2009年12月8日 (火) 掲載

◎工藤副市長が辞職理由説明

 今月末での辞任が決まっている函館市の工藤寿樹副市長(60)は7日の市議会一般質問で辞任理由を問われ、「今の政権がどういうことを志し、何をやろうとしているのか感じ取ることができなかった」と述べ、西尾正範市長の市政運営を批判した。一方、西尾市長は「『違う』という部分は私はよく分からない」と述べるにとどめた。

 金澤浩幸氏(新生クラブ)からの質問に工藤氏が答えた。

 工藤氏は「現政権の誕生経過を見ると、閉そく感のある函館を立て直してほしいという期待を受けて成立したと感じる。留任を要請されて引き受けたが、2年経ってその思いが通じていかない」と述べた。

 さらに「まちづくりは理念とビジョンをきっちり示し、目標を持たなくてはならない。(市長の)さまざまな発言をとらえられ、迷走、混迷している状況の中では(市政は)建設的には進んでいかない」と指摘した。

 西尾市長は今春と10月に工藤氏と進退について話し合ったことを明らかにした上で「熟慮した上で決断したものと受け止め、新年度予算にも入るので本人の意思を尊重した」と述べた。後任人事については「空白を作ることは好ましくない。補佐役となる優れた識見を持った人について検討を進めている」とした。また、今定例会での後任副市長の人事案件提出については明言を避けた。(千葉卓陽)



◎街はホワイトXマスムード

 7日の本道は強い冬型の気圧配置となり、道南でもふぶきや高波の荒れた天気となった。函館では6日深夜から雪となり、函館海洋気象台によると、7日の積雪は最大6センチとなった。七飯町の大沼国定公園の駐車場を管理する自然公園財団大沼支部では、朝に約10センチの積雪となったため、今冬初めて本格的な除雪を行ったという。

 函館ではこのところ、平年より気温の高い日が続いており、降雪は11月21日以来15日ぶりとなった。市内西部地区の金森レンガ倉庫群では、クリスマスツリーに模した木に雪が積もり、ホワイトクリスマスのムードを高めていた。千葉県から訪れた夫婦は「先週土曜日から函館に居るが、今日は風が冷たく、これまでで一番寒いが、北海道の冬を体験できた」と話していた。(山崎純一)



◎北斗市長選、山本氏出馬へ

 【北斗】来年3月の任期満了に伴う市長選挙で、市議の山本正宏氏(65)が7日までに立候補する意向を固めた。12日に後援会の会議を開き正式に立候補を表明する。同市長選をめぐっては、海老沢順三市長が引退を表明し、後継指名を受けた副市長、高谷寿峰氏(57)も立候補するとみられ、新人同士による選挙戦となる公算が高くなった。

 山本氏は国会議員の秘書を経て1978年に旧上磯町議に初当選。6期21年の町議を経て99年4月、2003年4月の同町長選挙と、旧大野町との合併で新市誕生に伴う06年3月の市長選挙に立候補したが、いずれも落選した。07年4月から市議を務める。

 山本氏は過去3回の首長選挙で、海老沢市長の対立候補として立起しており、今回の市長選でも海老沢市長体制の刷新を掲げる方針だ。山本氏は函館新聞社の取材に対し、「支持者から後押しする声があった。このままでは無風選挙になると思い出馬を決意した」と話した。山本氏は告示日(2月21日)の前日まで議員職を務める考え。

 一方、高谷氏は市議会定例会閉会後の16日以降に出馬を表明する見通し。


◎福島氏8区引退…「保守分裂、自民に失望」

 8月の衆院選道8区に自民党公認で出馬し落選した前党道8区支部長の福島啓史郎氏(63)は7日、函館市東雲町の事務所で記者会見し、年内で8区の政治活動をやめ、事務所を閉鎖すると発表した。福島氏は「党再建の具体策が示されない。保守分裂の中、比例票を前回より上積みした貢献などを評価しない自民党に失望した」と理由を述べた。

 福島氏は元農水官僚、元参院議員で、山口県出身。経済的な問題や保守政界の選挙支援体制の弱さも理由に挙げ、敗戦について「タイミングが悪く、保守分裂選挙が大きく響いた」と述べた。今後は「自民、民主の二大政党が切磋琢磨(せっさたくま)して8区のために頑張ってほしい。そのためにも保守が一本化してほしい」とした。

 自民党は年齢や惜敗率、地元の事情などを勘案して落選者を支部長に復職させる。しかし福島氏は惜敗率が33.92%と道内12選挙区で最も低く、復職させない方針。福島氏は今後、東京のシンクタンクなどで活動するという。

 8区自民党は、小選挙区が導入された1996年の衆院選から民主党に5連敗。支部長は佐藤孝行氏、佐藤氏の二男、健治氏(公選法違反の罪で起訴済み)、函館出身の弁護士、中村勉氏を経て、福島氏が昨年9月に就任。後任の支部長選考が焦点になるが、関係者は「地元や道連での選考になるか、党本部主導になるか、これから議論が始まる」と指摘する。(高柳 謙)


◎桧山のスケトウ漁獲量前年下回る鈍い出足

 【江差】桧山支庁水産課のまとめによると、桧山沿岸で始まったスケトウダラ漁は、11月末までの累計漁獲量が1004トン(14.3%減)と、過去最低の水揚げだった昨年を下回る鈍い出足だった。累計水揚げ額は、噴火湾などの豊漁による漁価の低下などが響き1億5118万円(同42.2%減)だった。

 桧山沿岸では、主力の乙部で11月6日、江差などでは10日に今季の漁がスタートした。11月末までの累計漁獲量を、ひやま漁協(乙部町)の支所別にみると、乙部482トン(同7.9%減)、江差202トン(同17%減)、熊石197トン(同13.5%減)、上ノ国123トン(30.4%減)だった。

 11月の累計平均単価は、噴火湾で豊漁が続いた影響もあり151円(同38.5%減)と低迷気味。支所別の水揚げ額は乙部7488万円(同38.9%減)、江差2895万円(同46.1%減)、熊石3146万円(同40.1%減)、上ノ国1590万円(同51.3%減)と軒並み減少した。

 韓国を中心とした輸出向けは、急激な円高に加えてウォン安が進んだ影響もあり、440トン(同18.5減)と減少傾向だった。本年度から同漁協が力を入れている国内向けの生鮮出荷は7.6トン(117.8%増)だった。

 道立函館水産試験場などは、桧山沿岸海域のスケトウダラ漁について、漁獲対象となる若いスケトウダラの数が増えておらず、今季もここ数年の不漁傾向が続くと予測している。同海域での漁獲量は、1993年度の1万7770トンをピークに減少が続き、08年度は3430トンと、93年以降では最低の漁獲量を記録している。(松浦 純)