2009年1月28日(水)掲載

◎極東大生と中央アジア研修生がロシア語で懇談、交流

 ロシア極東大函館校(函館市元町14、イリイン・セルゲイ校長)の学生たちが27日、JICA(国際協力機構)の招きで函館を訪れた中央アジア各国の研修生とロシア語で懇談した。学生たちは極東大を選んだ理由や将来の抱負などを伝え、学んだロシア語に磨きをかけた。

 研修生はキルギス、タジキスタン、ウズベキスタン、ウクライナの若手行政官9人。ロシア地域学科3年の成田満夫さん(22)は、父がサハリンで現地の人たちとコンブを採る仕事をしていることを紹介。コンブを乾燥させ日本へ輸出するビジネスを10年ほどかけて確立し、「自分も学んだロシア語を生かし、いつかはその仕事を手伝いたい」と述べた。

 同学科2年の白山季絵さん(20)は、これまでサハリンの青少年交流や北方領土へのビザなし交流に参加したことを伝え、「他人と違うことがしたくてこの学校を選んだが、今はこの学校に通って幸せ」とした。

 研修生と学生、教員らは食堂でケーキと紅茶を楽しみながら懇談。研修生は自分の国や仕事を紹介するとともに、学生たちに函館やキャンパス生活などについて質問した。

 ウクライナ経済省地域開発部長のニジュニク・オレナさん(44)は「函館市には年間約500万人の観光客があると聞いたが、どう自分たちの観光資源を生かして呼び込んでいるか、自分の目で確かめたい。観光はウクライナでも将来性のある産業で、地域開発という意味で重要な方向性だと思う」と話していた。(高柳 謙)



◎木古内町国保病院院長、医師の確保対応が急務

 【木古内】医師8人のうち2人(小児科医、内科医)が退職することになった木古内町国保病院(木古内町本町708、松谷茂幸院長)をめぐり、松谷院長が27日に開かれた町議会総務・経済常任委員会(吉田忠義委員長)で、4月以降も医師が退職する可能性があることを明らかにした。同院長は函館新聞社の取材に対し、「2人減っても救急医療の維持は可能だと認識しているが、医師の確保は急務。今後、退職を考えている医師については慰留し、話し合っていきたい」とした。退職が決まった医師2人は3月31日付で辞める。(田中陽介)

 同常任委で松谷院長は「退職を申し出た2人に各事情があり、残ってもらうことはできなかった」と報告。議員からは来年5月オープン予定で移転改築工事が進む「新・木古内町国保病院」について触れ、「タイミングが悪すぎる」「住民側にも慰留を求める機会を与えてほしかった」などの声が挙がったが、同院長は「全国的な医師不足が影響している。これからも退職する医師が出てくる可能性がある。まずはその慰留と新しい医師の確保が重要」と理解を求めた。

 さらに「医師を探すのは非常に難しい。極めて不安だが、4月からは6人体制となると思う。知人や縁故者に医師がいれば、誰か紹介してほしい」とした。議会側は「緊急事態、危機感を持って対応する」として、医師の定年を65歳とする町条例の改正も視野に、早急に対応を図ることを決めた。

 大森伊佐緒町長は「これまで築いてきた各関係機関とのパイプを生かしながら、医師の確保に全力を注ぐ」とした。

 ただ、医師確保では病院設置者の町が払う仲介手数料も多額で、一部議員からは「財政を圧迫する懸念材料になりかねない」「医療・福祉の充実は必要だが、慎重に議論を重ねなければならない」との意見もあった。同病院によると、2年前に外科医1人を採用した際、医療関係の人材紹介会社に支払った仲介手数料は約500万円だったという。

 同病院は渡島西部4町の救急医療の拠点。同院長は現在、医師1人の小児科について「4月までに代わりの医師が確保できなければ内科医が担当し、診療を継続する」とした。同病院は28日、2医師の退職決定の報告と今後の病院経営、医療現場の対応策などを練る内部会議を開く。



◎道南の公立高校出願状況、市函、中部1・3倍

 道教委は27日、2009年度公立高校入試の当初出願状況(26日現在)を発表した。渡島、桧山両管内の全日制の平均倍率は、それぞれ前年度と同じ1・2倍、0・7倍。全日制では大野農業の食品科学科が2・0倍と最も高く、函館工業も6学科平均が1・7倍と高倍率だった。旧函館市地域の学校や七飯、上磯、長万部、八雲、江差の普通科は1・0―1・5となったが、このほかの地域は募集人員を下回った。

 全日制の出願者は渡島管内が前年度比21人増の3342人、桧山管内が同8人増の295人。定時制(函館市内のみ)は同22人増の112人で、平均倍率は0・5倍。

 渡島管内の全日制普通科では、「学校裁量問題」を導入する市立函館が前年度比0・2ポイント減の1・3倍、函館中部も同0・2ポイント減の1・3倍。市立函館は推薦出願者数だけ見るとほぼ2倍となり、小松将人教頭は「推薦枠が定着してきた」と話す。長万部は1・1倍と前年度を0・6ポイント上回り、関良一教頭は「町のJR定期代補助で後志管内黒松内町からも生徒が確保できた」とする。

 一方、専門学科では前年同様食品系の人気が高く、大野農業食品科学科のほか、函館水産の水産食品が1・7倍になった。大野農業の米田敏也教頭は「食の安全が求められ、実践的な教育課程への関心が高まっているのでは」としている。

 函館工業も全体的に倍率が上がり、環境土木は1・9倍と前年度比1・0ポイント増。藤田政光教頭は「専門的学習で就職に有利な上、活発なクラブ活動などが魅力アップになった」とする。函館商業は国際経済が同0・5ポイント増の1・6倍だった。

 函館市中学校進路指導研究会の三島俊博会長(函館潮見中校長)は「全日制受験生で函館市内の希望者は微減、市外は微増との調査結果があり、地元志向が増えている可能性がある。前年度倍率が高い学校が敬遠される特徴も出ているのでは」と分析する。

 桧山管内は1学級増となった江差普通科(1・0倍)を除き、各校とも出願者が募集人員を下回った。江差の岩見清孝教頭は「中学校訪問など生徒確保の取り組み強化で管外流出が防げた」とする。

 道内では全日、定時の合計募集人員4万2130人(有朋を除く)に対し出願者は4万3569人で、平均倍率は前年度を0・03ポイント下回る1・03倍。出願変更の受け付けは28日から2月3日午後4時まで。学力検査は3月4日、合格発表は同17日。(新目七恵)


◎道南でもネットいじめ深刻

 さいたま市の市立中学3年の女子生徒(当時14)が昨年10月、同級生からの「ネットいじめ」を苦に自殺したとみられる事態が明らかになるなど、携帯電話やインターネットに関する子どものトラブルが全国的に深刻さを増している。道南の学校でも、生徒が同じ学校の生徒のホームページに匿名で「ウザイ」「死」などの言葉を書き込んで問題になるなど、トラブルは後を絶たない。学校は啓発や指導に躍起だが、限界があり、関係者は保護者らに注意を呼び掛けている。(新目七恵)

 道南のある中学校では、女子生徒数人が同じ学校の女子生徒に対し、ささいなことで腹を立て、その生徒が開設するホームページに相手を傷つける言葉を書き込んだり、出会い系サイトにつながるアドレスを張り付けたりした。

 書き込まれた生徒から相談を受けた担任教諭が、関係する生徒から事情を聞き、慎重に事実確認を行った後、書き込んだ生徒宅への家庭訪問を実施。保護者の協力を仰いだほか、全校集会で注意を呼び掛けるなどの対応を取った。

 この学校の校長は「これだけ子どもが無防備に携帯電話を使える状況では、こうした問題は避けられない」とし、「生徒には生活リズムを整え、けじめのある暮らしをさせてほしい。思わぬ道に迷い込まないように、家庭で使用ルールを定めるなど大人が目を向けなければならない」と訴える。

 渡島小中学校長会(会長・酒井充北斗上磯中校長)の調査によると、渡島管内の中学3年生からは携帯電話を利用した際のトラブル内容として、「ネット上で中傷された」「愚痴を書き込まれた」「サイトに勝手に本名やアドレスを載せられた」などが多く挙げられた。さらに「中学生に携帯は必要ない」「未成年は有害サイト禁止にすべき」などの意見があった半面、「フィルタリング(閲覧制限)はいらない」「制限があると困る」などの声も寄せられた。

 渡島教育局の藤井壽夫主幹は「道南の子どもも全国を上回る比率で携帯電話を持っており、都市や地方に関係なく問題が起きている」と指摘。「今の子どもにとって、携帯電話は自分の分身のような特別な存在」と分析し、「大事なのは文字だけのコミュニケーションの限界を知り、その裏にあるイメージや状況を考えること。保護者はフィルタリングを積極的に使用するなどし、子どもと一緒に携帯の危険性や事件に精通し、対応してほしい」と話している。


◎昨年12月の函館港貿易概況、輸出2カ月連続プラス

 函館税関は27日、昨年12月の函館港貿易概況を発表した。輸出は船舶の全増分が数字を押し上げ、前年同月比3・2倍の7億2900万円と2カ月連続のプラス。輸入は石油製品や魚介類・同調製品の減少が響き、同27・7%減の9億9500万円と4カ月ぶりのマイナスだった。(森健太郎)

 輸出の品目別では、主力の船舶がインドネシア向けの中古フェリー1隻(5億2000万円)があり、額全体の7割以上を占めた。中国、香港向けの鉄鋼のくずも全増し、前年にあった中国向けの漁網や韓国向けの一般機械の全減分を補った。

 輸入は小麦・メスリンが全増だったものの、石油コークスなど石油製品が同63・7%減、魚介類・同調製品が同28%減と大幅に減少し、数字を押し下げた。石炭は数量が同59・4%減だったのに対し、額は同34・9%減にとどまり、価格の高止まり感もうかがえる。

 同税関管内(道内と青森、秋田、岩手の東北3県)では、輸出が米国向けの自動変速機など自動車の部分品が同29・7%減と14カ月ぶりにマイナスに転じたほか、韓国向けの銑鉄など鉄鋼が同43・9%減と大幅に落ち込み、全体では同15・8%減の379億5400万円。輸入は国際価格の下落に伴い、原・粗油が同53・9%減、非鉄金属鉱が同64・1%減と急落し、全体では同25・7%減の1199億8900万円と、輸出入とも2カ月連続のマイナスとなった。

 昨年1年間の函館港の累計貿易額は、輸出が受注好調な船舶に支えられ、前年同期比1・4%増の210億9700万円と、5年連続で増加。輸入は船舶の単価下落や魚介類・同調製品の減少により、同0・2%減の264億9700万円と2年ぶりに減少した。


◎「よこつゴルフ」売却 加森観光が運営撤退

 【七飯】観光レジャー道内大手の加森観光グループ(札幌)は27日までに、七飯町大中山988のゴルフ場「函館よこつゴルフコース」を不動産会社の大手町地所(東京)に売却し、施設の運営から撤退することを決めた。客単価の減少に伴う収益悪化が要因で、年会員約800人には既に告知済みという。

 同ゴルフ場はビル管理の東管(東京、現東京海上日動ファシリティーズ)が2002年に加森観光に営業譲渡し、土地、施設は加森観光の子会社で現地法人の函館不動産管理(七飯)が03年から管理・運営に当たっていた。

 加森観光によると、函館・近郊のゴルフ場との競合で利用料金の値下げが進み、景気後退に伴う市況の冷え込みも相まって業績不振が続いていたという。施設の売却額は明らかにしていない。大手町地所によると、今後のゴルフコースの利用については未定という。

 加森観光グループは同ゴルフ場に隣接する函館横津岳スキー場(現在、営業休止中)も所有しているが、今回の売却対象には含まれていないという。スキー場の営業再開については「市況の動向を見極めながら判断する」としている。(森健太郎)


◎函八連携フォーラム、交流深め技術者育成へ

 青函圈の交流促進を目的とする「函八連携フォーラム」(函館高専函八連携委員会主催)が27日、函館市若松町のロワジールホテル函館で開かれた。青森県八戸市の八戸工業高等専門学校(八戸高専)、函館工業高等専門学校(函館高専)の教授や企業関係者約90人が参加し、両校が進めるものづくり技術者育成に関するプログラムの説明などを行った。

 両校が共同申請し、昨年秋に文部科学省の支援対象に選ばれた「函八連携による道南―青森圈の総合的ものづくり人材育成」プロジェクトの一環。21日には八戸市で同フォーラムを開催している。

 函館高専の長谷川淳校長が「このプロジェクトは学生の教育に大きな効果をもたらすと期待している」とあいさつ。同校地域共同テクノセンターの小林淳哉センター長が「私たちは地域企業からニーズをもらって研究する部門でありたい。企業と学生が在学中からともに研究することで、地域ニーズに合った人材を輩出できる」と、同プロジェクトの意義を説明した。その後、八戸市産業振興部産業政策課の佐々木誠主査が八戸地域の産学官連携の事例を紹介し、「地場産商品を生かしながら、地域(青函圈)を盛り上げていきたい」と述べた。

 さらに、八戸高専教授が開発した技術の提案や両地域の企業人、教職員の交流会も開かれた。(山田孝人)