2009年12月5日 (土) 掲載

◎イルミナシオン映画祭開幕 八嶋さんら舞台あいさつ

 「第15回函館港イルミナシオン映画祭」(実行委主催)が4日、函館市末広町の金森ホールなどで開幕した。函館ロケ作品「つむじ風食堂の夜」(篠原哲雄監督)などが上映され、詰め掛けたファンや市民らが映画の魅力を満喫した。篠原監督とともに舞台あいさつした主演の八嶋智人さんは「函館の人に支えられてできた映画。感謝している」と思いを語った。なお、5日の函館山山頂クレモナホールでの上映は悪天候のため中止となり、金森ホールでの上映となる。

 15回の節目となる今回は、6日までに新旧の邦画23作品を上映するほか、シンポジウムなども予定している。映画監督や俳優らゲストも来函し、来場者と交流を深める。

 「つむじ風―」は昨年末、函館市内で撮影された。この日はロケに協力した市民も多く訪れ、感慨深い様子でスクリーンに見入っていた。

 金森ホールで行われた舞台あいさつで八嶋さんは、函館の魅力について「和洋折衷で面白い街」と話し、「函館でなければこの映画は成立しなかった」と笑顔で語った。篠原監督は、函館をロケ地に選んだ理由を「最初から函館のイメージにぴったりな作品だったから」と話し、「何度も訪れたくなる街」と思いを語った。

 この日はプレ上映として、函館で初めて映画撮影された作品「若い人」(1937年、豊田四郎監督)もクレモナホールで2回上映された。函館開港150周年の節目として選ばれ、詰め掛けた多くの市民が当時の風景を楽しんでいた。(黒田 寛、新目七恵)



◎首相補佐官に逢坂氏を起用

 政府は4日の閣議で、民主党道8区選出の逢坂誠二衆院議員(50)を地域主権などを担当する首相補佐官に起用することを決定した。鳩山内閣の補佐官は道内選出の荒井聡衆院議員(道3区)、小川勝也参院議員(道選挙区)らに次いで4人目。

 地方分権を政治主導で進める「地域主権戦略会議」の事務局となる地域主権室長として、地域活性化や地方行政の推進も担当する。逢坂氏は「自治体の現場経験からライフワークである自治の問題に真正面から取り組めるポストに重責を感じる。鳩山内閣の1丁目1番地である地域主権政策を推進させたい」と抱負を語った。

 逢坂氏は今年9月、地方分権改革の推進に向けて新設される「地域主権室」の初代室長に内定していた。逢坂氏は後志管内ニセコ町長3期を経て、2005年の衆院選で初当選。現在2期目。これまで党の分権調査会事務局長を務めていた。(森健太郎)



◎濱谷江差町長 3選出馬表明へ

 【江差】来年8月に任期満了を迎える濱谷一治江差町長(64)は4日までに、同年7月の町長選に3選を目指して出馬する意向を固めた。10日に開会する第4回定例町議会の一般質問に答える形で正式に出馬表明する見通し。

 複数の関係者が明らかにした。自治体財政健全化法に基づく、早期健全化団体に転落した同町にとって財政再建は急務。行政の継続性を重視する濱谷氏は、引き続き町政運営のかじ取り役を担うことで、同団体からの脱却と財政健全化の道筋を明らかにしたい意向だ。

 過疎化の進行や景気後退への対応として、町政の最重点課題に位置付けている企業誘致や道外企業との連携強化を通じて、産業経済の活性化や定住人口の増加に向けた取り組みを加速し、町の将来展望を示したい考えという。

 次期町長選をめぐっては、これまでのところ濱谷氏以外に出馬に向けた動きはない。

 濱谷氏は上ノ国町出身。江差高卒。1964年に町役場入り。商工観光課長、保健衛生課長、町議会事務局長、桧山広域行政組合総務課長、保健福祉課長を経て、2002年の町長選で、当時の現職を328票差で破り初当選した。06年の前回選挙は無投票だった。現在は桧山広域行政組合理事長、道町村会理事、桧山支庁管内町村会筆頭副会長などを務めている。(松浦 純)


◎亀田病院で認知症関係機関等連絡協議会 医療・行政・家族の3者連携強化

 認知症治療に携わる医療関係者と行政、民間団体が集い、医療やサポート体制の充実策を探る「認知症関係機関等連絡協議会」がこのほど発足した。函館市昭和1の亀田病院(蒲池匡文理事長)で初会合を開き、「率直な話し合いで情報交換や意思疎通を図り、課題解決に向けた協議を重ねよう」と連携強化を確認した。関係者によると、医療、行政、家族団体の三者によるこうした組織の結成は珍しく、同会は今後、医師会などにも呼び掛けて参加機関を増やしたい考え。

 「関係者の声を医療現場に生かそう。実情を把握する重要な参考になるはず」と同病院の分院、亀田北病院(石井敏明院長)が事務局となり、開催を呼び掛けた。渡島保健福祉事務所、市立函館保健所、道南認知症懇話会など12団体から計27人が出席し、2日に第1回会議を開催した。

 出席者から「認知症の症状を疑っても、受診までの第一歩を踏み切れない人が多い」「どこでどうやって相談をすればいいのか具体的に分からない家族も少なくない」という意見が挙がり、相談窓口の充実と周知徹底の課題を提起。専門的な治療のほか講演会や相談会など、これまでの各種活動を振り返り、「患者を取り巻くあらゆる協力が重要。点を線に、線を面にするという意識こそが医療充実に欠かせない」との声が出された。

 また「身寄りのない人、親族はいても関係が希薄な患者への対応が今後心配だ」とする声に、「関係者が一丸となってそのすき間を埋めていければいい。その努力を」という意見も。

 亀田北病院で今春始まった「もの忘れ疾患センター」の説明もあり、石井院長は「増加する認知症患者に対し、われわれがどう対応できるか。職員らで勉強会を重ねた中で、自然発生的にできた」と紹介。「この協議会が活動の参考になる」とした。

 蒲池理事長は「とても有意義な時間だった。近々、2回目を開催したい」、石井院長も「意見を交わすことの大切さをあらためて感じた。次回は医師会関係者の出席を願いたい」と意欲を見せている。(田中陽介)