2009年1月23日(金)掲載

◎髙橋掬太郎の自筆色紙を寄贈…関さんが文学館に

 昭和の大ヒット歌謡曲「酒は涙か溜(ため)息か」で知られる函館ゆかりの作詞家、髙橋掬(きく)太郎(1901―70年)の資料を収蔵する函館市文学館(末広町)にこのほど、同曲の歌詞の一節が書かれた自筆の色紙が寄贈された。函館文化会顧問の関輝夫さん(83)が所有していたもので、親族から寄託された資料を展示している同館で初めての所蔵資料となった。展示公開は未定だが、同館は「いずれ寄託資料と入れ替えて展示したい」としている。

 同館によると、髙橋は根室市出身。22(大正11)年から函館日日新聞社の記者として約11年間、函館で青春時代を過ごし、後に「わたしは函館で恋をし結婚もした。函館は第二の故郷である」と言って函館を愛したと伝えられる。

 新聞記者として働く傍ら、詩などの制作にも励み、民謡の同人誌に発表した詩「酒」がコロムビアレコードに採用された。この詩は改題されて古賀政男さんの作曲で藤山一郎さんが歌い、31年に発売され、たちまち大流行した。

 これを機に髙橋は上京し、作詞家として「ここに幸あり」「啼(な)くな小鳩よ」など数々のヒット作を生み出した。作品数は約3000に上る。関さんは「この時代の人の心を打つような歌で、今でも衰えず、いつまでも歌い継がれる名曲だ」と話す。

 同館は93年の開館以来、髙橋の長男公郎さん(東京在住)から寄託された自筆の色紙や短冊、作詞原稿の複製などを常設展示している。昨年夏、関さんから市立函館博物館に色紙が持ち込まれ、市文学館が公郎さんに筆跡を確認してもらい自筆と判明したため、同11月に正式に同館へ寄贈された。

 色紙は関さんが、親交のあった函館の経済人、元ダイカ会長の故・大総一郎さんの遺品として譲り受けた。関さんは「函館でも髙橋掬太郎を知らない人が増えた。ゆかりの地に資料を残せるように、色紙が自筆であれば自分のものにせず公に寄贈すべき」と考えて手放すことにした。同館は「今までは寄託された資料しかなかったので貴重だ」としている。(宮木佳奈美)



◎「結核」の闘病施設忘れないで…函工高生徒6人が模型で復元

 函館工業高校(昆野茂校長、生徒712人)の3年生6人が、30年前まで胆振管内虻田町(現洞爺湖町)にあった教職員向け結核療養施設の模型制作に取り組んでいる。結核が「国民病」などと呼ばれ、死に至ると恐れられた当時、約7000人が利用した施設の存在を後世に伝えたい―という関係者の願いに同校が応えた形で、生徒らは「少しでも昔を思い出してもらえれば」と話している。完成後は、同町の新施設の目玉として常設展示される予定だ。0ァ40ィ(新目七恵)

 模型化される施設は「北海道教員保養所」。道が肺結核に掛かった道立学校教員の療養所として1943(昭和18)年に開所した。結核患者の減少後はぜんそくの子どもも受け入れたが、有珠山の噴火による泥流の影響で79年に廃止した。

 25年余にわたり同保養所に勤めた元保養所長の河村弘司さん(87)=札幌在住?によると、家族や友人から隔離された患者らは俳句や絵画制作などの文化サークルを作るなど、交流を深めていた。廃止後、関係者が現地に記念碑を設置するなどしたが、関係者からは「建物の姿を再現できれば」との声が何度も出ていたという。

 知り合いを通じてこの思いを聞いた同校建築科の向井地康弘教諭(53)が昨年4月、課題授業のテーマとして生徒に提案。希望した阿部直美さん(17)や三浦希望さんらが制作に取り掛かった。

 作品(幅85センチ、奥行き120センチ)は実寸の300分の1。図面や写真を参考に生徒らが立面図を描き、専用ボードに写して建物部分を組み立てるなど、1年掛かりで作業を進めてきた。水澤美友さん(17)は「資料が少なく、長さがわからない部分があって苦労した」と説明。阿部さんも「できる限りのことはやった。半永久的に飾られることになり、うれしい」と話す。

 完成品は2月中に向井地教諭らが同町に持っていく考え。同町では4月に開館予定の旧火山科学館内に展示する計画だ。

 河村さんは「生徒たちが熱心に取り組んでくれて感激した。患者の病気の治癒に専念した当時のことを後世に伝えたい」と語る。元患者で、同町に住む三瓶修さん(78)は「あの施設があったから自分は生き長らえている。施設の存在を忘れ去られてしまうと諦めていたので、非常に感謝したい」と喜んでいる。



◎今年は「氷の天文台」で星に願いを…来月7日から季節限定カフェ

 【七飯】氷の天文台で満天の星空と飲食を―。昨年、大沼湖上に季節限定カフェ「青空のカフェ*星空のカフェ」を展開した大沼体験観光づくり実行委員会(渡辺邦浩委員長)は今年も2月7日から5日間、カフェレストラン「ターブル・ドゥ・リバージュ」(大沼町141)前の湖畔で同イベントを行う。大沼の天然切り出し氷で作った「氷の天文台」が初登場し、冬の星座と氷の容器で提供される飲み物を楽しむことができる。

 昨年の来場者から寄せられた「氷の建物にできないか」「星空をもっと楽しみたい」との声を受けて考案。安全面を考慮し、今回は陸上に氷のドームを作り、「ななえ天文クラブ」(星村明輝代表)の協力で本格的な観望を行うことにした。

 同天文台は天然の切り出し氷でできた壁に七色の発光ダイオード(LED)を埋め込み、幻想的な雰囲気を醸し出す。氷のグラスで楽しむソフトドリンクや軽食、ホットドリンクなどを一律500円で提供。観望スペースでは望遠鏡でオリオン座や「スバル」「シリウス」など冬に瞬く星を楽しむことができる。星村代表は「周辺の明かりが少ないため、星雲まで観察できる」としている。

 リバージュを経営する源五郎の社長で、今回の取り組みを中心的に進める林賢三さん(38)は「昨年は大勢の人に大沼に足を運んでもらえた。今後も大沼の良い資源を生かし、産業・観光につなげたい」と話している。問い合わせは実行委事務局(大沼国際交流プラザ内)TEL0138・67・2170。(笠原郁実)


◎移住支援事業から撤退…北海道コンシェルジュ

 道内への移住を総合的にサポートする北海道コンシェルジュ(函館市、資本金1200万円、寺西隆経社長)は、3月末で移住関連事業から撤退する。移住希望者に滞在プランの仲介や不動産の紹介などをしてきたが、移住ビジネスの需要が高まらず、経営が改善しないことが理由。今後は旅行業や観光関連の物販業務などを継続していく。

 同社は2006年8月、移住ビジネスの創出に向けた実証実験をする会社として、市内や道南の経済人が出資して創業した。函館など道内80市町村で組織する道移住促進協議会と連携し、体験移住「ちょっと暮らし」の仲介や移住相談、情報提供などの業務を担ってきた。市の委託事業で移住アドバイザー制度や不動産巡りツアー、体験プログラムの構築なども進めた。

 ただ、主力の「ちょっと暮らし」の利用者が道内全体では増加しているものの、採算が取れるベースには程遠いという。仲介した件数は06年度43組83人、07年度78組156人、08年度82組171人。同社は「函館市の体験移住は減少の一途で、体験先重視から低価格帯の商品に人気がシフトしていった。仲介の利幅は薄く、道などからの委託事業がなくなったことが痛かった」と説明する。

 08年6月期決算では約800万円の赤字で、3年間の累積赤字は相当な額になるという。

 今後はコンシェルジュが担ってきた体験移住の予約、総合案内などが、各市町村の業務となる。市企画部は「サービスの低下は避けられないが、移住したいという人たちに函館の魅力をきちんと伝える取り組みは継続したい」と話している。(高柳 謙)


◎小林亜星さんが記念ソング…函館開港150周年記念事業

 函館市は22日までに、函館開港150周年記念事業の詳細な計画案を発表した。「食・音楽・スポーツ」をキーワードに、7月1日に芸術ホールで開く記念式典では開港150周年アニバーサリーソングを発表。8月8―16日に緑の島を主会場にしたメーン事業は、地元特産の水産物の展示、提供などをする「HAKODATE(はこだて)国際フィッシャーマンズショー」、市民と観光客が一体となって参加できるスポーツ競技を開催するほか、コンサートなどの共催事業も予定している。

 アニバーサリーソングは「新しい函館の歌」をテーマに、市民から事前に公募する歴史や思い出など函館にまつわる言葉を歌詞に編集。作曲家の小林亜星さんが歌を制作する。記念式典やメーン事業のオープニングで披露する予定。

 「HAKODATE国際フィッシャーマンズショー」は、水産加工品の展示・販売や学術機関による研究成果の紹介、シンポジウムの開催など。スポーツ関連では緑の島で海上、緑地で楽しむ競技イベント、千代台公園陸上競技場で子供から高齢者まで幅広い世代を対象にしたレクリエーションイベント「チャレンジ・ザ・うんどう会」を行う。

 共催事業としては、世界各国の音楽団による「2009はこだて国際民俗芸術祭」、演歌歌手八代亜紀さんらが出演する「青函帯2009」、国際教育音楽祭「PMFコンサート」、海の環境保全活動に賛同する歌手の加山雄三さんや南こうせつさんらが出演予定の「ベアフットコンサート」など、5つの音楽イベントを実施する。

 21日にサンリフレ函館で開かれた同事業ワーキンググループの全体会議で計画を提案。2月12日に開かれる第4回同事業実行委員会(会長・西尾正範市長)では事業予算を含むさらに具体的な案を示した上で承認を得て、同中旬すぎには事業概要を固めたい考えだ。事業費は1億2000万円を想定する。

 実行委の岩堀恭一・総合プロデューサーは「事業を目的としてではなく、函館の将来像を描く手段と位置づけ、函館が現在抱える問題点や課題を解決に導けるような踏み込んだ内容にしていきたい」と話している。(浜田孝輔)


◎まちづくりの主役は市民 西尾市長へ提言書…自治基本条例策定検討委

 函館市自治基本条例策定検討委員会(委員長・横山純一北海学園大教授、委員13人)は21日、40回の会合を経てまとめた同条例に関する提言書を西尾正範市長に提出した。今後のまちづくりの指針となる条例で、横山委員長は「市民参加や協働などで相当な議論をした。条例に基づいた市民協働のまちづくりを実践してほしい」と述べた。

 同検討委は2007年9月の発足から昨年12月までの1年3カ月間で、当初予定していた20回程度の2倍となる会合を開いた。市民意見を把握するワークショップも11回開き、条例制定の機運を高めるフォーラムも開催した。

 基本理念として、まちづくりの主役は市民であることを掲げ、市民、議会、市が情報を共有し、三者が一体となったまちづくりの推進が必要であるとしている。横山委員長は「市民と協働したまちづくりを進める上で、市職員の意識改革が必要」と強調した。

 西尾市長は「市には男女共同参画や交通安全などさまざまな理念条例があり、それらの上に立つまちづくりの基本理念となる。市民が条例をどう意識し実体化していくかが課題」と述べた。

 8人の委員が同席し、「市民がどう当事者意識を持って、まちづくりに参加するかが大事」などの感想があった。提言書を基に、市は6月議会への条例案提出を予定している。(高柳 謙)


◎まちづくりの主役は市民 西尾市長へ提言書…自治基本条例策定検討委

 函館市自治基本条例策定検討委員会(委員長・横山純一北海学園大教授、委員13人)は21日、40回の会合を経てまとめた同条例に関する提言書を西尾正範市長に提出した。今後のまちづくりの指針となる条例で、横山委員長は「市民参加や協働などで相当な議論をした。条例に基づいた市民協働のまちづくりを実践してほしい」と述べた。

 同検討委は2007年9月の発足から昨年12月までの1年3カ月間で、当初予定していた20回程度の2倍となる会合を開いた。市民意見を把握するワークショップも11回開き、条例制定の機運を高めるフォーラムも開催した。

 基本理念として、まちづくりの主役は市民であることを掲げ、市民、議会、市が情報を共有し、三者が一体となったまちづくりの推進が必要であるとしている。横山委員長は「市民と協働したまちづくりを進める上で、市職員の意識改革が必要」と強調した。

 西尾市長は「市には男女共同参画や交通安全などさまざまな理念条例があり、それらの上に立つまちづくりの基本理念となる。市民が条例をどう意識し実体化していくかが課題」と述べた。

 8人の委員が同席し、「市民がどう当事者意識を持って、まちづくりに参加するかが大事」などの感想があった。提言書を基に、市は6月議会への条例案提出を予定している。(高柳 謙)