2009年12月28日 (月) 掲載

◎大沼間もなく冬の観光シーズン本格化

 【七飯】大沼国定公園では大沼、小沼がほぼ凍結し静寂に包まれている中、公園広場近くの釣り堀はワカサギの穴釣りでにぎわっている。また、白鳥台セバットには約30羽のオオハクチョウが羽を休めており、間もなく飛来のピークを迎え、大沼の冬の観光が本格化する。

 蓴菜沼と同じく、氷上ワカサギ釣りを楽しめる釣り堀「太公園」では27日、冬の北海道の暮らしを体験する関東の小中学生約20人が訪れ、体長約7センチに育ったワカサギを釣り上げ、季節の風物詩を楽しんだ。

 この体験事業は札幌のNPO法人ねおすが主催し、今年で2年目。季節ごとに開催され、今回は26―30日に道南に滞在し、馬や牛の世話、炭作りなどの仕事の手伝いをし、楽しみの時間としてワカサギ釣りをした。湖面は凍っているものの、氷上釣りをするまでの厚さはなく、釣り堀わきの桟橋に開けられた穴で釣りをした。ワカサギは続々と上がり、子どもたちは「大漁だ」と大喜び。釣ったワカサギでつくだ煮作りも行った。

 子供たちを引率した穴澤剛行さんは「今年は雪が多く、関東の子供たちにとって、雪で厳しさが増す仕事の大変さを体験できて良かった。ワカサギは寒さの中で釣れない苦労も味わってほしかったが、釣れすぎるほどで大喜びしている」と話していた。

 大沼と小沼の境界にある白鳥台セバットでは、越冬で飛来するオオハクチョウが増え始めた。今年は10月中旬に飛来が確認され、寒さが本格化した12月中旬から鳴き声が響くようになった。

 同所付近は水の流れがあり、真冬でも日中は凍らないため、マガモなど多くの鳥たちが集まる。オオハクチョウは27日現在で約30羽だが、寒さが増し沼の凍結が進むにつれて数は増え、近年は80―100羽が見られる。

 この日は外国人観光客らが大勢訪れ、鳥たちのにぎやかな様子に喜んでいた。函館市山の手から親子で訪れた会社員、菅原明雄さん(35)は「雪が多いので、もっとたくさん飛来しているかと思った。1月中旬にはワカサギ釣りを楽しんだ後に、またここに来てみたい」と話していた。



◎寒中みそぎ盛り上げ 菓子パン、カレンダー、地酒プレゼント

 【木古内】来年1月13日から15日に行われる木古内町佐女川神社の「第180回寒中みそぎ祭り」を盛り上げる観光イベント「寒中みそぎフェスティバル2010」の実行委員会(委員長・東出文雄観光協会会長)は、180回目の記念として、カレンダーや菓子パンを製作した。15日に行われる「もちまき」には、菓子パンと地酒「みそぎの舞」をプレゼントするなど、オリジナルグッズと多彩な企画で祭りを盛り上げる。

 木古内小売酒販組合(東出邦夫組合長)は、町内9店舗で販売する地酒「みそぎの舞」が来年、発売20周年を迎えることから、賞品として720ミリリットル「瓶50本を用意した。東出邦夫組合長は「『みそぎの舞』も記念の年。町民に愛され、20周年を迎えることができる。感謝の意味も込め、フェスティバルへの協賛を決めた。町外の人にも辛口ですっきりとした味わいを楽しんでほしい」と話す。

 オリジナル菓子パンは、町内のパン製造販売会社、北島製パンが実行委の依頼で開発に協力した。観光協会のみそぎ祭りイメージキャラクター「みそぎボーイ」をかたどり、チョコレート入りの菓子パンに仕上げた。同フェスティバルのために500個を製造する。開発を担当した同社の北島理嗣さんは「試作を重ね、満足のいくものに仕上がった」と自信をのぞかせる。

 「みそぎの舞」と菓子パン180個は15日午後零時45分から行われる「もちまき」の商品となる。会場では菓子パンのキャラクターの愛称募集の企画も行う。また、菓子パンは14日午後5時半から行われる「みそぎ行列」の参加者(先着200人)にもプレゼントする。

 2010年オリジナルカレンダーは、A2サイズで2800枚を製作。過去8回の写真コンテスト入賞作品を使用し、海に入りご神体を清める若者の勇壮な姿を伝える。年内に町の広報と一緒に町内全世帯に配布するほか、15日にみそぎ広場でも先着180人にプレゼントする。

 東出文雄委員長は「オリジナルグッズの製作など、これだけの企画を用意したのは初めて。180回目の記念の寒中みそぎ祭りをまち全体で盛り上げたい」と意気込んでいる。(松宮一郎)



◎熟練の技 つやつや 鏡もちづくりピーク

 今年も残すところあと4日。正月を彩るもちづくりも本格化し、来年で創業110年迎える老舗もち屋「栄餅」(函館市栄町5、佐藤秀昭社長)では、深夜から従業員らが総出でお供えもちづくりなどに追われている。

 もちは長くのびて切れないことから、長寿や無病息災を祈って正月に飾る。同店でも縁起物として、大きいものでは2升、小さくて1合の紅白などのお供えもちを用意するほか、定番ののしもち、豆もち、この時期しか販売しない黒糖を練りこんだ砂糖もちなどを販売している。

 午前1時ごろから始まる作業は連日昼過ぎまで続く。もち米は岩手県盛岡市から取り寄せているこだわりの「ひめのもち」を使用。蒸しやつきの工程を経て、佐藤社長(56)が職人歴35年間で培ってきた熟練の技で丸型に整えていく。出来上がったもちは「つやつやふっくら」が特徴だ。作業のピークは28日と30日といい、この時期は1日当たり6俵分(360キロ)のもち米を使って生産する。

 佐藤社長は「味やコシには絶対の自信がある。おしるこや雑煮、きつね色に焼いて食べてください」と話す。同店では全商品の予約を30日まで受け付けている。問い合わせは同店TEL0138・22・5482。(小杉貴洋)


◎迫力満点のステージ 函大有斗高吹奏楽部

 函大有斗高(鈴木健校長)の吹奏楽部(マーチングバンド)「The Great Bears (ザ・グレート・ベアーズ)Drum & Brass Corps」のウインターコンサート2009が27日、函館市民会館(湯川町1)で開かれた。2部構成で、多彩なジャンルの楽曲を披露し、約900人の観客を魅了した。

 同バンドは先日埼玉県で行われた第37回マーチングバンド・バトントワーリング全国大会に2年ぶり16回目の出場を果たすなど、実績と実力を兼ね備えた団体。ウインターコンサートは、応援してくれた市民らに1年間の活動の成果を披露する場であるとともに、3年生最後の舞台でもあり、毎年さまざまな趣向をこらした楽しいステージを届けている。

 この日は第1部を「コンサートステージ」として、組曲「展覧会の絵」などクラシックの名曲から、「ビッグノイズフロムウィネッカ」などスイングジャズのヒットナンバーまで生き生きとしたアンサンブルで表現。また第2部の「マーチングステージ」では、全国大会出場曲のバレエ組曲「エスタンシア」を中心に、ステージ場で華やかなマーチングを再現。息のぴったり合った迫力満点の動きに、会場からは熱狂的な拍手が送られていた。(小川俊之)


◎記者回顧7 事件現場から学ぶ

 1年前には記者としての姿は想像できなかった。3月に入社して警察担当などを経て9カ月が過ぎた。この間で特に印象的だったのが、10月に森町内で発生した中国人女性実習生の殺人事件だ。初めて経験する大事件で、戸惑いや不安でいっぱいだった。しかし、日々現場に足を運び、事件に心を痛める関係者や町民らと接することで、記者として歩んでいく上での大事なことを教えてもらった。

 のちに同胞の男性実習生が逮捕され、金銭トラブルなどが原因での殺害とわかった。その事実を追うために約1週間、早朝から森町内と函館を往復する日々が続いた。警察、遺体発見現場の公園、被害者・加害者が勤務していた水産加工場などを中心に回った。しかし、なかなか有力な情報を得ることができなかった。他社の記者のフットワークの良さや情報収集力に驚くとともに、自分のふがいなさを実感した。

 少しでも事件につながる話を聞くためにと、町中で関係者らしき人たちに声をかけ続けたが難航した。中国人が水産加工の働き手として多く住んでいるため、言葉の壁にぶち当たったからだ。

 そんな時、被害者の勤務先の社長が「社員はみんな悲しみに暮れている。笑顔で働いていたあの子の顔が忘れられない」と語った。一方、加害者の勤務先も「本当に申し訳ない気持ちでいっぱい」と深々と頭を下げ、謝罪した。そう話す責任者の顔からは動揺とこれからへの不安、疲れがうかがえた。

 町民にも率直な思いを聞くと「この事件でちゃんと頑張っている中国人の肩身が狭くなるのはかわいそうだね」と話す人がいた。それを聞いたとき「ハッと」した。今まで自分は事件ばかりで「人の気持ち」に目を向けてこなかったことに気が付いたからだ。

 事件の裏には関係者にしかわからない悲しみや苦しみがあることを痛感した。「その気持ちを伝えたい」と素直に思った。

 記者にならなければ一生思うことはなかったことだろう。この仕事の使命ややりがいは、自分の言葉で伝えられること。しかし、とても難しく格闘の毎日だ。

 事件の取材中、わからないことがあったので先輩記者に電話をした。「いつでも電話してきていいから」と優しい言葉をかけてもらった。一人で何もかもしなければいけないと思えば思うほど空回りしていたと我に返った。両親から心配する電話がかかってきても「何もわからないくせに」と切ったこともあった。今はとても後悔している。

 昨今、人間関係の希薄化が叫ばれているが、言われるほど人は他人に無関心ではない。事件の取材を通し、そのことに気付いた。記者としてまだまだ駆け出しの段階だが、取材先や関係する人たちの思いを多くの読者に伝えたい。そのためにも、取材相手の話には真剣に耳を傾けていきたい。(小杉貴洋)