2009年1月11日(日)掲載

◎函館五稜郭病院「がん相談支援室」地域住民にも開放

 函館五稜郭病院(函館市五稜郭町、高田竹人院長)はこのほど、原則、入院・通院患者とその家族に対応していた「がん相談支援室」の相談業務を院外の地域住民にも広げた。同病院は本年度から「地域がん診療連携拠点病院」の指定を目指し、準備に取り組んでおり、初年度は同支援室の開設と体制強化を進めてきた。相談業務の態勢が整ったことから、地域住民にも窓口を開放した。

 同支援室には、がん性疼痛(とうつう)看護認定看護師らがん関連の認定看護師4人をはじめ、管理栄養士、保健師、薬剤師、ケースワーカーらを配置。がんにかかわる相談、情報提供、情報収集を主な業務とし、必要があれば院内の緩和ケアチームとも連携しながら対応していく。

 支援室には、がんの専門書などをそろえた図書コーナーも開設し、本やDVDの貸し出しも行っている。6月の開設以来、毎月10件前後の相談に対応してきたが、大半が医療者とのコミュケーションにかかわることだったという。

 同支援室の高橋玲子看護師長は「医療者側が分りにくい不安や悩みを窓口の段階で取り除き、適切な治療や問題解決に結び付けていきたい。小さなことでも1人で悩まず相談してほしい」と呼び掛けている。

 相談を申し込む場合、事前に予約が必要。新棟1階医療総合サービスセンターの相談支援窓口、もしくは電話で直接申し込む。相談は無料。

 予約受付時間は平日午前9時―午後4時、土曜午前9時―午前11時半。日曜、祝日休み。問い合わせは同病院TEL0138・51・2295。(鈴木 潤)  



◎バイオクリエイト・天然植物成分のみのせっけんなど開発

 化粧品・健康食品の製造販売会社「バイオクリエイト」(函館市豊川町27、高野元宏社長)が天然植物成分のみを用いた固形せっけんとシャンプー、コンディショナーを開発した。敏感肌に悩む女性を主なターゲットに2月にも販売を開始し、顧客の要望に応じて含有成分を調整するセミオーダー方式を採用していく考えだ。

 新商品は、道南特産のガゴメ(トロロコンブの仲間)や、モロッコでしか産出できないアルガンオイル、オリーブオイルなどを組み合わせ、配合した6種類。「函館がごめ石鹸(せっけん)」は弾力のある泡立ちが特徴で、ガゴメの主要成分「フコイダン」が含まれている。

 同社の化粧品ブランド「アクアスト」の新商品として、シャンプーとコンディショナー、固形せっけんを製造。アルガンの良質さを損なわないよう試行錯誤を繰り返し、道立工業技術センター(同市桔梗町)と共同で商品化に1年半以上を費やした。

 価格は函館がごめ石鹸が1個1200円、アクアストのせっけんが1個2800円、シャンプーとコンディショナーが1本300ミリリットル入りで各1600円程度を想定。毎月の製造数はせっけんが4000個、シャンプーとコンディショナーは各2000本を目指す。

 同社は顧客登録する約300人に商品の案内をし、試供を勧めながら洗浄力や泡立ちなどについての意見・要望を募っていく予定で、「商品の良さを肌身で感じてもらい、天然志向の親子で使用する一品として関心を高めていければ」と話している。問い合わせは同社TEL0138・22・7181。(浜田孝輔)



◎大雪で交通機関乱れる

 発達した低気圧の接近と冬型の気圧配置になった影響で、本道など北日本は10日、強風や大雪など大荒れの天気となり、道南でも交通機関に大きな乱れが生じた。函館空港発着便は計34便が欠航または他空港に着陸するなどし、計3597人に影響があった。市内では日中の気温が氷点下とならず、湿った雪が道路に積もり、市民は重い雪を寄せる作業に追われていた。

 函館空港では終日、滑走路の除雪作業に追われ、大幅な乱れが出た。この日、運航したのは北海道国際航空(エア・ドゥ)と全日空(ANA)が共同運航する羽田―函館間の1往復2便と、ANAの丘珠―函館間の1往復2便のみ。

 北海道エアシステム(HAC)は道内各空港の天候不良の影響もあり、函館と丘珠や釧路、奥尻などを結ぶ計12便がすべて欠航し、計199人に影響。日本航空(JAL)も函館と羽田を結ぶ3往復6便が欠航となり、計1247人に影響した。

 ANAは函館―丘珠間で3往復6便計113人。函館―羽田間は羽田から函館に向かう853便が新千歳空港に向かったほか、エア・ドゥとの共同運航便を含め、3往復6便で計1565人。大阪―函館間で計220人、名古屋―函館間で計253人に影響があった。

 一方、道南自動車フェリーは、函館―大間間の2往復4便がしけのため欠航、約60人に影響があった。機材繰りの関係で11日午前7時10分大間発の便も欠航する。

 函館海洋気象台によると、午後8時現在の各地の積雪は森45センチ、福島町千軒36センチ、今金35センチ、函館11センチ。函館の日中の気温は零度前後で、3月中旬から4月上旬並みという高さで推移したため、湿った重い雪となった。市内谷地頭町で除雪をしていた女性は「水分を含んでおり、車が雪をはねるので大変」と話していた。同気象台によると、11日の道南は雪でふぶくが、渡島は昼すぎから、桧山は夕方から曇る見込みとしている。


◎【インサイド】山車会館建設の立地場所…単独か併設か 溝深く

 【江差】町が江差追分会館(中歌町)に併設する形で建設を決めた「山車会館(仮称)」の立地場所をめぐり、賛否が割れている。町は併設による相乗効果を強調するが、検討委や祭礼関係者との溝は深く、今後の計画策定や山車の展示協力を得る上で火種を残したままだ。(松浦 純)

 姥神大神宮渡御祭は360年以上の歴史がある道内最古の祭礼。渡御行列に参加する13基の「山車(やま)」は、江差の伝統と町民の情熱を象徴する存在だ。山車会館の構想は追分会館(1982年開館)の建設当時にさかのぼる。町は棟続きで山車開館を“併設”するはずだったが予算不足で断念。追分開館には増築に対応した骨組みとドアだけが残った。

 桧山支庁から助成金の打診があったのは一昨年。日本宝くじ協会の全額助成を前提に計画が再浮上した。町の計画では山車2基を展示。売店やトイレも設ける。山車は約6メートルの高さがあり、施設は9メートル程度(3階建て相当)の高さになる。

 町が設けた祭礼関係者中心の検討委は「同神宮と山車が不可分な存在」として、立地場所を同神宮に隣接する町有地(旧平野旅館跡地)とすることで一致。多くの歴史遺産がある「いにしえ街道」の新たな目玉に位置付けた。シンボル性を重視して“単独”での建設を望む声も強かった。ところが7日の検討委で町は、決定を覆す格好で“併設”を提示。委員は「議論を無視するのか」と反発。委員会は空中分解した。

 町は9日の議員協議会で初めて経過を報告した。江差追分を実演展示する追分会館との相乗効果や管理費の圧縮といった利点を示す一方、面積が狭い旧平野旅館跡地は、設計の自由度が損なわれるほか、単独管理で生じる負担増、景観上の影響といった問題点を示した。濱谷町長は「場所の議論を優先することはナンセンス。将来のリスクを無視してゴリ押しする訳にはいかない」と述べ、目的と効果を重視した議論を呼び掛けた。

 しかし、横山敬三氏、大門和子氏は「山車は神社あってのもの」と指摘。小野寺真氏も「助成金ありきの議論ではないか」と批判した。飯田隆一氏は、町の計画に理解を示しながらも「山車関係者の協力が得られるか心配だ。行き違いが生じないように対応を」と厳しく注文を付けた。

 町は今月中旬にも助成申請を提出する方針。週明けには整備計画の検討作業を再開したい意向だが、祭礼関係者の反発は根強く、町内に波紋を広げている。山車会館整備は新たな“町の顔”を生み出す町の重要政策。山車を守り続けてきた町民の全面協力がなければ、充実した施設整備は不可能だ。助成金の交付を待って予算審議に入る町議会では、検討委メンバーに説明を求める動きもある。議会議論を通じた検討過程の透明化と町民合意の形成が求められている。


◎函館市、優先度で除雪 市民の協力求める

 函館市は本年度の除雪予算として、昨年度と同じ3億円を見込んでいる。除雪計画期間は12月―翌3月で、昨年12月の除雪日数は12日と例年並みに推移している。今冬はこれまで少雪傾向だったが10日から本格的な雪が降り、関係者は今後の気象動向を注視している。

 市土木部は「通勤や通学など優先度に応じて道路を除雪しているので、行き届かない場合があることを理解してほしい。車道や歩道に雪を捨てるのは危険なので、排雪場所への搬送、敷地内での処理に協力を」と話している。

 市が管理する市道路線4297本の総延長は約1268キロ。除雪の対象路線は、交通量やバス路線の有無などを基準に幹線道路と生活道路に区分され、出動の目安となる降雪量をそれぞれ10センチ、20センチとしている。

 市保有または民間借り上げの除排雪用機械は、圧雪を削る除雪グレーダやトラックなど合わせて428台。降雪時以外でも、パトロール車や凍結防止剤の散布車が随時出動している。電気やガスなどによるロードヒーティング整備は車道と歩道を合わせて104カ所で、気温、降雪量などによってセンサーで作動している。

 雪が多かった2004、05年度の除雪費はそれぞれ3億1100万円、4億200万円と、当初予算を超えた。特に05年度は累計の降雪量が449センチで、除雪日数は103日を数えた。06年度は8400万円、07年度は1億4400万円で、除雪日数も50日前後と近年は小康状態にある。(浜田孝輔)


◎「110番の日」一日通信指令室長に湯川中の森本さん

 道警函館方面本部は10日、「110番の日」に合わせて啓発行事を行った。大江宜信本部長が函館湯川中3年の森本明日香さん(15)を「一日通信指令室長」に任命。通信指令室で110番受理の模擬体験を行ったほか、街頭啓発活動でチラシを配布するなど市民に正しい「110番通報」を呼び掛けた。

 森本さんは、函館中央地区防犯協会主催の防犯標語コンクールに応募した「あいさつで 広がる安全 地域の輪」で最優秀賞を受賞。通信指令室長の委嘱状交付式の後、啓発行事に参加した。

 通信指令室では交通事故を想定した模擬通報を受理。森本さんは事故の発生場所や状況、車種などの情報を通報者から聞き「すぐに警察官が行きますので道路の端に寄って待っていて下さい」と的確な指示を出した。森本さんは「初めての体験で緊張しました。110番の通信の仕方が分かって良かった」と話していた。

 また、函館西署の函館駅前交番では同署員が街頭啓発活動を実施。昨年、管内でも多数の被害者を出した振り込め詐欺を食い止めようと、地域課署員3人が業務の合間を縫って2週間かけて製作したダンボール製の現金自動預払機(ATM)を交番前に設置した。同署員が市民に「ATMからお金を振り込ませる被害が多いから気を付けて。何か合ったら110番をして下さい」と話しかけ、注意を喚起した。(今井正一)