2009年12月4日 (金) 掲載

◎とろろ昆布の製造最盛期

 函館特産のガゴメコンブを使ったとろろ昆布作りが、函館市の加工場で最盛期を迎えている。製造加工業「かまだ商店」(鎌田博之社長)の川汲工場では、従業員が袋詰めなどの製品化作業に追われている。

 同社は地元で採れるガゴメコンブにこだわり、年間約40トンを扱う。3分の1がとろろ昆布に使われ、注文の増える9月から12月までが製造ピークとなる。ほかにおぼろ昆布やきざみ昆布も作っている。

 原料のガゴメコンブはまず酢水に数十秒つけ、最低半日寝かせてうま味を出す。切って汚れを取り除いた後、圧縮して約60キロの塊に加工。その塊を専用の機械で薄く削り、1枚約2グラムに仕上げる。

 機械の削り刃は天気や肉の厚みなどで従業員が微妙に調節しており、機械4台をフル稼働させて1日400キロを製造している。製品の9割は関西、関東に送られる。

 営業担当の田渕亜樹さん(38)は「原料にこだわり調味料を使わないのでつやがあり、風味や粘り気が良い」と話している。(新目七恵)

 手慣れた手つきでとろろ昆布を量る従業員。つやと風味のある製品が次々と出来上がる



◎函館市、新年度の予算編成難航/「事業仕分け」影響

 函館市が新年度に向けて進めている予算編成作業が苦境に立っている。政府の行政刷新会議が先月実施した「事業仕分け」で地方交付税が対象として取り上げられ、制度の抜本的見直しが必要と判定された。これを受け、国からどの程度交付税が下りてくるのか、現時点で見通しが立っていないのがその理由だ。市は「現在は身動きが取れない。国は一刻も早く地方に情報を開示してほしい」と、政府の方針決定を待っている。

 市財政課によると、一般的な予算編成スケジュールとしては、計画的な財政運営を目的に向こう5年間の見通しを示す「中期財政試算」を11月下旬に策定した後、12月から定例市議会と並行して予算編成に入る。年明け後、1月下旬の市長査定を経て、2月中旬をめどに新年度予算案を公表、2月議会で審議される。

 しかし、政権交代を経て誕生した民主党政権はマニフェスト(政権公約)に子ども一人あたり月額2万6000円(2010年度は半額)を支給する「子ども手当」などを盛り込む一方、来年度予算の概算要求のムダを洗い出す目的で行われた事業仕分けでは地方交付税が対象となるなど、その見通しは立っていない。これらを受け、市は先月出す予定だった中期財政試算の策定を見送っている。

 市財政課は「民主党のマニフェストをどこまで取り込めるか。市民目線で重要なものは予算に盛り込まなくてはならない」と話す一方、一例として子ども手当が地方負担となった場合を挙げ、「財源の大幅なねん出は避けられず、どこかを削らなくてはならない」と頭を抱える。

 各部局からの予算要求は、建物の維持管理費など通年的に必要な部類についてはすでに締め切っており、各種事業に関する要求は今月4日が締め切り日。ただ、通常は12月いっぱいまでかかることが慣例になっているという。同課は「予算の中身が見えてこない以上、粛々と行財政改革を進めていくしかない。国からどの程度予算が来るのか見極めたい」と話している。(千葉卓陽)



◎函館酪農公社「ストリングチーズ」がコンテストで優秀賞

 函館酪農公社(函館市中野町、柴田満雄社長)の「ストリングチーズ」が、国内チーズ業界で最高峰の「第7回ALL JAPANナチュラルチーズコンテスト」(中央酪農会議主催)で、優秀賞を受賞した。約半年の試作期間を経て、ことし5月に発売した新しい商品。開発の中心となった同社チーズ担当の加藤久さんは、「手作りにこだわった品質の良さが認められた」と喜んでいる。

 同コンテストは、国産ナチュラルチーズの正確な技術や品質を評価するなどの目的で、1998年からほぼ隔年で開催している。今回は11月中旬に東京で審査し、結果を発表。「フレッシュ」や「白カビ」「青カビ」「ハード」など9部門に、全国各地から113作品(52社)が出品し、うち30作品が入賞した。

 優秀賞は、5作品が選ばれる最優秀賞(農林水産大臣賞など)に次ぐ賞で、25作品が選ばれた。ストリングチーズは、エサからこだわった八雲町産の生乳を原料に、塩分を控えめにして牛乳の風味を生かした作品。審査員は「(審査対象となる)味や組織、風味、外観を総合して、バランス良くまとまった作品」(主催者)と評価した。

 加藤さんは「国内でどの程度通用するか力試しのつもりで出品したが、受賞をきっかけに商品開発の意欲がさらに大きくなった」と言う。これまでは同社に併設した直売店でのみの限定販売だったが、道南一帯を広く走る直売カーでも扱い始め、売れ行きは好調だという。一袋(約60グラム)400円。問い合わせは同社TEL0138-58-4460。

 また同コンテストの道南からの入賞はほかに、せたな町西大里の村上牧場ミルク工房レプレラのハードタイプ「ガンビ」が優秀賞を受賞した。(小泉まや)


◎江差風力開発、風車5基の立地場所を変更

 【江差】江差町北部で出力1万9500キロワットの風力発電事業を展開する江差風力開発(東京)は3日までに、町内北部で建設を予定していた風車10基のうち半数の5基について、用地確保上の問題から、立地場所を五厘沢地区から鰔川町の山間部に変更する方針を町に伝えた。

 同社は当初、水堀―朝日―越前の平野部に1―5号機、慶喜トンネル東側の丘陵地帯に6―10号機を設置する方針だった。だが、管内の企業倒産などの影響で土地の権利関係に問題が生じ、立地場所の変更を余儀なくされたという。

 このため、6―10号機は当初の建設予定エリアからは約3キロ、逆川ダムの約1.5キロ北東側で、乙部町との町境に接する鰔川町北側の山間部に変更した。新しい立地場所は山地の尾根付近当たり、直近の民家からは500メートル以上の距離がある。

 同社は当初、来年4月までに10基の風車を完成させ、北海道電力(札幌)への買電を開始する予定だった。平野部に建設する5基の風車は予定通りに運転を開始するが、鰔川町に設置する風車は来年4月着工、同12月の完成予定となり、建設計画に大幅な遅れが生じた。

 同社は風力発電事業で国内第3位の日本風力開発(東京)の100%子会社。07年に北電が行った、抽選による買電枠募集で当選した。風車の立地をめぐっては08年9月にも、地盤が軟弱であることなどを理由に、平野部を予定していた風車5基の建設場所を五厘沢地区に変更している。(松浦 純)


◎西署が振り込め詐欺で紙芝居制作

 函館西署は、依然として被害が続く振り込め詐欺対策に役立てようと、紙芝居を制作した。孫を装う犯人に高齢者がだまされる「おれおれ詐欺」の手口をテーマに、署員がイラストやストーリーを考案した。各町会などで開かれる防犯講話などでの活用を想定し、広く住民に危機意識を浸透させたい考えだ。

 ストーリーは「わしがだまされるわけがない」と豪語する「頑固者」で有名なおじいさん、おれおれ詐欺の手口に精通し、防犯対策に熱心なおばあさんの2人が主役。ある日、おじいさんは、“会社の金を使い込んだ”孫を装う犯人にだまされるが、おばあさんが粘り強い説得を続けて、被害を水際で防ぐまでを12枚にまとめた。

 「風邪をひいた」「携帯電話を落とした」とする前兆の電話や、おじいさんが先に孫の名前で語りかけた後に犯人が孫の「太郎」を名乗るようになる様子、本物の太郎に電話をかけて真相が判明する―といった、実際の詐欺被害において共通して注意すべき点が随所に盛り込まれている。

 紙芝居はこのほど、同署管内の船見第一町会で開かれた振り込め詐欺の防犯講話で初披露され、好評を得た。同署では今後、署員による出張講話や、貸し出しも検討している。同署生活安全課では「紙芝居を通じて、振り込め詐欺被害防止の意識や、地域のコミュニティーの活性、ご近所間の防犯意識を強めてもらいたい」と話している。問い合わせは同署生活安全課TEL0138-42-0110。(今井正一)