2009年1月16日(金)掲載

◎寒中みそぎ祭り最終日 若者4人が海中みそぎ

 【木古内】木古内町の「寒中みそぎ祭り」は15日、最終日を迎え、行修者(ぎょうしゅうしゃ)と呼ばれる若者4人が津軽海峡に飛び込み、ご神体を清める「海中みそぎ」で幕を閉じた。町内外から大勢掛け付け、厳かな神事を見守った。

 行修者は豊漁や豊作、安全・発展などを祈願するため、13日夜から佐女川神社(野村豊秋宮司)にこもり、水ごりを重ねてこの日に臨んだ。この日午前11時50分ごろ、4人が下帯姿でみそぎ浜に登場すると大きな拍手が沸き、「もう少しだ、頑張れよ!」などと声援が飛んだ。

 4年連続で参加し、今年で行修者を引退する函館の専門学校2年、戸澤拓也さん(19)が「行くぞ!」と大きな声を掛け、4人は走って海に入り、沖合15メートルほどで海水を浴びせ合い、ご神体を清めた。実行委によると、海中みそぎが行われた時刻の木古内町の気温は氷点下5度、海水は8度。時折、吹雪に見舞われたが、若者のりりしい姿と大勢の観客で熱気に包まれ、祭りは最高潮に達した。

 役場近くのみそぎ広場では、特産フェスティバルが開かれ、多くの家族連れらでにぎわった。初めて海中みそぎを見たという七飯町の鈴木庸平さん(66)と妻法子さんは「こんなに寒い中でも一生懸命頑張る若者の姿は立派」「りりしい表情に感動した」と話していた。 (田中陽介)  



◎来月13―15日、中島廉売で刑務所作業製品販売

 函館市中島町の中島廉売で、空き店舗を活用して刑務所作業製品を展示・販売する「中島れんばい大家具まつり(仮称)」が2月13―15日に開かれることが決まった。今や全国区の人気となっている函館少年刑務所製の“マル獄”印の入った前掛けをはじめ、大型家具や日用品など総額約400万円相当の商品が並ぶ予定で、閉鎖する店舗が目立つ商店街の再生を目指す。(森健太郎)

 商店街の空き店舗で刑務所製品の展示即売会を開くのは「全国的にも珍しい試み」(法務省矯正局)という。

 同廉売の商店主らでつくる中島町商店街振興組合(二本柳秀樹理事長)が、近年増え始めた空き店舗の有効活用策を探っていたところ、組合員の一人が同刑務所の刑務官と知り合いだったことから、今回の企画に結び付いた。同刑務所も「地域貢献と商店街の活性化の一助になれば」と同組合の要請を快諾した。

 当日は全国の刑務所などの受刑者が作った木製の家具や踏み台、枕カバー、みそなどを廉売の空き店舗3カ所の会場に陳列。生産が追いつかないほど人気のマル獄シリーズの商品は「前掛け」や「きんちゃく袋」を数量限定で販売する。

 会場ではバザーやフリーマーケットのほか、周辺の商店で特売品を提供する協賛セールも実施。15日には西部地区の町おこしグループでつくるちんどん屋「遊源会社大黒笑事」も応援に駆け付ける。

 二本柳理事長は「不景気や相次ぐスーパーの進出で客足は鈍っているが、イベントを起爆剤としてたくさんの人が集まる廉売に生まれ変わりたい」と意気込んでいる。午前10時から午後5時まで(最終日は午後4時まで)。問い合わせは同廉売事務所TEL0138・56・7615。



◎【企画・今年にかける】(4) NPO法人理事長 三輪貞治さん(45)

 函館市末広町8の十字街電停前に2010年1月、「北海道坂本龍馬記念館」を開館しようと、忙しい日が続いている。現在は開設に向けて内装業者とのやりとり、展示物の選定作業の真っ最中だ。

 開館後は龍馬ゆかりの品はもちろん、北海道とのつながりを示す資料などを展示する考え。「剣道や柔道教室などを開き、“未来の龍馬”の育成拠点としたい」。次代を担う若者にも目を向ける。

 1963年、岩見沢市生まれ。札幌の大学を卒業後は音楽関係の仕事を経て、実家の食料品店を継いだ。

 以前から龍馬のファンだったが、15年ほど前に友人の紹介で高知出身の寺の住職に札幌で出会い、激動の幕末を生き抜いた龍馬の発想や行動力をあらためて知り、感銘を受けた。「そのころは政治や経済の混迷が続き、どこか幕末に似ていると思っていた。龍馬の生き方を学ぶことで、生き抜くヒントが得られるのではと感じた」。龍馬を広く知ってもらう活動を始めたきっかけだ。

 01年に実行委を立ち上げて札幌を中心に活動を始め、昨年4月、道内で幕末の歴史が克明に残っていることなどから、函館での記念館開設を決め、同7月に移住した。「歴史ある西部地区に新たな風を吹かせたい」と意気込む。同11月には龍馬をしのぶイベント「龍馬祭」を五稜郭タワーで初めて開催。「多くの地元の人が見に来てくれた」と手応えを感じている。

 「09年は開港150周年で、函館にとって重要な年。役に立てるならどこでも駆け付ける。この街を盛り上げたい」。龍馬のような行動力で駆け抜けるつもりだ。(山田孝人)


◎渡島管内 6割の学校で「情報モラル教育」

 渡島管内の公立小、中学校、高校と特別支援学校計190校のうち6割がインターネットや携帯電話のメールのマナー、危険性などを教える「情報モラル教育」に家庭と連携しながら取り組んでいることが、渡島教育局の調査で分かった。ただ、中学校と高校では9割を超えたが、小学校では4割にとどまり、対応の遅れが明らかになった。同局は「事件などの未然防止のためにも指導は必要」としている。(新目七恵)

 調査は携帯電話をめぐる子どものトラブルが多発している背景から、文部科学省の指示に基づき全国規模で初めて実施。同局では昨秋にアンケートを行った。この結果、情報モラル教育に取り組む学校が117校と全体の62%を占めた。内訳は小学校が48校の44%、中学校が46校の90%、高校が22校の92%だった。

 情報モラルの指導に当たり、「啓発資料などを教材として活用している」と答えたのは55%(104校)、ネットいじめや学校裏サイトの実態、最新情報を入手して指導しているのは34%(64校)で、いずれも全道平均を下回った。

 このほか、携帯電話の取り扱いに関する指針を作るなどして指導を徹底している学校は99%(188校)にのぼったが、保護者に周知するなど家庭との協力体制を敷いているのは71%(134校)だった。全校でネットサイトなどを使ったいじめの未然防止、早期発見・対応につながる相談体制を整備しているとしたが、道警のマニュアルなどを活用し、「被害者や保護者に対し迅速かつ適切に対応している」と回答したのは43%(82校)だった。

 携帯電話をめぐっては、大阪府教委が学校の持ち込み禁止を打ち出して注目を集めている。全国の調査結果を基に、同省は学校や教員向けの「対応マニュアル・事例集」を作成、各校に配布した。

 同局の嶋田聡生涯学習課長は「道南の小学生がどのくらい携帯電話を持っているかは不明だが、事件やいじめが起きてからでは遅い。未然防止の意味でも指導は必要で、マニュアルの活用を呼び掛けたい」と話している。


◎函館市の臨時職員緊急雇用、53人に対し130人応募

函館市が緊急雇用対策の一環で採用する臨時職員の募集が14日で終わり、定員53人に対し130人の応募があった。また、市住宅都市施設公社が15日から募集した冬季就労作業員20人は、初日で函館公共職業安定所に依頼した一定数の紹介が固まり、同日で応募を締め切る形に。函館の厳しい雇用情勢があらためてうかがえる結果となった。

 市人事課によると、臨時職員は函館職安を通して求職者を紹介してもらった。業務は資料作成や事務補助、郷土資料整理などで、1カ月の支給額は22日間勤務で12万円程度となる。15、16日に各部で面接し、週明けの19日から3月末まで採用する。

 このうち、市教委生涯学習部文化財課は縄文遺跡出土品の整理業務として10人を募集し、定員を大幅に上回る応募があった。南茅部地区で昨年発掘された土器や石器などの遺物を水で洗い、番号を付けたり台帳に登録するなどして出土場所が分かるように収納していく。賃金は日額6500円前後で、今回募集した他の事務員より1000円ほど高く、人気があった。

 同部は「通常の業務で補いきれない分を、今回の制度を利用することで進めていく。縄文文化交流センター整備や遺跡群の世界遺産登録を目指す中、遺跡や出土品の内容を把握、整理するとともに雇用促進にもなり、非常にありがたい」と話している。

 冬季就労対策として市住宅都市施設公社が募集した作業員20人についても、賃金が日額9000円と高かったことが人気を集めた要因として考えられる。今後、面接を経て採用する。 (高柳 謙)


◎川村組土建が合格祈願「すべり止め砂」配布

 函館市亀田町21の川村組土建(川村宏人社長)は15日から、市内末広町5のアクロス十字街(市水道局)前で、凍結路面の滑り止めに散布する砂を入れた合格祈願のお守り「すべり止め砂」の配布を始めた。受験に「滑らない」との験担ぎで、2月末ごろまで希望者が自由に持ち出せるよう街頭に置いておく。

 お守りは幅5センチ、長さ7センチの厚手で丈夫なポリ袋製。中には風水で学問成就の色といわれる緑色の「合格祈願すべり止め砂」と記された台紙、せたな町の海砂2、3グラムが入っている。除雪作業に携わる社員が心を込めて作り、大安の昨年11月28日に学問の神「菅原道真」を祭る矢不来天満宮(北斗市)で合格の祈とうを受けた。

 国道278、279の道路維持管理、除雪作業の委託を受ける同社が2006年から始めた。管理する道路付近で十字街界わいに人を呼び込む狙いもある。2000個用意し、毎日補充するが、なくなり次第終了する。

 高校受験を控えた長女にも渡したという菊地保工事課長(48)は「道路が凍って滑るので、お守りを財布などに入れて受験にも『滑らない』ように勉強を頑張って」と応援。くれぐれも袋が“やぶ(敗)れる”ことがないよう取り扱いにはご注意を―。(宮木佳奈美)


◎大妻高生3人がキャリア短歌で入賞

 函館大妻高校(外山茂樹校長、生徒475人)の3年生3人が、全国の高校の進路指導、学習に関するイベントの企画・運営会社さんぽう(東京)が主催する「第3回高校生のキャリア短歌・キャリア生活文コンテスト」の短歌部門で佳作に選ばれた。応募総数2253首の中から上位23首に選出され、生徒たちは「うれしい」と喜んでいる。(新目七恵)

 このコンテストは現役高校生を対象に、将来について真剣に考えていることをテーマに募集。大学教授ら選考委員が審査、講評した。佳作は最優秀(1首)、優秀(2首)に次ぐもので、20人が輝いた。道内からは同校と清尚学院高が団体賞にも選ばれた。

 同校では生徒の伝える力を育てようと、昨年度から全校で短歌や俳句づくりに取り組んでいる。今回は昨年8月、全3年生172人が授業の一環として応募した。

 入賞した家政科の大坂舞子さん(18)の短歌は「あの時に あきらめかけた あの夢を 今もう一度 追いかけ走る」。美容師へのあこがれを再燃させた時期の気持ちを素直につづった作品で、「力を入れたわけではないので、入賞はびっくりした」と振り返る。

 同科の安川実穂さん(18)は「見つからず もがき苦しむ 進路先 努力するほど 悩みは増える」。進学先に悩む思いを詠み、「これから進路を考える後輩に共感してもらえれば」と話す。担任教諭のような「かっこいい先生」にあこがれ、教員を目指して春からは札幌の大学に通う。

 普通科の岡田舞さん(18)は、幼いころから福祉の道を目指す自分を見詰めた「いばら道 介護福祉の 夢の道 ただひたすらに 歩き続ける」。4月からは介護福祉士の資格取得のため市内の専門学校に進学する予定で、「今までの経験を糧に頑張りたい」と意気込む。

 担当の森雪恵教諭は「集中して自分の気持ちを見つめ直す機会になった」と話す。入賞した短歌と生活文は同社が冊子にまとめ、1万部を入選高校や関係者に配布した。