2009年1月10日(土)掲載

◎スケソウダラ寒干し1万本

 函館市南茅部地区で、昔ながらの冬の風物詩とされるスケソウダラの寒干しが行われている。同市川汲町に住む水産加工業加我永寿さん(61)方では9日、最後の干し作業を行い、自宅前の干し場には約1万本がずらりと並んでいる。

 北国の珍味である寒干しタラは、新鮮なうちに頭などを取って水洗いした後、寒風や日光に数カ月さらして食感や風味を良くする。加我さんは40年以上前から作っており、今年は昨年12月末から妻の正子さん(56)ら5人が作業に当たった。正子さんによると、干した直後の数日間、寒波に当てるのがおいしく作るコツ。「昨年末はすごくしばれたのでおいしく出来たはず」と話す。

 スケソウダラの寒干しは時代の流れとともに取り組む漁業者も少なくなった。加我さん方ではほとんどが予約販売で、毎年楽しみにしている札幌などの顧客が買うという。(新目七恵)  



◎称名寺住職、須藤隆仙さん 仏教名言・名句事典を出版

  函館市船見町の称名寺住職で、宗教や歴史関連の著作が多数ある須藤隆仙さん(79)が、新人物往来社から「仏教名言・名句事典」を出版した。仏典や先哲の遺文、語録などから450の名言や名句を選び、出典と解説を付けて紹介している。須藤さんは「命の大切さや欲望などについて宗教臭くならないようにまとめた。困った時に何かのヒントになれば」と話している。

 須藤さんは同社から「仏教四文字熟語辞典」「世界宗教用語大事典」などを刊行済みで、名言・名句事典は2006年に出版の依頼を受け、3年がかりでまとめた。仏教経典だけでなく、聖徳太子や宮本武蔵、ことわざなどからも仏教に関する言葉を集め、仏、法、天地自然、欲望、善悪、生命など19項目に分類した。

 難しい原典を意訳で紹介している点が特徴。白隠の「草を取るならば、よく根を取らなければすぐまた生える。人間も煩悩の根元をよく切っておかないと悪い自我(エゴ)が出て、いろいろな失敗をする」、親鸞の「真実の人と会えるのは非常に難しく、虚偽の人とは嫌というほど出会う。世の中とはそういうもの」などは、自然界や人間界の本質を説いている。

 仏教は教えや戒律が厳しいという印象が違って見える名句もある。男女の性欲について、理趣経では「元来、子孫を残すために具備されているものだから、その根本義は清浄である」と説く。最澄は「悪いことは自分で引き受け、よいことは他に回す」と述べたが、須藤さんは「なかなかできることではないが、そうした努力をしていくことがよい社会を築くため、いつの時代も必要」との意味であることを添えている。

 聖徳太子の「人が自分と違うことに怒るな。人も自分も共に平凡人である」の言葉からは、世界で紛争や戦争が絶えない中、他者との違いを認めることの大切さが伝わってくる。

 紹介した名言・名句は宗派を問わず、示唆に富み、心に響く。須藤さんは「仏教は自然に従い、自然に返る教え。鳥獣をかごに入れたり、ペットに服を着せたり、人間のエゴは自然に逆らっている。生きていくということは、自然を見習うということ。そうしたことなどが伝われば」と話している。  A5判、箱入り297㌻。定価9450円。問い合わせは最寄りの書店へ。(高柳 謙)



◎市職員が預かった裏金プール金を自分のかばんに保管…貿易センター問題

 函館市の第三セクター「函館国際貿易センター」(社長・谷沢広副市長)の不正経理問題で、元専務(死去)が裏金化したプール金を預かっていた市港湾空港部の職員が、現金を自らのかばんに保管していたことが9日分かった。

 同職員は2003年10月の同社設立当初、経理事務などの業務を手伝っていた。04年度に入って元専務から現金を預かるよう指示され、社内の金庫に保管。社内体制が整うようになった05年度には、社内に出入りする回数が減ったため、同職員所有のかばんの中に入れるようになったという。

 07年末か08年初めごろになって、預かっていた現金の取り扱いに関し、当時の同社統括マネジャーだった前派遣職員(昨年12月末まで)に相談したところ、返却するように促されたが、港湾空港部の職員はそのまま保留。その理由について「いきなり返して不審に思われることを恐れ、返しそびれた」と証言しているという。

 また、別の前派遣職員(昨年12月末まで)が、元専務から慰労金やせんべつなどの名目で3回計4万円を受け取り、「個人からのものと認識し、もらいっ放しは不適切と考え、歳暮や土産などでお返しした」と証言していることも新たに判明した。

 いずれの証言も市の聞き取り調査で分かった。元専務から現金を受け取った市職員全員が裏金と認識してなかったという。(浜田孝輔)


◎「山車会館」を整備へ…江差町

 【江差】江差町は新年度、道内最古の祭礼として知られる姥神大神宮渡御祭の山車を公開する「山車会館(仮称)」を江差追分会館(中歌町)に併設して建設する方針を固めた。日本宝くじ協会(東京)の全額助成で建設費を確保する。建設地選定をめぐっては、町が設けた有識者検討委が同神宮隣接地への建設を答申。しかし、町は維持費低減や敷地面積の確保を理由に“併設”を選択したことで祭礼関係者が反発。整備計画を進める上で大きなしこりを残した。

 濱谷一治町長が9日の町議会議員協議会で表明。町内にある13基の山車のうち2基程度を収蔵・展示する。江差追分会館に併設することで、人件費や維持管理費の圧縮を図るほか、相乗効果による観光客増加を狙うという。

 町財政は起債償還のピーク期で、徹底した歳出削減が必要な時期に新たな“ハコモノ”建設を進めることに慎重意見も根強い。町は同協会からの助成額の範囲内で建設を進める方針。1月中旬にも助成窓口の道に申請書を提出する。濱谷町長は「町費負担を伴わないことや(公共事業が大幅に減っている)地域経済の在り方を考えて整備を進めることを決めた」とした。

 町は昨年10月、地元商店街や祭礼関係者による検討委を設置し、建設場所や展示内容を検討してきた。建設場所について検討委は同神宮の隣接町有地(旧平野旅館跡地)が望ましいと答申。町内13基の山車保存会長と運行責任者である「頭取」も全員が賛同した。しかし、町は(1)コスト低減(2)江差追分会館との相乗効果(3)敷地面積の余裕―などを理由に建設場所を決定。7日の検討委に報告したが議論は紛糾し、委員長が辞任し検討委が解散する事態となった。

 9日の議員協議会でも複数の町議が「十分な議論が必要」「町民合意の形成が重要」と指摘。町総務政策課は「今後は関係者の意向を十分に尊重する」と説明。濱谷町長も「単独建設では運営面でのリスクが大きい」として理解を求めた。(松浦 純)


◎ランドセルや学習机…早くも商戦ピーク

 函館市内のデパートや家具店などで、早くも春の新入学に向けたランドセルや学習机の商戦がピークを迎えている。製品のデザインや機能などの傾向を探ってみた。

 テーオーデパート(梁川町10)では昨年10月中旬ごろから特設コーナーを設置。売り場担当者の辻賢二さんは「年々客足は早まっており、新作を早めに見てじっくりと選びたいという人も多い」と話す。

 ランドセルは1万9800円から4万8000円までの国内製を取りそろえ、ベネトンなどの有名ブランドや手縫いで仕上げた商品もある。色の種類はメーカーによって異なるが、男児用が定番の黒や濃紺など落ち着いたもの、女児用はピンク色や水色などのパステルカラーが人気だ。

 左右が連動し、背負いやすい肩バンドや背中の形に沿った背当てなどを備え、8色から選べる「天使のはね」シリーズも充実させた。このうちワンタッチでロックできる錠前や防犯ブザーが付けられる金具など、多彩な機能が満載の3万9800円のタイプがお薦めという。

 家具の菱乃実(石川町2)では、子どもの成長に合わせて机と書棚を分離させるなど、1台で何通りにも組み替えられるタイプの学習机が主流。売れ筋は7、8万円台の商品で、購入者にはアニメキャラクターのデスクマットプレゼントなどの特典もある。ベッドとセットになったシステムデスクや、体の大きさに合わせて背もたれの位置を前後に調節できるいすも人気。

 また、家具店らしく「飛騨産業」「マルニ木工」「カリモク」といった家具メーカーの商品も扱う。上質の天然木を使用した一枚板の机は丈夫で飽きのこないシンプルなデザインで、「大人になっても使える」と受けている。価格は15―25万円台。売り場担当の古山正幸さんは「孫にいい机を贈りたいという祖父母らの需要が多い」と話す。

 商戦は3月ごろまで続くが、2月に入ると品薄になるため、各店とも早めの購入を呼び掛けている。 (宮木佳奈美)


◎「はこだてCM放送局」の動画が最高賞…動画コンテストで

 函館市が開設したサイト「はこだてCM放送局」で紹介する動画作品「函館壊滅!?イカール星人襲来!!」が、ウオーカー誌の発行などを手掛ける角川クロスメディア(東京)主催の動画コンテストのパフォーマンス部門で、最高賞となる大賞を受賞した。市ブランド推進課は「これまでの観光ビデオにはない、独創的な映像が視聴者の目を引いたのでは」と話している。

 同サイトは函館の新たな魅力を創出する取り組みの一環として、市が映像編集会社「シンプルウェイ」(同市本通1、阪口あき子社長)に事業を委託。これまでに函館を舞台にした23作品を制作し、インターネットを通じて公開している。

 「函館壊滅!?イカール星人襲来!!」は、イカを好んで食す函館市民に抗議するために上陸したイカがモデルの宇宙人「イカール星人」に、五稜郭タワーから変身した「タワーロボット」が立ち向かうという内容。個人のブログなどで紹介されて以来反響を呼び、9日午前9時半時点でのアクセス数は12万2816件を数える。

 同コンテストには全国から約3000作品の応募があり、12月下旬に都内でその中から絞り込まれた26作品の上映会を開催。動画の投稿者ら60人による投票で順位づけをした。阪口社長は「ここまで盛り上がるとは思ってもみなかった。ユニークなキャラクターが登場するという遊び心ある作品が多くの人にインパクトを与え、高く評価されたのは光栄なこと」と受賞を喜んでいる。

 同サイトのアドレスはhttp://www.omoide.tv/hakotube(浜田孝輔)


◎昨年の受理件数3万5226件 きょう「110番の日」

 道警函館方面本部は9日までに、昨年一年間の「110番」受理状況をまとめた。受理は前年比1643件増の3万5226件で、一日当たり96・2件。刑法犯や交通関連の通報が減少した一方、市民から警察への情報提供が3130件増の8359件と大幅に増加した。同本部地域課は制服警察官による街頭犯罪抑止対策の強化や、昨年7月に行われた北海道洞爺湖サミットに関連して、不審物や不審者への市民の関心が高まったことが背景にあると分析している。

 主な内訳をみると、全体の19%を占めた事故など交通関係は211件減の6697件。昨年は交通事故死者数が1949年以降最少の18人になるなど、事故の発生状況に比例する形になった。刑法犯関連は2169件で278件減少、口論やけんかは微増の1624件、台風の上陸もなく、災害通報は100件減少した。

 警察に対する要望や苦情が4444件(同858件減)、各種照会は5435件(同1133件増)。一昨年12月に改正遺失物法が施行され、落とし物の保管期間が短くなったことや、道交法の改正点などを問う内容が多く、こうした緊急性の低い通報で全体の28%を占めた。また、いたずらとみられる通報も1634件増の7228件に上った。

 電話の固定・携帯別では全体の約53%が携帯電話からの通報。通報者が自分の現在地を説明できないケースもあった。同課は「事件、事故の目撃や、被害にあった場合はためらわずに110番をしてほしい。急を要さない場合は警察相談電話の『♯9110』を利用するか、最寄りの警察署に直接かけてほしい」と話している。

 同本部では、10日の「110番の日」に函館中央署と合同で一日通信指令室長の行事を行うほか、管内各警察署でも街頭啓発活動などを実施し、110番通報の正しい利用方法を啓発する。 (今井正一)