2009年12月6日 (日) 掲載

◎高橋留美子さんの世界堪能…カラーイラスト原画など展示

 「うる星やつら」「らんま1/2」「めぞん一刻」「犬夜叉」の大ヒットで知られる人気漫画家、高橋留美子さんの展覧会「高橋留美子展 It’s a Rumic world」(道立函館美術館など主催)が5日、同館で始まった。4大作品のカラーイラスト原画のほか、有名作家34人が「うる星やつら」の「ラムちゃん」を描いた「MY Lum」など約150点が展示されている。来年1月17日まで。

 幅広い世代から人気のある高橋さんの展覧会は初めて。各作品に分けて原画を紹介しているほか、「めぞん一刻」の舞台となったアパート「一刻館」の模型、同展限定のビデオ放映、オリジナルグッズの販売が行われている。

 初日は開会式に続き、関係者による特別観覧が行われた。「昭和50年代に頑張る女性作家として応援していた。懐かしい」「漫画が美術作品としても楽しめる」などの声が聞かれた。前函館文化会会長の関輝夫さんは「絵が優しい作品が多くて楽しいですね」と話していた。

 開館は午前9時半―午後5時(入場は同4時半まで)。休館は28日から1月4日と月曜(1月11日は開館、同12日休館)。観覧料は一般900円、高校大学生600円、小中学生300円。問い合わせは同館TEL0138・56・6311。(山崎純一)



◎高柳連合北海道会長が批判…支庁再編

 【江差】連合北海道の高柳薫会長は5日、道の支庁再編をめぐり「地域から振興局が出張所になるという懸念を持たれること自体が問題」として、再編案に反対する道町村会(会長・寺島光一郎乙部町長)や桧山管内7町と十分に議論を尽くすよう、道に申し入れる考えを示した。

 江差町で開かれた、連合北海道桧山地域協議会(佐藤英之会長)の第20回定期総会での発言。14日に町内で行われる支庁再編に関する公開協議について、高橋はるみ知事が出席しない方針を示したことに「都合の悪い所は後回しにする考えは問題だ。桧山管内には知事が一番最初に訪れて話し合うべきではないか」と批判した。

 また、民主党・道民連合所属の福原賢孝道議(桧山支庁区)は、道議会で支庁再編問題を議論する、道州制・地方分権改革等推進調査特別委員会(工藤敏郎委員長)の現地視察を来年1月中旬にも桧山管内で実施し、振興局の実質的な出張所格下げを懸念する管内関係者の意見を聴く方針を明らかにした。

 総会の議事では、新年度の活動方針を協議。支庁再編をめぐっては①地域主権型社会を展望した、基礎的自治体の在り方と一体になった検討の視点がない②道の財政再建問題が発端であり、地域への影響を考慮しておらず、住民の理解も得ていない―として、白紙撤回すべきとの方針で一致し、春闘の重点課題にも位置付けた。

 また、2011年の統一地方選については「高橋道政は経済産業の再生、雇用対策、地域医療など山積している課題を何一つ解決していない」と指摘。高橋知事の対抗馬となる知事候補の早期擁立を進めるほか、民主党会派による道議会での過半数獲得を目指すため、来夏の参院選と一体となった取り組みを進めるとした。

 役員改選では、06年に就任した佐藤会長(北教組)が留任。副会長は泉谷真史氏(電力総連)が留任。明石正信氏(私鉄総連)を新任し、自治労から後日1人を選出して3人体制とする。大杉則明事務局長(自治労)は留任。いずれも任期は2年間。(松浦 純)



◎7日から函館市議会傍聴者の駐車場料金を無料化

 函館市は7日から、市議会本会議や委員会傍聴者の駐車場料金を無料化する。一般市民からの要望に応えるとともに、開かれた市政と議会の推進に向けて傍聴しやすい環境を整備することが目的で、同日午前から行われる定例会一般質問に合わせて実施する。

 無料化は市議会本会議、委員会、委員協議会のほか、行政委員会や監査委員の会議などが対象となる。

 駐車料金は平日の開庁時は1時間まで無料で、以降30分ごとに100円がかかる。長時間傍聴した場合に駐車料金がかさむことから、07年6月には市議会に無料化を求める要望書が出されていた。この時は不採択となったが、今年7月にも要望書が上がり、議会運営委員会(松尾正寿委員長)での議論、採決を経て、今月2日には吉田崇仁議長が市に無料化の申し入れを行った。

 手順は市役所8階にある傍聴人名簿に氏名を記入、傍聴後に職員に駐車券を手渡し、認証機に通すことで無料となる。行政委員会の場合は所管課の職員が対応する。市総務課は「開かれた市政や議会を目指す中で市民参加は欠かせない。まずは無料化を実施することで、傍聴者の増加に期待したい」と話す。

 ただ、議会運営委員会では傍聴目的以外の来庁者が利用することを懸念する声も出ていた。市議会事務局は「不正利用をチェックする体制も考えなくてはいけないが、市民の良識ある利用をお願いしたい」と訴えている。(千葉卓陽)


◎営業再開に市民の力…市営熱帯植物園

 師走に入り、寒さが増す中で、函館市営熱帯植物園(湯川町3)は例年にない“温かさ”に包まれている。先の強風で温室ガラスの一部が割れたが「住民の憩いの場を守りたい」と多くの市民ボランティアが復旧作業に駆けつけた。早期営業再開の原動力となり、関係者は「災難に見舞われたが、人のぬくもり、支え合う精神の大切さを感じた」と感謝の言葉を口にしている。

 11月15日夜の荒天で、温室東側の壁面ガラス約70枚(1枚、縦80×横60センチ)がめくれるように割れた。ホタルが生息する一角に潮風が吹きつけたが、真水で一帯を洗浄するなど迅速な対応で植物には目立った被害はなく、けが人もいなかった。

 16日から臨時休園の措置を取り、壊れた壁面の修理に入った。その様子がテレビや新聞で報じられると、「大丈夫ですか? 何か手伝えることがあれば出向きたい」と市民から問い合わせが相次いだという。

 20日の作業には、市民有志13人が駆けつけた。施設を管理する市水道局と、運営するNPO法人函館エコロジークラブのメンバーらを合わせ、総勢35人で早朝から夕方まで作業。細かなガラス片をピンセットやはしで丁寧に拾い集めた。芝生をかき分けながら集中しての作業で、これが功を奏し、21日の営業再開となった。

 同クラブの坂井正治さんは「大変な作業でしたが、皆さんが一生懸命手伝ってくれたことがうれしい。本当にありがたくて、感謝ばかりです」と話す。

 12月1日には、冬恒例のサル山温泉が登場した。気持ち良さそうに湯船につかる姿が、来場者の笑顔を誘っている。坂井さんらも目を細め、「今後も地域に親しまれる植物園であるよう頑張ろう。温室のぬくもりを来場者の心にも伝えられれば」と日々業務に取り組む。

 営業は午前9時半―午後4時半。問い合わせは同園TEL0138・57・7833。


◎地方での制作意義語り合う…函館港イルミナシオン映画祭

 「第15回函館港イルミナシオン映画祭」(実行委主催)は2日目の5日、市内外で映画製作や映画祭運営に携わる関係者を招いたシンポジウムなどが市地域交流まちづくりセンター(末広町)で行われた。市内外で映画製作に取り組む市民が集い、地方での映画作りの意義を語り合った。

 演題は「中央から離れた豊かさ」。地元からパネリストとして参加した映画「海炭市叙景」製作実行委員会の菅原和博委員長は「自分が観たかった映画。作品で描かれるうらぶれた風景は地域住民にとって懐かしい景色でもあり、普遍的要素がある」と話し、西堀滋樹事務局長も「今の建物や街並みをフィルムに残す役割もある」と訴えた。

 群馬の伊参スタジオ映画祭実行委員会の斉藤貴史さんは、地元での撮影を前提としてシナリオ公募する取り組みを紹介し、「普段暮らす土地にドラマが与えられ、住む住民に誇りが生まれる」と効果を語り、赤平市民映画制作実行委員会の成田博之さんはシンポジウム前に上映された市民映画「0からのRE―スタート」の製作過程を説明し、「鑑賞した市民の心が変わり、財政難で継続が危ぶまれていた『火まつり』を守り続けることになった」と説明した。米田哲平実行委員長は映画祭の初回などを振り返り、シナリオ大賞について「映画人を全国に発信できないかと始めた」などと語った。

 この日は金森ホールと同センターで映画7作品が上映されたほか、公式パーティーも行われた。(新目七恵)