2009年1月20日(火)掲載

◎「オバマ本」絶好調

 アメリカのバラク・オバマ氏の第44代大統領就任式が20日(日本時間21日未明)に迫る中、函館市内の書店でもCD付きの「オバマ演説集」(朝日出版社、本体価格1000円)などの売れ行きが好調だ。写真集や関連本、児童書まで取り扱う店も出てきた。新政権誕生を前に、米国内では連日就任パーティーが開かれるなど“オバマ人気”が高まる中、函館市民からもオバマ氏が進める「チェンジ」の行方を注視し、期待する声が聞かれた。

 市内に4店舗展開する文教堂書店(本社・神奈川県)の函館昭和店(栩木貴史店長)では演説集のほか、オバマ氏の著書「バラク・オバマ 合衆国再生」(ダイヤモンド社、同1900円)や米大統領選を写真と語録でたどる「ホープス&ドリームス バラク・オバマ」(ゴマブックス、同2200円)など関連本5種類が並ぶ。演説集はオバマ氏の大統領就任が決まった昨年11月、一気に人気に火が付き、すでに40冊以上を販売。現在も同社の週間売れ行き順位の3位を占めている。

 栩木店長(38)は「男女問わず若い人がよく買う。先行き不安な時代に、日本の政治にもオバマ氏のような強いリーダーシップを求めている表れでは」と話す。

 三省堂書店(本社・東京)の函館営業所川原店(山本裕史店長)は、売れ筋の演説集を含め8種類を取り扱う。中には、子供向けにオバマ氏の生い立ちなどを分かりやすく紹介する児童書「オバマYES WE CAN!」(岩崎書店)もあり、山本店長(50)は「演説に感動した人が買うなど、テレビの影響も大きいようだ」と説明する。

 文教堂書店函館昭和店を訪れた求職中の市内の中浜孝司さん(37)は「アメリカも日本と同じ不況で立て直すのは大変だろうが、『チェンジ』の言葉通り何かが変わるのでは」と期待する。授業でオバマ氏の関連書籍を読んだという函館ラ・サール高1年の真田嶺君(16)は「学校の先生が、地球温暖化を止めるのはオバマ氏の行動に掛かっていると話していた。初の黒人大統領が行う変革は、アメリカと深いつながりのある日本や函館にもかかわってくるはず」と注視する。市内の主婦(60)は「テレビや新聞で見る程度だけど、今後どのくらい日本に影響するのか見守りたい」と話していた。 (新目七恵)



◎山車会館建設 「併設」方針めぐり紛糾

 【江差】江差町は19日、山車会館建設計画に関する祭礼関係者を対象とした説明会を町保健センターで開き、施設を江差追分会館(中歌町)に併設するとした町の方針に理解を求めた。しかし、出席者からは「祭礼にしこりを残すような議論の方法は問題」との意見が相次ぎ、約2時間にわたる会議は紛糾した。

 町は日本宝くじ協会(東京)の全額助成で、姥神大神宮渡御祭の山車を展示する「山車会館」を追分会館に併設して建設する方針。既に申請準備の書類を窓口となる道総務部に提出した。ただ、祭礼関係者を中心に姥神大神宮横(旧平野旅館跡地)への建設を求める声も根強く、町内を二分する議論となっている。

 会議には町内13基の山車保存会長と祭礼時の最高責任者である「頭取」ら約20人が出席。冒頭で飴谷副町長は「山車は町民の大切な宝物。建設場所はいささかの心配もないことが大前提だ。混乱を招いた責任は町にあり、おわび申し上げたい」と、町の対応に不備があったことを認めて謝罪した。

 施設建設には大多数の出席者が理解を示したが、「港に近い追分会館は塩害が心配」「山車の巡行経路と離れた追分会館での建設は疑問」との意見も相次いだ。町が設けた有識者検討委が、建設地を旧平野旅館跡地とした答申を覆す格好で、町が江差追分会館への併設を決めたことについて「決定を押し切ろうとする町の姿勢が問題」との反発も。議論の在り方をめぐる町内部の意思統一も不十分で、副町長と担当課長の発言がたびたび混乱。mネ谷副町長は「建設場所は確定ということではない。各地域に町の方針を持ち帰ってもらい議論して欲しい」と呼び掛けた。(松浦 純)



◎【企画・今年にかける】(8) 函館吹奏楽団団長・金崎史典さん(43)

 今年創立25周年を迎えた函館吹奏楽団を率いる。毎年力を入れている定期演奏会(定演)は「記念演奏会」として6月13日、函館市民会館で開く。「今年は満員の中で演奏をしてみたい」。これまでの定演では“満員御礼”を実現させていないだけに、自然と力が入る。

 1965年、函館市で生まれた。函館光成中学校で吹奏楽部に入部。楽器は当時の先輩に勧められたホルンを担当し、以来一筋に吹き続ける。函館北高(現市立函館高)時代には3年連続で吹奏楽コンクールの全道大会を経験した。全国大会というあこがれの舞台に立てなかった無念さはちょっぴり残るが、「仲間と一つになって演奏する喜びを体感できた」と振り返る。その思いは今でも演奏を続ける土台になっている。

 85年に函館吹奏楽団に入団した。20歳だった。当時、同団は創立2年目で発展途上だったが、「向上心を持って吹奏楽を続けられるのでは」と期待を膨らませた。

 90年から別の吹奏楽団に所属し、函館吹奏楽団を離れたが、「自分自身の最後の所属先にしよう」と決め、2002年に再入団した。07年10月に団長に就いた。「若手演奏者の発掘や、吹奏楽の魅力を地域に伝える活動もしたい」と意欲を見せる。

 函館市内の運輸会社に勤務し、演奏活動との両立はなかなか大変だが、「音楽が好きだから続けられる」とさらり。すでに定演に向けて練習は本格化している。難曲と言われる曲にも挑戦する。「団員同士の結束を大事にしながら、本番までにしっかり仕上げたい」。観客が心から楽しめるようなステージを思い描きながら、練習に打ち込む。(鈴木 潤)


◎児童ら元気に登校…市内小中学校で始業式

 函館市内の公立小、中学校計76校で19日、3学期の始業式が行われた。児童、生徒らは冬休みの思い出を胸に元気に登校し、校内には久しぶりに明るい声が響いた。

 函館市美原2の函館中央小学校(鈴木祐司校長、児童404人)では、体育館で始業式が行われた。鈴木校長は「3学期は勉強のまとめをしっかり身に付け、次の学年につなげて。事故やインフルエンザに気をつけ、元気に乗り越えてほしい」と呼び掛け、子どもたちは真剣な表情で聞き入っていた。

 式後、各学級で宿題の提出などが行われた。1年2組では児童32人が冬休みの工作を見せ合い、にぎやかな雰囲気に。紙粘土を使い、アニメキャラクターの人形を付けた鉛筆立てを作った佐藤京介君(7)は「冬休みはお父さんと雪のかまくらを作って楽しかった。明日から好きな音楽とか勉強を頑張りたい」と話していた。

 市内の公立中学校の卒業式は3月13日、小学校は同18日、本年度修了式は同24日。 (新目七恵)


◎山本さんのイモ〝厚沢部一〟に…メークイン農家が「味自慢大会」

 【厚沢部】本道のメークイン発祥の地とされる厚沢部町で、町内の生産農家同士が自慢のメークインの食味を競い合い、町全体で品質の向上を目指す「オラがいも味自慢大会」(実行委主催)が、山村開発センターで開かれた。24人が昨秋収穫したメークインを出品。厳しい審査を勝ち抜いた10人で“味の決勝戦”を争った結果、中館町の山本貢司さん(65)が優勝に輝いた。

 【大会は18日に開かれた。昨年に続き2回目で、町内の農家が実行委(佐々木勲委員長)を組織。農作業が一段落するこの時期に開催した。町の顔として知られるメークインだが、畑の土壌や栽培方法の差から「食味や舌触りはそれぞれの農家で個性が生まれる。みんな自分のイモが一番だと思っている」と実行委。生産農家が“最高のメークイン”を競うことで、地域全体で食味の統一や品質の底上げを図る狙いがある。

 【昨年12月に出場予定の農家が自慢のメークインを出品。農協の予冷庫で同じ条件で保冷してきた。大会当日は朝から農家の女性陣を中心にメークインを同じ条件で蒸し上げた。「同じ鍋で煮ると煮汁が混ざり合い味の審査ができない」(実行委)という念の入れようだ。

 【予選では切り分けたメークインがテーブル上にずらりと並び、十数人の審査員が「粉の吹き方」「舌触りがなめらか」「甘みがある」など9項目を採点し、5段階で総合評価した。決勝には予選を通過した9人と昨年の優勝者の計10人が出場。大会長の渋田正己町長らが試食し、審査の結果、優勝は山本さん、小沢敏一さん(館町)が準優勝、増田恒雄さん(鶉)が3位に入賞した。

 【3ヘクタールの畑でメークインを栽培している山本さんは、妻喜和さん(62)と優勝トロフィーを手にした。父の代から脈々と受け継いできた技術の向上に力を注ぎ、同じ農家や指導機関も一目置く存在になっている。「自分ではまだまだと感じている。4年ごとの輪作体系をきっちり守りながら、日本一のメークインを目指したい」と優勝の喜びを語った。

 【実行委の松橋保美さんは「将来的には消費者や企業を交えた大会に発展させることが目標。安全・安心はもう当たり前。町全体で味や品質に磨きをかけ、厚沢部産メークインの付加価値向上につなげることができれば」と、大会の発展にも期待を寄せている。(松浦 純)


◎スノーモービル体験始まる

 【七飯】七飯町の大沼湖上で観光遊覧船などを運航する大沼合同遊船(大沼1023、堀元社長)の冬季体験事業が18日、スタートした。約20亜センチの厚い氷が張った湖上の特設コース(一周1キロ)をスノーモービルで駆け抜ける氷上スノーモービルや、大型ソリ(10人乗り)による氷上島巡りそりツアーなどで、夏と異なる大沼の“表情”を体感できる。

 スノーモービルは1周1キロのコースを2周まで、最大体感時速60キロの「ドライブ」を楽しめる。貸し出されたヘルメットと手袋を着用し、インストラクターから簡単な説明を受けて氷上へ。途中、氷上に降り立ち、広がる景色を楽しむことも可能で、同社は「簡単な操作で乗れます」とPR。氷上島巡りそりツアーはインストラクターの運転するモービルが1.8キロのコースを先導し、時速10数キロで湖上からの風景を満喫できる。事前申し込みは不要で、モービルは高校生以上、1人1000円。そりツアーは大人800円、小学生400円。

 ワカサギ釣りとモービル搭乗がセットとなったプランもある。問い合わせは同社アイスパーク・スノーマンTEL0138・67・2229。(笠原郁実)


◎残材の撤去始まる…赤川水源地

 函館市亀田中野町の市有地・赤川水源地で19日、2007年1月の強風で倒木した後、亀田川の岸に積み上げられていた残材の撤去作業が始まった。現場には重機4台が搬入され、混在する石を除きながら樹木の根などをチップ状に加工する工事が進められている。工期が積雪期に限定されるため、完了までには数年を要する見通し。

 作業が行われているのは新中野ダムの手前約1キロの一帯で、市水道局が管理する水源涵養(かんよう)保安林と一部民有地。一昨年1月にスギやトドマツ約3500本が倒れ、一部はチップとして敷き詰めたものの、処理し切れなかった残材が高さ2メートル、幅4メートル、総延長350メートルにわたって河畔に積み上げられてきた。

 NPO法人「北の森と川・環境ネットワーク」(影山欣一代表理事)は、残材が川の増水時に流出する危険性を指摘。同NPOの調査結果では昨年5月に植樹した幼木の大半が枯死しており、自生する稚樹の保護を優先するため、影響の少ない積雪時に鉄板で重機の通路を確保し、作業することで同局と基本合意していた。

 影山代表理事は「長期的なイメージで考えなければならないが、これでだいぶ状況は変わってくるはず。定期的に巡回に訪れ、適正な処理がされているかを見極めたい」と話している。(浜田孝輔)