2009年1月1日(木)掲載

◎佐々木さん、戦前の絵はがき5000枚収集

 函館市乃木町に住む佐々木徹也さん(74)は、戦前に発行された絵はがきの原版を6年間集め続けている。明治初期に取り壊された箱館奉行所を撮影したものや、1902年発行の日本初の官製絵はがき6点セットなど、所蔵は約5000枚にのぼる。鉄道や皇室などジャンルも幅広い。戦前の世界各地の風景や人物など、歴史を知る上でも貴重な資料で、佐々木さんは「多くの人に見てもらい、絵はがきが切り取った“時代”を感じてほしい」と話している。

 函館市出身で、祖父の故・定吉さんは市内末広町でロシア人向けに洋酒屋を営み、店内の様子などを撮影して作った絵はがきをPRのため客に配っていた。父の故・鐵三郎さんは公務員で、ロシアのルーブル札や缶詰のラベル、絵はがきなど、何でも集めることが好きだった。佐々木さん自身も幼少時からパッチなどを集め、近所の友達に譲っていたという。

 絵はがき収集は、53年間勤めた末広町の真壁家具店を定年退職した2002年から始めた。既に絵はがきの魅力に引かれ、収集していた東京在住の弟巖さん(66)に「兄貴もやれば」と誘われたことがきっかけ。佐々木さんは「最初は何となく始めたが、すぐに取り付かれた」と振り返る。

 鐵三郎さんから譲り受けた原版約1000枚に加え、市内の骨董市などに足繁く通って探した。「絵はがきはあまり店頭に置かれないから、店員に尋ねて奥から出してもらう。持っている種類を把握し切れず、同じ作品を買うことも」と笑う。

 絵はがきの中には明治後期に発行された函館公園や青函連絡桟橋、函館競馬場など函館にゆかりのあるものもずらり。写真とイラストを組み合わせたものも多く、どれも色彩豊かだ。佐々木さんは「戦前は娯楽が少なく、絵はがきが発売されると郵便局には行列ができた。デザインも多種多様で素晴らしい」と話す。

 収集と同時に、パソコンを使ってジャンル別にリストも作成。300枚のデータごとの冊子を作り、市中央図書館で調べた場所や解説文も書き加えた。仕上げた冊子は15冊を数える。佐々木さんは「絵はがきを見ればその時代の空気がよく分かり、楽しい」と語る。冊子はイベント会場などに置き自由に見てもらい、希望者には有料で複製して譲る計画もあるという。(山田孝人)



◎認定こども園どんぐり、「保育所型」に移行

 【七飯】木育や食育など特色あるプログラムを展開する認定こども園「どんぐり」(七飯町大川7、戸巻聖園長)が2009年度から国内で初めて、従来の地方裁量型から「保育所型・認定こども園」に移行する。同園の持つ保育所機能(認可外保育施設)が認可保育所と認められたためで、国と道、町の補助で運営も安定する。これに伴い、同園は0歳児と1歳児の募集枠を計24人として隣接の新規施設で保育することや、幼稚園の授業料を下げることも決めた。

 待機児童解消や子育て支援を目指し、07年度から保育の新たな選択肢としてスタートした「認定こども園」は幼稚園と保育所の機能を併せ持つ。道知事が認定し、施設概要で(1)幼保連携型(2)幼稚園型(3)保育所型(4)地方裁量型の4つに分けられる。同園は24時間受け入れ可能な託児所「どんぐり」として03年に開所。07年度から認可外保育施設が幼稚園の機能を併せ持つ「地方裁量型」の認定こども園となり、森のようちえんや預かり保育、一時保育などで特色ある教育を進めてきた。

 地方裁量型から保育所型への移行は全国でも例がない。

 現在、同町内の5つの認可保育所のうち最年少の受け入れが6カ月児(大中山保育所、大沼保育園)のため、町は8週目児から受け入れる同園が加わることで、函館近郊で働く母親のニーズに一層対応できると期待。「町として間口が広がる。これまでよりも4カ月も早い8週目からの受け入れは心強い」としている。

 保育所機能については運営委託料として、国から4分の1、道と町からそれぞれ2分の1の補助を受けることができる。保育所機能は七飯町に在住するか、同町内に勤務する保護者が町の保育料基準で利用でき、幼稚園機能については同園が保育料の値下げに踏み切った。同園は保護者説明会を開き、新体系と新料金について理解を求めた。同園は託児所開所時のリネンに基づき、託児所「どんぐり」として居住地、就労地にかかわらず、年中無休で0歳児から小学3年生までを受け入れるほか、子育て支援機能として一時保育も継続する。

 戸巻園長(35)は「保護者に『どんぐりはなんとかしてくれる』と思ってもらえるように、との基本コンセプトをなくさずに、教育の特徴や幅を持たせ、子どもたちに還元できれば」と話している。

 町はどんぐりを含めた09年度保育所(園)、認定こども園の入所児を13日から30日まで募集。問い合わせは町保健福祉課子育て健康支援室児童家庭係TEL0138・66・2521。(笠原郁実)



◎道8区、衆院選向け支持拡大図る

 昨年秋の福田首相辞任、麻生首相就任で一気に観測が流れた衆院解散・総選挙は、越年した。自民党や麻生首相の支持率低迷が続く中、今年は仮に解散がなくても9月に任期満了となることから、必ず総選挙が実施される。衆院道8区に立候補を表明している3氏は臨戦態勢を維持しながら、支持者拡大へ奔走。保守勢力は2003年の前々回以来の分裂選挙となる。

 立候補を表明しているのは、今期限りで引退する金田誠一氏(61)の後継となる民主党現職、逢坂誠二氏(49)、自民党新人で前参院議員の福島啓史郎氏(62)、前々回から3回連続で挑む保守系無所属新人の佐藤健治氏(51)。共産党は党の方針で8区では候補を擁立せず、比例候補当選に重点を置き、選挙区は自主投票を決めている。

 逢坂氏の陣営は昨年10月上旬に函館市松風町に選挙事務所を開設したが、解散が当面先送りされたことで11月に事務所を移転、人員体制を縮小した。国会の合間を縫って函館・道南入りし、関係各所でのあいさつ回りや街頭演説を精力的にこなす。「政策の転換や政権交代が求められていることを、広く企業や団体、地域に訴えていく」と攻勢を強め、「いつでも選挙モードで行ける気持ち」と語る。

 福島氏は、昨年3月の前支部長辞任を受け、同9月下旬に新支部長に就任した。選挙事務所も10月中旬に同市東雲町に開設し、元農水官僚で前参院議員という即戦力を売り物に、道南の一次産業をはじめとする経済振興などを訴えている。「保守系代議士が8年間不在で、道南の産業経済の疲弊を改めて感じた。衆院解散・総選挙は早ければ大型連休前。いつでも戦う準備はできている」と語る。

 佐藤氏は他の2候補と比べ組織力が弱い点は否めない。しかし、唯一の地元出身候補であることや、2回の選挙戦を経験していることは大きなアピール材料になる。「日本が大きな経済危機に直面しており、脱却に向けて政府と国会が全力を注ぐべき。総選挙は9月の任期満了まで伸びる可能性もある」と語る。そのため、現在も選挙事務所を構えず、徹底的な草の根運動で、道南各地を飛び回っている。


◎小中学生が年末年始返上で入試特訓講座

 函館市内・近郊の学習塾では、入試を控えた小中学生向けの特別講習が開かれている。子どもたちは正月気分を返上し、熱心にそれぞれの課題克服に取り組んでいた。

 北大学力増進会では函館と北斗市内の4会場で、小学6年生と中学3年生を対象とした「正月特訓講座」を実施。12月31日から1月2日までの3日間、毎日4コマの授業を約240人が受講する。

 このうち、五稜郭本部教室(函館市本町33)のラ・サール中受験クラスには15人が参加した。子どもたちは「必勝合格」と書かれた鉢巻きを締め、受験対策用の特別カリキュラムにチャレンジ。「短期間に集中してミスしやすい問題に取り組み、苦手意識を克服しよう」という講師のアドバイスを受けながら、真剣な表情で机に向かっていた。

 ラ・サール中を受験する毛糠稔貴君(函館柏野小6年)は「苦手な理科を克服できるようにしっかり勉強したい。年末年始はあまり遊べないが、受験まで気持ちを集中して頑張りたい」と気合を高めていた。小崎隆函館本部長は「元日には子どもたちに神社のお守りをプレゼントし、試験でいい結果が出せるように気持ちの面でも後押ししたい」と話していた。(小川俊之)