2009年1月19日(月)掲載

◎厚沢部で新春鹿子舞交流会

 【厚沢部】江戸時代から伝わる伝統の鹿子舞(ししまい)で新春を祝う、新春町内鹿子舞交流会(主催・厚沢部町鹿子舞交流協議会)が18日、厚沢部町民交流センターで開かれた。会場を訪れた100人を超える住民が、林業の繁栄や五穀豊穣(ほうじょう)を祈る幻想的な舞に見入っていた。

 鹿子舞は全国各地に伝わる“獅子舞”とは違い3頭のシカが主役となる。町内には滝野、土橋、当路、上里の4地区に鹿子舞保存会がある。それぞれルーツの違いから、独自の舞、衣装、囃子(はやし)の様式を伝えている。

 1600年代後半に津軽地方から伝えられたとされる土橋鹿子舞(富栄鹿子舞保存会)は、森の中で雄鹿と老鹿が、雌鹿をめぐって争う様子を表現した伝統の舞を演じ、観客からは「頑張れ!」「うまいぞ!」と盛んな声援が飛んでいた。

 この日は、昨年から交流会に参加している美和権現獅子舞(美和権現獅子舞保存会)も上演。江戸時代初期に厚沢部に伝えられたとされる、古来からの神楽を起源とする“獅子舞”で、迫力のある獅子頭を手にした男性が、笛や太鼓の囃子に併せて勇壮な舞を披露し、大勢の観客を沸かせた。(松浦 純)  



◎市営函館競輪、累積赤字の解消進む

 2006年度に7億9000万円あった市営函館競輪の累積赤字が、順調に解消されている。07年度に1800万円、本年度は約2億円の単年度黒字が見込まれ、累積赤字は5億円台に圧縮できる見通し。市競輪事業部は今後もレースの魅力向上やファンサービスの充実を図りながら、収支の改善を進めていく。

 累積赤字は05年度に4億6000万円、06年度に7億9000万円まで膨らんだが、日本自転車振興会への交付金(負担金)の還付制度が07年度から5年間の暫定措置で始まり、予定より1年早く単年度黒字に転換した。

 前年度に納めた交付金の3分の1が還付される制度で、同部によると07年度は2億円、本年度は1億8900万円の還付があった。還付制度や経費節減のほか、本年度から始まった競輪開催業務の包括委託などの効果で単年度黒字を維持し、同部は11年度までの累積赤字の解消を目指している。

 グレードと人気が高い「ふるさとダービー」(GII)があった07年度の売り上げは190億3400万円。「ふるさと」より人気が低い「開設記念競輪」(GIII)が行われた本年度は174億3600万円で前年実績を下回ったが、当初予算と比較すると14億3600万円(9%)上回った。普通競輪が好調で、全体の売り上げを押し上げた。

 新年度のレースは編成中だが、本年度と同じ記念競輪4日間を含む58日間の開催を予定している。単年度黒字を持続させたい考えだが、ここにきて経済情勢の悪化という問題もある。

 同部は「競輪は景気に左右される面が大きく、09年度はいかに売り上げを維持できるかが課題となる」と気を引き締めている。(高柳 謙)



◎【企画・今年にかける】(7) 福島大神宮第17代宮司の常磐井武典さん(35) 

 昨年5月に急逝した父武宮氏の跡を継いだ。「こんなに早く継ぐことになるとはまったく予想していなかった。毎日が試行錯誤の連続で、住民に支えられてばかり。あっという間に新しい年を迎えた気がする」。今年は元旦から連日、町内の各神社や氏子らの新年祭、お払いなどで走り回っている。

 1974年に札幌市で生まれた。高校2年で福島大神宮の跡継ぎとして福島町に住み、木古内高校に編入。高校卒業後は東京で2年間、神職について学んだ。

 23歳の時、テレビに映った沖縄の美しい海に心を奪われた。「水中カメラマンになる」と父に告げた。生まれながらに宮司となる人生が用意されていたが、父は「おまえの人生だ。好きなように生きろ」と返した。この言葉が心に染みた。父は生前、跡継ぎについては一切触れようとしなかった。その気遣いがうれしかった。「いずれは必ず、福島に戻る」。そう誓っていた。

 沖縄での生活資金はすべて自分で稼いだ。睡眠時間を削り、運送業などで必死に働き、宮古島で約2年間、カメラを片手に大自然の中を駆け回った。30歳を目前にし、人生を見つめ直す時間が増えた。歩むべき道を見いだそうと、札幌の琴似神社で3年間過ごした。将来について、父と深く話し合おうとした矢先の訃報だった。

 作法やしきたりなどで戸惑うことが多い。自信を失うこともある。

 そんな時、「武典さんが正しいと思うようにやればそれで十分。その気持ちが伝わるから」と町民が励ましてくれる。それが今は原動力になっている。町民とともに、今年は一歩ずつ進んでいく。(田中陽介)


◎函館子ども歌舞伎が25日札幌で公演

 函館子ども歌舞伎(市川団四郎主宰)が25日午後1時から、札幌市のかでる2・7ホール(中央区北2西7)で開かれる「北海道舞台塾 北の元気舞台」(道、実行委など主催)に出演する。同公演は2004年以来5年ぶり3回目の招聘(しょうへい)で、昨年11月に函館市民会館で開かれた創立20周年記念特別公演の「釣女(つりおんな)」などを演じる。市川さんは「子供たちにとって貴重な経験の舞台。函館で見た市民が札幌の知人などに広めてもらえれば」と話している。

 「北の元気舞台」は、道内の各地域で舞台芸術活動をする団体を札幌に招聘し、活動内容を広く紹介するとともに団体の人材育成を目指し開かれている。函館子ども歌舞伎は01年に「阿波の鳴門・どんどろ大師」などを、04年には「封印切りの場」などを上演し、道内から集まった観客、舞台関係者から好評を受け、3度目の招聘となった。

 今回は約40人の団員が「釣女」のほか、おなじみの「白浪五人男」、昨年7月に「榎本武揚没後百年函館記念事業公演」として函館市の称名寺で演じた「東大寺二月堂 良弁杉の由来」を披露する。現在は市内の町会館などでけいこに励んでいる。市川さんが「そんな笑い方は素人の役者。もっと感情を込めて」「手は伸びているが指先や目線はどうなの」など、本物の歌舞伎の演技を求め指導。市川さんは「現在の団員は札幌での公演は未経験。芝居を見てもらうことで子どもたちは成長する。ぜひ札幌でも応援してほしい」と話している。

 団員は24日に札幌入りしてリハーサルを行い、本番に備える。入場料は一般1000円。公演の問い合せは実行委TEL011・272・0501。チケットの問い合わせは函館子ども歌舞伎事務局の廣瀬さんTEL0138・42・2327。(山崎純一)