2009年12月26日 (土) 掲載

◎クリスマスファンタジー華やかに幕

 11月28日から28日間にわたり、函館市内の赤レンガ倉庫群を中心に、華やかなイベントが繰り広げられてきた「2009はこだてクリスマスファンタジー」(実行委主催)が25日、幕を閉じた。最終日はメーン会場付近の緑の島など市内13カ所から同時に花火が打ち上げられ、開港150周年の締めくくりにふさわしい壮大な演出が、ロマンティックなクリスマスの夜を締めくくった。

 毎年8月13日の「函館夜景の日」に花火を打ち上げている「エリア8K実行委員会」と「クリスマスファンタジー実行委員会」の共催で今年はじめて実施。すべてのイベントが終了した午後8時13分に、メーン会場から「メリークリスマス」の掛け声が発せられると同時に、緑の島や港町埠頭、旧函館北高跡地などから一斉に花火が上がり、函館の町を華やかに彩った。

 また、午後6時から行われたステージイベントでは、ゴスペルグループ「che☆llow」の歌声に合わせてメーンツリーが点灯。道教育大函館校モダンダンスクラブなどによるダンスショーや、ボーカル&キーボード&サクソホンのトリオ「ファンタジーアンリミテッド」による音楽ステージなど多彩なイベントが、最後の夜を盛り上げた。

 実行委の寺坂伊佐夫委員長は「今年も大勢の人たちに足を運んでもらい、大変うれしく思っている。来年も今年以上にぜひクリスマスファンタジーを盛り上げていきたい」と話していた。(小川俊之)



◎「姉妹都市」視野に交流…高陽市の本部長来函

 韓国の首都・ソウルに隣接する高陽(コヤン)市の国際化戦略プロジェクト本部長、ユン・ソンソン氏ら3人が来函し、25日、函館市役所を表敬訪問した。西尾正範市長と懇談し、両市とも将来的な姉妹都市提携を視野に入れて交流を進めることで一致した。

 ユン氏らの訪問は、10月に西尾市長らが観光プロモーションの一環として同市を訪れた際に函館側から要請していた。一行は23日に来函、24日には五稜郭や夜景などを見学している。

 懇談では西尾市長が「函館はソウルとの定期便も就航しており、いいパートナーになれると思う。スポーツや経済、青少年同士の交流が考えられ、互いに学ぶところも多い」とあいさつ。これにユン氏も「日本とはまだ姉妹都市提携をしていない。函館市が適応していると思う」と述べ、「市内には朝鮮王朝の墓など世界文化遺産が2カ所あるが、観光面は弱い。町並みの保存に向けて市長から助言をいただきたい」とした。

 西尾市長はこの後行った定例会見で、来年2月にもガン・ヒョンソク市長が来函する意向を持っているとした上で、「一定の交流協定を結びたい」との考えを示した。また、高陽側は姉妹都市提携に議会の議決が必要なことから「(姉妹都市は)後の話になるだろう」と述べた。(千葉卓陽)



◎子育て応援ハンドブック「すくすく手帳」完成

 函館市が出産後支援事業として本年度から配布する、子育て応援ハンドブック「すくすく手帳」が完成した。子どもの成長や発達支援に活用できる療育カルテが組み込まれているほか、成長の記録を記入できる欄を設けた。母子手帳を保管するファスナー付きケースも付属し、子どもの情報を一元管理することが可能となる。2010年1月から配布を始める。

 市ではこれまで、子育てサポートブック「こそだてーる」を発行していたが、内容や利便性の面から改良する必要があった。特に発達支援対策として、必要とする情報を集中管理する仕組み作りが急がれていた。

 本体の冊子には、予防接種や応急処置、小児科などの情報も盛り込み、子育て中の疑問や緊急時にも対応できるよう工夫。A5判108ページとコンパクトにし、一回り大きい2穴のバインダーにとじた状態で保管する。保健所で発行する医療関係の冊子や、各人で必要とする資料や書類をとじ込めるようなつくりだ。

 保護者が成長の記録を逐一記入し、将来的には子どもの手元に残ることを目指す。西尾正範市長は「妊娠した時から記録できるのは大人になってから良い思い出になる。少子化の時代、生まれる子を皆で大切に育てたい」と話す。

 初年度は2000冊を作製した。基本的に子育てアドバイザーの自宅訪問時に配布する計画で、12月1日生まれからが対象となる。このほか転入者には歓迎の気持ちを込めて就学前児童に配布。来年2月以降は、函館市在住の就学前児童にも希望に応じて対応する。問い合わせは市子ども未来室TEL0138・21・3459。(小泉まや)


◎函館市 総務部長に上戸氏

 函館市は25日、副市長人事に伴うものなど来年1月1日付けの人事を発表した。総務部長に上戸慶一農林水産部長(57)をあて、農林水産部長に山田潤一同部次長(52)を昇格させる。また12月25日で退職する斉藤真博監査事務局長に代わり、塚谷善次環境部次長(56)を登用する。

 市は工藤寿樹副市長が12月末で退職し、後任の副市長に小柏忠久理事・総務部長をあてる。理事は空席として実質廃止となるが、後任の総務部長の選定が急がれていた。谷沢広副市長は記者会見で、上戸部長を選任したことについて「長年勤めてきた総合的な力など、これまでの経験を総合的にみて決定した」と述べた。

 上戸氏は、1975年に北大水産学部を卒業し同4月に入庁。衛生部(当時)や都市建設部などを経て2004年に農林水産部水産課長、05年同部次長となり、07年4月から同部長。(小泉まや)


◎記者回顧5・雇用情勢の厳しさ続く

 経済分野を担当して3カ月弱。同職安が毎月発表する有効求人倍率、求職者数などの雇用失業情勢を記事化している。昨秋のリーマンショック以降の景気低迷で、それらの数字からも函館の雇用情勢にまだ明るい兆しは見えてこない。

 新規高卒者の就職活動も打撃を受けている。「今年は求人が少ないばかりか、道外企業からの二次募集もない」。10月に函館市内のホテルで開かれた第1回新規高卒者就職面接会in函館(函館職業安定所主催)で、生徒を引率してきた進路担当教諭が漏らした。10月の時点で管内求人数は前年同月比37・8%減の797人と、過去10年間で最低の水準。昨年まで好調だった道外の求人も前年から4割以上も減った。「自分を採用してよかったと思われるように頑張りたい」と生徒たちは健気だった。最後に「頑張ってね」としか声を掛けられなかったが、できるだけ多くの生徒や引率の進路担当教諭に話を聞き、現状を訴えようと2度に分けて記事にした。

 中高年の失業者も厳しい現実に直面している。年末を迎え、国の緊急雇用対策として21日に、函館地方合同庁舎で開かれた就職と住居・生活支援を一括して行う相談窓口「ワンストップ・サービス・デイ」(同職安など主催)には、働き盛りの40、50代の男性の相談者の姿が目立った。

 相談を終えた50代の男性が何やら憤慨して出てきた。生活苦による多重債務があり、債務を整理しなければ生活資金の貸付制度を利用できないと説明を受けたという。記者が詳細を尋ねると「明日食べるものにも困っているから金を借りたし、相談にも来ているのに意味がない」と声を荒げ、「明日には首つっているかも」と苦笑して立ち去った。返す言葉も見つからなかった。

 明日の生活もままならない人たちの存在を、どれだけの人が知っているのだろう。この現状を伝えたいとの思いに駆られた。深刻な悩みを抱える相談者に対し、取材とはいえ根掘り葉掘り聞くのは正直、少し気後れしたが、何人かに当たってみた。

 「派遣切り」に遭って以来、就職が決まらないという40代の男性も「生活支援の手続きに1カ月半かかると言われても」と肩を落として帰った。頼みの綱の各種制度も、現実的には要件や資格などがあり、すぐ利用できない人もいる。「こんな制度があるとは知らなかった」との声もあり、支援が必要な人に、必要な情報を届けることの重要さを感じた。

 11月の有効求人倍率は0・35倍。記事に並べる数字の裏には、職探しに奔走し、生活に困窮する個々の実態が隠れている。机上の数字からは見えない現実と向き合うことの大切さをあらためて実感し、その努力を惜しまないよう取材活動を進めたい。(宮木佳奈美)