2009年1月21日(水)掲載

◎冬の味覚 ゴッコ店頭に

 冬の道南を代表する味覚「ゴッコ汁」などに使われる魚ゴッコ(ホテイウオ)が、函館市内の鮮魚店やスーパーマーケットの店頭に並び始めた。現在の値段は高めだが、水揚げのピークを迎える2月には雌で1000円程度になるという。

 ゴッコはゼラチン質の皮や身、卵が人気。2月の極寒期が一番おいしいとされ、恵山地区などが漁場として有名だ。

 市内新川町の函館自由市場内にある照井鮮魚店(照井孝二社長)では19日現在、1、2キロ程度の大きさで雄600―750円、雌1300―2300円で販売している。買い物客は「もう少しすれば安くなるね」などと話していた。照井社長(58)は「ゴッコは1月下旬からが旬。あの独特の触感、癖になる味をぜひ味わって」と笑顔でPRしていた。(山田孝人)



◎ホテルオークランドが3月末で閉館

 北海道乳業(函館市昭和3、田島久吉社長)が子会社に運営委託しているシティーホテル「ホテルオークランド」(同市昭和4)が3月末で閉館することが20日、明らかになった。建物の老朽化に加え、主力の婚礼や宴会が減少しているためだ。外壁や配管などに傷みが目立ち始め、昨年から大規模な改築を検討していたが、同社は「設備投資に見合った集客が困難な状況」と判断した。(森健太郎)

 市内では6年後の北海道新幹線の新函館駅開業を見据えたホテルの建設が相次ぎ、ホテル・旅館の客室数が1万室を超えるなど集客競争が過熱。観光客の入り込みが減少する中、価格競争も激しさを増し、淘汰(とうた)の波も押し寄せ始めている。

 同ホテルは1973年10月に開業。客室数は58室。館内には400人を収容できる宴会場があるほか、市内最大のボウリング場(40レーン)も併設している。89年にはロビーや客室、宴会場などの内装を中心に5億円以上掛けて大幅な改修工事にも着手した。

 しかし、近年は少子高齢化や景気後退の影響で結婚式関連の需要が減少し、売り上げ全体の6割を占める宴会部門の不振が響いた。施設の建て直しには十数億円掛かる見通しで、「費用対効果」が得られないためリニューアルは断念した。

 同社は1月上旬、社員20人とパート従業員55人に対し、4月末までにそれぞれ解雇する方針を通告。今後、施設は北海道乳業の工場用地として活用する予定で「売却や貸与は考えていない」(同社)という。併設のボウリング場は営業を継続する。

 帝国データバンク函館支店によると、同ホテルの売り上げは2008年1月期で約3億円(運営委託料やボウリング場の収益を含む)。近年は減収傾向にあったという。



◎23、24日に中島れんばい横丁

 中島廉売(函館市中島町)で毎月第4金・土曜日、空き店舗に屋台が出店する「中島れんばい横丁」(実行委主催)が23、24の両日、開催される。新たに全店(5店)で600円以上利用すると、次回使うことができる割引券がもらえる「ラリーカード」を導入。実行委の能登正勝さん(NPO法人全国精神障がい者地域生活支援センター理事長)は「ぜひ全店の味を巡り、スタンプを集めて」と来場を呼び掛けている。(宮木佳奈美)

 昨年12月から始まったイベントで、新規出店1店を含め前回同様5店が出店する。定番の焼そば、焼き鳥のほか、函館育ちの「函館男爵黒豚」のメンチカツ、イクラ丼、ホルモン空揚げなど多彩なメニューがそろう。飲み物は熱かんや生ビール、ワインなどのアルコール類、ソフトドリンクを提供する。

 七飯町で運送会社を経営する伊藤尚美さん(49)は個人で新規出店し、“おふくろの味”のおでん、女性向けにヘルシーな野菜スープなどを販売。伊藤さんは「中島廉売の活性化に協力したいと思って応募した。お祭り感覚で楽しんでやりたい」と意気込みを語る。

 価格はすべて500円以下。指定するタクシー会社の乗車代補助券も発行する。ラリーカードは1店当たりスタンプ1個を押印し、全店制覇すると、次回1店200円まで利用できる1000円分の割引券を進呈する。また、ラリーカードを集めると年1回の抽選会にも参加できる。新規出店も募集中。問い合わせは能登さんTEL0138・51・0026。


◎【企画・今年にかける】(9) 知内中1年生・野球部レギュラー目指す 小辻裕康君(13)

 昨年は3年生部員が引退する秋まで、公式戦に一度も出場できなかった。「(中学に入って)実力の差を感じた。先輩に追いつき追い越したいという気持ちで焦るばかり。練習についていくだけで必死で」。初めて味わう挫折だった。

 1995年に知内町で生まれた。幼いころに父親が出場する社会人野球を観戦し、ダイナミックに、そして楽しそうに白球を追う姿に感動した。野球を始めるきっかけになった。

 知内小3年の時から地元野球少年団に入った。抜群の運動神経に負けず嫌いの性格が加わり、誰よりも練習をこなした。俊足と強打、器用なボールさばき。小兵ながら、「知内にすごい小学生がいる」と一躍話題になった。少年団の主将として活躍する傍ら、児童会長の大役も務めた。同世代からは一目置かれる存在―。その“ヒーロー”が中学入学と同時に壁にぶち当たった。

 体は成長途中で、上級生に比べて体力や筋力面が追いついていなかった。泥と汗にまみれながら練習に励んだが、ベンチを温める日が続いた。「必ず自分にもチャンスが来るはず。そのときのために今は我慢」と言い聞かせた。チームの勝利を優先し、その思いを胸に秘めた。

 水口力監督(32)はそんな姿を静かに見守った。「野球が上手なだけではだめ。礼儀や協調性、一流選手はここが重要。その点、小辻は人間性に魅力があるから大丈夫。これから一気に伸びる選手だと思う」。周囲の期待は大きい。

 野球場は今、雪に覆われている。春が来るのが待ち遠しい。失敗や挫折をプラスに変えていく一年が始まった。(田中陽介)


◎さぽっと「ざぶクッション」好評

 函館市北浜町の「地域活動支援センターさぽっと」(佐藤秀臣施設長)の利用者らが製作、販売しているオリジナル座布団「ざぶクッション」が人気を集めている。毛糸で編んだ五角形が特徴で、「厚みがあって暖かい」と購入者に好評だ。予約も入っているが材料が足りない状態で、同施設は「いらない毛糸やセーターを譲って」と協力を呼び掛けている。(新目七恵)

 同施設は難病患者や障害のため働く場が確保できない人たちに、仲間と作業し、交流できる機会を提供している。現在、心臓疾患や内部疾患などを抱える19歳から50代の男女14人が通い、授産製品の製作やパソコン版下作成などに取り組んでいる。

 商品は同施設で生産するアクリル毛糸たわしの作り方を参考に、利用者らが昨年春に考案。当初は布を使っていたが、冬用に毛糸にしたところ、寒くなってきた昨年11月末ごろから売れ出した。すでに15個以上売れ、現在5個の注文が入っている。

 主な材料は市民から不用品として譲り受けた衣服をほどいた毛糸。利用者が手洗いして汚れなどを取り、毛糸玉にまき直して使う。作り手の多くは男性で、長く編むのは大変なため、かぎ針で40センチほど編んだものを4枚つなぎ合わせ、五角形にまとめている。5種類前後の毛糸を編み込むため、青や赤などカラフルな仕上がりになっている。

 生まれつき脳性マヒで、両足が不自由な七飯町の利用者川島聡子さん(30)は「座り心地がいいよう緩めに編むよう心掛けている」と話し、熱心に作業に当たっていた。商品を取り扱う函館市人見町5のパンの店「ブーランジュ梓」内の福祉の店「どんぐり」の広報担当、染木泰子さん(53)は「予想以上に暖かく使い心地が良い。1人でも多くに手作りの品物を手に取ってほしい」とPRする。

 ざぶクッションは1個1000円。和紙人形カード(1枚200円)やシューズキーパー(1セット100円)も販売中。注文、問い合わせは同店(TEL0138・56・6566)か、かさぽっと(TEL同41・7776)。2月11日から棒二森屋で開催する教育・福祉合同作品展にも出品する予定。


◎公立高の願書受け付け開始

 2009年度の道内公立高校入試の出願受け付けが20日、渡島、桧山両管内の25校を含む道内249校で始まった。函館市とその近郊10校の一括受け付け会場となっている函館市時任町の函館中部高校でも、同日午前から中学校の担当者らが次々と訪れ、出願手続きを行っていた。

 函館中部高の会議室には、同高のほか、市立函館、函館水産、函館商業、函館工業、函館西、函館稜北、七飯、北斗市の上磯、大野農業の各高校担当者がブースを設けた。開始時間の午前9時半に訪れた函館西中の平野高志教諭(32)は全日制と定時制計23人分の願書を各志望校に提出し、事務職員は記入漏れがないかなど念入りに確認作業を行っていた。

 道教委によると、今年3月の道内の中学校卒業予定者は推計5万561人(前年度比1785人減)。09年度の公立高校の募集定員は4万2300人(同1060人減)で、このうち渡島管内は全日制2760人、定時制240人、桧山管内は全日制のみで400人。

 受け付け期間は一般、推薦、連携型とも23日正午まで。出願状況は27日午前10時に道教委が発表する。推薦、連携型の面接などは12日に予定。一般入試の学力検査は3月4日、合格発表は同17日に行われる。(新目七恵)


◎乙部町 NTTに「Bフレッツ」誘致を要望

 【乙部、函館】ソフトウエア開発などに携わるIT技術者の育成や企業誘致など、町独自の取り組みを進めている乙部町は20日、IT関連事業には不可欠な光ファイバーを利用した大容量高速通信網の誘致に向け、NTT東日本―北海道が提供する「Bフレッツ」の供用地域拡大を求める要望書を同社函館支店(鎌田俊之支店長)に提出した。(松浦 純)

 寺島光一郎町長と、町内に事業所を構えるIT企業「グローバル・コミュニケーションズ」(函館市)の笹谷隆社長らが同支店を訪れ、鎌田支店長に要望書を手渡した。寺島町長は「通信網整備は地場の企業誘致や雇用開拓につながる。通信網整備は道路整備と同じく地方にとっては生命線。できるだけ早い基盤整備をお願いしたい」と訴えた。

 鎌田支店長は「早期に実現できるよう最大限の努力をしたい。乙部でのサービス提供が実現すれば近隣町でも関心が高まる。松前町からせたな町にかけた日本海側での整備が一挙に進むことも期待される」と述べ、積極的に整備に取り組む考えを伝えた。

 同日は「乙部町ブロードバンド誘致の会」が取りまとめた「Bフレッツ」の仮申込書も提出。申込書は滝瀬、元町、緑町、館浦の市街地で269件、町内中部の鳥山、栄浜、元和の3地区で94件の計363件に上る。寺島町長は、町民や企業が既存のインターネットサービスから「Bフレッツ」に転換する場合、町として独自の支援策を講じる方向で検討を進める考えを示した。

 町内では2007年度、地方の風土を生かしたIT技術者の育成事業がスタート。昨年3月に卒業した第1期生16人は、札幌や東京のIT関連企業などに採用された。このうち4人は町内に進出した企業に就職して業務に当たっている。

 しかし、桧山管内で「Bフレッツ」が提供されているのは江差町だけ。都市部とのデジタル通信環境の格差解消が大きな課題になっている。町の小石裕之企画室長は「光ファイバーの整備で都市と地方にある通信環境の優劣が解消される。乙部でも都市と同じ条件で光ファイバーを通じた事業の受発注や納品が可能になり、IT企業誘致の呼び水になる。防災や医療の面でも町民や地元企業が高速大容量通信を幅広く活用できるようになる」と話している。