2009年1月25日(日)掲載

◎函館赤十字病院が「看護師相談外来」を開設

 函館赤十字病院(赤澤修吾院長)は、看護師が糖尿病や乳がんの外来患者の相談を受ける「看護師相談外来」を開設した。道南でただ1人の乳がん看護認定看護師を含む4人の看護師が治療や日常生活について悩みを聞いたりアドバイスしたりする。診断から治療後まで乳がん患者の精神的な支えとなるほか、知覚障害などの恐れがある糖尿病患者のケアをし、重症化の予防に取り組む。

 乳がん患者の相談員は、乳がん看護認定看護師の村上佳美さん(28)、村田久美子さん(35)、糖尿病が折戸香代子さん(55)、目黒恵弥さん(31)。従来は各科外来の看護師らが外来患者の相談に応じていたが、同病院では糖尿病や乳がんの患者が増加傾向にあり、患者のQOL(日常生活の質)向上の支援に力を入れることにした。

 乳がんは、治療法の選択や抗がん剤などの副作用の相談に応じるほか、合併症のリンパ浮腫の予防などを行う。また乳房切除後の精神面のフォローや補正下着の紹介など、女性特有のデリケートな悩みにも対応。村上さんは「以前と変わらない生活を目指してサポートしたい」と力を込める。

 糖尿病は、重症化すると足が壊疽(えそ)する恐れもあり、予防のために知覚障害で足の感覚が鈍くなっている患者に起こりうる事態を防ぐ方法をアドバイスし、つめや皮ふの状態を観察して清潔を保つ手入れなどを行う。折戸さんは「自分でもケアできるまで手助けしたい」と話す。

 相談室は同病院1階の個室で、看護師と1対1で話せる。開設日は乳がん患者が火・木曜で1人30分から1時間程度、糖尿病患者は水・金曜で1人1時間程度。時間は午後1時から同4時までで予約制。申し込み、問い合わせは同病院TEL0138・51・5315へ。(宮木佳奈美)



◎共同住宅増加で2年ぶりプラス…函館市 昨年の新築住宅着工戸数1832戸

 函館市がまとめた2008年の新築住宅着工戸数によると、全体の戸数は前年比133戸(7・8%)増の1832戸と2年ぶりに増加した。一戸建ては減少傾向に歯止めがかからないものの、アパートやマンションなどの共同住宅は大幅な伸びを見せている。日本銀行函館支店(市川信幸支店長)は「不動産業者の積極的な売り込みで遊休資産が活用され、改正建築基準法で着工の遅れがあった前年の反動が出ているのでは」と分析する。

 昨年の実績を建て方別で見ると、一戸建てが同8戸(1%)減の754戸と3年連続の減少。共同住宅は同102戸(12・9%)増の887戸(1世帯分で1戸換算)、長屋は同39戸(25・6%)増の191戸となっている。

 利用形態別では、持ち家が同31戸(7%)減の407戸、分譲が同52戸(12・2%)減の371戸と低迷。一方で、貸家は同226戸(27・4%)増の1050戸と2年ぶりに4けた台に回復し、6―9月にかけて100戸以上の着工数で推移した。

 本州の大手不動産業者は「函館には単身者向けの物件が少なく、大学周辺での需要が高い」と説明。他の地方都市に比べて新規供給のペースは鈍化しているとするものの、「築年数から、今後は建て替えが必要な物件も出てくる」と話す。

 ことしの見通しについて、日銀函館支店は「雇用不安や所得環境の悪化から、持ち家や一戸建てが上向く材料には乏しい。貸家も飽和状態にあり、一本調子で伸びていくとは考えにくい」と話している。(浜田孝輔)



◎「夢追いかけて」カムイスペースワークス・植松代表講演

 道産ロケットの開発に取り組む植松電機(赤平市)の専務で、宇宙開発企業「カムイスペースワークス」の代表、植松努さん(42)が24日、函館国際ホテル(函館市大手町)で講演し、夢を追い求め続ける大切さを訴えた。

 函館方面遊技業協同組合(光金守弘理事長)の主催で、組合に加盟するパチンコ店の役員・従業員のほか、公募した市民ら約80人が参加。同社は2004年に北大と共同でロケット開発に着手し、07年8月にはカムイロケットの打ち上げ実験で高度3500㍍を達成している。

 植松さんは「未来を元気に明るくしよう」と題し、模型作りが好きだった幼少時代から現在までの半生を振り返り、「『どうせ無理』は楽をするための魔法の言葉だが、楽すると無能になり、自信が持てなくなる」と指摘した。

 さらに「未来は今できる範囲から選ぶのではなく、夢を実現する方法を考え、備えることでしか到達できない」と、挑戦を続ける意義を強調。企業経営については「大量生産の時代は終わり、これからはゼロから1を生み出す仕事に生き残りの可能性がある」と述べた。(森健太郎)


◎重度身障者・四村さんがケアホーム退去危機 函館市が認定ミス?

 函館市から障害福祉サービス受給者証を取得し、七飯町内のケアホーム(身体障害者の共同生活支援施設)に入居している四村真さん(31)が、市から同施設からの退去通告を受けていることが分かった。市は「当方の勉強不足で、対象者ではない四村さんを認定してしまった」と判断ミスを謝罪。一方、四村さんは「障害者自立支援法には『重度の身障者の入居を試行的に認める』という記述があり、対象の除外には当たらない」と主張しており、両者の意見は平行線をたどっている。

 今回問題となっているのは、障害者が地域で自立した日常生活を営むための施設である「ケアホーム」の利用対象者の解釈について。障害者自立支援法では原則として知的障害者および精神障害者が入居できることになっているが、例外規定として「身体障害者については、重症心身障害者など、単身で地域生活を営むことが困難な極めて重度の者によるケアホームの利用を試行的に認め、効果を検証しながら検討」という一文が添えられている。知的および精神障害者ではないが、重度の脳性まひで障害者1種1級の認定を受け、介護者なしでは日常生活が困難な四村さんは、2007年8月にケアホームの入居が認められた。

 ところが昨年12月に、函館市亀田福祉事務所の担当者が四村さんを訪れ「今まで入居を認めていたのは私たちの勉強不足だった。大変申し訳ないが2009年1月31日付をもってケアホームの利用はできないことになる」と通告。両者はその後、複数回にわたって話し合いを行ったが、主張は食い違ったままで解決の糸口は見えていない。

 同事務所は函館新聞の取材に対し「(四村さんのケアホーム利用については)昨年11月に市議会から指摘があり厚生労働省に改めて確認したところ、重度身障者のケアホーム利用はあくまでも検討事項であり、四村さんが対象にならないことが判明した。当初の判断から間違っており、大変申し訳ないことをした」とコメント。

 一方、四村さんは「重度障害者のケアホーム利用に関しては、試行的に実施した後で単独事業として制度化を図っている自治体もあり、判断が間違っていたという説明には納得できない」と話し、24日には函館市本町の丸井今井前で支援者約10人とともに市に対する抗議のビラを配るなどした。

 両者は来週中にも話し合いを行う予定だが、タイムリミットの31日までに結論が出るかは微妙な状況となっている。(小川俊之)


◎路上生活者を支援 聞き取りなどで調査…市民団体 28日の無料相談会 来場呼びかけ

 函館・近郊の病院や労働団体などでつくる市民団体、函館地方社会保障推進協議会(堀口信代表)の路上生活者支援グループが24日、函館市内のJRの駅やフェリーターミナルなどでホームレスの実態調査を行い、今月28日に開く無料相談会を周知するチラシを配った。

 経済・雇用情勢の悪化を受け、2年ぶりに本格的な調査を再開。この日は支援グループのメンバーや学生ら計16人が5班に分かれ、日中と深夜の計2回、JR函館駅や函館市中央図書館などで目視や聞き取りによる調査を行った。

 JR函館駅周辺では、メンバー3人が駅構内やバス待合所などを巡回。日中に該当者は見当たらなかったが、夜間に数人が暖を取ったり、寝泊まりしたりしている現状を確認した。3人は各施設の職員に無料相談会の案内チラシを手渡した。参加メンバーの一人、函館稜北病院の青木達人事務局次長は「道南でも派遣労働者の大量解雇があり、今後、路上生活者が増える恐れもある」と話していた。

 函館市総合福祉センター(若松町33)では28日午後1時から同5時まで、路上生活者や解雇された派遣社員らを対象に専門家による健康相談や住居相談に応じ、豚汁やおにぎりなども用意している。(森健太郎)


◎館西地区安全運転管理者協会の瀬川会長に交通栄誉章緑十字金章

 函館西地区安全運転管理者協会の瀬川潔会長(73)がこのほど、警察庁長官と全日本交通安全協会会長連名の「交通栄誉章緑十字金章」を受賞した。長年活動を続ける交通安全功労者や優良安全運転管理者に贈られる最高の栄誉賞で、本年度は道警函館方面本部管内でただ1人の受賞となった。16日に東京都内で開かれた「第49回交通安全国民運動中央大会」で賞状や記念品が贈られた。

 瀬川会長は1967年、函館市内に本社を置くカーディーラー「函館マツダ」の安全運転管理者となり、90年からは函館西地区安全運転管理者協会の会長に就任。企業で得たノウハウを協会運営にも反映させ、さまざまな啓発活動に取り組んできた。瀬川会長は「当時のマツダの代表者が飲酒運転や交通違反に厳しい人で、自分も車を扱う一員として、交通事故の防止を肝に銘じてきた」と話す。

 毎年、秋の全国交通安全運動では、管内の企業の協力を得て、パトカーや消防車、除雪用のショベルカー、電力会社の作業車など、特装車によるパレードを実施。98年には市内松川町から大川町までの市道「八幡通」約2キロの沿道で大勢の市民が参加して旗の波作戦を行うなど、市民の注目や関心を集めることを常に意識し、官民一体となった活動を続けている。

 昨年は、こうした活動が結実し、函館西署管内で交通死亡事故者ゼロを達成。瀬川会長は「企業のイベントや営業活動と同じで、いつもどこかで啓発活動を行うなど、取り組みを続けていくことが大切。心の緩みが事故につながるので、今後とも他の団体とも協力して、積極的な活動を続けていきたい」と話している。(今井正一)