2009年12月7日 (月) 掲載

◎白と青で幻想的な輝き…五稜郭タワー

 五稜郭タワー(函館市五稜郭町43)1階アトリウムでは毎夜、白と青のイルミネーションが輝いている。広場一帯を包み込むような飾りで、クリスマスの雰囲気を盛り上げており、訪れた観光客らは「幻想的なライトできれい」と喜んでいる。

 11月28日から始まった五稜郭公園の掘を電飾で浮かび上がらせる「五稜星の夢(ほしのゆめ)」に合わせて企画。午後5時から2時間は、アトリウム全体の照明を抑えて点灯する。特設ステージの壁には大きな流れ星を、らせん階段にはびっしりとライトが付けられ、足元を淡い光で照らしている。

 埼玉県から観光で訪れた大学生の瀧澤舞子さん(22)と会社員の稲田美菜さん(22)は「雪を連想させる光がとてもすてき。この青色が好きで、北海道旅行の最高の思い出になった」と記念撮影を楽しんでいた。

 このイルミネーションは2月末まで。(田中陽介)



◎銀幕の魅力 来年も…イルミナシオン映画祭閉幕

 「第15回函館港イルミナシオン映画祭」(実行委主催)は最終日の6日、函館山山頂クレモナホールと市地域交流まちづくりセンターの2カ所で計7作品の上映やシンポジウムなどが行われた。同映画祭のシナリオ大賞受賞作の映画化「おと・な・り」(2009年)のクロージング上映では、熊澤尚人監督(42)とともにゲストで登場した脚本家のまなべゆきこさん(41)が「函館に帰ってきて感無量」と喜びを語った。

 「おと・な・り」は都会のアパートを舞台に、音で引かれ合う男女を描くラブストーリー。04年シナリオ大賞長編部門佳作の「A/PART(ア・パート)」を改題し、岡田准一さん、麻生久美子さんが主演した。

 まなべさんは「この場所に帰り、長い目標を終えたよう。オリジナルが映画化されにくい中、受賞は大きなきっかけになった」と振り返った。熊澤監督は「『ニライカナイからの手紙』で長編デビューした時期に受賞の知らせを聞き、自分にとっても思い出深い作品。また函館に作品を持ってきたい」と語り、2人に大きな拍手が送られた。

 この日はほかに吉永小百合さん主演の青春映画「キューポラのある街」(1962年)や、シナリオ大賞受賞作の映画化「パコダテ人」の原作者・今井雅子さん脚本の「子ぎつねヘレン」(2005年、河野圭太監督)などが上映され、訪れた市民を楽しませた。(新目七恵)



◎北海道新幹線 財源面理解も強い危機感…当初予算見送りで関係自治体

 前原誠司国土交通相が11月、北海道新幹線の札幌―長万部間など整備新幹線未着工区間について、来年度当初予算での着工をするかどうかの判断を先送りする考えを示した。事実上、来年度の着工は見送りとなる公算が強まったが、道南の関係自治体は財源面での問題を認識しながらも、「札幌に延伸してこそ新幹線の効果がある」として、政府への働きかけを行っていく考えだ。

 前政権が昨年末にまとめた、政府・与党合意は道新幹線の札幌―長万部間など未着工の3区間について、本年度中の部分着工を認可する方向性を示した。札幌―長万部間は「スーパー特急」として建設費用を圧縮し、財源に充てることを検討する―としていた。

 しかし、前原氏は「凍結イコール白紙ではない」としながらも、整備新幹線全体の必要性を検討する考えを表明している。

 新函館駅(仮称)の建設を進める北斗市の海老沢順三市長は「人や物流の交流が盛んになることで道南にも波及効果はある」として札幌延伸に賛意を示している。ただ、終着駅効果の期待や、延伸によるストロー現象を懸念する声もあり、合意形成にまで至っていない。

 一方、函館総合車両基地(仮称)の整備が進む七飯町は「基地の存在意義がなくなる」として、今回の凍結方針に危機感を強める。総合車両基地は車両開発や検査など専門的な管理を行う。札幌まで延伸しないのであれば、基地の機能強化は必要なくなる。町新幹線対策課は「受け入れる車両の数、張り付く従業員の数も限定され、町や周辺の経済効果も期待はできない」と危ぶむ。中宮安一町長は「札幌延伸によって北海道経済の活性化につながると提言していく。どんな努力をしてでも延伸を訴えたい」と話している。

 また、函館市新幹線対策室は「1兆5000億円にも上る国家事業であり、昨今の経済事情を考えれば致し方ない部分はある」と一定の理解を示すものの「札幌まで通すことが最終形で、必要性は認められていると思う。札幌市や建設促進関係自治体連絡協議会(会長・上田文雄札幌市長)と足並みをそろえて対応していきたい」と話す。大森伊佐緒木古内町長も「政府の動きを見守るよりほかないが、これまで通り粘り強く要請活動を続けていく」とコメントしている。(千葉卓陽、鈴木 潤、松宮一郎)


◎ぞうきんがけ競争白熱…オンパク閉幕

 湯の川温泉街を中心に展開する体験型イベント「第5回はこだて湯の川温泉泊覧会(オンパク)」(実行委主催)の最終日を飾るフィナーレイベント「雑巾(ぞうきん)がけレースin湯の川温泉」が6日、ホテル平成館海羊亭で行われ、小学生から大人まで25人がタイムを競った。

 同イベントは若手の実行委員を中心に今回初めて企画。温泉旅館らしい畳の大広間を会場に、昔ながらのぞうきんがけに挑戦してもらう趣旨で、小学生、男女の3部に分かれて実施した。最初に2人ずつ記録測定し、各部上位5人ずつレースを行い、ペア宿泊券や食事券などの賞品を争った。

 会場は200畳ある大広間で、ぞうきんがけをする距離は12メートル。裸足に浴衣姿の参加者は、畳をからぶきしながら前のめりになって“全力疾走”し、白熱した戦いを繰り広げた。1位のタイムは各部とも5秒台。小学生の部を5・46秒で優勝した函館亀田小5年の渡辺晴斗君(10)は「からぶきだから廊下よりも簡単。みんなで一斉にやるのが楽しかった」と話していた。

 第5回オンパクは11月28日から9日間開催され、全32プログラムで計858人の定員に対して8割を超える約700人が参加し、閉幕した。金道太朗実行委員長は「不景気の中、参加者が集まるか心配したが、例年以上に参加してもらいありがたい」と話していた。(宮木佳奈美)


◎知的クラスター事業存続を…産学連携団体が署名活動

 政府の行政刷新会議の事業仕分けで廃止判定された知的クラスター創成事業の存続を求めて6日、道南の産学連携団体が函館市内2カ所で署名活動を行った。

 活動を行ったのは道南の海洋、水産関係の企業で組織する「函館水産海洋都市を考える会」(須田新輔会長)の会員ら約40人。この日は棒二森屋前(若松町)と丸井今井函館店前(本町)でそれぞれ約20人ずつが参加し、道行く市民に署名を呼び掛けた。

 このうち、丸井今井函館店前では、小雨が降り肌寒い天気の中、存続を求める横断幕を手に、会員らが同事業の重要性を語りながら協力を訴えた。署名した市内の主婦、向井弘子さん(69)は「本当に無駄なものは廃止してほしいが、中央の話し合いだけで決めるのではなく現場を見て決めてほしい」と残念そうに語った。

 同所で応援に駆けつけた佐々木俊雄道議員は「一方的に未来への投資を無駄と判定するのはいかがなものか」と話し、棒二森屋前で街頭に立った須田会長は「市民全体で支えていきたいので協力をお願いしたい」と話していた。

 市と道は「函館マリンバイオクラスター」として海洋環境の計測、予測技術の確立など4項目を研究テーマに5カ年計画で進め、本年度は3億円の助成を受けていた。署名は今後市内の企業や関係団体の協力で3万人分を集め、文部科学省に提出する。(山田孝人)