2009年1月15日(木)掲載

◎本格人形劇に園児夢中…「劇団わんぱくクラブ」美原保育園で訪問公演

 函館市柏木町の共同学童保育所に通う児童13人が所属する「劇団わんぱくクラブ」が14日、函館美原保育園(美原1、松本啓園長)を訪れ、約100人の園児たちの前で人形劇を披露した。同劇団は昨年11月に札幌市で行われた札幌人形劇祭の児童生徒の部で最優秀賞を受賞した実力派で、この日も巧みな演技で園児たちを喜ばせた。

 同劇団は1992年に同市銭亀沢町の北山篤さん(62)と妻の良子さん(故人)が「子どもたちに本格的な人形劇を指導したい」と、小学3―6年の児童を対象に立ち上げた。毎年秋の同人形劇祭への出演を目標に週1回の練習を重ねており、昨年は動物たちを主人公としたコミカルな内容の「ボクのなまえは?」で結成16年目にして初の最優秀賞に輝いた。

 この日の公演は、同劇団の活躍を知った同保育所からの呼び掛けで実現したもので、児童らにとっては約2カ月ぶりの本格的な舞台。初めて見る人形劇に緊張気味だった園児らも、動物たちのユーモラスな動きや軽快なせりふのやりとりなどにすぐに引きこまれ、楽しい雰囲気の中でステージが繰り広げられた。

 公演を終えたメンバー代表の保科崇志君(函館駒場小6年)は「小さな子どもたちの前で上演するのは初めてだったので、理解してもらえるか心配だったけど、園児たちの楽しそうな笑顔を見ることができてうれしかった」と満足の様子。北山さんは「子どもたちの練習の成果を、地元の人たちにもっと見てもらえるように、今後もこのような訪問の機会が増えることを期待したい」と話していた。 (小川俊之)  



◎札幌から観光客を…函館市が旅行企画 近ツリきょう発売

 函館市は、札幌発着の1泊2日の列車旅行「ご当地グルメ&スイーツ満喫列車!函館湯の川温泉への旅」を企画した。列車内で道南の名産品を味わってもらう趣向で、15日に旅行代理店大手の近畿日本ツーリスト札幌営業所(札幌)で発売する。

 道内各地からの来函客数増加につなげようと、市が立案。JR北海道(札幌)の協力を得て、近畿日本ツーリストが初めて商品化した。旅程は2月15日に札幌を出発し、湯の川温泉のホテルに宿泊、翌16日夕に函館をたつ1泊2日。

 行き帰りの車中で振る舞うのは、上ノ国町「宮寿司」の「あわび飯弁当」や、七飯町「ブロイハウス大沼」の「大沼ビール」のほか、今回のために新たに開発した函館市「ペイストリースナッフルス」の「キャラメルシュー」、「函館酪農公社」の「なめらかプリンあずき抹茶」が含まれている。広域観光化を図るため、JR沿線の恵庭市や胆振管内洞爺湖町、白老町の名産品も盛り込んでいる。

 函館の滞在中には、函館山からの夜景をはじめ、「はこだてイルミネーション」「五稜星(ほし)の夢」「はこだて光の小径(こみち)」といった冬のイベントが開催されていることから、参加者に市内観光を周知する。定員は50人で、旅行代金は大人一人2万800円から。

 市観光振興課は函館開港150周年記念事業の成功に弾みをつけたい考えで、「札幌やその近郊に住む友人に参加を呼び掛けてほしい」と話している。問い合わせ、申し込みは同営業所TEL011・221・5489。(浜田孝輔)



◎【企画・今年にかける】(3)「レストランバスク」オーナーシェフ 深谷宏治さん(61)

 4月に函館で国内外の気鋭の料理人が集まる「2009世界料理学会inHakodate」が開催される。スペイン・バスク地方サン・セバスチャンで開かれている「最高美食会議」のような食の催しを函館で再現しようと、長年温めてきた構想だ。

 学会には30代の若手を中心とする料理人が国内、スペイン、アルゼンチン、コロンビアなどから出席する。一人一人が自身の料理、その素材や産地の風土、背景にある思いを語り、技術向上のために料理人同士が意見を交わす場だ。「料理にかかわる人は歴史や伝統を大切にする人が多い。函館にはその要素が備わり、旧市街地(西部地区)は最も会場にふさわしい場所」。生まれ育った街を誇りに思う。

 学生運動が盛んだった高度成長期、「社会に対して自分の生き方はどうあるべきか」を突き詰めながら学生時代を過ごした。東京理科大の助手から食で人を喜ばせる料理の道へ。1975年に渡欧し、バスク地方の有名料理店で約3年修業。現地の料理人はただ料理を作るだけではなく、食のイベントなどで対社会的な活動をするのに刺激を受けた。帰国後も頻繁に現地を訪れ、世界的な「美食のまち」と評価されるまでの変遷も見てきた。

 「料理が世の流れを変えるなんて素晴らしい。自分なりに函館に対して何かできないか」。10年前に道南の料理人らが集まり、技術を高め合う「クラブ・ガストロノミー・バリアドス」を発足後、スペイン料理フォーラムやバル街を函館で開催し、着々と思いを行動に移した。「函館で開催した実績が新たな展開につながる。学会も長い目で見て函館の魅力を高める力になるはず」。料理の力を信じる。 (宮木佳奈美)


◎参考人19人招致へ…貿易センター問題

 函館市の第三セクター「函館国際貿易センター」(社長・谷沢広副市長)で起きた不正経理問題を解明する、市議会の函館国際貿易センター問題調査特別委員会(斉藤佐知子委員長)が14日、開かれた。委員会に招致する参考人は市職員や同社役員ら19人とすることを決め、元専務(死去)が裏金化したプール金に対する認識を中心に意見聴取をする予定。

 参考人は、全5会派が求めたすべての関係者。同社の設立当時に市の企画部長だった西尾正範市長や前・元港湾空港部長、元総務部長、担当部局の幹部をはじめ、同社の役員、前派遣職員2人(昨年12月末まで)、監査役、担当税理士、プール金を保管していた港湾空港部職員など。

 意見聴取事項には、プール金の存在を知った時期や職員派遣の是非、前派遣職員が内部告発をした理由、プール金の保管のあり方などが盛り込まれている。正副委員長が取りまとめた意見聴取事項について、委員会の再開前に阿部善一議長が内容を不十分と指摘したことが分かり、委員は「議長に権限付与していないので、越権行為にあたる」として、一時紛糾する場面があった。

 次回の委員会は15日に開かれ、参考人に対する意見聴取の時間配分などを協議。参考人招致は早ければ21日となる見通しで、その後に意見の取りまとめ、理事者の見解の検証、委員会内での協議・調査などを経て、2月下旬に開会する予定の第4回市議会定例会に最終報告したい考えだ。(浜田孝輔)


◎トップ会談の行方は?…支庁再編

 【乙部】道の支庁再編をめぐり道町村会長の寺島光一郎乙部町長が、条例修正を前提に高橋はるみ知事との会談に応じる方針を示したことで、対話再開の時期が当面の課題になる。寺島会長は「早期に実現したい」とする一方、条例修正に応じない知事サイドとの隔たりは大きい。再編の必要条件である公選法改正をめぐっては、自民・民主両党も両者の対話を注視。トップ会談が物別れに終わった場合は、新年度中の再編はますます厳しい状況に追い込まれるだけに、知事サイドの出方が注目される。

 町村会は昨年12月から、再編条例の問題点や具体的な見直し内容を示しながら、担当副知事や企画振興部長との折衝で妥協点を探ってきた。自民党が公選法改正の先送りした結果、本年4月の再編実施は困難になりつつある情勢から、条例修正を前提に「早期に会談を実現したい。対立関係は早急に解決すべき」と申し入れた。しかし、知事サイドの具体的反応はなかった。この間には道議会自民党も町村会の“説得”に乗り出したが不発に終わった。

 寺島会長は13日、高橋知事に文書を送り、条件付きで会談に応じる構えを示しながら、改めて再編計画の再考を促した。「ボールは知事に投げ返した」(町村会関係者)。寺島会長は「地区町村会の理解を得て早期に会談を実現したい」と語るが「厳しい景気や雇用情勢の中で再編を強行すれば、地方の打撃は予想以上になる」として、改革の必要性を疑問視する姿勢に揺らぎはない。

 だが、知事サイドと町村会が妥協点を持たずにトップ会談に進んだ場合には「早い段階で物別れに終わる可能性がある」(道幹部)。自民党は公選法改正の前提として「町村会との関係改善」を促している。町村会の主張に賛同する民主党も、参院での法案否決を示唆。会談が物別れに終わった場合、公選法問題が足踏み状態を続けることになり、再編条例が4月以降も“たなざらし”が長期化する事態が予測される。さらなる混乱は、高橋知事の求心力が低下する可能性があるだけに、町村会サイドも道の出方を注意深く見守っている。(松浦 純)


◎幻想的な雰囲気 町練り歩く…「みそぎ行列」

【木古内】木古内町の「寒中みそぎ祭り」は2日目の14日、町内を練り歩く「みそぎ行列」のほか、佐女川神社の境内で和太鼓や舞踊などの郷土芸能が披露され、にぎわった。

 午後5時45分から始まった行列は、ちょうちんを持った町民約150人がJR木古内駅付近から同神社までの3キロを歩いた。沿道には、かがり火やアイスキャンドルが置かれ、幻想的な雰囲気に包まれていた。

 境内の特設ステージでは、もちまきや町民有志による「みそぎ太鼓」「みそぎ囃子(ばやし)」が繰り広げられて歓声が響いた。また、町内主婦ら手づくりのかけそばが振る舞われ、来場者からは「おいしくて体も温まる」と好評だった。初めて行列に参加した木古内小4年の西村祐汰君(10)は「雪が降る中でのアイスキャンドルはとてもきれいで、冬休みの楽しい思い出になった」と笑顔だった。

 最終日の15日は午前11時50分から、国道228号沿いのみそぎ浜で「海中みそぎ」が行われる。境内で13日夜から水ごりを繰り返している若者4人が、ご神体を抱えながら津軽海峡へ飛び込む。(田中陽介)