2009年1月13日(火)掲載

◎函館市で成人祭

 「成人の日」の12日、函館市成人祭(市、市教委、実行委主催)が函館市民体育館で盛大に開催された。新成人約2000人が振り袖や羽織はかま、スーツなどに身を包み、新たな思いを胸に出席。会場内外では友人との久しぶりの再会に笑顔がはじけた。北斗市や七飯町などでは11日に成人式が行われ、大勢の新成人が節目を喜び合った。

 今年の函館市の新成人対象者は、1988(昭和63)年4月2日から89(平成元)年4月1日までに生まれた2816人(昨年11月1日現在)。男性1391人、女性1425人で、前年より29人減少した。

 式典で西尾正範市長は「昭和の最後と平成の最初に生まれた人が今日の成人式を迎えた。これから苦しいことや楽しいこと、たくさんの人との付き合いがあるが、いつどこにいても函館のことを忘れずに、元気で素晴らしい人生を歩んでほしい」と述べ、はなむけに子どもを育てる秘けつを説いた詩を紹介した。

 新成人を代表し、函館大学2年の三鹿勇輝さん(20)と同近藤育美さん(20)が誓いの言葉を披露。声を合わせて「若いエネルギーと大人の自覚を持ち、国際社会の一員として信頼される社会人になります」と述べた。

 式典中、あいさつする西尾市長に対し、「おめーなんだ」「早くあいさつしろ」などと罵声(ばせい)を浴びせる出席者がおり、この言葉が聴覚障害者向けの要約筆記スクリーンに映し出される場面もあった。

 式場内での喫煙や、会場敷地内で新成人男性らによる小競り合いもあった。

 道教委のまとめによると、今年の渡島(2市9町)、桧山(7町)管内の成人式参加の該当者は渡島が4285人(男性2148人、女性2137人)、桧山は315人(男性160人、女性155人)となっている。(小泉まや)



◎新成人にも裁判員制度PR

 5月21日に始まる裁判員制度スタートを間近に控え、新成人にも関心を深めてもらおうと、函館の法曹三者でつくる裁判員制度推進函館地方協議会は12日、函館市成人祭会場の函館市民体育館で啓発活動を実施した。函館地裁の滝沢泉所長、函館地検の中屋利洋検事正、函館弁護士会の窪田良弘副会長らが、会場入り口で晴れ着姿の若者たちに小冊子を配り、制度への理解を求めた。(今井正一)

 大人の仲間入りを果たした新成人にも国民参加の新司法制度をPRしようと、函館の法曹三者が協力して実施。裁判員は、有権者名簿から無作為に選ばれた国民から名簿が作成されるため、今年秋に選出される来年分の候補者名簿には、全新成人にも名前が記載される可能性がある。

 配布した冊子は、裁判員制度の概要や辞退の仕組み、裁判の流れなど30項目の疑問や質問に対し、分かりやすく漫画形式で答えているもの。携帯用カイロとセットにして1000個を用意した。

 会場入り口では、次々と来場する新成人に滝沢所長らが「おめでとうございます」と声を掛け、小冊子を手渡した。滝沢所長は「若い新成人にも、裁判員に選ばれたときには積極的な参加と協力をお願いしたい」と話していた。



◎知内町小谷石地区の新成人を地元漁師らが祝う

 【知内】知内町で11日に行われた成人式後、漁村地域の小谷石地区(今年の新成人2人)では、式典に出席した渡辺真也さん(20)が地元漁師らに成人を報告し、「大きくなったな」「これからも応援しているから頑張れよ」などと温かな激励を受けた。

 渡辺さんは知内高校を卒業するまで小谷石で過ごし、現在は愛知県で製造業の仕事に就き、式典に合わせて帰省した。この日、小谷石町内会館で開かれた矢越漁船部会(村田豊昭会長、部員17人)の新年会に飛び入り参加。「新年明けましておめでとうございます!先ほど、成人式に行ってきました」とはかま姿の渡辺さんが登場すると、「おぉ、まずは飲め」と会場の漁師や町内会女性部のメンバーが渡辺さんを囲んだ。

 小谷石町内会の松崎永三会長は「幼いころから知っているので、小谷石の住民はみんなが家族のようなもの。こうやって元気な顔を見せてくれるのがうれしい」とし、村田会長(67)は「小さな地域だからこそ絆(きずな)は深い。小谷石の良さをいつまでも忘れずに、どこにいても頑張ってもらいたい」と目を細めていた。

 渡辺さんは「みんなが喜んでくれて思い出深い日になった。この感激をこれからの人生のエネルギーにしたい。できれば、いずれは古里に戻って、地域の発展にも努めたい」と笑顔を見せていた。(田中陽介)


◎函館新聞社杯アイスホッケー開幕

 第12回函館新聞社杯アイスホッケー大会(函館アイスホッケー協会、函館新聞社主催)が12日、函館市民スケート場で開幕した。8チームが約1カ月間にわたりリーグ戦で優勝を争い、銀盤で熱戦を繰り広げる。

 試合に先立ち行われた開会式では、各チームの選手50人が参加し、今シーズンの健闘を誓い合ったほか、同協会の見付宗弥会長があいさつし、大会のフェースオフを務めた。

 開幕カードとなったファンキースタッフ―土現フェニックス戦はリンクに水たまりが残り、雨やあられが降ったが、選手たちは悪コンディションを吹き飛ばす激しい戦いを見せていた。試合は2月11日に全日程を終える予定で、その間計28試合が行われる。(山崎純一)


◎【企画・今年にかける】(1)「むげん空間 小春日和」主宰 大野友莉さん(26)

 函館市内で8月の開催を目指す市民有志の初のアートイベント「ハコトリ(仮称)」や、昨年末に立ち上げたNGO「世界の子どもアート展の会(仮称)」の活動など、今年のスケジュール表はすでにびっしり埋まっている。年齢や立場を超えて、さまざまな人と協力しながら地元の活性化を目指す。「人とのつながりを広げたい」。それが新年の抱負だ。

 ハコトリは市内各所に地元作家の芸術作品を並べたり、制作パフォーマンスを披露してもらう計画。会場に空き家を使うアイデアも進めている。「同世代の人たちに『函館って面白い』『面白いことをする人がいる』と感じて欲しい」。大好きな「アート」を通じて、地域の良さを発信したいと意気込む。

 函館市八幡町14に昨年11月、念願だったフリースペース「むげん空間 小春日和」を開設した。店の企画を準備する中で、以前から秘めていた「市内でアートイベントを」という思いを共有する仲間と知り合い、意気投合した。「行動しなきゃ何も始まらない」。そんな思いで駆け抜けた昨年末だった。

 1982年名寄市生まれ。2歳で函館に移り住み、函館工業高卒業後、両親の離婚が原因で対人恐怖症になった。他人や仕事への不信感がぬぐえず、何をやるのもおっくうに感じた。「何とかしたい」と飛び込んだボランティアの場で、人と触れ合う楽しさ、信頼する素晴らしさを再発見した。市内のさまざまなイベントに顔を出し、交流の輪を広げていった。

 「振り返ると、今まで会った誰か一人でも欠けると、今の場所にいない気がする」。励まし、手を引いてくれた多くの人に感謝しながら、次の出会いに胸を膨らませている。(新目七恵)

 景気低迷や雇用環境の悪化など、厳しい社会情勢が続く中、さまざまなことに精力的に取り組み、大きく飛躍しようとする人たちがいる。明るく、そして地道に―。今年にかける道南の“元気人”にスポットを当てた。


◎コミュニティバスの運行検討に関する住民アンケート

 函館市が来年度、同市西部地区を循環する「新コミュニティバス(仮称・おでかけバス)」の運行を検討するのに先駆け、同地区の住民を対象に行ったアンケートによると、回答者の半数以上が週1回以上利用したいと考えていることが分かった。(浜田孝輔)

 アンケートは昨年5月16―30日に、都市景観形成地域に指定されている西部地区6町(豊川町を除く)に住む20歳以上の1000人を対象に実施。回収率は40・3%で、世代別では70歳以上が28%、60歳代が25%、50歳代が19%を占めた。

 日ごろの外出時の移動手段(複数回答)は市電が42%、自動車(自ら運転)が39・8%、徒歩が30・3%、路線バスが29・3%。外出回数の目的別に最も多かったのは買い物で「週1、2回程度」が33・8%、金融機関・郵便局の「月2、3回程度」が48・4%だった。

 おでかけバスを導入する際に要望する運賃は「一律100円」が74・8%と大多数を占め、割引制度(複数回答)では「他の交通機関との乗り継ぎ」が31・8%と最も多かった。運行間隔は「20分」が32・5%、「30分」が30・1%、「15分」が28・4%と続き、自宅から停留所までの距離は「徒歩5分以内」(49・9%)と「徒歩2―3分以内」(42・3%)の合計で9割以上に達した。

 運行した場合に利用する頻度は「週1、2回程度」が30・7%、「週3、4回」が15・2%、「ほぼ毎日」が5・6%だったのに対し、「ほとんど利用しない」は24・5%。具体的な意見としては「坂のことを考えると外出しないこともなるので、運行すればうれしい」「高齢者には便利」と推奨する声の一方、「今のところ不自由を感じていない」「ほとんど徒歩で行ける範囲」「運行しても赤字になるのでは」との慎重論もあった。

 なお、おでかけバスの試験運行は秋から冬にかけての2―3カ月間を予定。十字街から船見町の間でロードヒーティングが整備されている坂を上り下りしながら循環する全長約5・6キロの経路で、38カ所の停留所を設ける。時間帯は午前9時―午後3時を中心に45―50分間隔とし、運賃は一律100円を想定。終了後、利用者への聞き取り調査を基に本格導入に向けた協議を進める。


◎釧路の秋辺さんら9人作品展、アイヌ工芸品展示、販売

 釧路市の阿寒湖畔でアイヌ民芸品店を営む秋辺日出男さん(48)ら工芸作家9人の合同作品展が、函館市大町4の函館元町ホテル(遠藤浩司社長)のギャラリーで開かれている。木彫りの置き物やアクセサリー、食器などの工芸品が展示、販売されている。3月31日まで。

 秋辺さんはアイヌ民族で、社団法人北海道ウタリ協会理事、阿寒アイヌ工芸協同組合専務理事も務めるなど、アイヌ文化の普及に尽力している。遠藤社長は2000年に釧路市で秋辺さんと知り合って意気投合。道南にアイヌ文化を発信しようと作品展を企画した。

 秋辺さんはマツの丸太を彫った高さ160センチの「エカシ(長老)立像」や、約10種類のかわいらしいフクロウの置き物を制作し、アイヌ彫刻家の藤戸幸夫さんは伝統的な文様を刻んだマキリ(小刀)を展示。お盆や皿、シカの角を活用したストラップなどの小物も並んでいる。

 遠藤社長は「職人が作った温かみのあるアイヌの工芸品をぜひ手に取ってほしい」と話している。午前10時―午後5時。

 同ホテルでは4月から同ギャラリーで絵画展や作品展を開く個人、団体を募集している。無料。問い合わせは同ホテルTEL0138・24・1555。(長内 健)