2009年12月24日 (木) 掲載

◎市立函館病院、売店サービス向上へ

 市立函館病院(函館市港町1)は、同院1階の売店を運営する事業者について、来年度から提供するサービスの内容で選定することを決めた。2000年10月の移転以来初めての試みで、入院患者ら利用者のサービス向上が目的。選ばれれば最長5年間まで店舗を運営することが可能だ。市病院局は「患者の家族や職員にとっても使いやすい環境にしたい」とし、レストランや喫茶店などについてもサービスの向上に努める方針。

 移転時に事業者を公募し、23社が申請。うち5社での抽選で決定した函館市の業者が現在も営業を続けており、1年ごとに随意契約で更新してきた。しかし店舗の広さが限られていることなどから、品ぞろえやサービスの面で多くの要望や課題があり、病院局は対応を検討していた。

 店舗面積は、隣接するボランティア室を移動させ、これまでの約1・5倍の73平方メートルとなる。新事業者は2010年4月に営業開始となるが、改装のため5月までは旧ボランティア室での仮店舗運営となる。

 応募の最低要件は①年中無休②営業時間はこれまでより1時間長い午前7時から午後9時まで③宅配を受け付ける―など。使用料(光熱費除く)はこれまで通り年間約50万円だが、新たに売り上げに基づく使用料加算を、希望事業者からの自由提案として求める。

 既に大手を含む複数社から運営したい旨の打診があるという。同局は「利用者からは『現金を持たないで買い物をしたい』という要望も多く、たとえば電子マネーなど、さまざまな提案を待っています」と期待する。

 募集期間は来年1月20日(必着)まで。売店等運営事業検討委員会が選定し、同2月中旬に決定する見通し。詳しい応募要領は同院ホームページで公開中。問い合わせは同局TEL0138・43・2000。(小泉まや)



◎甘~い聖夜を、クリスマスケーキづくり大忙し

 24日はクリスマスイブ―。函館市内・近郊の菓子店ではケーキづくりが盛んに行われている。ふわふわのスポンジケーキにサンタクロースの甘菓子、イチゴには雪のような粉砂糖、「メリークリスマス」の板チョコレートなどでデコレーションし、聖夜を甘く彩る。

 五島軒上磯第1工場(北斗市追分)は、計1万個を手掛ける。道南最大規模で、「ほどよい甘さでおいしい」と毎年、幅広い世代に人気だ。

 商品は、定番の生クリームにチーズケーキ、生チョコなど全8種類(2625円―)。11月中旬から予約注文を取った。

 生もののため、作り置きはできない。最も多く引き渡しがされるイブの24日に合わせて、箱詰めまですべて手作業で行われる。23日は、一日で4500個を生産。甘い香りが漂う工場内で、25人の従業員が手を休めることなく仕上げ作業に追われた。「今日が一番忙しい」と作業は夜遅くまで続いた。

 工場長の石塚啓二さん(63)は熟練の技術でクリーム塗りなどを担当。「おいしいケーキを多くの人に食べてもらいたく、一つずつ丁寧に作っています」と笑顔。同社は「景気低迷で、若干売り上げが落ちるのではと心配していたが、予約状況を見ると、ほぼ例年並みを維持している。どんなに不況でも、みんなに幸せな時間を届けてくれるクリスマスケーキの存在は大きい」と話している。

 24日は予約なしでも直営店で購入できるように対応する。(田中陽介)



◎青々 香り豊かに、北斗で軟白ネギ出荷始まる

 【北斗】道内有数の長ネギ産地の北斗市で、ハウス栽培の軟白ネギの出荷が本格的に始まった。独特の強い香りが漂う作業場では、収穫されたばかりの鮮やかな緑と白の長ネギが次々と箱詰めされている。

 同市大工川の東寺敏光さん(58)は計5棟16・5アールのハウスで軟白ネギを栽培し、今月中旬から収穫作業に追われている。先端を切り落とし、手作業で一本ずつ抜いた後、作業場で土のついた表面の皮をむき、6、7本を束ねて箱詰めする。

 軟白ネギは根元を遮光し、白い部分をつくるのが特徴。1メートル近く青々と伸びたネギはみずみずしく、「柔らかくて甘みが強いので鍋物やラーメンに入れると最高」と東寺さん。主に札幌や旭川など道内向けに出荷される。

 新函館農協によると、北斗市内の軟白ネギの生産農家は約20戸で、作付面積は約4ヘクタール。野菜全般の価格低迷で、出荷価格は1キロ300―400円程度と値下がりしているが、作柄、収量ともまずまずといい、出荷は5月ごろまで続く。(森健太郎)


◎菜の花灯明ナイト、幻想的な明かり

 函館ゆかりの先人、高田屋嘉兵衛となじみが深い菜の花を使って明かりを灯す「2009はこだて菜の花灯明ナイト」(はこだて菜の花プロジェクト主催)が23日、函館市末広町の高田屋嘉兵衛資料館で行われ、市民や観光客が幻想的な明かりと音楽に酔いしれた。

 嘉兵衛を主人公にした司馬遼太郎の長編小説「菜の花の沖」でも関係が描かれるほど、縁が深い菜の花。採取される菜種油を使って明かりをともし、歴史を振り返ろうと同プロジェクト(石塚大代表)が7年前から年に数回実施している。

 原料は同プロジェクトのメンバーや市民が市内の畑約1000坪(約3300平方メートル)に種まきし、今年8月に収穫したものを使用。菜の花60キロから約3キロの油しか採取できない貴重なものという。

 会場には市民約60人が参加し、その場で搾った油に芯を取り付け点火した。明かりは優しくきらめきクリスマスシーズンと相まって一層ムードを盛り上げていた。また、スペシャルライブでは市内の友人らでこの日のために結成された5人組バンド「武央&フレンズ」が「サンタが街にやって来る」など4曲を披露し、花を添えていた。(小杉貴洋)


◎記者回顧3、新幹線による「まちづくり」

 2015年度開業予定の北海道新幹線で、道内最初の駅を抱える木古内町。先月から新駅舎の外観のコンセプトを検討する委員会の会議を開き、駅舎のデザインを探っている。現在、委員会では「波と森のプロムナード~汐風薫る北の交流発進地」を素案としている。

 「波」「海」「森」。木古内町の国道228号を車で走っていると自然と目に入る風景。会議の中で委員から出されたのも木古内の自然を表す「波」「海」「森」などのキーワードだった。

 新幹線新青森―新函館間の開業を控え、豊かな自然と歴史、食をつなぐ取り組みが進む。「体験観光」の受け入れがそのひとつ。今月開かれた町議会で、大森伊佐緒町長は「体験観光はこれからの町の主力となる」と述べるなど、町の重要な施策として位置付けている。

 今年は、9月に北秋田市立鷹巣西小学校の6年生17人が昨年に続き、体験学習旅行で地引き網体験や食事会などを楽しんだ。10月には広島県立祇園北高校の2年生238人が修学旅行で木古内を訪れた。その際には、観光協会、漁業者らが全面的に協力した。

 町とまちづくり戦略会議、商工会、観光協会などで組織する体験型観光誘致推進委員会を設置し、修学旅行などの受け入れ体制の検討を行っている。

 「食」の面では、「木古内どんぶり・弁当」の開発を進めている。豊富な農水産物を生かし、町内の飲食店で統一メニューを提供するため、検討会を今年、立ち上げた。町内の飲食店が知恵を絞り、試作品づくりに取り組んでいる最中だ。試作品からは、開発に携わる人の意気込みが伝わってくる。

 体験観光、ご当地グルメの開発、どの取り組みを見ても官と民、全町挙げた力を結集することが必要となってくる。

 渡島西部担当記者になって3カ月。新幹線と新幹線によるまちづくりを取材する機会が多く、町民からも、新幹線を活用したまちづくりの意見をたびたび聞く。

 「小さな町でも可能性はある。町民自身が町の魅力を見つめ直し、もっとアピールしていかなくてはならない。急がなければ」と期待と焦りを語る町民の言葉が印象的だった。

 新幹線工事が進み、木古内の町がどのように変わり、町民がどうのような取り組みをしていくのか。そして、周辺自治体との広域連携がこれからどのように行われていくのか。木古内の地域づくりを注目し、紙面で応援、伝えていきたい。(松宮一郎)