2009年1月14日(水)掲載

◎寒中みそぎ祭り開幕

 【木古内】木古内町の佐女川(さめがわ)神社で1831(天保2)年から続く神事「第179回 寒中みそぎ祭り」が13日午後6時に始まった。行修者と呼ばれる若者4人が神社にこもることを報告する参篭(さんろう)祭で幕を開け、氏子らが玉ぐしをささげ、豊漁や豊作、地域安全などを祈願した。

 同町出身者に限られる行修者は専門学校2年の戸澤拓也さん(19)、北海学園大3年の平野嘉栄さん(21)、専門学校1年の村上駿弥さん(18)、同竹田峻輔さん(19)で、下帯にずきん姿で登場した。最終日の15日まで寝食をともにしながら、水ごりを繰り返して心身を清める。

 気象庁によると、1回目の水ごりが始まった午後7時20分の同町の気温は零度前後。激しいみぞれの中、口に布をくわえ、「行くぞ!」「おう!」と気合を入れて冷水を浴びせ合った。その勇壮な姿を町内外の約50人が見守り、盛んにカメラのフラッシュがたかれた。

 戸澤さんの親友で町内在住の会社員成田陵太さん(20)は「行修者は誰でも出来ることではないので、彼らを誇りに思う。厳しい水ごりに耐えて、最終日まで頑張ってほしい」と話していた。最終日の15日午前11時50分から国道228号沿いのみそぎ浜で、行修者がご神体を抱えて海に飛び込む「海中みそぎ」で神事は最高潮を迎える。(田中陽介)



◎会談は「条例修正前提」寺島道町村会長が意向…支庁再編

 【札幌】道の支庁再編をめぐり、道町村会長の寺島光一郎乙部町長は13日、道町村会など地方4団体トップとの会談を求める高橋はるみ知事への回答として、桧山など5支庁を「支庁出張所(振興局)」とする支庁再編条例の修正を前提に、直接会談に応じる考えを伝える文書を提出した。道や道議会自民党は修正に応じない方針を崩していないが、道町村会の理解を得るよう高橋知事に促す同党の衆参国対委員長の意向で、再編の前提となる公選法改正が凍結され、4月の条例施行は困難な情勢だ。寺島会長は「修正なしでの条例施行には応じられない」とし、直接会談で高橋知事に政治決断を迫りたい考えだ。

 回答文書で寺島会長は「大局的見地に立ち、胸襟を開いた話し合いの場を早期に設けていただきたい」とし、条例修正を前提に会談に応じる意向を伝えた。その上で(1)組織上は総合振興局(支庁)と振興局(支庁出張所)を同等の位置付けとする(2)総合振興局と振興局で二重行政を生じさせない(3)振興局に偏ることなく本庁と14支庁全体で行革を行う―とする従来からの主張を改めて申し入れた。

 函館新聞社の取材に対し、寺島会長は「政府与党も道の姿勢に疑問を示している。よりベターな改革に向けて条例修正も含めた率直な協議には参加したいが、道側が町村会の懸念には耳を貸さず、一方的に条例施行を押し付けるようであれば会談には応じられない」とした。

 支庁再編をめぐっては昨年10月、自民党の衆参国対委員長が「地域の理解を得ずに公選法改正することで(地域との)対立が続くことは好ましくない」とし、公選法改正を凍結。5日招集の通常国会でも法案提出は見送られ、4月の条例施行は絶望的だ。

 昨年6月に可決された再編条例は、14支庁のうち渡島など9支庁を支庁(総合振興局)とし、桧山など5支庁を支庁出張所(振興局)に格下げする内容。道町村会は、5支庁が「土現出張所」などと同等の下部組織になることに「地域課題を現地で解決できる権限が必要」「出張所―支庁―本庁の三重行政となる」として、いずれも同列の「支庁」に位置付けるよう条例修正を要望。昨年末から、担当副知事を含めた水面下の折衝を繰り返してきたが、両者の溝は埋まらない状態にある。(松浦 純)



◎【企画・今年にかける】(2)「大沼観光協会」会長 堀 元さん(56)

 昨年4月にヒット曲「千の風になって」の歌碑が完成し、名曲誕生の地としてにぎわう七飯町大沼。今年、100回を迎える「大沼湖水まつり」(7月25―26日開催)を前に、町内外の企業など11団体で実行委を初めて立ち上げ、副委員長に就いた。「100回は新たなスタート。伝統を重視し、同時に時代に合わせていきたい」。原点を大切に―との思いは強い。

 湖水まつりは1906年、水難事故に遭った若い女性を弔うため、大沼地区の住職が灯篭(とうろう)を流して供養したのが起源。回数を重ねるうちに、観光イベント色が濃くなり、歌手を招いた歌謡ショーや花火など華やかな催しが脚光を浴び、慰霊祭は影を潜めた。観光協会会長に就任した2004年、原点に戻ろうと、灯篭の販売や正面に祭壇を用意するなど慰霊祭をメーンにする形で再出発した。

 水難者のほか先祖、ペットなどをしのび、灯篭を購入する人は年々増加し、近年は海外からの旅行者の慰霊祭参加も見られる。

 52年に大沼で生まれ、現在は「大沼合同遊船」の社長。幼い日は家業の手伝いに明け暮れ、「まつりを楽しむ余裕もなかった。とにかく、最終の列車が出るまで大勢の人でにぎわっていた」と振り返る。団体から個人へと旅行の形態が移り変わり、観光客数の減少が続く中でも、大沼は名曲誕生の地として、観光や環境問題への気運が高まってきている。

 今年は花火大会を一日に集約し、慰霊祭に力を注ぐ考えだ。「本来の意味を守りながら、さまざまな人に参加してもらいたい」。大切な人を思う気持ちが込められた名曲が生まれた地という“新風”を背に、観光活性化の糸口を探る。(笠原郁実)


◎インドネシア児童擁護施設に寄贈する紙芝居を湯川中生徒が制作中
 函館五稜郭RCが企画し依頼

 函館湯川中学校美術部(衣笠未希部長、部員7人)の生徒たちが、インドネシアの児童養護施設に贈る紙芝居を制作している。紙芝居作りは、函館五稜郭ロータリークラブ(RC、阿彦治会長)が社会奉仕の一環として初めて企画し、同部に依頼した。同RCは「地元中学生との国際交流につながれば」と期待しており、生徒たちも「日本の文化を伝えたい」と熱心に取り組んでいる。

 オリジナルの紙芝居は、同RCが岩見沢、砂川、滝川の3RCと共同で本年度行った同国での水ろ過事業の成果を確認するため、2月に現地訪問する際の土産として準備している。この事業は各RCが加盟する2510地区の世界社会奉仕活動の一環。インドネシアでは地震で両親を失った震災孤児が多く、今回水ろ過装置を設置した11施設には600人余が生活している。同世代の日本の子どもの絵をプレゼントし、元気を出してもらおうと、函館五稜郭RC国際奉仕委員会(千葉光男委員長)が昨年11月、同校に協力を申し入れた。

 作品の内容は生徒が決め、日本の昔話「かぐや姫」にスポットを当てた。4つ切りサイズの画用紙約20枚にまとめる予定で、部員は登場人物ごとに担当を決めて下絵を描き、アクリル絵の具で色を塗り進めている。

 作業は冬休みから本格化し、13日にも行われた。2年生の衣笠部長(14)は「人物描写が細かく大変だけど、日本のことを絵を通じて分かってほしい」と話す。かぐや姫の絵を担当する松本佳奈副部長(14)は「多くの人に見てほしい」、鈴木小瑚乃(ここの)さん(14)も「描いていて面白い」と楽しげだ。

 完成した紙芝居は2月の訪問メンバーに託し、現地の日本人留学生らにインドネシア語に訳してもらう。移動図書館のボランティア活動を行っている現地住民に渡すほか、カラーコピーして各施設に配布する計画。16日には部員が函館五稜郭RCの例会で完成分をお披露目する。(新目七恵)


◎中国のデビッドカード使用OK…16日から棒二森屋で

 函館市内の百貨店、中合棒二森屋店(若松町17、井上裕司店長)は16日から、中国版デビットカード「銀聯(ぎんれん)カード」による決済サービスを開始する。富裕層を中心とする中国人客の利便性を高め、消費拡大につなげたい考え。同サービスを道南の百貨店が導入するのは初めて。

 銀聯カードは昨年12月現在で約18億枚が発行されていて、観光で来日する中国人の大半が持っているという。決済は加盟店でカードを提示し、店頭の専用端末に暗証番号を入力すると、中国の銀行口座から利用額が引き落とされる仕組みだ。

 同店が三井住友カード(東京)と北陸カード(富山)と協力し、導入準備を進めてきた。道内百貨店で銀聯カードを取り扱うのは、さっぽろ東急百貨店や丸井今井札幌本店、札幌三越店(いずれも札幌)、藤丸(帯広)に次いで5店舗目となる。

 同店は07年10月から、外国人客に対し、一部商品を除き1万円以上購入した場合の5%分の消費税の免税措置を導入。免税対象の外国人客のうち中国人が約3割に上るといい、「消費低迷で売り上げが落ち込む中、富裕層の外国人買い物客の新規開拓やリピーターの獲得につなげたい」と期待を寄せている。(森健太郎)


◎恵方巻き 市内スーパー、コンビニなどで予約受付

 節分(2月3日)に食べる太巻き寿司「恵方巻き(えほうまき)」の予約受け付けが、早くも函館市内のスーパーやコンビニエンスストアなどで始まった。今年の方角は東北東。予約のピークは節分直前の見込みだが、売り上げが期待できるとあって、各店とも動き出しが早くなっている。

 恵方巻きは関西で発祥した風習で、その年の縁起のいい方角を向き、願い事を念じながら食べると幸運が巡ってくるとされる。

 道南ラルズのスーパーアークス港町店(港町1)では、売り場に「恵方巻」と書かれた大きな看板を設置し、9日から予約を始めた。中巻きハーフサイズで7本入りの「七福巻セット」(1280円)や、5種類の具材が入った5本入りの「丸かぶりセット」(777円)など7種類以上を用意している。店頭販売は2月2日からの予定。

 鍋谷光明店長は「販売促進のため、店内でのPRは昨年より1週間早く始めた」と説明。昨年販売した約4000本を超える売り上げに期待を込める。

 イトーヨーカドー函館店(美原1)でも予約の受け付けを開始。今井敏副店長は「毎年売り上げは伸びてきている。近年は1本丸ごとではなく、ハーフサイズに人気が集まっている」と話し、1月下旬から店頭販売も行う予定という。

 グルメシティ北海道(湯川町3)は「予約は今年初めから受け付けており、4種類以上用意している。2月3日にはそれ以上の種類が店頭に並ぶ予定」(池田敦也営業企画主査)としている。(山田孝人)


◎ヨークさん漂着物でアート展

 北斗市在住のヨーク・クリストさん(60)による現代アート展が15日から、手作り雑貨販売などの「SUQ(スーク)」(函館市弁天町15)で開かれる。漂着物などを活用したオブジェ(飾り物)など約50点を展示、販売する。2月2日まで。

 ヨークさんはドイツ出身。芸術表現で自分の内面と向き合い、心を癒やす「アートセラピー(芸術療法)」の講師としてヨーロッパやアフリカを渡り歩き、36年前に来日した。現在は地域の人に英語や美術を指導している。

 作品は海岸で拾った流木や浮き玉などの漂着物、知人から譲り受けた膳などの不用な日用品をカラースプレーで着色したオブジェが中心。

 苗を育てる木箱にスコップやハエタタキなどユニークな物を収めたり、2つの割れた下水パイプを組み合わせたり、どれも感性の赴くままに表現した作品ばかり。自転車のタイヤチューブに作品をぶら下げるなど展示方法にも個性が光る。

 ヨークさんは「作品がごみに見える人もいれば、芸術に見える人もいるでしょう。作品にテーマはないので、見たまま自由にいろいろなことを感じてほしい」と話している。

 同店営業日の月・木・日曜日午前11時―午後6時に観覧できる。(宮木佳奈美)