一環として韓国訪問団を結成し、西尾市長や経済界関係者が同市を初めて訪問。その際に同市の市長から交流を強く希望する旨の申し出があったといい、函館サイドも訪問を要請していた。

 西尾市長は今月の市議会一般質問で「関係団体からの期待の声も大きく、市内で韓流スターのトークショーが開かれるなど機運が高まっている。今後の姉妹都市提携を視野に入れながら交流を進めたい」と答弁。青少年の相互派遣や教育、文化、スポーツ交流の促進とともに経済交流が進展する可能性にも言及している。

 市国際課は「高陽市では現在、チャイナタウンなどを含む複合観光施設の建設計画があり、観光振興の面で函館と共通する部分もある。まずは来ていただいて市内の様子を知ってもらうことで、交流を積み重ねていくことが必要」と話している。(千葉卓陽)


◎七飯、スノーパークオープン

 【七飯】道南にもスキーシーズン到来!―。七飯町東大沼666のスキー場「函館七飯スノーパーク」が17日、道南のトップを切ってオープンした。オープンを待ちわびた愛好者がスキーやスノーボードの初滑りを楽しんだ。

 11月下旬から人工降雪機をフル稼働してゲレンデの整備を進め、当初の予定より5日遅れのオープン。15日の断続的な降雪でゲレンデの積雪は山頂付近が約40センチ、山ろくが約30センチとなり、全8コースのうち1コースが開放された。

 この日は午前9時に営業をスタート。カラフルなスキーウエアを着た若者のグループや個人客らが来場し、新雪にシュプールを描いていた。友人と3人でスノーボートを満喫した函館市追分町の内田友華さん(25)は「気持ち良く滑ることができた。楽しいシーズンを送りたい」と話していた。

 同スキー場は小学生以下が無料。今シーズンは2シーズンぶりにナイター営業を復活させる予定で、開放時間も午後10時までと前回よりも1時間延長する。

 同スキー場の村山徹支配人は「仕事帰りに楽しみたいという人の受け皿としてナイターを復活させる。道南のウインタースポーツの普及、振興につながれば」と話している。

 管内の主なスキー場はニヤマ高原スキー場(同町仁山670)は19日、グリーンピア大沼スキー場(森町赤井川229)は26日のオープン予定。(鈴木 潤)