2009年1月24日(土)掲載

◎ホテル・ラビスタ函館ベイ 壁面にデジタル掛け軸お目見え

 壁面などをスクリーンに見立て、デジタル画像をランダムに投影する「デジタル掛け軸(D―K)」の試験点灯が23日、函館市内のホテル・ラビスタ函館ベイ(豊川町12、高橋浩司支配人)で行われ、刻々と変化する光のアートが函館の夜景に新たな彩りを添えた。

 D―Kは、石川県小松市在住のデジタルアーティスト長谷川章さん(61)が考案した空間芸術。これまでに伊勢神宮や大阪城など国内外の建築物やイベント会場などで披露されている。道内では知床、札幌に次いで3例目で、「無我の境地を表現した」(長谷川さん)という。

 この日は2月の本番に向け、2台のプロジェクターで100万枚の幾何学模様が描かれた画像を約1分ごとにホテルの壁面に投影。本来の6割程度の大きさや明るさだったが、ホテル関係者や周辺を訪れた観光客らの目を楽しませた。長谷川さんは「老若男女を問わず、見る人それぞれの場所や感覚で楽しめる。自然との一体感を感じてほしい」と話す。

 2月6―16日には日没後から午後10時まで、同ホテルのベイエリア側の壁面(高さ約53メートル、幅約73メートル)に計6台のプロジェクターを使い、バレンタインシーズンの幻想的な夜を演出する。問い合わせは同ホテル営業企画担当TEL0138・23・6111。(森健太郎)



◎木古内町国保病院、3月末までに2医師退職

 【木古内】木古内町本町708の木古内町国保病院(松谷茂幸院長)の医師8人のうち、2人が3月末までに退職することが23日分かった。小児科と内科の医師で、現状のまま推移すると、4月からは小児科の診療ができなくなり、内科も医師4人から3人体制になるなど、医療サービスの低下が危惧(きぐ)される。医師不足は病院そのものの存続にかかわる深刻な問題で、2010年5月オープン予定で進められている「新・木古内町国保病院」の計画にも大きな影響を与えそうだ。(田中陽介)

 この日の町議会総務・経済常任委員会(吉田忠義委員長)で、同病院の地本隆利事務長が報告した。地本事務長は非常に重要な問題と前置きした上で、「3月末までに(医師の)退職者が2人出る。もう1人か2人の(退職の)可能性もある。それは春先か、春以降になるかもしれない」と発言した。同病院によると、3月末までに退職する2医師の理由は「家庭や一身上の都合」だという。

 同病院から議会側への報告はこの日が初めてで、議会側は「慰留も含めて検討しなければならない」「正確な情報把握が必要」と緊急に対応策を練ることを決定。27日午前11時から役場で大森伊佐緒町長と松谷院長、議員の3者間で協議することになった。

 同病院の診療は内科、外科など9科目。渡島西部地域の救急医療の拠点として位置づけられている。

 この日の常任委は町民3人が傍聴していた。医師が退職するという突然の公表に、町民からは「まさか、本当か」「うわぁ…」と戸惑いの声が漏れた。

 同病院は築36年で建物の老朽化が激しく、現在位置の南西側に、4階建てで延べ床面積約7500平方メートルの新病院の移転改築工事が行われている。20日から土壌の整備が始まり、2月にはくい打ちなどの本格工事が始まる。

 新年度以降も医師の退職が懸念される中、地本事務長は函館新聞社の取材に対し、「会議(常任委)での発言は憶測から述べたもので、(春以降に)必ず退職する医師が出るという根拠はない。そういう危機感を持って経営に力を入れたいと思っている」とした。

 小林敏明副町長は「退職を申し出た2人の医師の考えを尊重することが大切だが、われわれ町民としては、これまで通り、地域に根ざした医療活動を熱望したい」としている。



◎健康マージャン 高齢者に人気

 「ツモ!」「ロン!」。元気な声とともに牌(パイ)を握ったお年寄りの笑顔がはじける。手先と頭を使うマージャンは老化予防になるといわれ、近年、高齢者の間で酒を飲んだり、たばこを吸ったりせずに行う「健康マージャン」が人気を集めている。函館市内でも高齢者向けのサービスを提供する施設などで、卓を囲む光景が盛んに見られる。ゲーム性だけでなく、地域の人との交流の場としても楽しむ人が増えているようだ。(山田孝人)

 高齢者の自立を目指し、サークル活動などを展開する「NPO法人シーズネット函館支部」(能川邦夫支部代表)では毎週1回、市内青柳町37にある同法人の交流スペース「サロン青柳町」で「健康マージャン教室」を開いている。老化を予防し、健康な生活を過ごしてもらおうと、5年前から続いている。

 4卓が用意されている会場では、熟練者も初心者も一緒に卓を囲み、マージャンに熱中。持ち寄ったお菓子をつまみ、談笑するなどの休憩時間を取りながら、楽しい時間を過ごしている。

 毎週参加するという市内の宮田郁子さん(63)は「頭を働かせ、手を動かすので認知症の予防になる。皆でお茶を飲み、わいわい言いながらやれるところがいい」と笑顔で話す。同支部の津村徹事務局長(61)は「飛び入りでも初心者でも大歓迎。多くの人に来てほしい」と参加を呼び掛けている。次回は30日午後1時からで、会費はコーヒー代として300円。

 同市人見町25の「地域交流・自立支援ミニデイサロン桜並木の小さな家松村」(松村紀、紀子代表)でも7年前に利用者から要望があり、4卓を用意。当初は男性会員の利用が多かったが、最近では女性会員も増えたという。松村紀子代表は「将棋や碁と違って、熟練者も初心者も一緒に楽しめるのがいいのでは。地域の人とコミュニケーションを図る場としても機能している」と話す。同施設では毎回卓が埋まるほどにぎわっている。

 健康マージャンと銘打っているだけあって、卓では酒やたばこを控え、現金をfイけることもない。

 問い合わせは同法人事務局TEL0138・36・2212、ミニデイサロンTEL0138・54・3575。


◎コメ量り売り「あきたや」 エコバッグ持参で1キロ10円値引き

 【北斗】道南生まれのブランド米「ふっくりんこ」などの道産米をその場で精米し、量り売りする「あきたや」(佐藤公俊代表)がこのほど、北斗市本町816に開店した。店頭で販売する通気性の良いコメ用バッグなどエコバッグ持参者には1キロ当たり10円引きで提供する。

 佐藤さん(30)の妻準子さん(35)が営んでいた飲食店「丸芽路(まるめろ)」の店名を変え、店内の一角にコメ販売コーナーを設け、改装オープンした。地元農協から仕入れてメニューに使っている「ふっくりんこ」のうまさにほれ込んだ佐藤さんが、多くの人に味わってもらおうと始めた。

 コメは最高品質の一等米で、「ふっくりんこ」「ななつぼし」「ほしのゆめ」「きらら397」の4種類。店頭には玄米の状態で置いてあり、佐藤さんがその場で計量、精米する。客は持参したエコバッグか、備え付けのビニール袋で持ち帰れる。

 佐藤さんは「コメも生鮮食品なので精米したては粒がそろっていておいしく食べられる。古くなる前に食べ切れるようエコバッグで2、3週間でなくなる量を購入してもらえたら」と話す。コメは1キロ当たり(玄米)365―400円。エコバッグ(5キロ入り)は1枚300円で、先着100人に無料で配布する。ギフト用の米俵入りや、出産祝いとして生まれた子どもと同じ重さのコメを米俵・袋に詰めるサービスもある。

 また、同店利用者には一等米で粘りや味が“落ちない”のが特長の「ふっくりんこ」入りの合格の祈とうを済ませたお守りを進呈する(先着100人)。午前10時―午後7時。月曜、第1・3日曜定休。問い合わせは同店TEL0138・77・8499。(宮木佳奈美)


◎函館市北方民族資料館「アイヌ民族展」始まる

 函館市北方民族資料館(末広町21)の収蔵資料展「アイヌ民族―祈りの世界」(市文化・スポーツ振興財団主催)が23日、同館で始まった。イオマンテ(クマ送り儀礼)に焦点を当て、アイヌ民族の精神文化をひも解く祈り、儀式に関する資料60点が展示されている。3月17日まで。

 資料は「女性の装飾品」「男性の装飾品」「祈りの道具」「クマ送りの道具」の4テーマに分かれる。天目台と椀(わん)のセット、祭壇に飾る木幣(イナウ)、刀の鍔(つば)など、クマ送りで使われた道具をまとめて公開するのは初めて。

 クマの姿が彫られた捧酒箆(ほうしゅべら)、儀礼の際に女性が身に着けていた鉢巻きや耳飾り、男性が頭に着用するクマの彫り物が付いたサパウンペ、祭壇に飾る矢筒なども並ぶ。クマ送りの様子を示した昭和初期から40年代の写真、江戸時代のアイヌ絵も掲示。自然と共生し、身の回りのものすべてに魂が宿ると考え、神として敬っていたアイヌが、最高位の山の神(キムンカムイ)であるヒグマを神の国に帰す儀礼を特に盛大に行っていたことも分かる。

 同館は「写真や絵から道具が実際どう使われたかが分かる。資料からアイヌと自然とのかかわり、精神文化の一部を知ってもらいたい」と来館を呼び掛けている。午前9時―午後5時。観覧料は一般300円、学生150円。2月18日のみ休館。問い合わせは同館TEL0138・22・4128。(宮木佳奈美)


◎貿易センター参考人招致、市長が裏金作りを批判

 函館市の第三セクター「函館国際貿易センター」(社長・谷沢広副市長)の不正経理問題を調べる市議会調査特別委員会(斉藤佐知子委員長)は23日、参考人招致を続行し、4人から意見を聴取した。同社の設立準備時に企画部長だった西尾正範市長は、市職員2人を派遣した目的について「貿易振興に向けた施策を進める上で、現場での実務を学びながら身に付けたノウハウを各部局に持ち帰り、若手の人材育成に役立てるためだった」と説明した。

 これまでの委員会では、派遣職員が営業の実務を担当し、研修というより人的支援の要素が強いとの見方がある。西尾市長は派遣研修の在り方を規定した地方公務員法に照らし、「違法性はない」とした。

 同社の元専務(故人)が裏金を作った問題について、派遣されていた前統括マネジャーの市職員に対し「民間であれば当たり前」と伝えたとされてきたが、西尾市長は「裏金は許されるものではない。第三セクターになって市の関与が入る中で、厳正な経理がなされるように期待をして次長職を送っているのに、何をやっているのかという思い」とした。

 21日から行われてきた参考人招致は23日で終了。委員会は今後、意見を取りまとめ、これまでの理事者の発言や見解について検証を進める。一方、市は公認会計士と弁護士で構成する第三者機関を設置し、これまでの調査内容の検証を依頼している。(浜田孝輔)


◎函館の気温 4月並み

 23日の道南は雨で気温も上がり、函館海洋気象台によると、函館の最高気温は4月上旬並みの9・9度に達し、1月としては観測史上6番目に高かった。松前は10・4度、江差は10・3度まで上がった。八雲の9・1度、奥尻の9・6度はそれぞれ1月として最も高い気温となった。

 函館では前日まで10センチ以上あった積雪が雨で解け、午後5時には4センチに減った。JR函館駅前でも芝生に積もっていた雪がほとんど消え、傘を差して歩く人たちが多く見られた。

 同気象台によると、24日の道南は寒冷前線が通過し、冬型の気圧配置になるため、気温は一気に下がる見込み。(山崎純一)