2009年1月18日(日)掲載

◎れんばいバザー 人、人、人

 函館市の中島廉売内の特設会場(中島町22)で17日、カレンダーや日用雑貨などを格安で販売する「第1回れんばいバザー」(同実行委主催)が開かれた。閉鎖した空き店舗を活用した初の試みで、新たな息吹でよみがえった“商店”は、目当ての品を求める市民らで熱気に包まれた。

 シャッターの閉まった空き店舗を有効に活用し、商店街の活性化につなげようと、同廉売の商店主らでつくる3団体が実行委(委員長・二本柳秀樹中島廉売商店街振興組合理事長)を立ち上げて企画。正午の開店前から約50人が列をつくる盛況ぶりだった。

 店内は開店直後から大勢の主婦らでごった返し、用意した100円のお汁粉(50杯限定)は1時間足らずで完売。組合員らが持ち寄ったカレンダーや食器、家庭用洗剤なども飛ぶように売れ、組合関係者が総出で接客に追われていた。

 週1回は同廉売に立ち寄るという市内桔梗4の主婦(74)は「昔と比べ活気は失われたが、きょうはにぎやかで財布のひもも緩んでしまう。次もまた来たい」と笑顔。実行委は「これほどの来客は想定外。バザーは年1回の定期行事として育てたい」とうれしい悲鳴を上げていた。(森健太郎)



◎難関突破!1132人挑む…センター試験始まる

 2009年度の大学入試センター試験が17日、函館市内の北大水産学部、道教大函館校、公立はこだて未来大を含む全国738会場で始まった。道南では大きなトラブルはなく、試験は予定通り午前9時半から開始され、1132人が試験に臨んだ。

 同未来大では肌寒い天候の中、受験生が入り口で高校教諭らからエールを受けながら、緊張した表情で会場入りしていた。1時間目の「公民」は、同会場の志願者335人のうち323人が6つの試験室に分かれて取り組んだ。初日は公民の後、地理歴史、国語、外国語(英語リスニング含む)の計4教科15科目が行われた。18日は理科と数学が予定され、2日間で6教科28科目の全日程を終える。

 大学入試センターによると、全国の出願者数は前年度比0・1%増となる54万3981人、道内は同0・4%増の1万9449人。国公立大の2次試験の出願受け付けは26日から2月4日まで。(新目七恵)



◎自主防災組織 年々増加 活動減少

 1995年1月17日に起きた阪神・淡路大震災の惨事を教訓に、各地域で自主防災組織が広がりを見せている。住民がそれぞれの地域で防災活動に取り組むもので、函館市内でも町会単位で発足が進んでいる。組織を立ち上げることで役員や会員間の連携が強化され、有事の際の役割分担も明確になってくるが、一方で防災訓練への住民の参加率が思うように伸びず、役員も高齢化してくるなど、組織をより有効に機能させるための課題も浮き彫りになってきている。

 市総務部防災担当によると、昨年末現在、市内全188町会中56町会が自主防災組織を発足させた。全体の3割ほどだが、03年以降は5―10町会のペースで年々増加傾向にある。

 市が自主防災組織育成指導要綱(2000年8月施行)に基づき、各町会に呼び掛けて組織づくりを促しているが、実際に立ち上げるか否かは各町会の自主性に任されている。

 自主防災組織の平常時の活動は防災にかかわる知識の普及や防災訓練の実施、地域内の安全点検、防災用資機材の点検など。ただ、町会が母体となっているため、役員の高齢化や町会活動への参加率の低さなど、町会が抱える悩みが組織の運営にもマイナス要因として反映されている。

 06年に組織を立ち上げた川汲町内会(酒井鉄雄会長)は一昨年、昨年と消防署や市の防災担当者らの指導で防災訓練を実施。土砂災害の恐れがある地域のため、毎年訓練を続ける考えで、澤田茂総務防災部長(68)は「訓練で参加者の防災意識は高まる」とする半面、「日中働いている住民の訓練への参加率をどう高めていくかが課題」と指摘する。

 一方、参加人数が見込めないなどで大掛かりな防災訓練を実施していない町会も多く、03年12月に組織を立ち上げた大川町会の新谷則会長(73)は「地域の防災活動の大切さは認識しているが、近年は実質的な活動ができていないのが現状」という。亀田本町第五町会(黒澤紀夫会長)の水科邦雄防犯防災部長(80)は「会員全員の防災訓練を実施したいと考えているが、めどは立っていない。地道な啓発活動を続けて防災意識を高めるしかない」という。

 毎年、防災訓練を実施している石川町会の山崎敏昭会長(63)は「近年、宅地造成などで人口は増えている。新しく住みいた人にも呼び掛けていきたい」としている。(鈴木 潤)


◎【企画・今年にかける】(6)道警の試験に合格、春から警察学校へ  齋藤竜二さん(20)

 道警の採用が決まり、今春、道警察学校に入学する。「やっと自分も親孝行ができると思うとうれしい。今まで家族に心配をたくさん掛けてきた。その分、立派な警察官になって安心してもらいたい」。誰からも親しまれ、信頼される警察官を目指す。

 1988年に木古内町で生まれた。木古内高校を卒業した後、就職活動が順調にいかず、町内のコンビニエンスストアの深夜バイトに明け暮れた。函館のハローワーク(公共職業安定所)に何度も足を運んだ。不安がよぎらない日はなかった。あやふやな気持ちと焦燥感で、やるせなさだけが残る毎日だった。

 木古内高校では空手部に所属。恵まれた体と運動神経を生かし、全道大会出場も果たした。高校2年生の時から昨年までの4年間、地元の一大イベント、佐女川神社の「寒中みそぎ祭り」の行修者を務めた。極寒の中で水ごりを繰り返す荒行をこなし、地域の豊漁や豊作、安全などを祈った。

 「古里のために頑張ろうと思ったのは確かだが、とにかく自分自身の弱い部分に負けたくなかった。水ごりは自分との戦いだった」。必死な形相で行修者を務める勇姿を見守ってきたある町民が「その根性を仕事に生かせばいい。警察官だ。おまえならできる」と声を掛けた。その言葉に背中を押され、猛勉強に取り掛かった。2回目の挑戦で採用試験に合格した。

 「『みそぎ』が人生を切り開いてくれたと思う。何かにくじけそうになった時には『水ごりに耐えたんだから大丈夫』と思いたい」

 みそぎで培った忍耐、そして仲間や町民らとの絆(きずな)を糧に、人生の新たな一歩が雪解けとともに始まる。(田中陽介)


◎イベント成功へ心込め…来月1日から冬フェス キャンドル製作体験会

 函館市内で開催中の「2009はこだて冬フェスティバル」(実行委主催)のイベントの一つで、2月1日から15日間の日程で行われる「はこだて『光の小径(こみち)』」に向けた市民参加のキャドル製作体験会が17日、五稜郭町の五稜郭タワーで行われた。期間中、市内各所で手作りキャンドルをともす企画で、この日は多くの家族連れらが製作作業を楽しんだ。(新目七恵)

 同フェスティバルは、冬の元町地区を約5万個のイルミネーションで美しく彩る「はこだてイルミネーション」(昨年12月1日―2月28日)、西部地区を散策する「点灯ウォークラリー」(2月1日)、雪上レースやゲーム大会などが楽しめる「五稜郭ファミリーイベント」(同7、8日)など5つの催しを展開する。

 「はこだて『光の小径』」は市民や観光客が共同でワックスキャンドルを作り、各所に並べて明かりを楽しむ参加型イベント。2007、08年は市内2カ所で実験的に行い、今年は期間と場所を増やして本格的に実施する。設置場所には現在、元町や五稜郭周辺のほか、函館山、朝市、湯川、JR函館駅が申し出ている。この体験会は期間中に必要なキャンドル4000個の製作を目標に昨年末から始まり、今回で4回目となる。

 この日は午前中から多くの市民が訪れた。ワックスキャンドルは溶かしたろうを紙パックに入れ、冷やしながらくるくる回して固めて作る。参加者は氷水を使って熱心に取り組み、この日は1213個が完成した。

 絵画教室の友達と一緒に訪れた道教大附属函館小1年の松山真莉萌さん(7)は「ころころ転がして固めるのが難しいけど、紙パックをはがすのが楽しい」と話し、函館柏野小4年生の小田哲寛君(10)は「たくさんの人に見に来てほしい」と笑顔を見せた。

 体験会は18日に同市地域交流まちづくりセンター(末広町4、午前10時―午後4時)、24日に同タワー(午前9時―午後4時)で行われる。


◎函館焼 幻の焼き物 現代に…JR函館駅で21日まで展示

 150年前に誕生した焼き物「箱館焼」をアレンジし、現代の「函館焼」を制作する函館市内の陶芸家高村智さん(53)の陶芸教室と展示会(JR北海道函館支社主催)が、JR函館駅の多目的ホール「イカすホール」で始まった。高村さんの作品約60点が並ぶ会場で、主婦や親子連れら15人が湯のみや皿など思い思いの作品を仕上げた。

 18日まで3回開催される陶芸教室で、高村さんは陶芸の基本を説明し、電動ろくろでの作陶も披露。テーマは設定せず、参加者は高村さんのアドバイスを受けながら、手ろくろなどを使い、自由な作品作りを楽しんだ。

 母親と2人で参加した函館的場中2年の千葉里楽(りら)さん(14)は花びらをイメージした花器を制作し、「陶芸は自分が好きなように作品を作れるので楽しい」と話していた。

 「箱館焼」は道内で初めて作られた焼き物。採算が合わず数年で途絶えてしまい、今では幻の焼き物といわれる。磁器が中心で、高村さんは伝統を守りつつ、独自にアレンジし、磁器、陶器のほか両者の原料を混ぜた半磁器も手掛ける。会場には、釉薬(ゆうやく)を使わず土の質感を生かした作品や、陶器に籐(とう)を編み込むなど個性が光る作品がずらり。

 高村さんは「函館に函館焼があることを知ってもらいたい」と来場を呼び掛けている。展示は21日までの午前10時―午後5時。(宮木佳奈美)


◎〝行修者〟勇ましく…木古内に雪だるま登場

 【木古内】木古内町のJR木古内駅近くに、15日で閉幕した「寒中みそぎ祭り」の“主役たち”が雪だるまとして登場し、町民らの目を楽しませている。白のずきんと口に布をくわえる高さ20センチほどの4体で、水ごりに耐える行修者を再現。愛らしくも勇ましい姿で、祭りの熱気の余韻を醸し出している。

 「みそぎ祭りを盛り上げよう!」と、木古内商工会商業部会(吉澤良平会長)が雪だるまで駅前通りを彩る企画を練り、地域住民に参加を呼び掛けた。同祭りが始まった13日から大小さまざまな作品約100体がお目見えし、14日夜の「みそぎ町民行列」ではアイスキャンドルとともに幻想的な雰囲気を演出した。

 札幌の観光客から「すてきなアイデアですね」と声を掛けられたという吉澤会長(62)は「一般町民が雪だるまづくりに積極的に参加してくれたのがうれしい。雪が多いことを積極的に生かすことが大事。雪だるまがまちの景色を和ませてくれている」と話していた。(田中陽介)