2009年12月27日 (日) 掲載

◎資源回収心も鍛える…西高野球部上新川町会と活動

 函館西高校野球部(高西博明部長、部員13人)は4年前から、冬期間に函館の上新川町会(田中修司会長)の資源回収活動を手伝っている。部員は月1回、朝から町会内の各戸を回り、古紙などを手際良く運んでは住民と元気にあいさつを交わしている。高齢者が多い同町会は「ありがたい」と感謝し、学校関係者は「心の教育になる」と話している。

 町会は自主的に新聞紙などの資源を集めて回収業者に引き渡し、その代金などを活動費に充てている。同高野球部が活動を始めたきっかけは、OBの田中会長が仕事柄、卒業生にもちを提供するなどかかわりがある中で、「高齢化で資源回収が大変」との声を聞いたのがきっかけ。試合のない11―2月の第3日曜日、練習前に協力することにした。

 今季2回目の20日、部員12人は午前9時過ぎに上新川町会館に集合。白い息を切らして雪の積もる町会を回り、各戸の玄関先に置いてある段ボールや新聞の束を業者らに次々と手渡していった。  2年生の黒田翔太君(16)は「地域貢献は気持ち良い。朝のきつい練習がなくてちょっとうれしい」と笑う。高西部長(17)は「地域の方々に支えられているので、この取り組みは大事にしたい」と話していた。

 こうした活動で互いに顔見知りになり、町会会員が野球部の応援のため大会に足を運ぶこともあるという。山崎祐介監督(32)は「日ごろから応援されるような野球部を目指している。心を育てる意味でも良い活動」と話している。

 町会の桑原正雄総務部長(78)は「ありがたいの一言に尽きる。町会以外に住む若者がボランティアで協力してくれるのは感激」と喜んでいた。(新目七恵)



◎渡島管内08年度普通会計決算 知内、森が実質公債費18%超

 渡島支庁は、管内11市町の2008年度普通会計決算の概要をまとめた。自治体収入に占める借金返済の割合を示す「実質公債費比率」の平均値が前年度比0・7ポイント減の11・8%に改善。ただ、知内町と森町が地方債を発行する際に道の許可を必要とする18%以上となり、依然として厳しい財政状況が明らかになった。(森健太郎)

 実質公債費比率は数値が高いほど財政状況が悪いことを示す。管内では知内町が同1・5ポイント減の23・4%と最も高く、次いで森町が同0・2ポイント増の18・0%で、全道平均の14・2%よりも悪かった。函館市は最も低い10・0%。単独事業の起債制限を受ける「25%以上」の自治体はなかった。

 一方、一般財源の収入に対して人件費や公債費など経常経費が占める割合を示す「経常収支比率」は、管内平均が同1・1ポイント減の同88・2%。森町の96・5%をはじめ、福島町が90・9%、八雲町が90・5%など4町が90%を超えた。自治体が自由に使えるお金が1割に満たない厳しい状況で、地方財政の硬直化が続いている。

 財政規模に対して一般会計などの実質赤字が発生した自治体はなかったが、病院や下水道事業など公営企業会計も含めた連結実質赤字は北斗市(0・37%)で発生した。将来の借金負担の重さを示す将来負担比率は、森町が224・0%と高かったが、財政再建計画の策定が義務付けられる早期健全化団体基準の350%は下回った。

 管内の歳入総額は同0・1%増の1940億2100万円と6年ぶりに増加。歳出総額は同0・3%減の1914億100万円となり、6年連続の減少となった。歳入は地方交付税が同2・8%、国庫支出金が同4・9%、それぞれ増加。歳出は人件費が同4・2%減、公債費が同1・5%減と削減効果が表れた一方、生活保護費などの扶助費は同0・8%増だった。

 管内の地方債残高は、発行額や後に地方交付税で100%措置される臨時財政対策債の減少で同2・4%減の2484億9700万円。職員数は退職者を補充せず、新規採用を抑えるなど、各自治体の行財政改革が進み同4・4%減の3732人となり、地方債残高とともに4年連続で減少した。



◎市交通局の年明けからフリーパス期間限定発売

 函館市交通局は年明けから、午後6時以降であれば当日何回でも乗れる時間限定の市電フリーパスを販売する。冬期間の乗客数底上げや利便性向上を目的に企画した。また函館らしさを演出して路面電車に親しみを持ってもらおうと、車内放送などに「はこだて賛歌」を取り入れる。ともに路面電車事業では全国的にも珍しいという。

 フリーパスの名称は「トワイライトパス」。函館市電では毎年冬期間の観光閑散期に乗客が減少しており、特に夕方以降に目立つことから、対象時間を毎日午後6時以降とした。価格は大人300円、子ども150円。来年1月3日―3月31日までの期間限定で、車内でのみ販売する。終日利用可能なフリーパスはこれまでも同交通局で販売してきたが、時間を限定したものは初めて。

 パスは最終便まで有効で、当日なら何回でも乗降できる。同交通局は「函館市電の初乗り料金は200円なので2回乗ればお得になる。宴会時の利用や観光客にとても便利」とPRしている。問い合わせは同交通局運輸課TEL0138・52・1273。

 また観光振興を目的に、路面電車乗車時や待ち時間にも函館らしさを感じてもらおうと、車内や電停の接近案内放送にこれまでのチャイム音に替えて「はこだて賛歌」を採用する。

 道内出身で、東京在住の函館市電ファン男性のアイデアで「首都圏のJRや私鉄では列車の発車合図などにご当地ソングを採用している。函館でも試してみてはどうか」と9月に提案があったという。男性の同郷の知人で東京で活動するプロミュージシャンの中村貴博さんが、無料で車内放送用にアレンジを手掛けた。メロディーは、はこだて賛歌の歌い出しと前奏部分を使用する。

 メロディーが流れるのは湯の川や五稜郭公園前、十字街など電車接近案内装置が設置されているか、乗客数の多い電停。車内放送開始は1月1日から、接近案内は同下旬を予定している。市交通局は「市民も観光客もメロディーを聞いて函館をイメージしてくれれば」と話している。(山田孝人)


◎「トラ」菓子いかが…とら屋でまんじゅうなど販売

 創業76年を数える老舗菓子店「とら屋」(函館市若松町40)では来年の干支(えと)「トラ」にちなんだ菓子3種を27日から発売する。同社の林信之社長(72)は「何度も試作を重ねて、あんの固さや味にとことんこだわりました。縁起物なのでぜひ年始のごあいさつにどうぞ」とPRしている。

 同店では毎年、その年の干支を模した菓子を作っているが、来年は店名にもなっている「トラ」が主役の年ということもあり、とびきり制作には力が入ったという。

 3種類の菓子はどれも一つ一つ丹精を込めた手作りで、使用するあんも十勝小豆100%とこだわった。チーズと白あんを組み合わせたトラまんじゅう「吉祥寅歳」や大納言カステラなどが入った縁起のよい菓子セット(1200円)のほか、棒状のラズベリージャムとつぶあんをスポンジで巻き、トラ模様の焼き目をつけた「寅ロール」(700円)は1月10日ごろまでの販売。トラの形をした最中(もなか)にこしあんと栗を入れた「虎最中」(135円)は通年販売を予定している。

 また11月から登場したつぶあんとカスタードクリームをソフトな皮で包んだ「とら巻」(100円)も同店の人気商品となっている。これらの商品は本店のほか、イトーヨーカドー函館店、ダイエー上磯店の系列店でも販売している。(小杉貴洋)


◎記者回顧6・記者生活3カ月

 「新聞記者になりたい」。もともと新聞を読むのが好きだった。高校在学中に道南の陸上大会で1500メートル走に出場した際、函館新聞に選手として名前が載ったうれしさも後押しし、新聞記者を志した。東京の大学に進み、地方紙などを受けたが、思いは届かなかった。札幌の医療関連企業に就職したものの、あきらめきれず入社半年で退職。9月、函館であこがれの記者としてようやくスタートを切った。

 ところが現実は厳しい。取材対象者に何を聞けば良いか分からない。写真もうまく撮れない。毎回、冷や汗と動揺の連続だった。理想とのギャップに悩んでいた時、先輩と行った中島廉売での取材で転機が訪れた。

 協力してくれたのは、60年余り続けた陶器店を閉めることにした露木登、稲子さん夫妻だ。2人は淡々と、時に冗談を交えながら店と共に歩んだ人生や街の移り変わりを話してくれた。特に店主・登さんの「ここまで育ててもらったのはお客さんのおかげ」という言葉が胸に残った。客からのプレゼントを大事に並べたカウンター、入り口で来店者を優しく出迎える年代物の丸いす…。店内は至るところに温かな人情味があふれ、ペンを走らせながら心にほのかな明かりがともるのを感じた。

 もしこの取材がなければ、記者は店の前を通っても素通りするだけだったかもしれない。しかし、夫婦と出会い、店や街、客に強い思いを抱いて生きる人の存在を知った。記者の仕事のやりがいのひとつは、そうした人たちの人生を読者に代わって直接聞き、紙面で多くの人に伝えることだと実感した。

 現在、幼稚園や町内会、企業など地域のさまざまな出来事を見つけようと駆け回っている。急に当日の催しを取材をすることになり、「きちんと勉強してから来い」というきつい一言を受けたことも。「元来口下手で積極的ともいえない自分が記者としてやっていけるのか…」。そんな思いが頭を巡るたび、「人の温かな思いに触れ、市井の暮らしの中にある小さな喜びを伝えたい」という目標を思い出し、鼓舞している。

 取材でさまざまな人と接する度、世間知らずな部分や至らなさに打ちのめされることもある。しかし映画好きの記者は、いつか見た作品の「回り道に見える道が一番近道なんだ」という言葉を信じて前に進みたい。そして、市民にスポットライトを当てられるような記者になることができるよう、日々の仕事をこなしたい。学ばなければならないことはたくさんある。(黒田 寛)